EvoQuest

業務アプリ・DX

歯科医院のリコール管理は、次の案内時期をどう決めるか

定期検診の案内時期は、患者ごとに違います。歯周病の継続管理なら、2回目以降は前回実施した月の翌月から2か月を過ぎた日以降が原則で、条件に当てはまる患者は毎月です。ユニット数台・スタッフ5人前後の歯科医院向けに整理しました。

この記事でわかること

  • 2026年6月から、歯周病安定期治療と歯周病重症化予防治療は「歯周病継続支援治療」に統合されました(令和8年度診療報酬改定)。
  • 2回目以降の算定は、前回実施した月の翌月から起算して2か月を経過した日以降です。歯周外科手術を行った場合や糖尿病の状態などに当てはまる患者は、3か月以内の間隔でも月1回算定できます。
  • 次の時期を決めるのは歯科医師で、管理計画書を文書で患者に渡し、写しを診療録に残します。案内を出すのは受付です。決める人・出す人・記録する人が分かれるため、台帳がないと経過が追えません。
  • 令和5年の歯科診療所の常勤換算従事者数は、1施設あたり平均5.1人(歯科医師1.5人、歯科衛生士2.0人)です。案内だけを担当する人を置くのが難しい規模です。
  • 患者の氏名と連絡先を扱う台帳には、職種ごとのアクセス権限とログの管理が求められます。立入検査でチェックリストの内容を確認されます。

次の案内時期は、患者ごとにどう決まるか

リコールを「全員3か月ごと」に置くと、保険の請求と合わない患者が出ます。2026年6月からの令和8年度診療報酬改定で、歯周病安定期治療(SPT)と歯周病重症化予防治療(P重防)は歯周病継続支援治療に統合されました。

算定の間隔は通知に書かれています。同じ患者について月1回までで、2回目以降は「前回実施した月の翌月から起算して2月を経過した日以降」に行います。10月に実施したなら、11月から数えて2か月を過ぎた1月以降です。実務では3か月に1回の来院になります。

間隔の短縮が必要な患者は、3か月以内の間隔でも月1回算定できます。歯周外科手術を実施した場合、全身的な疾患の状態が歯周病の病状に大きく影響する場合、糖尿病の状態により重症化するおそれがある場合、侵襲性歯周炎の場合、特別管理加算を算定した場合などです。実施する理由と全身状態等を診療録に記載し、一部は主治の医師からの文書を添付します。

処置ごとに別の間隔が付くこともあります。機械的歯面清掃処置は原則2か月に1回で、妊娠中の患者や、医科から文書で情報提供を受けた糖尿病の患者などは月1回です。台帳に「次は3か月後」とだけ書いても、この違いは表せません。

3か月おきになる患者

歯周病継続支援治療の原則どおりに進む患者です。次の月は前回実施した月を起点に決まるので、台帳には来院日と別に「前回実施した月」の列を置きます。

毎月になる患者

上の短縮の条件に当てはまる患者です。該当する理由は診療録に記載されているので、台帳側にも区分を持たせないと、受付が次の案内月を計算できません。

処置ごとに違う間隔

歯面清掃、フッ化物の塗布、口の機能の管理は、それぞれ別の間隔と要件で動きます。案内の理由を1行添えないと、来院した患者に何をするかが当日まで分かりません。

誰が対象者を選び、誰が連絡するか

歯周病継続支援治療は、開始にあたって歯周病検査を行い、検査結果の要点と治療方針を書いた管理計画書を作成し、文書で患者またはその家族に渡して写しを診療録に添付した場合に算定します。2回目以降も、必要に応じて検査で症状の安定を確認したうえで、状態に応じた適切な間隔で行うと通知にあります。次がいつになるかは、来院のたびに更新されます。

実際に処置をするのは歯科衛生士です。歯科衛生士法第2条は、歯科医師の指導の下で行う予防処置に加えて、歯科診療の補助と歯科保健指導を業務としています。患者の状態を一番近くで見ているのは担当の歯科衛生士で、はがきを出したり電話をかけたりするのは受付です。3者が別の場所に情報を持つと、「この患者にはいつ何を案内するのか」を毎回口頭で確認することになります。

規模の話もしておきます。令和5年の歯科診療所は、常勤換算の従事者数が1施設あたり平均5.1人、うち歯科医師1.5人、歯科衛生士2.0人です(医療施設調査)。リコールの専任を置くのが難しい人数なので、誰かの空き時間に載せられる手順に落とします。

案内の手間と漏れは、どこで出ているか

案内が止まる場所は、だいたい4つに分かれます。順に見ると、どこから直すかを決めやすくなります。

対象者を拾うところ

診療記録や予約システムから今月の対象者を目で拾い、はがきの宛名に書き写す。件数が増えるほど時間がかかり、拾い漏れが混ざります。

予約表と照らすところ

すでに次回の予約が入っている患者に、重ねて案内が届く。案内の名簿と予約表が別にあると、送る直前に1件ずつ確認する作業が発生します。

治療中断の患者が混ざるところ

治療の途中で来なくなった患者と、治療を終えて定期検診に移った患者が、同じ名簿に並ぶ。かける言葉も、担当も違います。

返事が来なかったあと

宛先不明で戻ったはがき、つながらない電話、留守番電話。次に何をするかを決めていないと、その患者はどの一覧にも出てこなくなります。

Excelの名簿で足りるのは、どこまでか

1行1患者の表で、カルテ番号・氏名・連絡先・希望する連絡方法・最終来院日・前回実施した月・次の案内月・担当の歯科衛生士の列を持つ。次の案内月で並べ替えて今月分を抽出する。ここまではExcelで足ります。紙のカードをめくって探す作業はなくなります。

崩れはじめるのは、1人に何行も付く情報が入ってきたときです。案内の履歴(いつ、どの手段で、誰が連絡し、返事は何だったか)がこれにあたります。列を横に足していくと、3回目の連絡を書く場所がなくなります。

「Excelは同時編集できない」と決めつける必要はありません。保存先と契約によっては複数人で同時に開けます。ただし患者の氏名と連絡先を置く場所には別の条件がかかるので、次の節の確認が先です。

もう1つの分かれ目は予約表との照合です。予約が別のシステムにあり、案内の直前に画面を見ながら1件ずつ突き合わせているなら、件数が増えた分だけ時間が増えます。

Excelで続けられる医院

月の案内が数十件で、出すのは受付1人。経過は備考欄に1行書けば済み、予約の重複はその場で思い出せる範囲にとどまっている。

見直しどきの目安

案内をはがき・電話・予約確認の2段階以上で追いかけている。名簿を触る人が2人以上いる。予約表との突き合わせに毎月まとまった時間を使っている。

患者の連絡先を別の台帳に持つとき、先に決めること

診療記録とは別に案内の台帳を作ると、氏名と連絡先を持つ場所が2か所に増えます。厚生労働省の「医療機関・薬局におけるサイバーセキュリティ対策チェックリスト」は、令和8年度版が立入検査時に確認され、年度中に全項目で「はい」が付くよう求められています。台帳をどこに置くかを決める前に、この内容を見てください。

チェックリストに並んでいるのは、医療情報システム安全管理責任者を置くこと、利用者の職種や担当業務ごとに情報区分の利用権限を設定すること、退職者や使っていないアカウントを削除または無効化すること、パスワードを英数字混在の8桁以上(二要素認証を採用するまでの期間は13桁以上)にすること、アクセスログを管理することなどです。

「クラウドなら安全」という説明も、そのままは使えません。安全かどうかは契約の内容と設定の仕方で変わります。案内の台帳を外部のサービスに置くなら、権限を分けられるか、ログを取り出せるか、退職時にアカウントを止められるかを契約前に確かめます。

保存の扱いも整理しておきます。診療録は、診療所に勤務する歯科医師のものは管理者が5年間保存します(歯科医師法第23条第2項)。案内の台帳は診療録とは別の記録なので、どちらに何を残すかを決めてから運用を変えてください。

仕組みにするなら、何を決めれば見積もれるか

選べる道は3つあります。今の名簿を整える、いま使っている予約管理や診療記録のシステムに案内の機能があるか確かめる、案内の台帳だけを自院に合わせて作る。2つ目を先に確かめるほど、3つ目の範囲は小さくなります。当社が請けるのは3つ目で、次の4点が決まれば見積もりを出せます。

台帳の単位と、区分の持ち方

患者を単位にして担当の歯科衛生士をぶら下げるか、担当ごとの一覧を主にするか。あわせて、3か月おきと毎月の区分をどう持たせるかを決めます。ここで画面の骨組みが決まります。

連絡の手段と、どこまでやるか

はがき・電話・SMSのどれを使うか。宛名の書き出しまでか、送信までつなぐか。通話後の結果(予約・再連絡・不在)をどの選択肢で残すか。

予約表との照らし方

いま使っているシステムから、予約の一覧をCSVで取り出せるかどうかで作りが変わります。取り出せるなら、案内を出す前に予約済みを除く処理を自動にできます。

アカウントと権限、記録の残し方

誰がどこまで見られるか、ログをどう取るか、退職時に何を止めるか。前の節のチェックリストの項目を、そのまま設計の条件にします。

期間と費用の出し方

当社の定期検診リコール管理システムの開発プランは、ユニット3台・スタッフ5名前後の医院を想定し、設計から運用開始まで約3か月としています。これは想定であって導入実績の数字とは別です。費用は、案内の台帳と連絡の記録だけの構成と、予約表との照合まで含む構成の2案を金額付きで出します。

効果の測り方

「案内の件数が増えた」では測れません。対象者を拾って宛名を作るまでの転記の回数、予約済みの患者に重ねて案内が出た件数、案内から予約が入るまでの日数。この3つなら今日から数えられます。

まとめ

歯周病継続支援治療の2回目以降は、前回実施した月の翌月から2か月を過ぎた日以降に行います。歯周外科手術を行った場合や糖尿病の状態などに当てはまる患者は、3か月以内の間隔でも月1回です。台帳に残すのは、前回実施した月と該当する区分の2つです。

Excelの1行1患者の名簿は、次の案内月での並べ替えまでは足ります。案内の履歴という1人に何行も付く情報、名簿を触る人数、予約表との突き合わせの時間。この3つが増えたら見直しどきです。

次にやることを1つ挙げます。今月出した案内のうち、すでに予約が入っていた患者が何人いたかを数えてください。その人数が、照合の作業を自動にする価値をそのまま表します。

よくある質問

定期検診の案内は、全員3か月ごとに出せばいいですか。

患者によって変わります。歯周病継続支援治療の2回目以降は、前回実施した月の翌月から起算して2か月を経過した日以降に行うのが原則です。原則どおりに進む患者は3か月おきになります。一方で、歯周外科手術を実施した場合や糖尿病の状態により重症化するおそれがある場合などは、3か月以内の間隔でも月1回算定できます。名簿を作るときは「次は3か月後」の1列ではなく、前回実施した月と該当する区分の2つを列に持たせてください。

いま使っている予約管理や診療記録のシステムは、置き換えが必要ですか。

必要ありません。日々の予約と診療記録は今のシステムで続け、案内の対象者・連絡の履歴・返事の記録だけを別に持つ形にできます。最初に確かめるのは、患者の一覧と予約の一覧をCSVなどで取り出せるかどうかです。取り出せるなら、案内を出す前に予約済みの患者を除く処理まで自動にできます。お使いのシステムの名前と、日常的に使っている機能をお知らせください。

患者の名簿を外部のクラウドサービスに置いても大丈夫ですか。

置けるかどうかは、契約の内容と設定の仕方で決まります。厚生労働省の「医療機関・薬局におけるサイバーセキュリティ対策チェックリスト」では、職種や担当業務ごとの利用権限の設定、不要なアカウントの削除、パスワードの桁数、アクセスログの管理などが求められ、令和8年度版は立入検査時に確認されます。サービスを選ぶときは、権限を分けられるか、ログを取り出せるか、退職時にアカウントを止められるかを契約前に確かめてください。

案内した記録は、診療録に書かないといけませんか。

案内そのものの記録について、書き方を定めた決まりはありません。ただし歯周病継続支援治療で間隔の短縮に当てはまる場合は、その理由と全身状態等を診療録に記載し、一部は主治の医師からの文書を添付するよう通知に書かれています。診療録は歯科医師法第23条第2項により5年間の保存が必要です。診療録に残す事項と台帳に残す事項を先に分けてから、台帳の項目を決めてください。

この記事を書いた人

立石伊吹代表取締役 / DX・AIアドバイザー

北海道札幌市を拠点に、業務アプリやAIの開発を行っています。北海道内は直接うかがい、道外はオンラインで対応しています。専門用語を使わず、相手の言葉で話すことを大事にしています。

今月の案内のうち、すでに予約が入っていた人が何人いたか数えてみてください。

今月の対象者を診療記録から目で拾っている。はがきを出したかどうかが受付の記憶にしかない。予約の入っている患者にもう一度案内が届いたことがある。そんな状態でしたら、いま使っている予約管理や診療記録のシステムの名前、案内の手段(はがき・電話・SMS)、1か月に出している件数をお知らせください。今の名簿を整えれば足りるのか、案内の台帳だけを別に作ったほうが早いのかを切り分けます。完成した仕様や患者データをご用意いただく必要はありません。北海道内なら医院に伺い、受付で案内を出す作業を見せてもらうところから始めます。

定期検診の案内の管理を相談する (新しいタブで開きます)

メールでのお問い合わせ:info@evoquest.jp 解説記事一覧へ戻る