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塾管理アプリは、何を1つにまとめるのか

塾管理アプリがまとめるのは、生徒台帳を軸にした4つです。生徒台帳、出欠と入退室、保護者への連絡、月謝。この4つが別々のファイルと紙にあり、同じ変更を何か所にも書いている教室の先生に向けて書きました。

この記事でわかること

  • 塾管理アプリの中心は生徒台帳です。出欠も連絡も月謝も生徒台帳の行にひも付き、退会やコース変更を1か所直せば残りに反映されます。
  • 経済産業省の統計に答えた企業の合計では、2024年12月の学習塾は1事業所あたり受講生が約114人、講師の約9割が非常勤でした。生徒と講師の出入りが事務の量を決めます。
  • 生徒名簿を持った時点で、件数にかかわらず個人情報保護法の個人情報取扱事業者です。紙だけなら不要だった技術的な安全管理措置が、アプリにすると必要になります。
  • 既製のサービスを入れるなら、デジタル化・AI導入補助金2026の通常枠が使えます。補助率は2分の1以内、クラウド利用料は最大2年分が対象です。
  • Excelで足りるかどうかは、同じ変更を何か所に書いているかで決まります。3か所以上なら、アプリの相談をしてよい段階です。

塾管理アプリが1つにまとめるのは、生徒台帳を軸にした4つ

塾管理アプリを探している方が減らしたいのは、同じことを何度も書く時間です。生徒が1人退会すると、名簿を直し、出欠簿から名前を消し、入金表の行を止め、連絡先の一覧からも外す。この4か所が1つになるかどうかが、アプリを入れる意味のほぼ全部です。

アプリの中心は生徒台帳です。生徒1人が1行で、そこに学年・コース・曜日とコマ・保護者の連絡先・契約の開始日と金額が入ります。出欠も連絡も月謝も、この行にひも付いて記録されます。台帳の1行を直せば、残りの3つは直さなくてよい形になります。

逆に言うと、生徒台帳がExcelの別ファイルのままで出欠だけをアプリにしても、退会のたびに2か所直す作業は残ります。何を先にアプリへ移すかを決めるときは、生徒台帳を最初にしてください。

出欠と入退室は別のもの

出欠はコマごとに先生が付ける記録で、入退室は教室に入った時刻と出た時刻の記録です。入退室にはカードや端末が要り、保護者への通知とセットになります。小さな教室は出欠だけで足りることが多く、入退室は後から足せます。

連絡は「送った」より「届いた」を残す

休講や振替の連絡で残したいのは、誰に送ったかより、誰がまだ見ていないかです。既読が分かる形にしておくと、追いの電話が要る家だけに絞れます。

月謝は台帳の契約情報から出す

請求額はコースと割引と休会で決まるので、台帳に契約の開始日・期間・金額を持たせておきます。国民生活センターの案内では、契約期間が2か月を超え、契約金額が5万円以上の学習塾の契約は特定商取引法の特定継続的役務提供にあたり、解約のときの精算にこの3つが要ります。詳しくは<a href="/articles/tuition-fee-management-app/">月謝管理アプリの記事</a>に書いています。

どのくらいの規模から、アプリが要るのか

規模の目安を、公表されている統計から見ておきます。経済産業省の特定サービス産業動態統計調査(2024年12月分の月報)で、調査に答えた企業の学習塾は事業所数が11,001、受講生数が1,249,732人でした。単純に割ると、1事業所あたり約114人です。

同じ表の講師数は136,571人で、うち専任講師が14,457人、非常勤講師が122,114人。講師の約9割が非常勤です。従業者数48,662人のうち、パート・アルバイト等が36,673人でした。この調査は対象に選ばれた企業の合計なので個人塾の平均とは違いますが、講師の側の出入りが生徒の出入りと同じくらい事務を生む構図は、規模に関係なく同じです。

文部科学省の令和5年度子供の学習費調査では、公立中学校に通う子どものうち学習塾費を支出した家庭が66.0%で、支出した家庭の平均額は年間349千円でした。公立小学校では支出した家庭が39.0%、平均193千円です。月にすると約2万9千円を払っている家庭が相手なので、休講の連絡が届かないままにはできません。

生徒が30人でも、講師が3人いれば

3人が同じ出欠簿を触ります。誰かの入力が上書きされた時点で、紙かExcelかに関係なく台帳として崩れます。

非常勤の講師が多い塾ほど

講師の希望とコマの空きを毎週合わせる作業が、出欠や月謝より先に重くなります。講師のコマ割りを最初に入れる範囲に含めるかどうかは、非常勤の人数で決めてください。

Excelの3ファイルで足りるのは、どこまでか

多くの教室は、生徒台帳・出欠簿・入金表の3つのExcelか、その一部が紙で回っています。この形で足りている間は、無理にアプリにする必要はありません。

足りなくなる目安は、同じ変更を何か所に書いているかです。退会、コース変更、きょうだいの入会が起きたとき、直すファイルが3か所以上あるなら、月に何件それが起きているかを数えてみてください。件数と直した場所の数を掛けた数が、毎月アプリに置き換わる作業の量です。

もう1つの目安は、先生以外の人がファイルを触るかどうかです。講師が出欠を付ける、事務の人が入金を入れる。触る人が2人以上になった時点で、共有の場所に置いたExcelは上書きの事故が起きます。

中間の選び方もあります。生徒台帳だけを共有のクラウドに置き、出欠は紙のまま、月謝は集金の方法を口座振替に寄せる。ここで一度止まり、それでも残る作業を数えてから次を決めてください。

生徒名簿を持った時点でかかる義務と、アプリにすると増える措置

生徒の氏名と保護者の連絡先が並んだ名簿は、個人情報データベース等にあたります。個人情報保護委員会のQ&Aは、個人情報データベース等を事業の用に供している者であれば、識別される個人の数の多寡にかかわらず個人情報取扱事業者に該当するとしています。平成29年5月30日の改正法施行より前は5,000人分以下を扱う者は除かれていましたが、施行後は該当します。生徒が20人の教室も対象です。

求められる安全管理措置は、大企業と同じではありません。同じQ&Aは、事業の規模及び性質、個人データの取扱状況などに起因するリスクに応じて必要かつ適切な内容とすべきとし、中小規模事業者は必ずしも大企業と同等の措置を講じる必要はないとしています。ガイドラインに中小規模事業者向けの手法の例示があるので、そこを見れば足ります。

アプリにすると1つ増えます。Q&Aには、紙でのみ個人情報を管理している場合には技術的安全管理措置を講じる必要はない、とあります。裏返すと、名簿をアプリやクラウドに移した時点で、IDとパスワードの管理やアクセスの制御が新たに要ります。

漏えいしたときの動きも決まっています。個人情報保護委員会への報告が義務になる事態は4つで、要配慮個人情報を含む場合、財産的被害のおそれがある場合、不正の目的による行為が疑われる場合、1,000人を超える場合です。生徒数が少なくても、不正アクセスで漏れれば対象になります。速報は発覚から3〜5日以内、確報は30日以内(不正の目的による場合は60日以内)です。

アプリに持たせる機能

講師ごとのログイン、自分のコマの生徒だけが見える権限、退会した生徒のデータをいつ消すかの決めごと。この3つは既製でも自作でも確認してください。

クラウドに置いてよいか

個人情報保護委員会のQ&Aは、クラウド事業者が個人データを取り扱わないことになっている場合(契約でアクセスを制限しているなど)は、第三者提供の同意も委託先の監督も要らないとしています。

既製を入れるか、作るか。費用は何が決まれば出せるか

既製のサービスを入れる場合は、料金表を読むときに4つを確かめてください。生徒数で料金が変わるか、初期費用があるか、保護者側のアプリに費用がかかるか、退会した生徒のデータを持ち出せるか。ここは製品の公式サイトで確かめる項目です。

補助金は使えます。中小企業デジタル化・AI導入支援事業費補助金(デジタル化・AI導入補助金2026、旧IT導入補助金)の通常枠は、補助率が2分の1以内(賃上げの要件を満たす場合は3分の2以内)、補助額は業務プロセス1種類以上で5万円以上150万円未満、4種類以上で150万円以上450万円以下です。ソフトウェア購入費とクラウド利用料(最大2年分)が対象で、導入設定や研修、保守サポートも含められます。

条件があります。登録されたIT導入支援事業者が提供する登録済みのツールに限られるので、この枠で補助を受けるなら既製のサービスを選ぶ側になります。2026年度の5次締切は9月29日17時で、交付決定の予定日は11月9日です。年度ごとに枠と締切が変わるので、申請前に事務局のサイトで最新の要領を確認してください。

教室に合わせて作る場合、当社が概算を出すために決めてほしいのは4つです。生徒台帳に持つ項目、出欠の記録の仕方(先生がタップするだけか、入退室の端末まで置くか)、保護者への連絡の経路(今使っているLINEやメールを残すか、アプリの中で完結させるか)、使う人の数と権限。この4つが決まれば、作る範囲と金額の幅をお伝えできます。

期間は範囲で決まります。生徒台帳と出欠だけなら、設計から使い始めるまでを数か月で見ます。入退室の端末や保護者用のアプリまで入れると、その分伸びます。当社の学習塾・習い事教室の開発プランでは、出欠と月謝の入金管理を先に公開し、振替と一斉連絡を後から足す順番にしています。

既製で始める

補助が使え、契約した月から動きます。合わないところが出たら、その具体的な点がそのまま作るときの仕様になります。

作る

教室の呼び方と手順のまま画面にできます。通常枠の対象にはならない前提で、費用は範囲を絞って抑えます。

混ぜる

生徒台帳と出欠は既製、保護者への連絡は今のLINEのまま、月謝は口座振替に。全部を1つにしなくても、同じ変更を書く場所は減らせます。

まとめ

塾管理アプリがまとめるのは、生徒台帳を軸にした4つです。台帳の1行を直せば出欠・連絡・月謝に反映される形にすることが、入れる意味のほぼ全部です。

生徒名簿を持った時点で個人情報取扱事業者にあたり、アプリに移すと技術的な安全管理措置が加わります。漏えい時の報告期限は速報が3〜5日、確報が30日です。

既製のサービスにはデジタル化・AI導入補助金2026の通常枠が使え、作る場合は4つを決めれば概算が出ます。

次にやることを1つ挙げるなら、先月起きた退会・コース変更・入会を数え、そのたびに直したファイルが何か所あったかを書き出してみてください。件数と直した場所の数を掛けた数が、アプリに置き換わる毎月の作業です。

よくある質問

無料の生徒管理アプリで足りますか?

生徒台帳の項目を自由に足せるか、出欠がコマ単位で付けられるか、退会した生徒のデータを書き出せるかの3点で決まります。無料の範囲でこの3つがそろうなら足ります。どれかが欠けるとExcelが1つ戻ってきて、同じ変更を2か所に書く状態に戻ります。

出欠だけ先にアプリにする意味はありますか?

意味はありますが、生徒台帳と一緒に移してください。出欠だけを別のアプリにすると、退会や振替のたびに台帳と出欠の2か所を直す作業が残ります。先生1人の教室で「先月何回来たか」に即答したいだけなら、出欠のアプリ単体でも効きます。

ピアノやそろばんの習い事教室でも同じですか?

同じです。生徒台帳を軸に出欠・連絡・月謝をつなぐ形は、業種で変わりません。違うのは入退室の端末が要るかどうかで、保護者が送り迎えをする教室ではほとんど要りません。

生徒の情報をクラウドに置いても大丈夫ですか?

置けます。個人情報保護委員会のQ&Aでは、クラウド事業者が個人データを取り扱わない契約であれば、第三者提供の同意も委託先の監督も不要とされています。確認するのは、契約にアクセスの制限が書かれているかと、講師ごとにログインと権限を分けられるかの2点です。

この記事を書いた人

立石伊吹代表取締役 / DX・AIアドバイザー

北海道札幌市手稲区の会社です。北海道内は直接うかがい、道外はオンラインで対応しています。専門用語を使わず、相手の言葉で話すことを大事にしています。

同じ変更を何か所に書いているか、そこから話しましょう。

生徒台帳・出欠簿・入金表がバラバラのままで構いません。先月の退会と入会の件数と、そのたびに直したファイルの数を一緒に数えて、既製で足りる範囲と、作るなら最初に絞る範囲を分けます。講師が何人いて誰がファイルを触るかも、その場で伺います。

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