EvoQuest
EvoQuest Appsスマホ業務アプリ 2026.07

SCENARIO ── KINDERGARTEN BUS CASE

朝8時の職員室に集中する欠席電話を、
バスの点呼までつながる連絡に変える。

園児110名・送迎バス2台の幼稚園向けに、保護者のスマホからの欠席・バス変更の連絡、職員室の朝ボード、添乗の先生の点呼画面、降車時の車内確認の記録までを1つのデータでつなぐバス連絡アプリを、こう設計します。電話をなくすのではなく、電話で受けた分も同じ名簿に入る形にするシナリオです。

想定領域
スマホ業務アプリ / 園バス連絡・点呼
担当範囲
要件整理・画面設計・開発・公開後改善
想定対象
園児110名前後・送迎バス2台の幼稚園・認定こども園
想定期間
設計〜公開 約 3 ヶ月

OVERVIEW

プロジェクト概要

送迎バスが2台ある幼稚園なら、朝夕それぞれ2便ずつで1日8運行。バス通園が65名いれば、欠席・遅刻・「きょうは帰りお迎えにします」の連絡は1日平均8件前後になり、そのほとんどが電話で、8時台の職員室に集中します。1本2〜3分でも20分。しかもその時間、1便のバスはもう走っています。この想定シナリオでは、保護者の連絡・職員室の乗車名簿・添乗の先生の点呼を、最初から同じ1つのデータとして設計します。

もう一つの軸が点呼です。2023年4月から、送迎バスは乗降のたびに点呼などで園児の所在を確認することが義務になりました。安全装置は付けたけれど、点呼の記録は紙のチェック表のまま——という園は少なくありません。乗車と降車で1日16回の確認を、タップした時刻がそのまま記録になる形に変えます。写真販売や請求まで含む園務ICTを入れ替える話ではなく、バスのまわりだけを小さく作るシナリオです。

CHALLENGE

課題

  • 01 8時台の職員室で、電話番は1人。担任は保育室で受け入れの真っ最中。付箋に書いた「田中りくくん欠席」が2便の乗車名簿に移ったかどうかは、電話番の先生の記憶が頼りになる。
  • 02 バス停に来ていない子がいるとき、添乗の先生には理由が分からない。欠席連絡が入っているのか、家がバタバタしているだけなのか。数分待てば後続のバス停が全部遅れ、園に電話しても職員室も電話中でつながらない。
  • 03 帰りの便は毎日別物。預かり保育、体操教室の日、「きょうはお迎えにします」の電話が昼過ぎまで入り、帰りの名簿を手で書き直す。お迎えのはずの子をバスに乗せてしまったら、それは事故になる。
  • 04 2023年4月に義務化された乗降時の所在確認が、紙のチェック表のまま。雨の日や出発が押した日は後回しになり、帰園してからまとめて記入する。指導監査に出す記録が、その場で書かれたものではなくなっている。

APPROACH

アプローチ

欠席連絡の受け口だけをアプリにしても、職員室で名簿に書き写す仕事が残るなら、それは電話メモと変わりません。だからこの設計では、保護者が送った連絡がそのまま乗車名簿の行になるところまでを最初のひとかたまりにします。同時に、電話は残します。スマホが苦手な家庭が1軒でもあれば、そこで運用は崩れるからです。電話で受けた分は職員室のボードに1回入力すれば、アプリの連絡と同じ名簿に並ぶ。連絡手段は2つでも、名簿は1冊にします。

添乗の先生の点呼画面は、紙の乗車名簿と同じバス停順のまま画面にします。乗ったら名前をタップ。欠席連絡が入っている子には先に印が付いているので、バス停で判断が要るのは「連絡なしで来ていない子」だけです。タップの時刻がそのまま所在確認の記録として残り、あとから書く作業をなくします。逆に、バスの位置情報配信・写真販売・預かり保育の請求は作りません。そこまで欲しい園には既製の園務システムのほうが早くて安いので、最初の相談でそう言います。うちが作るのは、既製の型に合わない部分だけです。

CONSULTATION

朝の電話ラッシュとバスの点呼、1冊の名簿につなげられます。

「付箋のメモが名簿に移ったか思い出せない」「バス停で待つべきか分からない」「点呼の紙を帰園後にまとめて書いている」。
バスのまわりに絞った小さなアプリで、連絡から記録までをつなぐところから始められます。
要件整理から画面設計、開発、公開後の改善まで、最後までお付き合いします。

SCREENS

主要画面

想定する主要画面と、設計で大事にしている考え方です。保護者と添乗の先生はスマホ、職員室はPCという役割分担で、データはすべて園児110名・バス2台の園の規模感に合わせた想定例です。

01. 欠席・バス変更の連絡(保護者のスマホ)

「きょうは休みます」「帰りはお迎えにします」を、選ぶだけで送れる画面。1便の締め時刻までに送ると乗車名簿に反映され、園からの受付確認が同じ画面に返ってくる構成。

連絡
設計のポイント
文章を書かせない。種類と理由は選択式にして、自由入力はひと言メモだけに。
締めの時刻
便の出発から逆算した締切を画面に出し、過ぎたら「園に電話を」の案内に切り替える。
きょうだい
兄弟姉妹の分は1回の操作でまとめて送れる形にする。

02. 今朝の連絡ボード(職員室のPC)

アプリの連絡と電話のメモが同じ一覧に並び、コースと便ごとの名簿に振り分けられる画面。反映が済んでいない連絡は、便の出発が近い順に上へ集まる構成。

朝ボード
設計のポイント
アプリを使わない家庭を前提に、電話の受け口を残したまま名簿を1冊にする。
便との連動
2便の出発前に「反映待ちが何件残っているか」が数字で見える。
担任への共有
欠席は保育室の出席簿にも同じ内容が流れ、職員室から担任への伝言をなくす。

03. 乗車点呼(添乗の先生のスマホ)

バス停順の縦の路線に園児が並ぶ点呼画面。乗ったら名前をタップ、欠席連絡済みの子には先に印が付いている。連絡なしで来ていない子だけが問いかけになり、「待つ」か「園に知らせて出発」をその場で選ぶ構成。

点呼
設計のポイント
紙の乗車名簿と同じバス停順。画面のための並び替えを覚えさせない。
例外だけ問いかけ
連絡済みの欠席に確認は要らない。判断が要るのは「連絡なしの未乗車」だけに絞る。
記録
タップした時刻がそのまま所在確認の記録になり、あとから書く作業がない。

04. 降車確認・車内点検(添乗の先生のスマホ)

園に着いたら全員の降車をタップで確認し、最後に車内の最後部まで歩いて「車内を確認した」を押す画面。乗車と降車の人数が合わないうちは確認を終えられない構成。

降車確認
設計のポイント
2023年4月に義務化された降車時の所在確認を、装置任せにせず記録として残す。
人数の突合
乗車7名なら降車も7名。数が合わない限り「確認終了」が押せない。
装置との役割分担
車両の安全装置はそのまま。アプリは「いつ・誰が確認したか」の側を受け持つ。

05. 帰りの便ボード(職員室のPC)

預かり保育・体操教室・お迎え変更を反映した、きょうの帰りの名簿。バスに乗らない子は名簿から消えるのではなく、理由付きで「乗らない側」の欄に移る。帰りの点呼前に添乗の先生のスマホへそのまま届く構成。

帰りの便
設計のポイント
帰りの便は毎日別物。朝の名簿の使い回しをやめ、当日の変更が乗った名簿を毎日作る。
乗せ間違いの防止
お迎えに変わった子は、点呼画面の先頭に「乗せない」の印で出る。
変更の締め
昼の締め時刻を画面に出し、それ以降の変更は電話→ボード入力の運用に寄せる。

OUTCOME

変わったこと

アプリが園の一日に定着したあと、電話と付箋と紙のチェック表に分かれていたバスまわりが、3つの軸で変わる想定です。

01

朝の欠席連絡が
「電話番の先生と付箋」から「名簿に直接届く連絡」へ。

Before8時台に電話が集中し、付箋のメモが2便の名簿に移ったかは電話番の先生の記憶が頼りだった。
Afterアプリの連絡は乗車名簿に自動で反映され、電話で受けた分も同じボードに1回入れるだけ。

電話を禁止しない設計。連絡手段が2つあっても、名簿が1冊なら運用は崩れない。

02

バス停の「来ていない子」が
「園に電話して確認」から「その場で分かる」へ。

Before欠席連絡済みなのか、ただ遅れているだけなのか分からず、バスを待たせて園に電話していた。
After点呼画面で欠席連絡済みの子には先に印が付き、待つか進むかをバス停で判断できる。

1つのバス停での3分は、後続のバス停全部の3分。判断を早くすることが遅延対策になる。

03

乗降の点呼が
「帰園後にまとめて書く紙」から「タップした時刻が残る記録」へ。

Before雨の日や出発が押した日はチェックが後回しになり、帰園してからまとめて記入していた。
After点呼のタップに時刻が付き、降車時の車内確認まで運行ごとに残る。書き直しの紙がない。

指導監査に出すのは「その場で付いた記録」。義務化対応を、形だけの紙仕事にしない。

PROCESS

3ヶ月の進め方

オンラインでも進められますが、札幌市内・近郊なら朝のバスに実際に添乗させてもらうところから始めます。設計 → 開発 → 公開を3ヶ月で区切り、毎月の終わりに必ず触れる画面を残して、先生と保護者の声を翌月に反映する進め方です。

1
MONTH 01 / 要件整理 + 朝のバス添乗見学

「今の乗車名簿と点呼の紙」をそのまま持ち寄って、画面にする月。

使っている乗車名簿・バスコース表・点呼のチェック表を原本のまま見せてもらい、便の組み方と帰りの便の変わり方を聞き取ります。点呼画面をその名簿の形に合わせて設計し、最初に作る範囲を「連絡受付+乗車名簿+点呼」に絞って合意します。

  • 先生・添乗担当へのヒアリング(朝のバス添乗見学を含む)
  • 乗車名簿・コース表・点呼チェック表の現物確認
  • 帰りの便が変わるパターン(預かり保育・課外・お迎え)の整理
  • 最初に作る範囲と、作らない機能の線引き
2
MONTH 02 / 連絡・ボード・点呼の開発

保護者の連絡と先生の点呼を、同時に作る月。

保護者の連絡画面・職員室の朝ボード・添乗の点呼画面を並行して開発します。あわせて、保護者への案内文と「アプリを使わない家庭は電話のまま」という運用ルールも一緒に設計します。月の後半には1つの学年で並走を始め、締め時刻や画面の文言を現場の言葉に直します。

  • 保護者の連絡画面・受付確認の開発
  • 朝の連絡ボード(電話メモ入力・便への振り分け)の開発
  • 乗車点呼画面の開発と、園児名簿の取り込み
  • 1学年での並走テスト(紙の名簿と併用)
3
MONTH 03 / 検証 + 降車確認・公開

降車確認と帰りの便まで仕上げて、紙を外す月。

並走で出た声を反映し、降車確認の記録・帰りの便ボード・監査向けの印刷まで仕上げます。紙のチェック表を外すのは、添乗の先生全員が「なくても回る」と言ってから。公開後も、行事や長期休みの運用に合わせて直す体制を引き継ぎます。

  • 並走テストの声を反映した画面調整
  • 降車確認・車内点検の記録と人数突合の仕上げ
  • 帰りの便ボードと監査向け記録の印刷
  • 全学年への公開 + 使いながら改善する体制づくり

FAQ

よくある質問

  • Q1 費用はどれくらいかかりますか?
    作る範囲で変わりますが、考え方は決めています。写真販売や請求まで含む園務システムを入れ替えるのではなく、バスの連絡と点呼に絞って作るぶん、範囲を小さく抑えます。最初のヒアリングのあと、「連絡+乗車名簿+点呼」だけの構成と、降車確認・帰りの便まで含めた構成の2案を金額付きでお出しし、そこから削る相談をします。IT導入補助金など使えそうな制度があれば、対象になるかの確認も一緒にやります。
  • Q2 コドモンやバスキャッチのような既製サービスとは、どちらがいいのでしょうか?
    園全体のICT化——写真販売、請求、指導要録、保護者連絡のすべて——を進めたいなら、既製サービスのほうが早くて安いことが多いです。うちが自作を勧めるのは、すでに園務システムはあるけれどバスの運用だけが型に合わない園や、バスと出欠だけを小さく始めたい園です。どちらか判断がつかない段階でご相談いただいてかまいません。既製で足りるなら、正直にそう言います。
  • Q3 スマホが苦手な保護者がいても運用できますか?
    そこを前提に設計します。電話の受け口は残し、電話で受けた連絡は職員室のボードに1回入力すればアプリの連絡と同じ名簿に並びます。アプリの利用が7割でも運用が崩れない形にして、利用率を上げること自体は目標にしません。祖父母がお迎えに来る家庭のために、連絡の代理送信も想定します。
  • Q4 置き去り防止の安全装置とはどういう関係になりますか?
    別物で、両方使います。降車時確認式などの安全装置は車両側のハードで、2023年4月からの義務化で設置済みの園がほとんどです。アプリが受け持つのは、同じ義務化で求められる「点呼などによる所在確認」の記録の側です。装置を置き換えるものではなく、紙のチェック表に書いていた記録を、タップした時刻ごと残る形に変えます。
  • Q5 帰りのバスは預かり保育やお迎えで毎日変わりますが、対応できますか?
    そこがこの設計のいちばんの狙いどころです。預かり保育・課外教室・お迎え変更を帰りの便の名簿に直接反映するボードを作り、お迎えに変わった子は点呼画面に「乗せない」の印で出します。帰りの便のルールは園ごとの差が大きいので、要件整理では帰りの便の決まり方から先に聞きます。

朝の電話ラッシュとバスの点呼、1冊の名簿につなげられます。

「付箋のメモが名簿に移ったか思い出せない」「バス停で待つべきか分からない」「点呼の紙を帰園後にまとめて書いている」。
バスのまわりに絞った小さなアプリで、連絡から記録までをつなぐところから始められます。
要件整理から画面設計、開発、公開後の改善まで、最後までお付き合いします。