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EvoQuest DX業務システム / 記録の電子化 2026.07

SCENARIO ── FOODSERVICE HYGIENE CASE

年1,095回の検食と7種類の紙帳票を、
厨房の持ち場で終わる記録に変える。

定員50名・直営厨房・1日3食の特別養護老人ホーム向けに、検収記録、冷蔵庫の温度、加熱の中心温度、保存食、検食簿、調理員の健康チェック、清掃点検という毎日の衛生記録を、厨房のタブレットと検食者のスマホで完結させる設計を、こう考えます。献立や栄養計算の話ではありません。いま紙につけている記録を、書く場所ごと組み直すシナリオです。

想定領域
業務システム / 衛生記録の電子化
担当範囲
要件整理・画面設計・開発・定着支援
想定対象
定員50名規模・1日3食の給食施設(特養・老健など)
想定期間
設計〜運用開始 約 3 ヶ月

OVERVIEW

プロジェクト概要

給食施設の衛生記録は、つける項目が最初から決まっている世界です。土台にあるのは厚労省の大量調理施設衛生管理マニュアル。原材料の検収、冷蔵庫・冷凍庫の温度、加熱調理の中心温度(75℃で1分以上)、原材料と調理済み食品を50gずつ−20℃で2週間以上とっておく保存食、そして提供前に責任者が食べて確かめる検食。学校や保育園と違って、特養の厨房は朝・昼・夕の3食が365日止まりません。検食だけで年1,095回。手書きの帳票は数えると7種類あり、検収室の壁、冷蔵庫の扉、調理台の脇、事務室と、書く場所も綴じる場所もバラバラです。

この想定シナリオで作るのは、記録を減らす仕組みではありません。マニュアルが求める記録はそのまま全部つける。変えるのは書く場所と、抜けに気づくタイミングです。厨房のタブレット、検食者のスマホ、事務室のPCという持ち場ごとの画面に記録を割り付けて、その場でつけた記録がそのまま帳票になり、空欄はその日のうちに見える状態にします。監査に出す様式は、いま使っている紙の形のまま印刷・PDFにできることを最初の条件に置きます。

CHALLENGE

課題

  • 01 帳票が7種類、書く場所は厨房じゅうに散っている。検収簿は検収室、温度記録は冷蔵庫の扉、中心温度は調理台の脇。濡れた手と湯気で紙は波打ち、ボールペンが乗らない。夕方、事務室で綴じ直すときにもう一度書き写している記録もある。
  • 02 検食は「利用者が食べる前」に終わっていないと意味がないのに、施設長が会議や外出の日は付箋で「後で」になる。夕食と土日の検食者を誰にするかも、月替わりの口約束で回っている。印の欄だけ空いた検食簿が、月末にまとめて施設長の机に載る。
  • 03 記入漏れに気づくのが、運営指導の通知が来た週。事務室で1年分のファイルをめくって空欄を探し、思い出しながら埋める。その場でつけたはずの記録を後から埋めるのは、監査でいちばん信用をなくすやり方だと分かっていて、やめられない。
  • 04 「数える仕事」と「切り替わる日」が人の記憶に載っている。保存食の袋は採取から2週間で廃棄できるが、霜でマジックの日付が読めない。冬のノロ対応期間は加熱の基準が85〜90℃・90秒に変わるが、その切り替えを覚えているのは調理歴の長い1人だけ。

APPROACH

アプローチ

最初に決めるのは、様式を発明しないことです。検食簿も温度記録も、監査に来る人が見慣れているのはいまの紙の形で、そこを崩すと説明の手間が増えるだけ損をする。画面がどうであれ、出力はいまの様式のままの紙とPDFにします。もう一つ、電子での記録・保存が管轄でどう扱われるかは自治体や監査の担当者によって差があるので、作り始める前に指導監査の窓口へ確認するところから進めます。ここを飛ばして作ると、結局「紙にも書く」二重運用になって現場が損をします。

作る順番は、回数の多い記録からです。毎日3回の検食と、毎日つける温度・保存食を先に。清掃点検や月1回の検便管理のような頻度の低い記録は、日々の運用が回ってから足すかを一緒に判断します。費用も同じ考え方で、タブレットは市販の防水ケースで足りる機種を選び、専用端末や高い連携開発には手を出しません。基準を外れた値が出たときに記録を直させず、対応した中身を追記させる——仕組みで守るのはそこだけで、あとは厨房の1日の流れに画面を合わせていきます。

CONSULTATION

毎日の衛生記録、書く場所から変えられます。

「帳票が多すぎて厨房が回らない」「検食簿の空欄が監査前に見つかる」「保存食の廃棄期限を数え間違える」。
記録を1つも減らさずに、書く手間と探す手間だけを減らす仕組みから始められます。
要件整理から管轄への確認、画面設計、開発、紙と並行のひと月まで、途中で分業させずにお手伝いします。

SCREENS

主要画面

想定する主要画面と、設計で大事にしている考え方です。厨房のタブレット、検食者のスマホ、事務室のPCという3つの持ち場に記録を割り付けた構成。施設名・献立・記録の値はすべて定員50名規模の特養に合わせた想定例です。

01. 今日の記録ボード(厨房のタブレット)

朝いちばんの健康チェックから夜の清掃点検まで、今日つける記録が時間順に並ぶタブレット画面。終わった記録には値と時刻が残り、次にやる記録が大きく出る。冷蔵庫の温度超えのような異常は、並びのいちばん上に割り込む構成。

記録ボード
設計のポイント
記録を帳票の種類別ではなく時間順に並べる。厨房の1日の動きと同じ順番なら、開いた瞬間に次の仕事が分かる。
異常の扱い
基準を外れた値も、そのまま保存して対応内容を追記する。値を直させない。直した記録は監査で守ってくれない。
手袋のままで
ボタンは手袋の指でも外さない大きさ、文字は湯気の向こうから読める太さに。置き場所と防水ケースは最初の月に厨房で決める。

02. 中心温度と保存食の記録(厨房のタブレット)

昼食の料理ごとに中心温度を3点入力し、75℃・1分の基準に届かなければ再加熱して測り直すまでが1画面の流れ。保存食は原材料・調理済みを50gずつ採る当日のチェックと、2週間たって廃棄していい袋のリストを同じ画面に置く構成。

温度と保存食
看板の考え方
紙の中心温度記録簿の枠をそのまま画面にする。3点の枠が埋まるまで、その料理は記録済みにならない。
冬の切り替え
ノロ対応期間は基準が85〜90℃・90秒に切り替わる。切り替えは画面側の設定で持ち、現場の記憶に頼らない。
保存食の期限
採取日から2週間を画面が数えて、廃棄していい袋だけをリストに出す。霜のついた袋のマジックを読まない。

03. 検食の入力(検食者のスマホ)

利用者が食べ始める前に、施設長や当番がその場でつける検食画面。味付け・分量・盛付・異味異臭・異物・加熱の項目をタップで評価し、気づいたことだけ文字で残す。誰がいつ検食したかは自動で記録に入る構成。

検食入力
設計のポイント
項目は紙の検食簿と同じにして増やさない。評価は片手のタップで終わる並びにする。
検食者の交代
施設長不在の日は当番に切り替わる。提供時刻が近いのに検食が済んでいない食は、厨房のボードに割り込みで出る。
記録の重み
後からの書き直しは履歴が残る形にする。「その場でつけた」と言い切れることが、監査への いちばんの答えになる。

04. 検食簿(帳票そのままの画面)

紙の検食簿の様式をそのまま画面にした月間の帳票ビュー。日付×朝昼夕の行に評価・検食時間・検食者が並び、空欄の行だけが色で浮かぶ。行をクリックすると、その食の献立と検食の中身が右側に開く構成。

検食簿
看板の考え方
監査で見慣れられた紙の様式を崩さない。画面で見ても印刷しても、同じ検食簿になる。
空欄の見つけ方
未記入は月末の綴じ直しではなく、その日のうちに色で分かる。1年分めくって探す仕事をなくす。
印の扱い
検食者のタップ記録を印の代わりにできるかは、管轄への確認で決める。求められれば印刷して押す運用も残せる。

05. 監査前の点検と帳票出力(事務室のPC)

運営指導や保健所の立入の前に開く画面。月×帳票の表で記入の抜けが一目で分かり、期間を選べば検食簿・温度記録・保存食記録の一式が、いまの様式のままPDFで出てくる構成。

監査・保管
設計のポイント
監査の場で聞かれる単位(この月の・この帳票)に合わせた並びにして、探す時間をなくす。
抜けの潰し方
空欄は監査前にまとめて埋めるのではなく、その週のうちに理由を書いて閉じる運用を前提にする。
保管年限
帳票ごとの保存年限を設定で持ち、処分してよくなる時期も画面が数える。書庫の段ボールを数えなくていい。

OUTCOME

変わったこと

仕組みがひと月の運用に乗ったあと、厨房じゅうに散っていた手書きの記録が3つの軸で変わる想定です。

01

記録が
「紙7種類・書く場所7ヶ所」から「持ち場の画面」へ。

Before検収室の壁、冷蔵庫の扉、調理台の脇に紙が分かれ、夕方に事務室で書き写していた。
Afterその場のタブレットとスマホでつけた記録が、そのまま帳票になる。転記と清書が消える。

記録の項目は1つも減らさない。書く行為と綴じる行為のあいだにあった手間だけを消す。

02

抜けに気づくのが
「監査の前」から「その日の夕方」へ。

Before運営指導の通知が来てから、1年分のファイルをめくって空欄を探していた。
After今日の空欄は今日のボードに残って見える。理由を書いて、その週のうちに閉じる。

後から埋める記録をなくすことが、監査対応そのものを軽くするいちばんの近道になる。

03

数える仕事が
「人の記憶」から「画面の側」へ。

Before保存食の2週間、ノロ期間の基準切り替え、帳票の保存年限を、それぞれ人が覚えていた。
After期限と切り替えは画面が数えて知らせる。人が覚えるのは「画面を見る」ことだけ。

ベテランの記憶に載っていたルールを設定に移すと、その人が休める厨房になる。

PROCESS

3ヶ月の進め方

オンラインでも進められますが、札幌市内・近郊なら厨房に直接おじゃまして始めます。朝の検収から検食までの流れを見せてもらいながら、設計 → 開発 → 並行運用の3ヶ月で進める想定です。

1
MONTH 01 / 要件整理 + 管轄への確認

いまの帳票を全部、原本のまま見せてもらう月。

7種類の帳票を綴じたファイルごと見せてもらい、どの記録を誰がいつ書いているかを厨房の動線で確認します。電子での記録・保存の扱いは、この月のうちに管轄の指導監査窓口へ確認。最初に作る範囲を「温度・中心温度・保存食・検食簿」に絞って合意し、タブレットの置き場所と防水ケースも厨房で決めます。

  • 施設長・管理栄養士・調理員へのヒアリング
  • 帳票7種類の現物確認と記入動線の洗い出し
  • 管轄への電子化・保存様式の確認
  • 最初に作る範囲と後回しの線引き
2
MONTH 02 / 記録画面 + 帳票出力の開発

タブレットとスマホと帳票を、同時に作る月。

厨房の記録ボード・温度と保存食の入力・検食のスマホ画面・帳票のPDF出力を並行して開発します。出力様式はいまの紙を再現し、月の後半には昼食1食分だけ実際の厨房で試してもらいます。手袋で押せるか、湯気で読めるかは、この試用で直します。

  • 記録ボード・温度・保存食・検食画面の開発
  • いまの様式を再現した帳票PDF出力
  • 現行帳票からの様式・基準値の取り込み
  • 昼食1食分での厨房試用
3
MONTH 03 / 並行運用 + 運用開始

紙と二本立てでひと月回してから、紙を外す月。

最初のひと月は紙の帳票と並行で運用し、食い違いが出たら画面の側を直します。監査に出すPDF一式の形をこの月に仕上げ、施設長・管理栄養士・調理員の全員が「画面だけで回る」と言ってから紙を外します。タブレットが壊れた日のための紙の予備様式と、その日の戻し方まで決めて運用開始です。

  • 紙と画面の並行運用(ひと月)
  • 監査向けPDF一式の仕上げ
  • 端末故障時の紙運用と復帰手順の整備
  • 全員での運用確認と紙の切り離し

FAQ

よくある質問

  • Q1 検食簿を電子化しても、監査(運営指導や保健所の立入)で認められますか?
    電子での記録を認める自治体は増えていますが、様式や保存方法の扱いは管轄や担当者によって差があるのが実情です。だからうちは、作り始める前に管轄の指導監査窓口へ確認するところから進めます。そのうえで、画面がどうであれ「いまの紙の様式のまま印刷・PDFにできる」ことを最初の条件にしておけば、紙で見せてほしいと言われた場面でも困りません。
  • Q2 費用はどのくらいかかりますか?
    最初のヒアリングのあと、「温度・中心温度・保存食・検食簿」に絞った構成と、清掃点検や監査向け出力まで含めた構成の2案を金額付きでお出しします。高くする方向の提案はしません。タブレットは市販の機種と防水ケースで足りるものを選び、専用端末や大がかりな連携開発には手を出さない前提です。介護施設のICT導入には自治体の補助メニューが使える場合があるので、施設のある市町村の募集状況も一緒に確認します。
  • Q3 厨房は水と湯気がすごいのですが、タブレットは持ちますか?
    置き場所と守り方を最初の月に厨房で決めます。市販の防水ケースに入れて水がかからない壁際に固定し、手袋のままでも押せる大きさのボタンにするのが基本の形です。それでも端末が壊れる日は来るので、紙の予備様式と、復旧したときに記録を戻す手順まで決めてから運用を始めます。壊れた日に記録が止まる仕組みにはしません。
  • Q4 施設長の印はどうなりますか?
    検食者が画面をタップした記録には、誰が・いつ確認したかが自動で残ります。これを印の代わりにできるかは管轄によって扱いが分かれるため、最初の月の確認事項に含めます。印が必要と言われた場合も、月末に帳票を印刷してまとめて押す運用に切り替えられる様式にしておくので、どちらに転んでも現場の手は増えません。
  • Q5 いまExcelで作っている様式があります。そのまま使えますか?
    出力はいまの様式を再現します。長年その形で監査を受けてきた様式は、それ自体が施設の資産なので作り替えません。基準値(温度の上限や保存食の日数)もいまの様式から拾って設定に移します。過去の紙の帳票は、さかのぼって入力し直す必要はありません。保存年限までいまのファイルのまま書庫に置き、新しい記録だけを画面で始めるのが現実的です。

毎日の衛生記録、書く場所から変えられます。

「帳票が多すぎて厨房が回らない」「検食簿の空欄が監査前に見つかる」「保存食の廃棄期限を数え間違える」。
記録を1つも減らさずに、書く手間と探す手間だけを減らす仕組みから始められます。
要件整理から管轄への確認、画面設計、開発、紙と並行のひと月まで、途中で分業させずにお手伝いします。