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札幌でアプリ開発を依頼する前に、契約で決めておく4つ

開発費を全額払っても、それだけではアプリの著作権は開発会社に残ります。国が公開しているモデル契約書の本文が、そう書いてあるからです。発注前に確かめるのは、権利・検収・契約の種類・支払いの4か所です。

この記事でわかること

  • アプリのプログラムの著作権は、書いた側(開発会社)に最初から発生します。開発費を払っただけでは移りません。移すなら契約書に条文を置きます。
  • 著作権を譲り受ける条文には、著作権法第27条と第28条の権利を明記します。書かないと、その2つは開発会社に留保されたものと推定されます(同法第61条第2項)。
  • 検収は、検査の期間と合格の基準を先に決めます。期間内に書面で異議を述べなければ合格とみなす、という条項があるためです。
  • 請負と準委任のどちらで頼むかで、相手に「完成させる義務」があるかどうかが変わります。
  • 2026年1月に下請法が取適法に変わりました。資本金と従業員数しだいでは、発注書の交付と受領後60日以内の支払いが、発注する側の義務になります。

見積書を受け取ったあと、契約書で確かめる4か所

アプリ開発の相談では、金額と納期は必ず話題になります。そのあとに出てくる契約書は、開発会社が用意したものにそのまま署名して終わることが多いところです。数年後に困るのは、たいていこの段階で決めなかったことです。

確かめる場所は4つだけです。専門的な判断は要りません。契約書にその条文があるかどうかを見て、無ければ聞く。それで足ります。

権利

完成したアプリの著作権を、どちらが持つのか。発注側に移すなら、いつの時点で移るのか。

検収

何をもって「合格」とするのか。検査にかけられる期間は何日あるのか。

契約の種類

請負か準委任か。動くものを完成させる義務が相手にあるのはどちらか。

支払い

いくらを、何回に分けて、いつ払うのか。着手金と残金の割合はどうか。

開発費を払えば、アプリは自分のものになるのか

納品されたアプリを自社で使うことと、そのプログラムを作り替えたり別の会社に引き継いだりすることは、別の権利の話です。契約書では分けて扱います。

著作権法は、法人の従業員が職務上作成するプログラムの著作物について、作成の時における契約や勤務規則に別段の定めがない限り、その法人を著作者とすると定めています(第15条第2項)。外注したアプリを実際に書くのは開発会社の社員ですから、著作者は開発会社です。発注側が代金を払った事実だけでは、著作権は動きません。

経済産業省とIPAが公開している「情報システム・モデル取引・契約書」(第二版)の条文でも、本文の案は、納入物の著作権は発注側や第三者がもともと持っていた分を除いて受注側に帰属する、という書き方です。発注側へ移す案も別に用意されていますが、そちらは委託料が完済されたときに移る、汎用的な利用ができるプログラムは除く、という条件つきになっています。国が示すひな型でも、黙っていれば開発会社に残る側が本文だということです。

譲り受ける形にするときに落としやすいのが、著作権法第27条と第28条です。同法第61条第2項は、著作権を譲渡する契約でこの2つが譲渡の目的として特掲されていないときは、譲渡した者に留保されたものと推定する、と定めています。第27条は翻案する権利、つまりプログラムを作り替える権利です。ここが抜けたまま「著作権は甲に譲渡する」とだけ書いた契約は、改修のときに元の開発会社の許諾が必要になる余地を残します。

全部を譲り受ける

契約書に「著作権法第27条及び第28条の権利を含む」と明記します。移る時期を検収完了時にするか、代金完済時にするかも決めます。

開発会社に残す

見積もりは下がることがあります。その代わり、自社が使える範囲と、将来ほかの会社へ引き継げるかを別の条文で確かめておきます。

一部だけ分ける

業務に固有の部分は発注側、どの会社でも使える汎用的な部分は開発会社、という分け方もできます。モデル契約書の別案がこの形です。

検収に合格したあと、不具合はいつまで直してもらえるのか

検収は、納品を受けたあとに行う検査のことです。ここを日数と基準で決めずに進めると、公開の直前で慌てます。

モデル契約書では、検査の基準になるテスト項目・テストデータ・テスト方法・テスト期間を書いた検査仕様書を発注側が作り、受注側が承認する形をとっています。そのうえで、検査合格書が交付されない場合であっても、検査期間内に発注側が書面で具体的な理由を明示して異議を述べないときは、検査に合格したものとみなす、という条項が置かれています。

忙しくて触らないまま検査期間が過ぎれば、合格したことになります。検査期間を何日にするかは、社内の誰がいつ画面を触れるのかから逆算して決めてください。繁忙期と重なるなら、そこを避けて納期を組みます。

検収のあとに見つかった不具合は、契約不適合責任という条文の範囲で直してもらいます。モデル契約書の該当条項は期間の部分が空欄になっていて、当事者が話し合って埋める前提です。民法は請負について、注文者が不適合を知った時から1年以内に通知しないと、修理の請求も報酬の減額も損害賠償も解除もできなくなると定めています(第637条第1項)。契約書でこれより短い期間を置くこともあるので、空欄が何か月で埋まっているかは必ず読んでください。

請負と準委任、どちらで頼むのか

民法の請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約束し、相手方がその結果に対して報酬を払う契約です(第632条)。準委任は、法律行為でない事務の委託について委任の規定を準用するもので(第656条)、完成そのものではなく、作業を適切に進めることに報酬を払います。

実務では工程で分けます。何を作るかがまだ固まっていない要件定義や設計の段階は準委任、仕様が決まったあとの開発は請負、という分け方です。モデル契約書も、工程ごとに個別の契約を結び、そのつど契約類型を決める構成になっています。

発注側にとっての違いは、完成させる義務が相手にあるかどうかです。最初から最後まで準委任で契約すると、動くものが出てこないまま作業時間ぶんの請求が積み上がることがあります。開発の工程まで準委任で提案されたら、その理由を聞いてください。

もう1つ、発注側の側にも責任がある条文があります。民法第636条は、注文者が供した材料や与えた指図によって生じた不適合を理由としては、注文者は追完の請求も損害賠償も解除もできないとしています(開発会社がその不適当を知りながら告げなかった場合を除く)。渡すデータや出す指示にも、こちらの責任がついてまわるということです。

2026年1月から、発注する側に義務がつく場合がある

2026年1月、下請法が改正されて中小受託取引適正化法(取適法)になりました。呼び方も変わり、親事業者は委託事業者、下請事業者は中小受託事業者、下請代金は製造委託等代金になっています。

アプリやシステムの開発を外に頼むことは、この法律でいう情報成果物作成委託にあたります。プログラムの場合、発注側の資本金が3億円を超えるなら相手が3億円以下で対象、発注側が1千万円超3億円以下なら相手が1千万円以下で対象です。今回の改正では資本金に加えて常時使用する従業員数の基準も設けられたので、自社がどちらに当たるかは中小企業庁の資料の表で確かめてください。

対象になったとき、義務を負うのは発注する側です。中小企業庁の説明資料は4つを挙げています。

発注内容を明示する

給付の内容、代金の額、支払期日、支払方法などを、書面か電子メールなどの電磁的方法で示します。検査をする場合は検査完了期日も明示事項に入ります。

書類を2年保存する

給付の内容、代金の額、検査を完了した日と結果、支払った日と手段などの記録を作り、2年間残します。

支払期日を60日以内にする

検査をするかどうかを問わず、受領した日から起算して60日以内の、できるかぎり短い期間内で定めます。定めなかったときは、実際に受領した日が支払期日になります。

遅れたら遅延利息

支払期日までに払わなかった場合、受領日から起算して60日を経過した日から実際に支払う日まで、年率14.6%の遅延利息を払う義務があります。

費用と期間は、何が決まれば出せるのか

契約の条件は、そのまま金額に跳ね返ります。著作権を全部譲り受ける形にすると、開発会社はその仕組みを他社に転用できなくなるため、見積もりが上がることがあります。汎用的な部分を開発会社に残す形なら、そのぶん抑えられます。当社も、この2つを分けて金額をお出ししています。

期間で見落とされやすいのが、契約書のやり取りそのものです。届いた契約書に目を通し、権利と検収の条文を直してもらい、社内で決裁する。ここに数日から数週間かかります。着手日を決めるときは、開発の期間とは別にこの日数を見ておいてください。

見積もりを出すために埋める項目は、モデル契約書が個別契約の条件として並べています。作業の範囲と仕様、契約類型、作業期間または納期、役割分担、発注側が提供する資料や機器、納入物の明細と納入場所、委託料と支払方法、検査に関する事項。この並びは、そのまま発注前のチェック表として使えます。金額の内訳については、札幌でアプリを作るといくらかかるのかで、見積もりに必要な決めごとと公開後に毎年かかる作業を整理しています。

小さく始めるなら、最初の契約を要件定義だけに絞る方法があります。1か月ほどの準委任で、何を作るかと、いくらでできるかを固める。その結果を見てから、開発の請負契約を結ぶかどうかを決める。この分け方なら、全体像が見えない段階で開発一式の契約に署名せずに済みます。

まとめ

著作権は、契約書に書かなければ開発会社に残ります。譲り受けるなら第27条と第28条を明記し、移る時期も決めます。

検収は、検査期間と合格の基準を先に決めます。期間内に異議を述べなければ合格とみなす条項が置かれていることがあるためです。

自社の資本金と従業員数しだいでは、2026年1月からの取適法で、発注書の交付と受領後60日以内の支払いが義務になります。

次にやることを1つ挙げるなら、見積書と一緒に契約書の案も先に出してもらうことです。金額の交渉より前に条文を見ておくと、直してもらう余地が残ります。

よくある質問

開発会社が用意した契約書を、そのまま使っても大丈夫ですか?

内容を読んだうえでなら問題ありません。開発会社のひな型は、その会社が過去に困った経験から作られていることが多く、極端に不利なものはあまり見かけません。ただ、著作権をどちらに置くか、検査期間を何日にするか、契約不適合責任を何か月にするかは、案件ごとに変わる部分です。この3か所だけは、署名の前に自社の状況に合っているか確かめてください。直してほしいと伝えること自体は、失礼にあたりません。

ソースコードは納品してもらえますか?

契約で決めます。ソースコードを渡すことと、その著作権を移すことは別の話なので、両方を契約書に書いておくと後で迷いません。渡してもらう場合は、置き場所と渡し方(保管サービスの権限を移すのか、ファイル一式で受け取るのか)も決めておきます。当社は、譲渡する形でも開発会社に残す形でも対応しますが、どちらにするかは最初の見積もりの前にお聞きします。

開発会社が廃業したら、アプリはどうなりますか?

手元に何が残っているかで変わります。著作権を譲り受けていて、ソースコードと設計の資料も受け取っていれば、別の会社に引き継いで改修を続けられます。何も受け取っていないと、動いているアプリをそのまま使い続けることはできても、作り替えは難しくなります。契約時にここまで想定して、渡してもらう資料の一覧を決めておくのが現実的な備えです。

札幌の会社に頼む場合、契約のやり取りは対面が必要ですか?

必要ありません。取適法でも、発注内容の明示は書面のほか電子メールなどの電磁的方法で行えるとされ、相手の承諾がなくても電磁的方法で示せる形に改正されました。当社は札幌市内と北海道内であれば直接お伺いしますが、それは書類のやり取りのためというより、今の業務の流れを見せていただくためです。道外の方にはオンラインで対応しています。

この記事を書いた人

立石伊吹代表取締役 / DX・AIアドバイザー

北海道札幌市手稲区の会社です。北海道内は直接うかがい、道外はオンラインで対応しています。専門用語を使わず、相手の言葉で話すことを大事にしています。

契約書の条文は、金額を決める前に見ておけます。

見積書は届いたけれど契約書はこれから、という段階が一番相談しやすいタイミングです。著作権をどちらが持つ形にするか、検査の期間を何日とるか、支払いを何回に分けるか。当社にご依頼いただく前提でなくても、他社に出す発注の条件を一緒に整理するところから対応します。

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