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幼稚園の欠席連絡アプリで、朝の電話はどこまで減るか

欠席連絡アプリが引き受けるのは、保護者からの連絡を受け取り、その日の出欠一覧と送迎バスの乗車名簿に反映するところまでです。バス停に来ていない子を確かめる仕事は職員に残ります。バス通園のある園に向けて書きました。

この記事でわかること

  • アプリの担当は、連絡の受け取り、出欠一覧と乗車名簿への反映、確認した時刻の記録です。所在の確認そのものは職員が行います。
  • 2023年4月から、送迎バスの乗降時に点呼などで所在を確認することが義務になりました。幼稚園の根拠は学校保健安全法施行規則第29条の2です。
  • 電話は残す前提で決めます。国のマニュアルは、バスに乗らないときの連絡の時間と方法を保護者に伝えているかを確認項目に挙げています。
  • 保育所等には登降園管理システムに使える補助があります。補助基準額は1機能20万円から4機能80万円、端末を併せて買う場合で最大130万円です。

欠席連絡アプリで自動になるのは、どこまでか

欠席連絡アプリを調べている園が減らしたいのは、たいてい朝8時台です。電話を受け、付箋に書き、1便の乗車名簿に書き写し、担任に伝える。このうちどこが消えるのかを先に書きます。

アプリが確実に引き受けるのは4つです。保護者からの連絡を受け取ること、その日の出欠一覧に反映すること、送迎バスの乗車名簿に反映すること、誰がいつ確認したかを残すこと。ここまでは画面の上で終わります。

引き受けないのは、園児がそこにいるかどうかの確認です。バス停に立つ子を数えるのも、降車後に座席の下まで見て回るのも人の仕事として残ります。アプリができるのは、確認した結果をその場で記録に変えるところまでです。

国が示している手順に重ねると、線引きがはっきりします。内閣官房と内閣府・文部科学省・厚生労働省が2022年10月に出した「こどものバス送迎・安全徹底マニュアル」の送迎業務モデル例は、登園時の事前準備として、出席管理責任者が当日の出欠を乗車名簿に反映し、運転手、同乗職員、園長、主任職員、担任と共有することを挙げています。連絡が届いた時点で名簿が更新され、全員が同じ画面を見る形にすれば、ここは自動になります。

乗車時に求められているのは、同乗職員が顔を目視し、点呼などで確認して記録することです。ここでアプリができるのは、連絡の入っていない未乗車の子だけを画面に残すところまでです。

降車後には、担任が乗車名簿とその日の出欠状況を照合して報告する、と書かれています。この照合は、2つの名簿が同じデータから作られていれば自動で合います。手で作った名簿が2枚あるうちは、照合が仕事として残ります。

バス通園のある園で、連絡の受け口だけでは足りないのはなぜか

2022年9月に静岡県の認定こども園で園児が送迎バスに取り残されて亡くなった事案を受け、国は関係する府省令を改正しました。2023年4月1日の施行で、乗降のときに点呼などで所在を確認することが義務になっています。

幼稚園と特別支援学校の根拠は学校保健安全法施行規則第29条の2です。条文は「点呼その他の児童生徒等の所在を確実に把握することができる方法により、児童生徒等の所在を確認しなければならない」と書いています。幼保連携型認定こども園はこの規定を準用し、保育所は児童福祉施設の設備及び運営に関する基準に同じ趣旨の規定が置かれました。国の資料では、義務違反は業務停止命令等の対象事由になり、対応は指導監査で確認されると整理されています。

押さえておきたいのは、システムを入れれば守れる話にならないことです。この事案について国がまとめた資料は、園の対応の問題点として「登園管理システムを導入していたが、実際に降車した園児やその人数を確認せずにシステムに入力するなど、ミスを防ぐための適切な運用がなされなかった」ことを挙げています。入力の期限と、誰がどの時点の情報を見るかを決めていない仕組みは、記録が増えるだけで確認の役に立ちません。

同じ資料には、クラス補助の職員が保護者に伝えている入力期限の前にシステムを確認し、最終の入力情報を見なかったことも書かれています。締切の時刻、締切のあとに見る人、食い違いが出たときに誰へ上げるか。アプリを作る作業の実体は、この3つを決めていくことです。

電話はやめてよいのか

やめない前提で設計することを勧めています。同じマニュアルの「園の体制の確認」には、欠席等の理由により送迎用バスを利用しない場合の園への連絡の時間や方法等のルールを保護者に伝えている、という項目があります。求められているのは手段を1つにすることよりも、時間と方法が決まっていて全員に伝わっていることです。

決めるのは締切の時刻です。1便の出発から逆算した時刻を保護者に伝え、それを過ぎた連絡は電話で受ける。電話の分は職員室で1回だけ入力し、アプリの連絡と同じ一覧に並べます。入口が2つあっても、名簿が1つなら照合は要りません。

2022年に国が全施設に行った緊急点検では、連絡がなく来ていない子について保護者へ確認し、出欠状況を職員間で共有することを「常に行っている」と答えた幼稚園が95.4%ありました。そのうち、マニュアルと記入様式まで策定して行っていると答えたのは36.5%です。保育所は93.8%と29.2%でした。

アプリを入れる作業の半分は、この様式を決めることです。何を選ばせるか、いつ締めるか、誰が見るか。決まらないまま入れると、紙の様式が画面に変わっただけになります。

欠席の記録は、どのくらい残すことになるか

幼稚園は学校教育法上の学校なので、同法の施行規則第28条がかかります。学校に備える表簿として指導要録や出席簿が挙げられ、5年間保存しなければならない、と書かれています。学籍に関する記録だけは20年です。紙をやめるなら、5年ぶんをどこに置き、誰が取り出せるかを決めることになります。

欠席の理由によって扱いが変わる場面もあります。学校保健安全法施行規則は、学校において予防すべき感染症の種類と、出席停止の期間の基準を定めています。インフルエンザなら、発症した後5日を経過し、かつ解熱した後2日、幼児では3日を経過するまでです。保護者に選んでもらう理由の選択肢をこの区分に合わせておくと、担任が登園できる日を数え直さずに済みます。

保育所は学校教育法上の学校に当たらないため、この枠組みがそのままかかるわけではありません。自園の種別で何がかかるかは、様式を決める前に所轄庁へ確認してください。

残し方は、デイサービス送迎表のExcelテンプレートと同じです。当日の変更を上書きすると、あとから誰がいつ変えたかを出せません。変更は履歴として足します。

いくらかかるか。何が決まれば見積もれるか

既製の園務システムの料金は各社の見積もりによるため、この記事では相場を書きません。園児数、バスの台数と便の数、使いたい機能を伝えて、複数社から取ってください。

公的な目安としては、こども家庭庁の保育所等におけるICT化推進等事業の補助基準額があります。登降園管理などの業務システムの導入について、1施設当たり1機能で20万円、機能が1つ増えるごとに20万円ずつ上がり、4機能で80万円。端末の購入等を併せて行う場合は50万円が上乗せされ、上限は130万円です。事業者の負担は原則4分の1で、1施設1回限りとされています。

これは補助の基準額なので、市場の相場とは別のものとして見てください。対象は保育所等で、幼稚園は所管が異なります。自分の園が対象になるかは市区町村の担当課に確認してください。

当社に作ることを相談される場合、概算を出すために確認するのは次の3つです。期間は範囲の広さで決まり、連絡の受け取りと名簿への反映だけに絞れば、設計から使い始めるまでを数か月の単位で見ます。

バスがあるか、何台あるか

便の数だけ名簿と締切ができます。バスがない園なら、必要なのは連絡の受け取りと出欠一覧までです。

電話をどう残すか

職員室での代理入力を作るかどうかで画面が1つ増えます。残さない園はほぼ無いので、最初から見込みます。

既製で足りなかった点

すでに園務システムがあるなら、合わなかった箇所が具体的なほど範囲を絞れます。まだ試していなければ、先に試すことを勧めます。

小さく始めるなら、どの順番か

こども家庭庁が2026年3月に公表した保育ICT導入・活用実践事例集に、参考になる順番が載っています。東京都町田市の認定こども園町田自然幼稚園の事例では、事務負担の軽減を実感しやすい登降園管理から着手して現場の成功体験を積み、バスの乗降確認はシステムの通知と人の目視によるダブルチェックをルール化したと書かれています。

同じ事例集の茨城県つくば市の保育園では、登降園管理について園児1人当たりの引き受け時間が約1分から約30秒になり、毎朝の欠席情報を手で集める作業が不要になったと報告されています。園児定員380名、職員95名の園の例です。効果は、1日に何回その作業をするかと、1回あたり何分かの掛け算で見積もります。

事例集は、園内にICT活用の責任者を置くことも勧めています。特別な役職や資格は要らず、園長などの意思決定者と、責任者と、現場の職員の3者で取り組む形です。導入を決めた人と毎朝触る人が別だと、そこで運用が止まります。

当社が勧める始め方も同じ順です。まず1つのコースと1学期ぶんに絞り、紙の乗車名簿と並べて動かします。合わない点を直してから、残りのコースと帰りの便に広げます。

まとめ

欠席連絡アプリが引き受けるのは、連絡の受け取り、出欠一覧と乗車名簿への反映、確認した時刻の記録までです。園児がそこにいるかを確かめるのは職員の仕事として残ります。

2023年4月から乗降時の所在確認が義務です。国の資料は、システムを入れていても入力の期限と確認の順番を決めていなければ機能しないことを、実際の事案の問題点として示しています。

保育所等には補助基準額の目安があります。作る場合は、バスの有無、電話の残し方、既製で足りなかった点で概算が出せます。

次にやることを1つ挙げるなら、来週1週間、朝の欠席連絡が何件あって、1件あたり何分かかったかを数えてみてください。その数字が、必要な仕組みの大きさと、かけてよい金額の上限をだいたい決めます。

よくある質問

園児が50人ほどの小さな園でも、入れる意味はありますか?

バス通園があるなら意味があります。規模が小さくても、連絡の入口と乗車名簿と出欠一覧が別々にある限り、書き写しと照合は毎朝発生するためです。バスがなく連絡が1日2〜3件なら、様式と締切を決めるだけで足りることもあります。

スマホを使わない家庭があります。それでも導入できますか?

できます。電話や連絡帳の受け口を残したまま、職員室で1回入力して同じ一覧に並べる形にします。国のマニュアルが園に求めているのは、連絡の時間と方法のルールを保護者に伝えていることなので、入口が2つあっても差し支えありません。名簿が1つになっているかどうかが分かれ目です。

アプリで点呼をすれば、2023年からの義務を満たしたことになりますか?

学校保健安全法施行規則第29条の2は、点呼その他の所在を確実に把握できる方法で確認することを求めています。確認するのは職員で、アプリはその結果を記録に変える手段という位置づけです。何をもって適切とされるかは指導監査で見られるため、園の手順を作る段階で所轄庁に確認してください。安全装置の装備は別に定められた義務です。

すでに園務システムを使っています。作り直す必要がありますか?

多くの場合、必要ありません。既製のシステムで欠席連絡と登降園管理が回っているなら、それが最も早くて安い選択です。当社が作るのは、バスの便の組み方や記録の残し方が既製の型に合わず、Excelや紙が残ってしまう部分だけです。作らずに済むならそう申し上げます。

この記事を書いた人

立石伊吹代表取締役 / DX・AIアドバイザー

北海道札幌市手稲区の会社です。北海道内は直接うかがい、道外はオンラインで対応しています。専門用語を使わず、相手の言葉で話すことを大事にしています。

朝の欠席連絡が、いま何分かかっているかから話しましょう。

手書きの乗車名簿や、職員室のホワイトボードの写真をそのままお持ちください。バスの便の数、連絡の件数、いま誰が何時に締めているかを一緒に整理して、既製の園務システムで足りるのか、作ったほうが早いのかを切り分けます。何も決めていない段階で大丈夫です。

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