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デイサービスの送迎表は、無料のままでどこまで回るのか

送迎表そのものは、無料のExcelで作れます。有料のソフトや自作を考えはじめる目安は3つ。車が5台になったとき、当日の変更が走っている車に届かないとき、送迎がシフトを縛りはじめたときです。無料のソフトを探している通所介護の管理者に向けて書きました。

この記事でわかること

  • 送迎表は、日付・迎えと送り・車両・便・乗車順・利用者・予定時刻・担当者が並べば成立します。この形はExcelで作れて、当社も無料のファイルを配っています。
  • 無料をうたう介護ソフトは範囲が製品ごとに違います。厚生労働省の手引きは、支払額・価格に含まれる範囲・解約のしやすさ・データの引き継ぎの4点で比べるよう挙げています。
  • 乗車定員11人以上の車を1台以上、またはそれ以外の車を5台以上使う事業所には安全運転管理者の選任義務があり、酒気帯び確認の記録を1年保存します。送迎表には載らない記録です。
  • 利用者に送迎を行わない場合、片道につき47単位が減算されます。実施したかどうかの記録が、そのまま請求の裏付けになります。
  • 介護テクノロジー導入支援事業では、ICTの補助上限が職員数に応じて100万円から250万円まで設定されています。

無料で手に入るのは、どこまでか

送迎表は、日付、迎えと送り、車両、便、乗車順、利用者名、予定時刻、担当者が一行で並べば成立する表です。この形を作るのに有料のソフトは要りません。当社も週間送迎表と利用者台帳、車両・担当者の設定表をまとめたExcelファイルを、会員登録なしで配っています(デイサービス送迎表のExcelテンプレートに使い方を書いています)。

介護ソフトの側にも、月額のシステム利用料を0円と掲げる製品や、期間を区切った体験版があります。ただし無料の範囲は製品ごとに違います。記録は無料でも請求は有料、利用者数やユーザー数で線が引かれている、初年度だけ設定費用がかかる。こうした形が混ざるので、「無料」の二文字だけで比べると後で動かせなくなります。

厚生労働省の「介護事業所におけるICT機器・ソフトウェア導入に関する手引き」は、製品の価格体系を比べるときの視点を挙げています。無料のものを試すときも、この4点を先に確かめておくと判断が早くなります。

支払額

初期費用、毎月の支払額、一定期間内の支払額総額の3つで比べます。月額が0円でも、初期費用と数年分の総額で見ると別の順番になることがあります。

価格に含まれている範囲

利用料、保守料、サポート料のどこまでが入っているか。手引きは、介護保険制度の改正に対応する保守費用が利用料に含まれる製品と、別に設定されている製品があると書いています。

解約のしやすさ

契約期間中の解約料があるかどうか。無料で始めた部分と、有料に切り替えた部分で条件が違うこともあります。

データの引き継ぎ

いずれ別の製品に乗り換えることを想定して、利用者名簿や記録を持ち出せるかを確認しておきます。手引きもサポート内容と一緒に確認するよう挙げています。

車が5台になった日から、送迎表とは別の記録が増える

台数が増えたときに効いてくるのは、送迎表の使い勝手ではありません。警察庁の安全運転管理者制度では、乗車定員11人以上の自動車を1台以上、またはそれ以外の自動車を5台以上使う事業所ごとに、安全運転管理者を選任する義務があります。20台以上40台未満なら副安全運転管理者が1人必要です。

安全運転管理者の業務には、運転者の酒気帯びの有無の確認と、その確認内容の記録・保存、運転日誌の備え付けと記録が入っています。目視等による確認と記録の1年保存は令和4年4月1日から、アルコール検知器を用いた確認と記録の1年保存、検知器の常時有効保持は令和5年12月1日から施行されました。選任義務に違反したときの罰金は、令和4年10月1日に5万円以下から50万円以下へ引き上げられています。

送迎表がExcelでも構いません。ただし、ここに挙がった記録は送迎表の中には無く、別のファイルとして増えます。車を1台足すか足さないかを検討している事業所は、5台目の前後で事務の量が変わることを見込んでおいてください。

記録する項目は8つ

確認者名、運転者の氏名、運転する車の登録番号または識別できる記号や番号、確認の日時、確認の方法、運転者の酒気帯びの有無、指示事項、その他必要な事項。警察庁のQ&Aに列挙されています。

確認は運転のたびでなくてよい

同じQ&Aは、酒気帯び確認は個々の運転の直前や直後にその都度行う必要はなく、運転を含む業務の開始前や出勤時、終了後や退勤時に行うことで足りるとしています。

対面が難しいとき

直行直帰などで対面が難しい場合は、携帯型の検知器を持たせたうえで、カメラや電話で顔色と応答の声の調子を確かめ、測定結果を確認する方法が示されています。

Excelがつらくなるのは、当日の変更が走っている車に届かないとき

2026年6月15日の社会保障審議会介護給付費分科会に出た資料では、通所介護・地域密着型通所介護・認知症対応型通所介護の96.7%が送迎を実施していました。対応体制は「基本的に一人で対応している」が73.0%で最も多く、送迎業務を担っている職員は常勤の事務職員等が42.3%、非常勤の事務職員等が34.0%です。運転しているのは、事務所で電話を受けていた人であることが多いという意味になります。

同じ資料の課題の集計では、「職員のシフト組みが負担」が51.6%、「職員を多く雇用・確保する必要がある」が41.3%、「個々の利用者の利用時間が多様化しているため送迎負担が大きい」が36.9%でした。送迎で最も時間のかかる利用者の片道時間は、30分以上60分未満が51.7%です。1便が出てから戻るまでの1時間近く、事務所は運転者と切り離されます。

印刷した送迎表を持って出たあとに欠席の電話が入ると、この1時間が問題になります。Excelを直しても車の中は変わらないので、電話でつかまえるしかありません。無料か有料かの分かれ目は機能の数ではなく、走っている車に変更が届く仕組みを持っているかどうかに寄ります。

記録の側にも理由があります。利用者に送迎を行わない場合、通所介護では片道につき47単位が所定単位数から減算されます。往復で行わなければ94単位です。単位あたりの単価は地域区分で決まっているので、自分の事業所の単価を掛けて1日あたりの金額を出してみてください。送迎を実施したかどうかの記録が、そのまま請求の裏付けになります。

有料に切り替える、あるいは作るときに見ておく金額

補助から確認します。厚生労働省の介護テクノロジー導入支援事業(地域医療介護総合確保基金)では、ICTの補助上限が職員数に応じて分かれています。令和7年度の資料では、1人から10人で100万円、11人から20人で150万円、21人から30人で200万円、31人以上で250万円。補助率は、要件を満たす場合に4分の3を下限、それ以外は2分の1を下限としています。

要件のほうも見ておいてください。在宅系のサービスには、年度内にケアプランデータ連携システムの利用を開始することが入っていました。年度ごとに要綱が変わるので、申請の前に都道府県の最新の要綱を確認してください。

当社に作るところから相談する場合、見積もりを出す前に決めることは4つです。ここが決まれば、範囲と金額は同時に固まります。

順番も一緒に決めます。最初から全部は作りません。まず翌日の送迎表を1か所で作って印刷できるところまで、次に当日の変更が運転者のスマホに出るところまで。この2段で止めたままの事業所もあります。

当社が想定している期間は、要件の整理から公開まで3か月です。1か月目に今の送迎表と運行日誌をそのまま画面に起こし、2か月目に事務所のボードと運転者のスマホを作り、3か月目は紙と並べて走らせながら記録と帳票を仕上げます。どんな画面になるかはデイサービスの送迎表・配車管理アプリの開発プランに置いてあります。初回の相談と概算の見積もりは無料で、札幌市内と近郊なら朝の送迎に同乗させてもらうところから始めます。

誰が使うか

事務所のパソコンだけで完結させるか、運転者のスマホも入れるか。ここで開発の量がいちばん変わります。

当日の変更をどこまで扱うか

欠席の反映だけにするか、車の入れ替えや乗車順の組み直しまで含めるか。

利用者名簿をどこから持ってくるか

既に使っている介護ソフトから取り込むのか、送迎に必要な項目だけを別に持つのか。二重に入力しない形を先に決めます。

記録を同じ画面に載せるか

酒気帯び確認と運転日誌を送迎表と同じアプリに置くか、別のままにするか。台数が5台に近い事業所ほど、ここの判断が効きます。

まとめ

送迎表を作るだけなら、無料のExcelで足ります。有料のソフトや自作を考えはじめるのは、車が5台に届いて記録が増えたとき、印刷して出たあとの変更が届かないとき、送迎がシフトの組み方を縛りはじめたときの3つです。

無料をうたう製品を比べるときは、支払額、価格に含まれる範囲、解約のしやすさ、データの引き継ぎの4点を先に見てください。月額0円だけで決めると、乗り換えのときに困ります。

次にやることを1つだけ挙げます。直近1か月の送迎表を出して、出発後に入った変更が何件あったかを数えてください。0件に近ければ、今のままで問題ありません。週に何件も出ているなら、その件数が切り替えを検討する材料になります。

よくある質問

送迎表を自動で作ってくれる無料のものはありますか。

乗車順やルートまで自動で組む機能は、無料の範囲に入っていないことがほとんどです。無料で手に入るのは、入力する枠が用意されたExcelのファイルか、介護ソフトの体験版だと考えてください。ただ、自動で組めることが目的になっている事業所は多くありません。決まった顔ぶれの決まった時間を毎週なぞるだけなら、前週の表を複製して直すほうが速く終わります。自動編成に費用を払う価値が出るのは、利用日や時間の組み合わせが週ごとに変わり、人が並べ替えると30分以上かかっている場合です。

車は4台です。安全運転管理者は選任しなくてよいのでしょうか。

警察庁の資料では、乗車定員11人以上の自動車は1台以上で選任義務がかかり、それ以外の自動車は5台以上が基準です。10人乗り以下の車4台だけであれば、この基準には届きません。ただし基準に届かない場合でも、誰がいつ運転したかの記録が無いと、事故が起きたときに社内で経緯をたどれません。台数に関わらず、運転者と車両と時刻が残る形にはしておいてください。届出の要否そのものは、事業所を管轄する警察署にご確認ください。

Excelのままで、実地指導や監査に耐えられますか。

様式が紙かExcelかで良し悪しが決まるわけではありません。見られるのは、計画したとおりに送迎が行われたことを示せるかどうかです。送迎を行わなかった日は片道47単位の減算になるため、実施の有無が請求と一致している必要があります。Excelで運用するなら、行を消して上書きしないでください。欠席や時間変更を状態の欄で残し、いつ誰が変更したかが分かる形にしておくと、後から突き合わせができます。

今の介護ソフトを入れ替えずに、送迎だけ足せますか。

足せます。当社への相談で多いのもこの形です。請求や記録は既に入っている介護ソフトに任せたまま、送迎の部分だけを別に作り、利用者名簿は既存のソフトから取り込みます。全部を入れ替えるより費用も期間も小さくなりますし、職員が覚え直す範囲も送迎まわりだけで済みます。既存のソフトから名簿を書き出せるかどうかを最初に確認するので、契約書とマニュアルをお手元に用意していただけると話が早く進みます。

この記事を書いた人

立石伊吹代表取締役 / DX・AIアドバイザー

北海道札幌市手稲区の会社です。北海道内は直接うかがい、道外はオンラインで対応しています。専門用語を使わず、相手の言葉で話すことを大事にしています。

先月の送迎表を1か月ぶん、そのままお持ちください。

車を1台増やすかどうか迷っている。出発後の欠席連絡を運転者の携帯にかけ直すのが日課になっている。無料のソフトを探してみたが、どこまで無料なのか分からなくなった。そんな状態でしたら、先月の送迎表と、今使っている介護ソフトの名前を教えてください。今のExcelを整えれば済むのか、送迎の部分だけ作ったほうが早いのかを切り分けます。北海道内なら事業所に伺い、朝の送迎に同乗させてもらうところから始めます。

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