EvoQuest
EvoQuest Appsスマホ業務アプリ 2026.07

SCENARIO ── HOME CARE RECORDS CASE

月末に束で戻る複写式の記録票を、
訪問が終わった瞬間の送信に変える。

利用者40名前後・登録ヘルパー10名規模の訪問介護事業所向けに、2枚複写のサービス提供記録票・月末の回収・提供票との突合を、ヘルパーのスマホ記録とサ責の突合画面につなぐ記録アプリを、こう設計します。ケアの中身を書くのはヘルパーのまま、記録を集めて照らし合わせる作業をアプリが受け持つシナリオです。

想定領域
スマホ業務アプリ / 介護記録
担当範囲
要件整理・画面設計・開発・公開後改善
想定対象
利用者40名前後・登録ヘルパー10名規模の訪問介護事業所
想定期間
設計〜公開 約 3 ヶ月

OVERVIEW

プロジェクト概要

訪問介護の記録は、書いて終わりではありません。ヘルパーが利用者宅で書く2枚複写のサービス提供記録票は、控えを利用者宅のファイルに残し、原本が国保連請求の根拠になります。ケアマネから届く提供票の予定と、記録票の実績。この2つが合っているかを、サ責(サービス提供責任者)が月初に1枚ずつ確かめてから、実績をケアマネに返し、10日までに請求を伝送する。利用者40名が月に平均12回の訪問なら、照らし合わせる記録票は月480枚。1枚1分でも8時間の作業です。

この想定シナリオでは、その流れをヘルパーのスマホ記録と、サ責の突合画面の2つに置き換えます。記録の様式は紙の記録票のまま。変えるのは「月末に束で戻ってきてから照合する」という順番のほうで、送信された記録がその場で予定と照合され、ズレたものだけがサ責の画面に残る形にします。

CHALLENGE

課題

  • 01 記録票の原本が、月末までヘルパーのカバンの中にある。登録ヘルパーは直行直帰なので、複写の2枚目は利用者宅に置けても、原本は月末の出勤日にまとめて事業所へ。回収が揃わないと、突合も請求も始められない。
  • 02 月初、提供票の予定と記録票の実績を1枚ずつ照合する。開始と終了の時刻、身体介護・生活援助の区分、チェック欄の漏れ、利用者の確認印。食い違いを見つけるたびに、そのヘルパーの次の出勤か電話を待つことになる。
  • 03 記録の食い違いは、そのまま請求に響く。予定と実績の時間が合わないまま国保連に伝送すれば返戻になり、入金がひと月遅れる。運営指導でも、記録票の空欄と提供票との矛盾は最初に見られるところ。
  • 04 当日のキャンセルと振替が、記録に追いつかない。「今日は病院に行くから来なくていい」の電話でサ責が差配し直しても、その変更は提供票の紙には残らない。月初になって、予定と実績の食い違いとして見つかる。

APPROACH

アプローチ

最初に作るのは、紙の記録票と同じ並びのスマホ画面です。排泄・食事介助・清拭といった身体介護のチェック欄、掃除・洗濯・調理の生活援助のチェック欄、特記事項、利用者の確認。項目も順番も、いま使っている複写式の様式に合わせます。画面の形が紙と同じなら、ヘルパーに「新しい書き方」を覚えてもらう必要がないからです。訪問の終わりに送信した記録は、その場で提供票の予定と照合され、時間や区分がズレていれば送信する本人にまず確認が出ます。月初にサ責が480枚をめくる代わりに、ズレて残ったものだけを見る形です。

作らないと決めているものもあります。国保連請求ソフトの置き換えはしません。実績データを渡すところまでをアプリの仕事にして、請求は使い慣れたソフトに残します。シフトの自動作成もやりません。誰をどの利用者に振るかは、相性と身体状況を知っているサ責の判断だからです。記録を集めることと、照らし合わせること。アプリが受け持つのはこの2つに絞ります。

CONSULTATION

月末に束で戻る記録票、訪問が終わった瞬間の送信に変えられます。

「原本が揃うまで突合が始められない」「月初の照合に丸一日」「食い違いのたびにヘルパーへ電話」。
記録と突合だけに絞った小さなアプリで、順番を変えるところから始められます。
要件整理から画面設計、開発、公開後の改善まで、最後までお付き合いします。

SCREENS

主要画面

想定する主要画面と、設計で大事にしている考え方です。ヘルパーが持つスマホ3画面と、サ責が使うPC2画面の構成で、データはすべて小規模な訪問介護事業所の規模感に合わせた想定例です。

01. 今日の訪問(ヘルパーのスマホ)

直行直帰のヘルパーが朝いちばんに開く画面。今日まわる利用者が時間順に並び、身体・生活の区分と提供時間、鍵や声かけの注意がその場で読める。当日のキャンセルはサ責の操作でこの画面から消え、電話の伝言に頼らない構成。

今日の訪問
設計のポイント
事業所に寄らない働き方が前提。1日分の情報をこの画面だけで完結させる。
変更の伝達
キャンセル・時間変更は打ち消し線と理由つきで残し、「消えた理由」まで見える形に。
記録の入口
訪問カードから記録票へ直接進む。どの訪問の記録かを選び直させない。

02. サービス提供記録票(スマホ)

2枚複写の記録票を、項目も並びもそのまま画面にした記録画面。開始・終了は着いたときのタップで残り、身体介護・生活援助のチェック欄を押していけば、紙と同じ様式の記録が完成する。送信した瞬間に予定との照合が走る構成。

記録票
設計のポイント
紙の様式と同じ並びにして、「新しい書き方」を覚える負担をなくす。
書く量
チェックは指で、特記事項だけ文章で。よく使う言い回しは定型文から選べる。
送信時の照合
予定とズレた時間・区分は、送信する本人にその場で確認を出す。

03. 利用者ごとの申し送り(スマホ)

「昼食をほとんど残した」「玄関の鍵の場所が変わった」。担当が交代する利用者ほど大事な引き継ぎを、利用者ごとの時系列で残す画面。次にその家に入るヘルパーには、訪問前に未読の申し送りが出る構成。

申し送り
設計のポイント
記録票の特記事項から1タップで申し送りに送れる。二度書きさせない。
読む側の負担
全員のタイムラインではなく「次に自分が行く利用者」の分だけを出す。
サ責の関与
受診につながる変化はサ責が固定表示にして、見落としを防ぐ。

04. 予定と実績の突合(サ責のPC)

提供票の予定と送信済みの実績を並べ、時間・区分・確認のズレだけが色つきで残る画面。行をクリックすると、その訪問の記録票がそのまま横に開く。480枚をめくる月初の照合を、「ズレたものだけ見る」に変える構成。

突合
設計のポイント
合っている記録は見せない。サ責の目を、判断が要るものだけに使う。
ズレの扱い
開始5分遅れ・区分違い・確認なしを種類ごとに分け、対応の記録も同じ行に残す。
当日変更の反映
サ責が差配した振替はその場で予定側が書き換わり、月初に食い違いとして出ない。

05. 実績の確定とケアマネ返送(サ責のPC)

突合が済んだ利用者から順に実績を確定し、ケアマネ事業所ごとの実績報告を仕上げる画面。返送の期限と国保連伝送の10日までの残り日数を横に置き、どの利用者が未確定かが並びで分かる構成。

実績確定
設計のポイント
「あと何人分で終わるか」を見せて、月初の作業を締め切りから逆算できる形に。
返送の形
実績はケアマネの様式に合わせて出力。FAXにも、データ連携にも合わせる。
請求ソフトへ
確定した実績はCSVで請求ソフトへ。転記の打ち直しをなくす。

OUTCOME

変わったこと

スマホの記録と突合画面が定着したあと、複写式の記録票と月初の照合に使っていた時間が、3つの軸で変わる想定です。

01

記録票が
「月末に束で戻る紙」から「終わった瞬間に届く記録」へ。

Before原本は直行直帰のヘルパーのカバンの中。月末の出勤日に揃うまで、事業所は記録を見られなかった。
After訪問の終わりに送信され、その日のうちに事業所へ。回収という工程がなくなる。

記録が早く届くことは、請求の話だけではなく、利用者の変化に早く気づけることでもある。

02

月初の突合が
「480枚の照合」から「ズレた記録だけ見る」へ。

Before提供票と記録票を1枚ずつ照らし、食い違いのたびにヘルパーへ電話をかけていた。
After照合は送信のたびに済んでいて、サ責の画面に残るのは判断が要るものだけ。

1枚1分でも8時間かかっていた照合を、機械にできる部分と人が判断する部分に分ける。

03

引き継ぎが
「担当ヘルパーの記憶」から「次に行く人に届く申し送り」へ。

Before利用者の変化は記録票の特記事項に書かれたきり、月末までだれの目にも触れなかった。
After特記事項から送った申し送りが、次にその家に入るヘルパーの画面に未読で出る。

交代や代行のたびに電話で引き継いでいた内容が、訪問前に読める状態になる。

PROCESS

3ヶ月の進め方

オンラインでも進められますが、札幌市内・近郊なら事業所に直接おじゃまして始めます。設計 → 開発 → 公開を3ヶ月で区切り、毎月の終わりに必ず触れる画面を残して、現場の感想を翌月に反映する進め方です。

1
MONTH 01 / 要件整理 + 記録票の現物確認

「いまの記録票と提供票」をそのまま持ち寄って、画面にする月。

使っている複写式の記録票・ケアマネから届く提供票・月初の照合の手順を、原本のまま見せてもらいます。チェック欄の並びをその様式に合わせて設計し、最初に作る範囲を「記録票+今日の訪問」に絞って合意します。

  • サ責・ヘルパーへのヒアリング(月初の照合作業の見学を含む)
  • 記録票・提供票・申し送りノートの現物確認
  • 記録画面の下書きと、送信時に照合するズレの種類の整理
  • 最初に作る範囲と、後回しにする機能の線引き
2
MONTH 02 / 記録アプリ開発 + 突合画面

ヘルパーのスマホとサ責の突合画面を、同時に作る月。

スマホの記録画面・今日の訪問と、PCの突合画面を並行して開発します。月の後半には、ヘルパー2〜3名に実際の訪問で使ってもらい、複写の紙と二本立てで運用して、チェック欄の並びと送信の流れを現場で確かめます。

  • 記録票・今日の訪問・申し送りの開発
  • 突合画面と送信時照合の開発
  • 利用者名簿・提供票の予定の取り込み
  • 訪問での並走テスト(複写の紙と併用)
3
MONTH 03 / 検証 + 実績確定・公開

実績の確定からケアマネ返送まで仕上げて、紙を減らす月。

並走テストで出た声を画面に反映し、実績の確定・ケアマネ様式での出力・請求ソフトへのCSVまで仕上げます。複写の紙をやめる範囲は、運営指導で求められる記録の要件を確かめながら事業所と決めます。公開後も、使いながら直す体制を引き継ぎます。

  • 並走テストの声を反映した画面調整
  • 実績確定・ケアマネ返送・CSV出力の仕上げ
  • 利用者宅に残す控えの運用(印刷・ファイル)の整理
  • 公開 + 使いながら改善する体制づくり

FAQ

よくある質問

  • Q1 費用はどれくらいかかりますか?
    作る範囲で変わりますが、考え方は決めています。介護ソフトの全機能を作り直すのではなく、記録と突合に絞るぶん、範囲を小さく抑えます。最初のヒアリングのあと、「記録票+今日の訪問」だけの構成と、突合・実績確定まで含めた構成の2案を金額付きでお出しし、そこから削る相談をします。IT導入補助金など使えそうな制度があれば、対象になるかの確認も一緒にやります。
  • Q2 いま使っている請求ソフト(カイポケなど)は置き換えることになりますか?
    置き換えません。国保連請求と給付管理は今のソフトのまま、記録と突合だけを隣に置く構成にします。確定した実績はCSVで請求ソフトに渡し、二重入力が増えないようにします。請求まわりに手を入れないことで、導入の影響範囲を記録の中に閉じ込めるのが狙いです。
  • Q3 60代のヘルパーが多く、スマホの入力が不安です。
    そこを前提に設計します。記録画面はいまの複写式の様式と同じ並びにして、「どこに何を書くか」を新しく覚えなくて済む形にします。入力はチェック中心で、文章を書くのは特記事項だけ。それでも不安が残る間は、複写の紙と二本立てで運用し、紙を減らす範囲はヘルパーの様子を見ながら事業所と決めます。アプリを使えない人が一人いた瞬間に記録が止まる、という設計にはしません。
  • Q4 利用者宅に置いてきた記録の控えはどうなりますか?
    なくしません。利用者や家族が「今日なにをしてもらったか」を確かめられることは、複写式のいちばん良いところだからです。想定では、月ごとの記録を印刷して定期訪問のときにお宅のファイルへ足す運用を基本に、希望する家族にはスマホで閲覧できる形も用意します。運営指導で求められる記録の保存は、事業所側にデータと出力の両方で残します。
  • Q5 運営指導(実地指導)で、アプリの記録は認められますか?
    記録は電子データでの保存が認められており、紙に印刷して見せられる状態にしておけば運営指導にも対応できます。大事なのは形式より中身で、提供票との整合・サービス内容の記載・利用者の確認が揃っていることです。この想定シナリオの突合は、まさにその整合を毎日つくるための仕組みなので、指導の前にまとめて繕う作業をなくす方向に働きます。様式や保存年限は自治体の求めに合わせて調整します。

月末に束で戻る記録票、訪問が終わった瞬間の送信に変えられます。

「原本が揃うまで突合が始められない」「月初の照合に丸一日」「食い違いのたびにヘルパーへ電話」。
記録と突合だけに絞った小さなアプリで、順番を変えるところから始められます。
要件整理から画面設計、開発、公開後の改善まで、最後までお付き合いします。