EvoQuest
EvoQuest DX業務システム / 業務効率化 2026.07

SCENARIO ── DENTAL RECALL CASE

治療が終わった患者さんを、
3ヶ月後にちゃんと呼び戻せる医院にする。

ユニット3台・院長1人・衛生士2人・受付1〜2人。その規模の歯科医院で、月末にレセコンからリストを印刷し、リコールはがきの宛名を手書きし、昼休みに電話をかける——予約管理の裏側で受付が抱えている「呼び戻し」の仕事を、アポ帳とレセコンはそのまま残して、案内から予約までを1本の線で追える台帳に変える想定シナリオです。

想定領域
業務DX / 予約・リコール管理
担当範囲
要件整理・画面設計・開発・定着支援
想定対象
ユニット3台・スタッフ5名前後の歯科医院
想定期間
設計〜運用開始 約 3 ヶ月

OVERVIEW

プロジェクト概要

歯科医院の予約管理というと、アポ帳やWeb予約の話になりがちです。でも実際に受付を圧迫しているのは、予約を「受ける」ことより、治療が終わった患者さんを定期検診に「呼び戻す」ことの方——という医院は少なくありません。この想定シナリオでは、リコール対象者の拾い出し・はがきとSMSの出し分け・昼休みの電話・当日キャンセルや中断後の再案内・キャンセル待ちへの声かけを、受付の呼び戻し台帳一枚にまとめます。

いま使っているレセコンとアポ帳は置き換えません。来院の記録はレセコンから月1回取り込み、予約そのものは今のアポ帳のまま。台帳が受け持つのは「誰に・いつ・どうやって声をかけ、返事がどうだったか」だけです。導入の影響範囲を受付まわりに閉じ込めることで、診療を止めずに始められる形にします。

CHALLENGE

課題

  • 01 リコール対象者の拾い出しが月末のレセコン頼み。診察券番号のリストを印刷し、はがきの宛名と一言を手書きする。月80枚なら1枚2分で約2時間半——書き終わる頃には午後の診療が始まっている。
  • 02 はがきを出したあとの反応をたどる場所がない。予約の電話が入っても、それがはがきを見た人なのか、たまたまなのか分からない。誰に出して誰が来たのかを突き合わせられず、次の月もまた全員に同じはがきを出す。
  • 03 当日キャンセルの「また連絡します」が、アポ帳の斜線と一緒に消える。とくに根管治療の途中で来なくなった患者さんは、放置するほど再開のハードルが上がるのに、思い出すきっかけが仕組みとしてどこにもない。
  • 04 キャンセル待ちのメモが受付の付箋。「土曜午前なら来られる」「平日夕方希望」と聞き取ってはいるのに、直前キャンセルで30分の衛生士枠が空いた瞬間、誰に電話すべきかがすぐ出てこない。枠はそのまま流れる。

APPROACH

アプローチ

予約システムを丸ごと入れ替える提案はしません。最初に作るのは「呼び戻し」だけを受け持つ台帳です。多くの医院が月別のカード箱やExcelでやってきたリコール管理と同じ考え方——「7月に呼ぶ人の束」——を画面にして、患者さんごとに最終来院・検診の間隔(3ヶ月・4ヶ月・6ヶ月)・案内の手段・返事の有無が1枚のカードで見える形にします。はがきで届く人、SMSで済む人、電話でないとつながらない人。案内の出し分けを台帳が覚えていれば、手書きするのは添える一言だけになります。

電話は「昼休みの1時間でかけ切れる」ことを設計の基準にします。台帳がその日の電話リストを優先順に並べ、つながらなかった人は翌日に自動で繰り越す。当日キャンセルと治療中断の患者さんは経過日数つきで別の列に置き、キャンセル待ちの聞き取りは付箋ではなく条件(曜日・時間帯)で登録しておく——空いた枠に合う人を、台帳が先に候補として出します。Web予約やレセコンとの自動連携は、この運用が回ってから考える。順番を守ることが、受付1〜2人の医院で定着させるいちばんの近道だと考えています。

CONSULTATION

リコールはがきの山と昼休みの電話、台帳一枚に変えられます。

「月末の宛名書きで昼休みが消える」「当日キャンセルの再案内を忘れる」「キャンセル待ちのメモが付箋のまま」。
レセコンもアポ帳もそのままで、呼び戻しだけを受け持つ小さな台帳から始められます。
要件整理・画面設計・開発・運用開始後の改善まで、一貫してお手伝いします。

SCREENS

主要画面

想定する主要画面と、設計で大事にしている考え方です。受付のPCで使う台帳を中心にした構成で、患者名・予約・案内の履歴はすべてユニット3台規模の歯科医院に合わせた想定例です。実在の医院・患者さんではありません。

01. 今月のリコール台帳(対象者と呼び戻しカード)

7月に検診時期を迎える患者さんが左に並び、選ぶと右に呼び戻しカードが開く2ペインの台帳。最終来院・検診間隔・案内の手段と履歴・返事の状態が1枚で見え、月別のカード箱をそのまま画面にした構成。

呼び戻し台帳
設計のポイント
左の一覧は「未案内 → 返事待ち → 予約済み」の順に束ね、上から手を付ければいい形に。
例外の扱い
3回案内して反応がない人、はがきが宛先不明で戻った人は、消さずに印をつけて残す。
看板の考え方
レセコンの機能追加ではなく、受付が毎月やってきたカード箱の作業をそのまま画面化する。

02. 昼休みの電話リスト

今日かける電話が優先順に並ぶ画面。前回来院・案内の履歴・「平日夕方しか出ない」といった聞き取りメモを1行に添え、結果は「予約が取れた・後日また・留守電」のボタンで残す。つながらなかった人は翌日に繰り越す構成。

電話リスト
設計のポイント
昼休みの1時間でかけ切れる件数に絞って出す。リストの長さ自体を設計の対象にする。
電話の前に
受話器を取る前に見るべきこと(前回の処置・案内歴・都合メモ)を1画面に収める。
結果の入力
通話しながら片手で押せるボタンだけにして、あとから清書するメモを作らない。

03. 中断・当日キャンセルの再案内

治療の途中で来なくなった患者さんと、当日キャンセルのまま次の予約がない患者さんを、経過日数つきで並べる画面。処置の途中段階(根管治療 2回目まで済みなど)を添えて、声をかける優先度が読める構成。

再案内
設計のポイント
アポ帳の斜線で消えていた「また連絡します」を、日数が経つほど目立つ形で残す。
優先度の判断
処置の途中段階を院長・衛生士が一言添えられるようにし、受付が電話の順番を決められる形に。
区別
定期検診のリコールとは列を分ける。同じ「来ていない」でも、かける言葉が違うため。

04. キャンセル待ちと空き枠の突き合わせ

直前キャンセルで空いた枠(日時・ユニット・衛生士枠かドクター枠か)を選ぶと、曜日・時間帯の希望が合うキャンセル待ちの患者さんが候補に並ぶ画面。付箋の聞き取りメモを、条件として登録し直した構成。

キャンセル待ち
設計のポイント
「空いた枠から人を探す」方向で作る。電話が鳴った直後の受付が使う画面のため。
条件の持ち方
希望は「土曜午前」「平日18時以降」のような粗い条件で十分とし、登録を10秒で済む形に。
声かけの記録
案内した・断られたの履歴を残し、同じ人に何度も同じ枠を案内しないようにする。

05. 今月の案内の出し分け(はがき・SMS)

今月の対象者を「はがき組」と「SMS組」に分け、はがきは宛名PDFの出力まで、SMSは文面の確認までを行う画面。右側に実際の文面プレビューを置き、大人向け・お子さん向けの文面を選べる構成。

出し分け
設計のポイント
全員に同じ手段で出さない。届きやすさで分けることが、案内の手間を減らす前提になる。
手書きの残し方
宛名と定型文は印刷し、患者さんへの一言だけを手書きに残す。全部は自動化しない。
出力
宛名PDFは市販のはがきサイズに合わせ、いま使っている複合機でそのまま刷れる形に。

OUTCOME

変わったこと

台帳が受付の毎日に乗ったあと、レセコンの印刷と付箋と記憶に分かれていた呼び戻しが、3つの軸で変わる想定です。

01

対象者の拾い出しが
「月末の印刷と手書き2時間半」から「月初に台帳が並べる」へ。

Beforeレセコンのリストを印刷し、はがき80枚の宛名と一言を手書きしていた。
After台帳が今月の対象者をはがき組・SMS組に分けて出し、手書きは添える一言だけ。

作業をゼロにするのではなく、「人が書く価値のある部分」だけを残す分け方にする想定。

02

案内のあとが
「出しっぱなし」から「返事まで1本の線」へ。

Beforeはがきを出した記録がなく、予約の電話と案内を突き合わせられなかった。
After患者さんごとに案内→返事→予約の履歴が1枚のカードに残り、反応のない人だけ次の手に進む。

「全員にもう一度出す」をやめて、手段を変えて届ける相手を選べる状態にする。

03

空いた30分が
「そのまま流れる」から「キャンセル待ちに電話1本」へ。

Before聞き取った希望が付箋のままで、直前キャンセルの枠を埋める手がかりがなかった。
After枠を選べば条件の合う患者さんが候補に並び、受付はその場で電話をかけられる。

ユニット3台の医院にとって、30分枠の空きは小さくない。埋める手段を仕組みにしておく。

PROCESS

3ヶ月の進め方

オンラインでも進められますが、札幌市内・近郊なら受付の昼休みの時間帯に直接おじゃまして始めます。設計 → 開発 → 運用開始を3ヶ月で区切り、毎月の終わりに必ず触れる画面を残して、受付の感想を翌月に反映する進め方です。

1
MONTH 01 / 要件整理 + 受付の見学

「いまの呼び戻し」を、はがきと付箋の現物ごと見せてもらう月。

レセコンから出しているリスト・リコールはがき・キャンセル待ちの付箋・アポ帳を原本のまま見せてもらい、月のどのタイミングで誰が何をしているかを聞き取ります。検診間隔の決め方(3ヶ月・4ヶ月・6ヶ月)と案内の手段の分け方を整理し、最初に作る範囲を「台帳+電話リスト」に絞って合意します。

  • 受付・院長へのヒアリング(昼休みの電話の時間帯の見学を含む)
  • はがき・付箋・レセコンのリストの現物確認
  • 台帳画面の下書きと、検診間隔・案内手段のルール整理
  • 最初に作る範囲と、後回しにする機能の線引き
2
MONTH 02 / 台帳 + 電話リストの開発

呼び戻し台帳と昼休みの電話リストを作り、付箋と並走する月。

リコール台帳と電話リストを開発し、レセコンから月1回の取り込みを設計します。月の後半は実際の昼休みに台帳を使ってもらい、いままでの付箋・手書きリストと二本立てで回して、リストの並び順や結果ボタンの使い勝手を受付の手に合わせて直します。

  • リコール台帳・呼び戻しカードの開発
  • 昼休みの電話リスト・結果入力の開発
  • レセコンの来院データを月1回取り込む流れの設計
  • 昼休みの並走テスト(付箋と併用)
3
MONTH 03 / 再案内・出し分け + 運用開始

中断・キャンセル待ち・はがきの出し分けまで仕上げて、付箋を外す月。

並走で出た声を反映しつつ、中断・当日キャンセルの再案内、キャンセル待ちの突き合わせ、はがき宛名PDFとSMS文面の出し分けまで仕上げます。付箋をやめるのは、受付が「台帳だけで回る」と言ってから。運用開始後も、月1回の取り込みのタイミングに合わせて使いながら直す体制を引き継ぎます。

  • 中断・再案内・キャンセル待ち画面の仕上げ
  • はがき宛名PDF・SMS文面の出し分けの仕上げ
  • 今月分の案内を台帳から実際に出す運用リハーサル
  • 運用開始 + 使いながら改善する体制づくり

FAQ

よくある質問

  • Q1 費用はどれくらいかかりますか?
    作る範囲で変わりますが、考え方は決めています。予約システムを丸ごと入れ替えるのではなく、呼び戻しに絞って作るぶん、範囲を小さく抑えます。最初のヒアリングのあと、「台帳+電話リスト」だけの構成と、再案内・キャンセル待ち・出し分けまで含めた構成の2案を金額付きでお出しし、そこから削る相談をします。IT導入補助金など使えそうな制度があれば、対象になるかの確認も一緒にやります。
  • Q2 いま使っているレセコンやアポ帳はそのまま使えますか?
    そのまま使う前提で設計します。レセコンとの自動連携は最初から作りません。連携開発はレセコンの機種ごとに費用と時間がかかり、導入の影響が診療全体に広がってしまうからです。かわりに、レセコンから出せる来院データを月1回取り込む運用にして、台帳側はいつでもやめられる・いつでも始められる位置に置きます。アポ帳も紙のままで構いません。
  • Q3 Web予約も一緒に作った方がいいですか?
    最初からは勧めません。Web予約は「新しく来る人」を増やす道具で、リコールは「一度来た人」に戻ってきてもらう道具。順番としては、すでに医院を知っている患者さんの呼び戻しが回る方が先だと考えています。台帳の運用が安定して、電話の受付そのものが負担になっている実感が出てきた段階で、Web予約を足すかを一緒に判断します。
  • Q4 受付が1人の日でも回せますか?
    そこを設計の基準にします。電話リストは昼休みの1時間でかけ切れる件数に絞って出し、かけられなかった分は翌日に自動で繰り越します。はがきの宛名書きは印刷に置き換え、手で書くのは一言だけ。「今日はここまでやれば大丈夫」が画面の上から順に並んでいる状態を保つことで、忙しい日は途中で止めても破綻しない形にします。
  • Q5 患者さんへの案内はSMSやLINEでもいいのでしょうか?
    相手によって分けるのがいちばん現実的です。はがきが届きやすい患者さんと、SMSの方が読まれる患者さんは医院ごとにはっきり分かれます。台帳には患者さんごとに案内の手段を持たせて、はがき組・SMS組に自動で振り分けます。LINE公式アカウントをすでに運用している医院なら、その通知を手段の一つに組み込む設計もできます。どの手段でも、案内した記録が同じカードに残ることを優先します。

リコールはがきの山と昼休みの電話、台帳一枚に変えられます。

「月末の宛名書きで昼休みが消える」「当日キャンセルの再案内を忘れる」「キャンセル待ちのメモが付箋のまま」。
レセコンもアポ帳もそのままで、呼び戻しだけを受け持つ小さな台帳から始められます。
要件整理・画面設計・開発・運用開始後の改善まで、一貫してお手伝いします。