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月謝管理アプリは、どこまでを引き受けるのか

月謝管理アプリが引き受けるのは、生徒ごとの請求額を確定させ、入金を消し込み、未納を一覧にするところまでです。お金を集める部分は別の契約になります。月末の突き合わせに毎回半日取られている教室に向けて書きました。

この記事でわかること

  • アプリの担当は、請求額の確定・入金の消し込み・未納の一覧・連絡の記録です。現金以外で集めるには、決済サービスとの契約が別に必要になります。
  • 1か月ごとに更新される月謝制は、特定商取引法の特定継続的役務提供の規制を原則として受けません。消費者庁のQ&Aに書かれています。
  • 一方で、2か月を超え、かつ5万円を超える契約は、学習塾・家庭教師・語学教室で規制の対象です。中途解約のとき請求できる額に上限があります。
  • 契約書面をアプリやメールで渡すには、保護者の承諾が要ります。承諾の手続きに不備があると書面を渡したことにならず、クーリング・オフの権利が残り続けます。
  • 請求書や領収書を電子でやり取りすると、令和6年1月からそのデータは電子のまま保存する必要があります。売上高5,000万円以下なら要件は軽くなります。

月謝管理アプリで自動になるのは、どこまでか

月謝管理アプリを調べている方が減らしたいのは、たいてい月末の半日です。台帳と月謝袋の中身と振込の明細を並べて誰がまだかを数え、催促の連絡を入れるところまで。この作業がどこまで消えるのかを先に書きます。

アプリが確実に引き受けるのは4つです。生徒ごとの今月の請求額を確定させること、受け取ったお金を請求と結びつけること、残っている未納を一覧にすること、いつ誰に連絡したかを残すこと。ここは画面の上で終わります。

引き受けないのは、お金を集める行為そのものです。口座振替やクレジットカードで集めるには、決済を代行する会社との契約が別に要ります。アプリはその入出金データを受け取って消し込む側にまわります。現金で受け取っている限り、消し込みは人が押す操作として残ります。

この線引きを知っていると、料金表の見え方が変わります。月額いくらと書いてあるのはアプリの利用料で、集金の手数料は別に載っていることが多いためです。

請求額を確定させる

コース、曜日、きょうだい割引、休会、途中入会の日割り。毎月ここを電卓で計算しているなら、置き換える価値がいちばん大きい場所です。

入金を消し込む

振替やカードのデータを取り込めば自動で消えます。現金は受け取った人がその場で1タップする形にして、月末にまとめる作業をなくします。

未納を一覧にする

誰がいつから未納かを数えずに出せる状態にします。催促の連絡をした日を同じ画面に残せると、二重の催促を防げます。

月謝でもらうか、まとめて前払いでもらうかで、かかるルールが変わる

集金の形を決める前に確認しておくことがあります。特定商取引法には特定継続的役務提供という区分があり、学習塾、家庭教師、語学教室はその対象業種に入っています。ただし全部の契約がかかるわけではありません。

消費者庁の特定商取引法ガイドは、この3つについて「2月を超える期間」かつ「5万円を超える金額」を要件として示しています。そして同庁のQ&Aには、1か月単位で契約が更新される月謝制で学習塾の役務が提供されている場合、政令で定める期間を満たさないため原則として規制を受けない、と書かれています。

引っかかりやすいのは、年間契約、回数パック、季節講習の前払いです。文部科学省の令和5年度子供の学習費調査では、公立中学校に通う子ども一人あたりの学校外活動費が年間356,018円でした。学校外の学習や習い事にかける金額は、年でまとめると5万円を大きく超えます。期間の条件と合わされば、対象になり得ます。

対象になると、勧誘の前に概要書面、契約後に契約書面を渡す義務が生まれます。クーリング・オフは書面を受け取った日から8日以内。中途解約に応じる義務があり、教室が請求できる額にも上限が置かれます。前払いで5万円を超える契約を扱う場合は、財務書類を備え置いて閲覧に応じることも求められます。

ここに書いたのは公表資料に載っている要件の要点です。自分の教室の契約がどちらに当たるか、書面に何をどう書くかは、契約の実態で変わります。判断に迷うところは消費生活センターや専門家にご確認ください。

学習塾の中途解約(開始前)

消費者庁が示す上限は1万1000円です。まだ授業を始めていない段階で解約された場合に請求できる額の上限にあたります。

学習塾の中途解約(開始後)

提供済みの授業料に加えて請求できるのは、2万円か1か月分の授業料相当額のいずれか低い額までです。前払い分は差し引いて返します。

アプリ側に持たせる情報

上限を計算するには、契約の期間、総額、どこまで提供したか、いくら前払いを受けているかが要ります。月謝制だけを前提に作ると、講習の前払いを入れた時点で計算が合わなくなります。

契約書面をアプリで渡してよいか

紙をやめたい教室が最初に確認するところです。特定商取引法は、書面の交付に代えて、政令の定めにより消費者の承諾を得たうえで記載事項を電磁的方法で提供することを認めています。承諾なしに電子で送ることは認められていません。

消費者庁のガイドラインは、承諾の手続に不備が認められれば書面を交付したものとみなされず、書面交付義務違反として罰則の対象になるとしています。あわせて、契約書面の記載事項を電子で提供する場合は、保護者の端末のファイルに記録された時点で到達したとみなされ、そこから8日を過ぎるとクーリング・オフができなくなることを、事業者が説明すべき事項として挙げています。

提供が完了しないままだと、クーリング・オフの権利は存続し続けます。半年後に解約を申し出られる可能性が残る状態です。実務としてアプリに要るのは、承諾をいつどうやって得たか、いつ保護者の端末に届いたかを、後から取り出せる形で残す機能になります。送信したという記録だけでは、到達の時点を示せません。

請求書と領収書を紙でなくすと、保存の仕方が変わる

請求書や領収書をメールやアプリでやり取りすると、そのデータは電子取引データにあたります。国税庁の案内では、令和6年1月から、プリントアウトして紙で保管し電子データを消す扱いは認められません。データが原本なので、そのまま残します。

満たす要件は2つに整理されています。可視性の確保として、画面や操作説明書を備え付け、日付・金額・取引先で検索できるようにすること。真実性の確保として、不当な訂正削除の防止に関する事務処理規程を定めて守ること。専用のシステムがなくても、規程を作れば後者は満たせます。

小さい教室ほど関係するのが、検索要件の緩和です。2課税年度前の売上高が5,000万円以下であれば、税務調査でデータのダウンロードの求めに応じられるようにしておくことで、検索できる状態にする要件は不要になります。

猶予措置もあります。所轄税務署長が相当の理由があると認め、調査の際にデータのダウンロードと書面の提示に応じられるなら、データを保存しておくだけでよいとされています。事前の申請は不要で、人手不足や資金不足も理由に含まれると案内されています。

現金で受け取るなら印紙税

国税庁のタックスアンサーでは、金銭の受取書は記載金額5万円未満が非課税です。5万円以上100万円以下は200円。月謝は非課税の範囲に収まっても、年間分や講習費をまとめて現金で受け取ると課税されます。

振込と振替なら領収書は減る

集金を口座振替やカードに寄せると、そもそも受取書を発行する場面が減ります。印紙の判断と保管の手間を、集金方法の側で消せます。

Excelのままでいけるのは、どこまでか

生徒が数十人で、月謝が全員ほぼ同じ額で、集金方法が1つなら、Excelの台帳で回ります。実際に回っている教室はあります。無理にアプリにする必要はありません。

崩れ始めるのは、生徒数より条件の数が増えたときです。週2回と週3回で額が違う、きょうだいで割引が入る、休会と復帰が毎月出る、振替の残り回数を追う、現金と振込と振替が混ざる。この掛け算が増えるほど、月末に手で合わせる時間が伸びます。

もう1つの分かれ目は、触る人の数です。先生が一人で管理している間はExcelで足ります。講師が複数人で同じ表を開き、誰かの入力が上書きされる事故が起きた時点で、台帳としては限界です。

中間の選び方もあります。台帳はExcelのまま置いて、集金だけを口座振替やカードに寄せる形です。消し込みの手間は減り、初期の負担も小さくて済みます。ここで足りるかどうかを試してから、アプリの相談に進んでも遅くありません。

費用と期間は、何が決まれば出せるか

既製のサービスを使う場合、支払いはアプリの月額利用料と決済手数料の2本立てになるのが一般的です。手数料は決済の方法と件数で変わるので、生徒数と集金方法を伝えて見積もりを取ってください。

教室に合わせて作る場合、当社が概算を出すために確認するのは4つです。集金の方法、請求の形、入力する人の数、既製のサービスで足りなかった理由。この4つが決まれば、作る範囲と金額の幅をお伝えできます。

期間は範囲の広さで決まります。出欠の記録と月謝の消し込みだけに絞れば、設計から使い始めるまでを数か月の単位で見ます。保護者への一斉連絡や振替の管理まで最初から入れると、その分伸びます。

進め方としては、毎月必ず触るところから始めることを勧めています。出欠と入金の2つを1学期ぶん使い、紙の台帳と並べて動かして、合わないところを直してから次を足す順番です。

集金の方法

現金のままか、口座振替かカードに移すか。ここで決済会社との契約の要否と、消し込みが自動になる範囲が決まります。

請求の形

月謝だけか、講習や教材費の前払いも扱うか。前払いを扱うなら、中途解約の清算まで見込んだ作りが必要です。

入力する人の数

先生一人か、講師が複数人か。複数人なら、誰が何を変えられるかの決めごとが要ります。

既製で足りない理由

使ってみて合わなかった点が具体的にあるほど、作る範囲を小さく絞れます。まだ試していなければ、先に試すことを勧めます。

まとめ

月謝管理アプリが引き受けるのは、請求額の確定、入金の消し込み、未納の一覧、連絡の記録までです。集金そのものは決済サービスとの別契約になります。

月謝制と前払いでは、かかるルールが変わります。1か月ごとに更新される月謝制は特定商取引法の特定継続的役務提供の規制を原則として受けず、2か月を超えて5万円を超える契約は対象になり得ます。書面の電子化と、電子でやり取りした請求書や領収書の保存にも決まりがあります。

Excelで足りるかどうかは生徒数より、条件の掛け算と触る人の数で決まります。

次にやることを1つ挙げるなら、直近3か月ぶんの月謝台帳を開いて、月謝だけで説明できない行がいくつあるかを数えてみてください。休会、途中入会、割引、講習の前払い。その数が、必要な仕組みの大きさとほぼ一致します。

よくある質問

無料の月謝管理アプリでも足りますか?

教室の条件しだいです。生徒数が少なく、月謝が固定で、集金方法が1つなら、無料の範囲で回ることがあります。確認しておきたいのは、生徒データを後から取り出せるか、割引や休会をどう扱えるか、講習の前払いを登録できるかの3点です。ここが合わないとExcelを併用することになり、突き合わせの手間が戻ります。

現金で月謝を集めたまま、アプリだけ入れる意味はありますか?

あります。請求額の確定と未納の一覧は、集金方法に関係なく効きます。受け取ったその場で消し込む形にすれば、月末にまとめて突き合わせる作業はなくなります。ただし現金のままだと、消し込みの操作は人が押す前提で残ります。

月謝制と年間契約では、教室側の義務が変わりますか?

変わり得ます。消費者庁のQ&Aでは、1か月単位で契約が更新される月謝制は期間の要件を満たさず、特定継続的役務提供の規制を原則として受けないとされています。2か月を超え、かつ5万円を超える契約は対象です。対象になると、概要書面と契約書面の交付、クーリング・オフ、中途解約への対応が必要になります。どちらに当たるかは消費生活センターや専門家にご確認ください。

生徒が20人ほどの小さな教室でも相談できますか?

できます。その規模なら、まず既製のサービスで足りるかどうかを一緒に見ます。試したうえで合わなかった点がはっきりしてから作るほうが、範囲を絞れて費用も抑えられます。北海道内であれば直接お伺いし、道外の方にはオンラインで対応しています。

この記事を書いた人

立石伊吹代表取締役 / DX・AIアドバイザー

北海道札幌市手稲区の会社です。北海道内は直接うかがい、道外はオンラインで対応しています。専門用語を使わず、相手の言葉で話すことを大事にしています。

月末の突き合わせが何時間かかっているか、そこから話しましょう。

台帳がExcelでも紙でも、そのままお持ちください。休会や割引が何件あるか、集金方法が何通りあるかを一緒に数えて、既製のサービスで足りるのか、作ったほうが早いのかを切り分けます。決めていない段階で大丈夫です。

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