EvoQuest
EvoQuest Food業務システム / 受注・配達管理 2026.07

SCENARIO ── CATERING BENTO CASE

電話を切ったその瞬間、
厨房と配達車が同じ注文票を見ている店にする。

法要と会議弁当が中心、1日10〜15件・配達2台の家族経営の仕出し店向けに、電話・FAXの受け方は今のまま、受けた1件を「受注票 → 厨房の折数まとめ → 配達の運行 → 貸し器の回収」まで1本でつなぐ仕組みを、こう設計します。ネット注文サイトの話ではありません。書き写すたびに数と時間がずれていく、その1点を止めるシナリオです。

想定領域
業務システム / 受注・配達・器回収
担当範囲
要件整理・画面設計・開発・定着支援
想定対象
1日10〜15件・配達2台の家族経営の仕出し店
想定期間
設計〜運用開始 約 2〜3 ヶ月

OVERVIEW

プロジェクト概要

土曜の朝8時40分。揚げ場の火を落とせないタイミングで電話が鳴ります。「あしたの法事ですけど、2人来られなくなって」——女将さんが濡れた手で受話器を取り、レジ横の注文票の綴りをめくって当該の1枚に赤字を入れる。ここまでは、いい。問題はそのあとです。同じ直しを、厨房のホワイトボードにも、配達員に渡す明日のメモにも、月末の請求書の控えにも入れないといけない。1か所でも漏れれば、折詰は元の数で揚がってくるし、集金袋の金額も合わなくなる。

仕出しの注文は1件ごとに設えが違います。四十九日なら掛け紙は「志」、お届けは自宅か寺か会館か、器は使い捨ての折箱か回収が要る塗りの会席膳か、お斎の開始が11時半なら着けるのは11時まで。この1件ぶんの情報が、電話メモ・注文票・ホワイトボード・配達メモの4枚に分かれて書き写されているのが、多くの仕出し店の現在地です。1日12件なら、書き写しは1件3回としても毎日36回。この想定シナリオで作るのは、その36回を消すための「1枚」——電話を聞きながら埋める受注票と、そこから自動で生まれる折数まとめ・配達ボード・回収リストです。

CHALLENGE

課題

  • 01 受注の入り口が電話・FAX・店頭でバラバラ。電話は仕込みの最中に厨房で受け、FAX注文書は手書きで「11時」が着時間なのか会食の開始なのか読み取れない。復唱しても、上と並・折数・時間の聞き違いが月に何度か起きる。
  • 02 同じ1件を最大4回書き写している。電話メモから注文票の綴りへ、厨房のホワイトボードへ、配達員のメモへ。直前の「2折減らして」がどれか1枚に反映されず、折詰が余って揚がる。法要の弁当は作り直しがきかないぶん、多めに作ってしのぐ癖がつく。
  • 03 配達に要る情報が、注文票に書ききれない。会館の搬入口は裏手、寺は本堂ではなく庫裏へ、あの家は車を停める場所が狭い——そういう軒先のことは番頭さんの記憶にあり、休まれた日は初めての配達員が電話で聞きながら走る。
  • 04 塗りの会席膳が、どの家に何客出ているか分からない。回収は「あす夕方に伺うつもり」のまま流れ、彼岸やお盆で貸し出しが重なった後に、膳を数えて足りないことに気づく。誰の家に残っているのか、注文票の綴りをさかのぼるしかない。

APPROACH

アプローチ

先に、変えないものを決めます。電話とFAXです。法要の施主さんは電話でしか頼みませんし、葬儀社や会館からの注文はFAXで来ます。入り口はそのままにして、最初に作るのは受注票の1枚だけ。電話を聞きながら埋められて、切った瞬間に厨房と配達のボードへ同じ内容が並ぶ——ここを合格ラインに置きます。受話器を持ったまま使えない画面なら、作り直します。数の変更も同じで、直すのは受注票の1か所。厨房と配達車には、直った後の数だけが見えるようにします。

作らないものも決めておきます。ネット注文の窓口と決済は、最初の範囲に入れません。注文の入り口を増やしたいだけなら、仕出し・宅配の掲載型サイトに載るほうが早くて安いので、最初の相談でそう判断したら正直にお伝えします。うちが受け持つのは、電話で受けたあとの、店の中の流れです。費用も同じ物差しで考えます。毎日の書き写しの回数と、折数のずれ・配達遅れが法要の席で起きたときの重さに対して、見合う金額かどうかから一緒に逆算します。

CONSULTATION

電話とFAXは今のまま、注文の流れだけ変えられます。

「あしたの法事の折数、厨房のホワイトボードと合っていますか」「塗りの膳、いまどの家に出ていますか」。
この2つに即答できない状態は、受注票の1枚から変えられます。
要件整理から画面設計、開発、並行運用まで、途中で分業させずにお手伝いします。

SCREENS

主要画面

想定する主要画面と、設計で大事にしている考え方です。受注と厨房・配達の段取りは帳場のPC、配達員は自分のスマホという役割分担。お客様の名前・献立・金額はすべて1日10〜15件規模の仕出し店に合わせた想定例です。

01. 受注票(帳場のPC・電話を受けながら)

レジ横の注文票の綴りを、電話を聞きながら埋める1枚に置き換える画面。電話番号で過去の注文が呼び出され、去年の一周忌の設えがそのまま下敷きになる。掛け紙の表書きと名前は、書き上がりの形で確認しながら決められる構成。

PC
看板の考え方
いまの注文票と同じ並びで上から埋める。「聞く順番」を画面が変えさせない。
リピーターの呼び出し
法要は四十九日・一周忌・三回忌と同じ家から続く。電話番号1つで前回の献立と器が出てくる。
決めきれない数
「人数は前日まで動く」が仕出しの前提。折数は仮の印つきで受けて、確定期限だけ画面が覚えておく。

02. 配達・回収ボード(当日の運行)

きょうの配達と器の回収を、車両ごとの時間の帯に並べた画面。「11時半のお斎に間に合わせるには11時着」という先方の都合が先に立ち、積み込み順はそこから逆算する。朝の数量変更が入った件は色が変わり、クリックで右に1件の詳細が開く構成。

PC
設計のポイント
出発時刻ではなく「何時までに着くか」を帯の基準にする。仕出しの遅刻は取り返しがきかない。
変更の伝わり方
受注票を直せばボードの折数も変わる。「直したのに古い数で積んだ」を仕組みで消す。
回収も同じ帯に
きのう貸した会席膳の回収便を、配達と同じ時間の帯に置く。「ついでに寄る」を段取りに変える。

03. 折数まとめ(厨房の製造表)

厨房のホワイトボードに書き写していた「あすの折数」を、受注票から自動で組み上がる製造表にした画面。献立×出発便で折数が並び、直前の変更は取り消し線と赤字で残る。アレルギーと特記は行の右端に必ず出る。印刷して厨房に貼る前提の構成。

PC
看板の考え方
厨房は入力しない。見るか、印刷して貼るか。ベテランの仕事の道具を取り上げない。
変更の見せ方
「20折→17折」は上書きせず、元の数に取り消し線を引いて残す。変わったことが分かるのが大事。
特記の置き場所
えび抜き1折・お子様用2折は、数の欄ではなく行の右端の特記欄へ。数と設えを混ぜない。

04. 配達員の当日リスト(スマホ)

配達員のスマホに、きょう走る順で1件ずつ並ぶ画面。着けたい時刻・会場・軒先の目印・集金の額・器の回収有無が1件にまとまり、タップで開くと搬入口の入り方まで書いてある。器を引き上げたら「回収済み」を押すだけで、帳場のボードからも消える構成。

スマホ
設計のポイント
番頭さんの記憶にあった「軒先のこと」を1件ごとの欄にする。書いた人が休んでも、次の人が同じ道を走れる。
集金の間違い防止
当日現金か月末の掛けかを1件ごとに表示。集金袋の中身が請求書の控えと最初から合う。
回収済みの一押し
器の回収はその場で1タップ。帳場に戻ってから思い出して消す方式にしない。

OUTCOME

変わったこと

受注票の1枚がひと月の運用に乗ったあと、注文のまわりが3つの軸で変わる想定です。

01

受注が
「4枚に書き写す」から「1枚を直すだけ」へ。

Before電話メモ・注文票・ホワイトボード・配達メモに同じ1件を書き写し、直前の変更がどれかに漏れていた。
After受注票を1枚埋めれば折数まとめと配達ボードに同じ内容が並び、変更も直すのは1か所で済む。

1日12件×1件3回の書き写し=毎日36回。この回数がそのまま、聞き違いと写し間違いの機会だった。

02

配達が
「番頭さんの記憶」から「軒先まで書いてある1件」へ。

Before会館の搬入口・寺の庫裏・車の停め場所が特定の人の記憶にあり、休まれた日は電話で聞きながら走っていた。
After着けたい時刻と軒先の目印が1件ごとにスマホへ付いてきて、初めての配達員でも同じ道を走れる。

一度書けば次の法要でもそのまま使える。軒先の情報は、その家から次の注文が来るたびに効いてくる。

03

貸し器が
「数えて気づく」から「回収するまで消えない」へ。

Before塗りの会席膳がどの家に何客出ているか台帳がなく、お盆の後に膳を数えて足りないことに気づいていた。
After器を付けた注文には回収便が自動で残り、引き上げて「回収済み」を押すまでボードから消えない。

貸出中の膳が「どの家に・何客・何日から」で一覧になる。繁忙期の前に、器の手持ちから逆算して受けられる。

PROCESS

3ヶ月の進め方

オンラインでも進められますが、札幌市内・近郊なら帳場と厨房を見せてもらうところから始めます。いまの注文票の綴りとホワイトボードの回し方を確かめてから、設計 → 開発 → 並行運用の2〜3ヶ月で進める想定です。

1
MONTH 01 / 要件整理 + 注文票の現物確認

いまの注文票を「聞く順番ごと」写し取る月。

注文票の綴り・FAX注文書・厨房のホワイトボード・配達メモの現物を見せてもらい、電話で聞く順番と書く場所を写し取ります。献立の呼び名や上・並の区分、掛け紙と器の選択肢は店ごとの決まりごとなので、画面の選択肢はそこから作ります。最初に作る範囲を受注票の1枚に絞って合意するところまでがこの月です。

  • 帳場・厨房でのヒアリング
  • 注文票・FAX注文書・配達メモの現物確認
  • 献立・掛け紙・器の選択肢の一覧化
  • 最初に作る範囲と後回しの線引き
2
MONTH 02 / 受注票・折数まとめの開発 + 並行運用

電話を受けながら、綴りと画面を並走させる月。

受注票と折数まとめの画面を開発し、月の後半は紙の注文票と並行で使ってもらいます。確かめるのは、受話器を持ったまま埋められるかどうか。聞く順番と画面の順番がずれて手が止まるなら、項目の並びのほうを直します。厨房には印刷した折数まとめを貼り、ホワイトボードと数が合うかを毎夕突き合わせます。

  • 受注票・折数まとめの画面開発
  • 献立・掛け紙の選択肢の店別調整
  • 紙の注文票との並行運用
  • 聞く順番に合わせた項目の並び直し
3
MONTH 03 / 配達ボード・スマホ + 運用開始

配達車と器の回収を、同じ1枚につなぐ月。

配達・回収ボードと配達員のスマホ画面を仕上げ、軒先の目印はよく行く会館・寺から順に登録します。貸し出し中の会席膳は棚卸を兼ねて初期登録し、以後は注文と回収の流れで自然に台帳へ乗ります。集金袋と請求書控えの突き合わせまで一緒に回してから、店に引き渡します。

  • 配達・回収ボードとスマホ画面の開発
  • よく行く会場の軒先情報の初期登録
  • 貸し器の棚卸と初期登録
  • 運用開始 + 微調整の引き継ぎ

FAQ

よくある質問

  • Q1 ネット注文を受けられるようにしないと、注文管理は良くならないのでしょうか?
    いいえ。この想定シナリオでは、注文の入り口は電話とFAXのままにします。法要の施主さんは電話でしか頼まないことが多く、葬儀社や会館からの注文はFAXで来るからです。良くするのは受けたあとの流れで、1件を4枚に書き写している状態を、受注票1枚から厨房・配達・回収へ自動でつながる形に変えます。注文の入り口を増やしたい場合は、掲載型の仕出しサイトに載るほうが早いので、そちらをお勧めすることもあります。
  • Q2 費用はどのくらいかかりますか?
    最初のヒアリングのあと、受注票と折数まとめに絞った構成と、配達ボード・スマホ・器の回収まで含めた構成の2案を金額付きでお出しします。判断の物差しは、毎日の書き写しの回数と、折数のずれや配達遅れが法要の席で起きたときの重さです。1日12件・1件3回の書き写しなら毎日36回、そこにかかる時間とやり直しのリスクに見合わない金額なら、やらないほうがいい投資です。中小企業のIT導入に使える補助金の対象になるかも、そのときの募集要件を一緒に確認します。
  • Q3 厨房のベテランはパソコンもスマホも触りません。それでも回りますか?
    回る設計にします。この仕組みで入力するのは、電話を受ける帳場の1人だけです。厨房は折数まとめを画面で見るか、印刷して今までどおり壁に貼るかを選べます。ホワイトボードに書き写す作業がなくなるだけで、厨房の仕事の道具は変わりません。並行運用の月に、印刷した製造表とホワイトボードの数を毎夕突き合わせて、ずれが出ないことを確かめてから移行します。
  • Q4 配達員が高齢で、スマホの操作が心配です。
    スマホ画面は「きょう走る順に並んだリストを上から見る」「器を引き上げたら回収済みを1回押す」の2つだけに絞ります。地図アプリの操作や文字入力は求めません。それでも難しい場合は、最初は印刷した配達表で運用を始めて、器の回収チェックだけ帳場が代わりに付ける形もとれます。段階を踏めば大丈夫です。
  • Q5 いまの注文票の綴りからデータを移す作業は必要ですか?
    過去の綴りを打ち直す作業はしません。新しく受ける注文から受注票に入れていけば、リピーターの多い仕出し店では1〜2ヶ月で「電話番号を聞けば前回の設えが出てくる」状態になります。貸し出し中の会席膳だけは、運用開始のときに棚卸を兼ねて一度だけ登録します。よく行く会館や寺の軒先情報も、配達のたびに書き足していけば自然に育ちます。

電話とFAXは今のまま、注文の流れだけ変えられます。

「あしたの法事の折数、厨房のホワイトボードと合っていますか」「塗りの膳、いまどの家に出ていますか」。
この2つに即答できない状態は、受注票の1枚から変えられます。
要件整理から画面設計、開発、並行運用まで、途中で分業させずにお手伝いします。