EvoQuest
EvoQuest Appsスマホ業務アプリ 2026.07

SCENARIO ── HANDYMAN CASE

現場で「次いつ来られる?」に、
その場で答えられる便利屋にする。

社長1人+週2日の手伝い1人・軽トラ1台。夏は草刈りと物置の片づけ、秋は冬囲い、冬は雪かきと、季節で仕事がまるごと入れ替わる便利屋向けに、電話・LINE・紹介で届く単発依頼の受付から、見積もり、日程、集金、翌年の声がけまでをスマホ1台に乗せる依頼管理アプリを、こう設計します。お客さまとの窓口は電話とLINEのまま。家の卓上カレンダーと携帯のメモ帳に分かれていた段取りだけを、ポケットの中に移すシナリオです。

想定領域
スマホ業務アプリ / 依頼・段取り管理
担当範囲
要件整理・画面設計・開発・定着支援
想定対象
社長1人+手伝い1人・軽トラ1台の便利屋
想定期間
設計〜公開 約 3 ヶ月

OVERVIEW

プロジェクト概要

便利屋の商売には、商品リストがありません。きょうは前田の草刈り、あすは富丘で物置の解体、その合間に軒下の蜂の巣と、タンスの2階上げ。1件ごとに中身も値段も違い、道具を積み替えながら軽トラで回ります。だから美容室や整体の予約システムのように「メニューから選んで予約」の型に流し込めないし、マッチングサイトに載れば手数料と値下げ合戦が待っています。仕事は途切れないのに、受け方だけがずっと苦しい。金曜の夕方、2時間の草刈りを終えて軽トラに戻ると、不在着信が3件。折り返した1件目で「もう別の方に頼みました」と言われる商売です。

この想定シナリオで作るのは、お客さま向けの予約サイトでも会社ホームページでもなく、社長のポケットに入る受付箱と案件カルテです。電話・LINE・紹介と入り口はバラバラのまま、「返事を待たせている依頼」が1本の列に浮かぶようにして、家の卓上カレンダーに書いていた予定と、レシートの裏に書いていた金額の控えを、同じ1件のカルテにつなぎます。

CHALLENGE

課題

  • 01 草刈り機を握っている2時間は、電話に出られない。刈払機とチェーンソーの音の中では着信にも気づけず、着信履歴が受付簿の代わり。昼休みと夕方にまとめて折り返すが、急ぎの客ほど待たずに次の業者へかける。夜8時の折り返しは、それはそれで嫌がられる。
  • 02 LINEで届いた見積もり依頼が、トークの下に沈む。「庭の写真送ります。いくらくらいですか」に「後で見積もりますね」と返したまま、次の客とのやりとりで画面の下へ。1週間後に気づいて謝りながら送る。見積もりの出し忘れは、断ったのと同じことになる。
  • 03 予定の正本が、家の卓上カレンダーにある。現場で「次いつ来られる?」と聞かれても、「家に帰って確認して折り返します」——それでまた電話が1本増える。カレンダーのマスは3件書けば埋まり、4件目は欄外の矢印。移動時間を見込まずに詰めて、午後の現場に遅れて着く。
  • 04 「去年と同じで」が、いちばん困る注文。去年の冬囲いで松に竹を何本使ったか、いくらもらったか、控えはレシートの裏のメモか、思い出せないかのどちらか。後日集金のつもりだった1件が、そのまま2週間過ぎている。

APPROACH

アプローチ

最初に決めたのは、お客さま側に新しい窓口を増やさないことです。年配のお得意さまは電話をくれるし、若い世代はLINEで写真を送ってくる。その受け方は今のままでいい。専用の予約フォームやお客さま向けアプリを作っても、便利屋の客層は使ってくれません。アプリが入るのは社長のポケットだけ。電話の着信も、LINEの依頼も、町内会経由の紹介も、届いたそばから受付箱に1行ずつ積んで、「折り返していない」「見積もりを送っていない」「日程の返事待ち」が経過日数つきで浮かぶ列に変えます。現場の合間の5分は、この列の上から潰すだけでいい。

もう一つの柱が見積もりの型です。基本60分4,400円、延長30分ごとに2,200円、区外は出張費、処分する物は「買い取れる物」と「許可のある業者へ引き継ぐ物」に受付の時点で仕分ける——毎回この同じ内訳で組んで、そのままLINEに送れるようにします。不用品回収で世間の不信を買っているのは「積んでから値段が変わる」業者で、内訳が毎回同じ形で残ることが、小さな便利屋の一番の営業になります。カレンダーは卓上のそれと同じ月間のマス目を画面にして、1件済むごとにカルテへ金額と写真が残る。その積み重ねが、秋に「そろそろ冬囲いの時期です」と声をかける名簿になります。GPSも顧客向けサイトも作りません。最初の開発は受付箱・カルテ・月間ボードまでと線を引き、回り始めてから足すものを一緒に決めます。

CONSULTATION

着信履歴と卓上カレンダーで回している依頼、ポケットの中の受付箱に変えられます。

「現場の2時間で電話を取りこぼす」「LINEの見積もり依頼が沈む」「去年の冬囲いの控えがない」。
お客さまとの窓口は電話とLINEのまま、社長のスマホの中だけを変える小さな仕組みから始められます。
要件整理から画面設計、開発、繁忙期に入ってからの改善までお手伝いします。

SCREENS

主要画面

想定する主要画面と、設計で大事にしている考え方です。全画面がスマホで、事務所のPCはありません。右側に添えたLINEのトークや見積書は「お客さまから見えている側」のサンプルで、名前・住所・金額はすべて想定例です。

01. 受付箱(返事待ちが浮かぶ列)

電話の折り返し・LINEの見積もり依頼・紹介の初回連絡が、経過時間つきで1本の列に並ぶ画面。上にあるものから潰せば取りこぼしが出ない並び順で、済んだ依頼は下に沈む。行をタップするとその依頼のカルテが開く構成。

受付箱
設計のポイント
入り口(電話・LINE・紹介)は変えず、出口だけを1本にする。列の上から潰せば済む形に。
経過時間の扱い
「何日待たせているか」を行に出す。折り返し待ちの2時間とLINE放置の4日は同じ列で数える。
現場での操作
軍手を外した片手で使う前提。1行が指の幅より高く、押し間違いをしない大きさに。

02. 案件カルテ(1件の最初から集金まで)

1件の依頼を、最初の着信から下見・見積もり・作業日・集金まで1枚で追うカルテ。お客さまがLINEで送ってきた庭の写真がそのまま貼り付き、見積もりは基本60分+延長+出張費+処分品の扱いの決まった内訳で組んで、LINEへ送れる構成。

案件カルテ
設計のポイント
見積もりの内訳を毎回同じ型にする。「積んでから値段が変わる」業者との違いを、書式で見せる。
処分品の仕分け
買い取れる物と、家庭ごみとして許可業者へ引き継ぐ物を受付時に分ける。現地でもめる火種を先に消す。
集金の残り
作業済みで未収の案件は日数つきでカルテの上に残り、「後日のつもり」のまま消えない。

03. 月間ボード(卓上カレンダーの画面版)

家の卓上カレンダーのマス目をそのまま画面にした月間ボード。1日に3件書いて欄外に矢印を伸ばしていた予定が、日をタップすると時間と移動込みの段取りで開く。雨予報の日は草刈りの予定に順延の印が付く構成。

月間ボード
看板の考え方
新しい画面の使い方を覚えさせない。20年使った卓上カレンダーと同じマス目から始める。
移動の扱い
手稲から清田へ渡れば往復1時間半。予定と予定の間に移動の帯を置き、詰めすぎを目で分からせる。
天気との突き合わせ
草刈り・外仕事の日に雨予報が重なったら印を出す。順延の連絡を当日の朝ではなく前日に打てる。

04. 顧客帳と季節の声がけ

お客さまごとに、去年の冬囲いの本数・金額・作業後の写真が並ぶ顧客帳。「去年と同じで」に控えを見て答えられる。秋の冬囲い・春の雪解け片づけなど、季節の声がけ先が時期ごとのリストになって出てくる構成。

顧客帳
設計のポイント
カルテに残した金額と写真が、そのまま翌年の控えになる。記録のための入力を増やさない。
季節の営業
「去年冬囲いをした家」が9月に一覧で出る。チラシをまく前に、確度の高い声がけ先から回れる。
お得意さまの扱い
電話をくれる年配の常連ほど記録を厚く。家の鍵の預かりや留守時の入り方など、口約束をメモに残す。

OUTCOME

変わったこと

段取り帳がひと夏の運用に乗ったあと、着信履歴と卓上カレンダーとレシートの裏に分かれていた依頼管理が、3つの軸で変わる想定です。

01

折り返しが
「夜にまとめて」から「合間の5分で上から順に」へ。

Before着信履歴が受付簿で、折り返しは昼休みと夜。急ぎの客は待たずに他へ流れていた。
After返事待ちの依頼が経過時間つきで並び、現場の合間に列の上から潰せばいい。

電話に出られない2時間は変えられない。変えるのは、そのあと誰から折り返すかの迷いのほう。

02

見積もりが
「トークの下に沈む」から「送るまで浮かび続ける」へ。

Before「後で見積もりますね」のまま1週間。気づいたときには断ったのと同じになっていた。
After見積もり未送付の案件は日数が増えるほど上に浮かび、送るまで列から消えない。

同じ型の内訳で組んですぐ送れることが、出し忘れを減らす一番の近道になる。

03

去年の仕事が
「レシートの裏のメモ」から「秋の営業名簿」へ。

Before冬囲いの本数も金額も控えが残らず、「去年と同じで」に答えられなかった。
Afterカルテの金額と写真が翌年の控えになり、9月に冬囲いの声がけ先が一覧で出る。

単発仕事の商売こそ、去年のお客さまが一番の見込み客。記録がそのまま営業になる。

PROCESS

3ヶ月の進め方

オンラインでも進められますが、札幌市内・近郊なら軽トラの助手席に乗せてもらうところから始めます。夏の繁忙期を避けて設計し、秋の冬囲いシーズンに間に合わせる3ヶ月の進め方です。

1
MONTH 01 / 要件整理 + 今の道具の棚卸し

卓上カレンダーと携帯のメモを、現物のまま見せてもらう月。

卓上カレンダー・携帯のメモ帳・LINEのトーク履歴・レシート裏の金額控えを原本のまま見せてもらい、依頼が届いてから集金までの流れを1件ずつたどります。見積もりの内訳の型(基本料金・延長・出張費・処分品の扱い)をここで一緒に決め、最初に作る範囲を受付箱とカルテに絞って合意します。

  • 社長・手伝いの方へのヒアリング
  • カレンダー・メモ・LINE履歴・金額控えの現物確認
  • 見積もり内訳の型と料金表の整理
  • 最初に作る範囲と、作らない物の線引き
2
MONTH 02 / 受付箱 + カルテ + 月間ボードの開発

ポケットの中の受付箱を、現場と並行して作る月。

受付箱・案件カルテ・月間ボードを開発し、月の後半には社長のスマホに入れて実際の依頼で試します。過去のお得意さま数十軒ぶんは、カレンダーとメモから拾って顧客帳に初期登録。文字の大きさとボタンの位置は、軍手を外した現場の手で押してもらって直します。

  • 受付箱・案件カルテ・見積もり送信の開発
  • 月間ボードと移動の帯の開発
  • お得意さまの顧客帳への初期登録
  • 実際の依頼を使った並行運用の開始
3
MONTH 03 / 定着 + 季節の声がけ準備

秋の冬囲いを、新しい名簿で迎える月。

ひと月の並行運用で出た「ここが押しにくい」「この並びは違う」を画面に反映し、卓上カレンダーを卒業するかどうかを社長に決めてもらいます。顧客帳から冬囲いの声がけリストを作り、秋の営業を今年から新しいやり方で始めるところまで見届けます。

  • 並行運用の振り返りと画面調整
  • 集金残り・未収の運用ルールづくり
  • 冬囲い・雪かきの声がけリスト作成
  • 使いながら改善する体制づくり

FAQ

よくある質問

  • Q1 ひとりでやっている便利屋に、アプリを作るのは大げさではないですか?
    正直、既製の道具で足りるならそのほうが安いです。最初のヒアリングで、LINE公式アカウントとGoogleカレンダーの組み合わせで足りないかを先に一緒に確かめます。それでも残るのが、経過日数つきの受付箱・毎回同じ内訳の見積もり・去年の作業の控えといった便利屋特有の部分で、作るのはそこだけ。受付箱とカルテだけの構成と、月間ボード・顧客帳まで含めた構成の2案を金額付きでお出しし、小規模事業者持続化補助金など使えそうな制度の確認も一緒にやります。
  • Q2 機械が苦手で、スマホも電話とLINEくらいしか使いません。大丈夫ですか?
    その前提で作ります。画面はスマホだけ、操作は「列の上から順にタップ」が基本で、入力はできるだけ選択肢と写真に置き換えます。文字は老眼鏡なしで読める大きさから始めて、実際に軍手を外した手で押してもらいながら直します。ひと月は今の卓上カレンダーと並行で使い、「これなら画面だけでいい」と社長が言ってから紙を卒業する進め方なので、ある日突然やり方が変わることはありません。
  • Q3 お客さんの側に何かインストールしてもらう必要はありますか?
    ありません。そこはこの設計で一番こだわった点です。お客さまとの窓口は今まで通り電話とLINEのままで、アプリが入るのは社長のスマホだけです。年配のお得意さまに新しい操作を覚えてもらう必要はなく、LINEで届いた写真や、送った見積もりが、社長の側で自動的に1件のカルテにまとまる形にします。
  • Q4 不用品回収の依頼も多いのですが、許可のことはどうなりますか?
    アプリで許可が取れるわけではないので、そこは正直にお伝えします。家庭から出る不用品を有料で収集運搬するには市町村の一般廃棄物収集運搬業の許可が必要で、多くの便利屋は許可を持つ提携業者への引き継ぎや、古物商許可での買い取りと組み合わせて請けています。この設計では、受付の時点で「買い取れる物」「提携業者へ引き継ぐ物」を仕分けるチェックをカルテに入れて、受けられない依頼を現地ではなく電話口で断れるようにします。
  • Q5 冬は除雪がメインになります。同じアプリで回せますか?
    単発の雪かき・屋根の雪下ろしなら、夏の草刈りと同じ「受付箱→カルテ→月間ボード」の流れでそのまま回せます。シーズン契約で毎朝決まった家を回る除排雪が中心なら、必要な画面が変わってくるので、隣の想定シナリオ「除雪業者向け 出動ボードアプリ」の形が近くなります。夏と冬で商売の顔が変わる会社こそ、最初のヒアリングでどちらの型に寄せるかを一緒に決めるのが大事だと考えています。

着信履歴と卓上カレンダーで回している依頼、ポケットの中の受付箱に変えられます。

「現場の2時間で電話を取りこぼす」「LINEの見積もり依頼が沈む」「去年の冬囲いの控えがない」。
お客さまとの窓口は電話とLINEのまま、社長のスマホの中だけを変える小さな仕組みから始められます。
要件整理から画面設計、開発、繁忙期に入ってからの改善までお手伝いします。