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訪問介護のサービス提供記録は、何を書いて何年残すのか

省令が求めているのは2つです。提供日・内容・保険給付の額を利用者側の書面に残すことと、提供した具体的なサービスの内容等を記録して完結の日から2年間保存すること。様式は決まっていません。訪問介護事業所の管理者とサービス提供責任者に向けて書きました。

この記事でわかること

  • 根拠は「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」の第19条です。提供日・内容・保険給付の額を居宅サービス計画の書面などに記載することと、提供した具体的なサービスの内容等を記録することの2つに分かれます。
  • 保存は第39条で「完結の日から二年間」。省令の条文には、様式の指定も、利用者の確認印を求める文言もありません。
  • 記録は電磁的記録で作って保存してよく(第217条第1項)、利用者への交付や同意も本人の承諾があれば電磁的方法でできます(第2項)。紙の複写式である必要はありません。
  • 国保連への請求は各月分を翌月10日までに行います。記録票が月末まで事業所に無い運用では、回収から伝送までを10日間で終えることになります。
  • スマホ記録に変えるなら、請求ソフト付属の記録アプリか、記録と突合だけの自作か。北海道の令和8年度の補助は、在宅系サービスならケアプランデータ連携システムの利用開始が条件です。

省令が求めている記録は、2つに分かれる

根拠は、指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)の第19条です。第1項は、訪問介護を提供したときに、提供日と内容、利用者に代わって受け取る居宅介護サービス費の額、その他必要な事項を、利用者の居宅サービス計画を記載した書面か、それに準ずる書面に記載するよう求めています。

厚生労働省の解釈通知(老企第25号)は、この第1項の趣旨を「利用者及びサービス事業者が、その時点での支給限度額の残額やサービスの利用状況を把握できるようにするため」と説明し、記載先の例としてサービス利用票等を挙げています。内容の例として示されているのは「身体介護と家事援助の別」です。

第2項が、いわゆるサービス提供記録票の根拠です。提供した具体的なサービスの内容等を記録すること、利用者から申出があった場合には文書の交付その他適切な方法でその情報を利用者に提供すること、の2つを求めています。2枚複写の記録票の控えを利用者宅に残す運用は、この「申出があれば提供する」を最初から済ませている形です。

第1項(利用票側に残すもの)

提供日、内容、保険給付の額、その他必要な事項。記載先は居宅サービス計画の書面か、それに準ずる書面です。解釈通知はサービス利用票等を例に挙げています。

第2項(記録票に残すもの)

提供した具体的なサービスの内容等。何をどの順で書くかの様式は省令に無く、事業所が決めます。当社の開発プランでは、開始・終了の時刻、身体介護と生活援助の区分ごとの実施項目、特記事項、利用者の確認を並べた複写式の様式を想定しました。

何年残すか。紙でなければいけないのか

保存年限は第39条第2項です。訪問介護計画、第19条第2項の記録、身体的拘束等の記録、市町村への通知の記録、苦情の記録、事故の記録を整備し、その完結の日から2年間保存するよう定めています。

「完結の日」が何を指すかは、解釈通知の該当箇所には書かれていません。また、省令の年限は都道府県や指定都市が条例で基準を定めるときの土台で、自治体の条例が別の年限を置いていることがあります。札幌市の事業所なら札幌市の条例、それ以外の道内なら北海道の条例で、自分の事業所に当たる年限を確認してください。

紙でなくて構いません。第217条第1項は、省令で書面で行うと規定されている作成・保存などを、書面に代えて電磁的記録で行えると定めています。第2項は、交付・説明・同意・承諾・締結などを、相手方の承諾を得たうえで電磁的方法で行えるとしています。記録票をスマホで作って保存することも、利用者への控えの交付を画面や電子データで行うことも、この条文の範囲です。

利用者の確認印について、第19条にも第39条にも、印を求める文言はありません。運営指導で確認の方法をどう見るかは指定権者によって違うので、電子のサインや確認ボタンに切り替える前に、指定権者にその形で足りるかを聞いておくと後戻りがありません。

記録が月末まで事業所に無いと、10日間に何が詰まるか

国保連への請求には期限があります。介護給付費及び公費負担医療等に関する費用等の請求に関する命令の第3条は、各月分の請求を翌月10日までに行うよう定めています。記録票が月末の出勤日にまとめて戻ってくる運用では、月初の1日から10日までのあいだに、回収、提供票の予定との突合、実績の確定、ケアマネジャーへの実績の返送、伝送のすべてを済ませることになります。

突合の量は、利用者数と月の訪問回数で決まります。当社の開発プランでは、利用者40名、1人あたり月12回の訪問を想定例として置きました。記録票は月480枚で、1枚1分で照らしても8時間です。自分の事業所の数は、先月の提供票の枚数を数えれば出ます。

記録が遅れて届く損は、請求の手間だけではありません。第19条第2項の記録は、利用者に何をしたかの記録です。特記事項に書かれた利用者の変化が、月末まで誰の目にも触れないことになります。交代のヘルパーは、その変化を知らないまま次にその家に入ります。

直行直帰の登録ヘルパーが多い事業所ほど、記録の到着は遅れます。原本がヘルパーの手元にあるあいだ、事業所は記録を見られません。この順番を変えることが、スマホ記録に切り替える一番の理由です。

スマホ記録に変えるとき、何を決めれば見積もれるか

選択肢は2つです。介護ソフトに付いている記録アプリを使うか、記録と突合だけの小さなアプリを作るか。今の請求ソフトに記録アプリがあり、ヘルパーが使えそうなら、まずそれを試すのが早い道です。作る側の当社がそう言うのは、記録票の様式や提供票との突合の仕方が請求ソフトの型に合わない事業所にだけ、作る意味があるからです。

補助から見ておきます。北海道の令和8年度の介護テクノロジー導入支援事業費補助金は、介護ソフト等の導入が対象区分に入っていて、在宅系サービスは令和8年度内にケアプランデータ連携システムの利用を開始することが条件です。事前登録の期限は令和8年8月31日、協議書類の提出期限は令和8年9月17日必着、事業完了日は令和9年2月26日です。今年度に間に合わなければ、来年度の要綱が出た時点で動けるよう、記録票の現物と提供票の枚数を今のうちにそろえておいてください。

上限の目安は、令和7年度の長野県の要綱が分かりやすい形で公表しています。ICT導入の補助上限は職員数が1名以上10名以下で100万円、11名以上20名以下で150万円、21名以上30名以下で200万円、31名以上で250万円、補助率は4分の3です。都道府県と年度で数字が変わるので、申請先の最新の要綱で確かめてください。

当社に作るところから相談する場合、見積もりの前に決めることは4つです。

記録票の様式を変えるか、変えないか

今の複写式と同じ並びにするなら、ヘルパーが覚え直す量が減り、開発の量も減ります。様式を見直したい場合は、先に紙で見直してから画面にします。

予定をどこから取り込むか

ケアマネジャーから届く提供票を手で入力するのか、ケアプランデータ連携システムか請求ソフトから取り込むのか。ここで、突合をどこまで自動にできるかが決まります。

利用者の控えをどう渡すか

月ごとに印刷して訪問時にファイルへ足すのか、家族がスマホで見られるようにするのか。第19条第2項の「申出があれば情報を提供する」を、どの形で満たすかの話です。

請求ソフトへの受け渡し

確定した実績を表計算のデータで渡すのか、連携の仕組みを作るのか。請求ソフトを置き換えない前提なら、書き出しと取り込みの形式を最初に確認します。

当社が想定している期間と、費用の出し方

当社の開発プランでは、利用者40名・登録ヘルパー10名規模を想定して、設計から公開まで約3ヶ月としています。1か月目に今の記録票と提供票を原本のまま見せてもらって画面に起こし、2か月目にヘルパーのスマホ画面とサービス提供責任者の突合画面を並行して作り、3か月目は複写の紙と二本立てで走らせながら、実績の確定とケアマネジャーへの返送まで仕上げます。

費用は、記録票と今日の訪問だけの構成と、突合・実績確定まで含む構成の2案を金額付きで出し、そこから削る相談をします。画面の構成は訪問介護のサービス提供記録票アプリの開発プランに置いてあります。初回の相談と概算の見積もりは無料です。

まとめ

省令が求める記録は2つです。利用票側に提供日・内容・保険給付の額を残すこと(第19条第1項)と、提供した具体的なサービスの内容等を記録すること(第2項)。保存は完結の日から2年間(第39条)で、様式と確認印の定めは省令にありません。

電磁的記録は第217条で認められています。紙の複写式である必要はなく、利用者への控えの交付も本人の承諾があれば電子でできます。指定権者の条例の年限と、運営指導での確認の扱いだけ、切り替える前に確かめてください。

次にやることを1つ挙げます。先月分の記録票が、訪問の日から何日後に事業所へ届いたかを、利用者10人分だけ数えてください。平均が2週間を超えているなら、翌月10日の請求期限に向けて詰まっているのは照合の速さではなく、記録が届く順番のほうです。

よくある質問

記録の保存は、本当に2年で足りますか。

省令の第39条第2項が定めているのは「完結の日から二年間」です。ただし、この年限は都道府県や指定都市が条例で基準を定めるときの土台で、自治体の条例が別の年限を置いていることがあります。指定を受けている自治体の条例で確認してください。電子で残すなら保存の場所は増えないので、迷ったときは長いほうに合わせておいて困ることはありません。

ヘルパーのスマホで記録すると、利用者の確認印はどうなりますか。

省令の第19条にも第39条にも、利用者の印を求める文言はありません。第217条第2項は、交付や同意などを相手方の承諾を得て電磁的方法で行えるとしているので、画面へのサインや確認ボタンに置き換えること自体は条文の範囲です。ただし運営指導でどう見るかは指定権者によるので、切り替える前に確認しておいてください。当社の開発プランでは、日時と操作した人がセットで残る形にしたうえで、紙に印が要ると言われた場合に備えて月末に印刷して押せる様式も残しています。

記録アプリを入れるには、今の請求ソフトを変えないといけませんか。

請求ソフトに付属する記録アプリを使う場合は、そのソフトの契約が前提になります。今のソフトに記録アプリがあるなら、まずそれを試すのが早い道です。当社が作る場合は請求ソフトを置き換えません。ヘルパーの記録から実績を確定するところまでを画面で作り、確定した実績は表計算のデータで今の請求ソフトへ渡します。書き出しと取り込みの形式を最初に確認するので、請求ソフトの名前と契約書をお手元に用意していただけると話が早く進みます。

ケアプランデータ連携システムは、使わないとだめですか。

省令上の義務ではありません。ただし北海道の令和8年度の介護テクノロジー導入支援事業費補助金では、在宅系サービスは令和8年度内にこのシステムの利用を開始することが補助の条件に入っています。補助を使って記録を電子化するなら、実質的にセットになります。提供票の予定をデータで受け取れると、ヘルパーが送信した記録との突合を機械に任せられる範囲が広がるので、記録アプリを入れるなら一緒に検討する価値があります。

この記事を書いた人

立石伊吹代表取締役 / DX・AIアドバイザー

北海道札幌市手稲区の会社です。北海道内は直接うかがい、道外はオンラインで対応しています。専門用語を使わず、相手の言葉で話すことを大事にしています。

先月の記録票が、訪問から何日後に届いたかを数えてみてください。

月初の10日間が突合と請求で埋まっている。原本が月末までヘルパーの手元にある。記録アプリを探してみたが、今の複写式の様式と合わない。そんな状態でしたら、今使っている記録票と提供票を1か月分、そのままお持ちください。今の請求ソフトの記録機能で足りるのか、記録と突合だけを別に作ったほうが早いのかを切り分けます。北海道内なら事業所に伺い、月初の照合の作業を見せてもらうところから始めます。

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