EvoQuest
EvoQuest Appsスマホ業務アプリ 2026.07

SCENARIO ── SNOW REMOVAL DISPATCH CASE

大雪の朝の「うちはまだ?」に、
地図を見て答えられる事務所にする。

シーズン契約120軒・オペレーター6人・重機5台規模の除排雪業者向けに、未明の電話リレーで始まる出動、住宅地図のコピーと蛍光ペンの進捗管理、「契約者名簿_R8シーズン.xlsx」とスポット排雪の電話メモの二重管理を、事務所の出動ボードとオペレーターのスマホにつなぐ依頼管理アプリを、こう設計します。出す・出さないの判断は社長に残したまま、号令と進捗と記録をアプリが受け持つシナリオです。

想定領域
スマホ業務アプリ / 出動・依頼管理
担当範囲
要件整理・画面設計・開発・定着支援
想定対象
シーズン契約120軒前後・重機5〜6台の除排雪業者
想定期間
設計〜シーズンイン 約 3 ヶ月

OVERVIEW

プロジェクト概要

札幌の家庭向け除雪は、12月から3月中旬までのシーズン契約が中心です。「朝6時までに、降雪10cm以上で間口と車庫前に入る」。契約書の一行はシンプルですが、その裏で事務所は、未明の出動判断、オペレーターへの電話リレー、コースへの新規契約の差し込み、大雪のあとに殺到するスポット排雪の受付を、電話と紙で回しています。検索して出てくる除雪管理システムは自治体の道路除雪向けで、10tダンプが何百台と走る世界のもの。重機5台の会社に合うサイズの道具が、間にありません。

この想定シナリオで作るのは、GPSの動態管理でも自動配車でもなく、コースの進み具合が1枚の地図で見える出動ボードです。オペレーターが1軒終えるたびに押す完了ボタンを唯一の入力にして、地図の塗り、問い合わせ電話への回答、作業記録、スポットの請求までを全部その副産物にします。入力のための入力を、現場に増やさない設計です。

CHALLENGE

課題

  • 01 出動の号令が、朝3時半の電話リレー。社長が窓の外と気象台の積雪深を見比べて出動を決め、オペレーター6人に1人ずつ電話をかける。1本2〜3分でも、かけ終わる頃には4時を回る。つながらない人の分だけ、連絡が宙に浮く。
  • 02 「いま何丁目?」に、事務所が答えられない。コースの現在地を知っているのはオペレーターだけで、住宅地図のコピーに蛍光ペンを塗るのは夕方戻ってから。大雪の朝は契約120軒の1割から電話が来る。12本×3分、「もう少しです」を繰り返すだけで朝の30分以上が消える。
  • 03 シーズン契約の名簿と、スポット排雪のメモが別世界。「契約者名簿_R8シーズン.xlsx」は事務所のPC、大雪のあとに殺到するスポット依頼は電話台の脇のメモ用紙。コースのどこに差し込んだかは口頭で、済んだかの確認も、都度の請求書起こしも記憶が頼り。春先に「請求していない1件」が見つかる。
  • 04 「本当に入ったのか」に、見せられるものがない。空き家の管理や単身赴任の留守宅ほど、作業の証拠を求められる。手元に残るのは手書きの作業日報だけ。「入った・入っていない」の水掛け論になったとき、日付と時刻と写真で答える手段がない。

APPROACH

アプローチ

最初に決めたのは、出動の判断そのものはアプリにやらせないことです。降雪9cmで出るか見送るか、湿った重い雪なら基準未満でも入るか。その見極めこそが商売で、天気データの自動判定に置き換えると現場が信用しなくなります。アプリが受け持つのは判断のあと。社長がボードで「全コース出動」を押せば、オペレーター6人のスマホに一斉に届き、「向かいます」の応答が誰から返っていないかまで見える。電話リレーを、ボタン1回と応答の一覧に置き換えます。

もう一つの柱が、住宅地図のコピーをそのまま画面にしたコース地図です。オペレーターは1軒終えるたびに完了を押すだけ。押した瞬間に事務所の地図が塗られ、「うちはまだ?」の電話には「いまお宅のコースの12番目、あと5軒で伺います」と答えられます。車庫前に車が停まっていて入れなかった家は、消すのではなくスキップとして色を変えて残し、折り返しの連絡先リストになる。完了時に撮る1枚の写真は、留守宅への作業報告とスポットの請求根拠を兼ねます。費用も同じ考え方で絞ります。最初に作るのはボードとスマホの完了ボタンまで。GPS動態管理や排雪ダンプの配車最適化は、この運用が回ってから足すかを一緒に判断します。

CONSULTATION

電話と住宅地図のコピーで回している出動、ボード1枚に変えられます。

「未明の電話リレーで始まる朝」「『うちはまだ?』にもう少しですとしか言えない」「スポットの請求漏れが春に見つかる」。
出す・出さないの判断はそのままに、号令・進捗・記録だけを受け持つ小さな仕組みから始められます。
要件整理から画面設計、開発、シーズンインしてからの改善までお手伝いします。

SCREENS

主要画面

想定する主要画面と、設計で大事にしている考え方です。事務所が使うPCの出動ボードを中心に、オペレーターはスマホの完了ボタンだけ、という2本立ての構成。契約者名・コース・降雪量はすべてシーズン契約120軒規模の除排雪業者に合わせた想定例です。

01. コース進捗地図(事務所のPC画面)

住宅地図のコピーに蛍光ペンで塗っていた進捗を、そのまま画面にした地図。契約の家が街区ごとに並び、完了は塗りつぶし、作業中のコースは現在地、車で入れなかったスキップは別の色で残る。家をクリックすると契約の中身と今日の状況が右に開く構成。

コース地図
看板の考え方
事務所の壁の地図と同じ見え方から始める。凡例を覚えなくても蛍光ペンの感覚で読める形に。
例外の扱い
車庫前の駐車などで入れなかった家は「済み」にも「未」にもせず、折り返し連絡のリストに送る。
入力元
地図を塗るのはオペレーターの完了タップ。事務所側で塗り直す作業を新設しない。

02. 未明の出動判断と一斉連絡

気象台の積雪深・出動基準(降雪10cm)・コースごとの契約内容を1画面に並べ、社長が「全コース出動」または「間口のみ」を選んで号令を出す画面。オペレーターごとの応答(向かいます・未応答)が返り、つながらない人が一目で分かる構成。

出動判断
設計のポイント
出す・出さないの判断は人に残す。アプリは判断材料と号令の伝達だけを受け持つ。
応答の扱い
既読ではなく「向かいます」の応答を取る。未応答の人にだけ電話をかければ済む形に。
排雪との連動
雪堆積場の閉鎖日(日曜・年末年始)を予定に重ね、定期排雪の振替をこの画面で決められるように。

03. 今日のコース(オペレーターのスマホ)

受け持ちコースの家が回る順に並び、次の家の目印と申し送り(置き雪は物置側へ・車庫前に車の日はスキップ)が大きく出る画面。「完了」を押すと次へ進み、事務所の地図が塗られる。写真は完了と同じ動作で1枚だけ撮る構成。

オペレーター
設計のポイント
重機の乗り降りの合間に手袋のまま押せる大きさ。1画面に1軒、判断は完了かスキップかだけ。
申し送り
いつもの担当しか知らない「あの家の勝手」を家ごとのメモにして、代役の日も同じ品質で回す。
写真
任意ではなく完了動作に組み込む。留守宅の報告とスポットの請求根拠を1枚で兼ねる。

04. 問い合わせ対応とスポット受付(事務所のPC画面)

電話を受けながら名前や町名で契約者を引くと、コースの現在地から「あと何軒で伺うか」がその場で出る画面。スポット排雪の新規依頼は、住所を入れると近いコースの空きが候補に出て、その場で差し込みまで終わる構成。

電話対応
設計のポイント
電話中に使う画面なので、検索から回答まで2操作以内。「もう少しです」を言わずに済む状態を作る。
スポットの扱い
メモ用紙に書いて後で転記、をやめる。受けた瞬間にコースに乗り、完了すれば請求待ちに並ぶ。
苦情の記録
置き雪への苦情や仕上がりの指摘は契約者に紐づけて残し、翌シーズンの契約更新の判断材料にする。

05. シーズン契約とスポットの台帳

シーズン契約とスポット排雪が同じ台帳に並び、契約範囲(間口・車庫前・屋根・定期排雪の曜日)と入金状態が1行で見える画面。完了済みで請求書を起こしていないスポットは、春を待たずにその週の請求待ちに浮かぶ構成。

契約台帳
設計のポイント
名簿とメモ用紙に分かれていた2種類の依頼を、種別の違いごと1冊に入れる。
請求漏れ
「完了しているのに未請求」を台帳が数え、春先の発見を週次の確認に変える。
翌シーズン
契約・作業履歴・苦情メモがそのまま更新案内のリストになり、秋の営業を名簿の作り直しから始めない。

OUTCOME

変わったこと

出動ボードがひと冬の運用に乗ったあと、電話と住宅地図のコピーとメモ用紙に分かれていた依頼管理が、3つの軸で変わる想定です。

01

出動の号令が
「未明の電話リレー6本」から「ボタン1回と応答の一覧」へ。

Before朝3時半から6人に順番に電話し、つながらない人の分は折り返しを待っていた。
After号令は1回で全員に届き、「向かいます」が返っていない人だけに電話すればいい。

電話をゼロにするのではなく、かける相手を「未応答の人だけ」に絞るのが狙い。

02

「うちはまだ?」への答えが
「もう少しです」から「あと5軒で伺います」へ。

Beforeコースの現在地が分からず、大雪の朝の問い合わせにあいまいな返事を重ねていた。
After完了タップが地図を塗り、電話中に契約者を引けばコースの残り軒数まで答えられる。

答えられる電話は短く終わる。電話の本数より先に、1本の長さと気まずさが減る想定。

03

スポット排雪が
「メモ用紙と記憶」から「受けた瞬間に台帳とコースへ」へ。

Before電話メモからの転記漏れ・差し込みの伝え忘れ・春先に見つかる未請求が毎年あった。
After受付でコースに乗り、完了写真が請求根拠になり、未請求はその週のうちに浮かぶ。

単価の大きいスポットこそ取りこぼしが痛い。忘れない仕組みを人の注意力の外に置く。

PROCESS

3ヶ月の進め方

オンラインでも進められますが、札幌市内・近郊なら事務所に直接おじゃまして始めます。雪のない時期に設計と開発を終え、初雪前にリハーサルまで済ませてシーズンインを迎える、3ヶ月の進め方です。

1
MONTH 01 / 要件整理 + 昨シーズンの棚卸し

名簿と住宅地図のコピーを、現物のまま見せてもらう月。

昨シーズンの契約者名簿・コース分けの地図・作業日報・スポットの請求控えを原本のまま見せてもらい、出動基準と連絡の流れ、コースの組み方を聞き取ります。地図画面の下書きをその場で作り、最初に作る範囲を「出動ボード+スマホの完了ボタン」に絞って合意します。

  • 社長・事務所・オペレーターへのヒアリング
  • 名簿・地図コピー・日報・請求控えの現物確認
  • コース地図画面の下書きと出動基準の整理
  • 最初に作る範囲と、後回しにする機能の線引き
2
MONTH 02 / 出動ボード + スマホ画面の開発

事務所のボードとオペレーターのスマホを、同時に作る月。

コース地図・出動連絡・電話対応の画面と、スマホの完了ボタンを並行して開発します。契約者名簿はExcelから取り込み、コース順は昨シーズンの地図の通りに初期登録。月の後半にはオペレーター全員のスマホに入れて、操作の練習を雪が降る前に済ませます。

  • コース地図・出動連絡・応答一覧の開発
  • スマホの完了・スキップ・写真の開発
  • 契約者名簿のExcel取り込みとコース登録
  • オペレーター向けの操作練習会
3
MONTH 03 / リハーサル + シーズンイン

初雪前に一度、雪のない出動リハーサルをやる月。

実際のコースを車で回り、完了タップと地図の塗りを全員で試すリハーサルを初雪前に行います。台帳・スポット受付・請求待ちの流れも新規契約の受付で先に使い始め、シーズンイン後は最初の大雪の日に立ち会って、画面を現場の実感に合わせて直します。

  • 雪のない日の出動リハーサル(全コース)
  • 契約台帳・スポット受付・請求待ちの運用開始
  • 最初の出動日の立ち会いと画面調整
  • シーズン中も使いながら改善する体制づくり

FAQ

よくある質問

  • Q1 冬の4ヶ月しか使わないシステムに、費用をかける価値はありますか?
    そこは正面から計算します。最初のヒアリングのあと、「出動ボード+スマホの完了ボタン」だけの構成と、台帳・スポット受付・請求待ちまで含めた構成の2案を金額付きでお出しし、シーズン単価で見て割に合うかを一緒に判断します。夏場に草刈りや便利業を請けている会社なら、同じ仕組みを単発依頼の管理に使い回す設計もできます。IT導入補助金など使えそうな制度の確認も一緒にやります。
  • Q2 いつから始めれば、今度の冬に間に合いますか?
    秋口までに始められれば間に合います。設計から初雪前のリハーサルまでで約3ヶ月なので、逆算すると9月スタートが目安です。夏のうちに相談をもらえれば、昨シーズンの名簿と地図の棚卸しから落ち着いて進められます。12月に入ってからの駆け込みは、その冬は間に合わないと正直にお伝えして、翌シーズンに向けた計画に切り替えます。
  • Q3 今のExcelの契約者名簿からの移行はどうなりますか?
    名簿はそのままExcelから取り込んで初期データにします。コース分けと回る順番は、いま使っている住宅地図のコピーの通りに登録するので、覚え直しはありません。シーズン最初の数回は紙の地図と二本立てで回し、事務所とオペレーター全員が「画面だけで回る」と言ってから紙を外します。切り替え日を決めて一斉に、というやり方は取りません。
  • Q4 オペレーターが60代で、手袋をしたままでも使えますか?
    そこを前提に設計します。スマホ側の操作は「完了」と「スキップ」の2つだけ、ボタンは手袋の指でも押せる大きさにして、重機の乗り降りの合間に1タップで済む形にします。写真も完了と同じ動作の中で1枚撮るだけ。それでも難しい人がいる間は、その人の分だけ事務所が電話で聞いて代わりに塗れる逃げ道を残します。1人使えない人がいた瞬間に全体が止まる設計にはしません。
  • Q5 GPSで重機の位置をリアルタイムに出せますか?
    技術的にはできますが、最初からは作りません。自治体の除雪管理システムが持つGPS動態管理は数百台規模の道路除雪のための仕組みで、重機5台の会社では完了タップの並びを見れば現在地はほぼ分かるからです。端末や通信の月額もかかります。まず完了ベースの進捗で冬を回してみて、「タップと実際の位置のずれ」が問題になる場面が本当にあるかを確かめてから、GPSを足すかを一緒に判断します。

電話と住宅地図のコピーで回している出動、ボード1枚に変えられます。

「未明の電話リレーで始まる朝」「『うちはまだ?』にもう少しですとしか言えない」「スポットの請求漏れが春に見つかる」。
出す・出さないの判断はそのままに、号令・進捗・記録だけを受け持つ小さな仕組みから始められます。
要件整理から画面設計、開発、シーズンインしてからの改善までお手伝いします。