EvoQuest
EvoQuest DX業務システム / 業務効率化 2026.07

SCENARIO ── LANDSCAPING ESTIMATE CASE

現調の写真は親方のスマホ、見積はExcel。
「出していない見積」が見える仕組みに変える。

剪定・伐採・冬囲いの問い合わせを受けて現調に行き、夜にExcelで見積を作って、返事を待つ。札幌の造園業のこの流れを、現調のメモ・写真・見積書・返事待ちの追いかけまで、案件ごとにひとつながりで追える形にする想定シナリオです。木を見る目と値決めの腕はそのままに、繁忙期に見積が滞留して失注する事務の側だけを直します。

想定領域
業務システム / 造園業DX
担当範囲
業務整理・画面設計・開発・定着支援
想定対象
職人 数名・年間 数百件の現調をこなす造園業
想定期間
設計〜納品 約 2〜3 ヶ月

OVERVIEW

プロジェクト概要

札幌の造園業には繁忙期が年に二回来ます。雪解け後の4〜5月と、冬囲いが集中する10月下旬〜11月末。この時期は問い合わせと現調が立て込み、「現調は済んだのに、見積をまだ出していない案件」が溜まります。お客さんは2〜3社に声をかけているのが普通なので、見積が遅れた分だけ、先に出した業者に決まっていく。

この想定シナリオが直すのはそこだけです。現調で撮った木の写真に番号を振ってその場で拾い出しを済ませ、事務所に戻ったら番号ごとに単価を当てて見積書にする。出した見積は「返事待ち」の列に残り続け、何日経ったかが見える。植木の知識や単価の決め方はいままで通り親方のもの。散らばっていた記録と段取りだけをシステムが持ちます。

CHALLENGE

課題

  • 01 現調の記録が、車のノートとスマホの写真アプリに分かれている。庭を見ながらノートに「オンコ4m 剪定」と走り書きし、写真は別でスマホに撮る。夜に見積を作る頃には、どの写真がどの木か思い出しながらの作業になる。
  • 02 繁忙期に「現調済み・見積未提出」が溜まり、そのまま失注する。雪解け後の4月と冬囲い前の10月は、昼は現場と現調、見積を作れるのは夜だけ。1件の見積に写真の整理15分+Excel入力30分かかるとすれば、週10件の現調で週7時間半の夜なべになる。追いつかない分は、返事の早い他社に流れる。
  • 03 単価を言えるのが親方しかいない。剪定も伐採も、樹種と高さと現場条件で値段が変わり、最後は「人工(にんく)でざっくり」。去年の冬囲いの金額を確かめるために「見積_佐藤様_最終(2).xlsx」をフォルダの奥から探し回る。若手には見積が任せられない。
  • 04 出した見積のその後を、誰も追っていない。「奥さんと相談します」で止まったまま連絡せず、気づけば1ヶ月。毎年頼まれる冬囲いも、こちらから案内を出す仕組みがなく、お客さんからの電話待ちになっている。

APPROACH

アプローチ

入口は現調です。庭で木を見た瞬間がいちばん情報が濃いので、その場でスマホから木ごとに番号を振り、写真と「樹種・高さ・作業内容」をセットで記録します。①イチイ 4m 剪定、②ヤマモミジ 電線に支障枝、という粒度です。トラックを横付けできるか、枝葉を何メートル手運びするかも現調画面の項目にします。ここが埋まっていれば、見積は「番号に単価を当てるだけ」の作業になります。

事務所側は、案件を「現調これから → 見積これから → 返事待ち → 決まった」の四つの列で見るボードにします。売上グラフは置きません。見たいのは金額ではなく「どの案件が何日止まっているか」だからです。現調から日数が経った案件は列の上に赤く浮き、出した見積は返事が来るまで消えない。単価は過去の見積から樹種・作業ごとに呼び出せるようにして、「去年いくらでやったか」を探す時間をなくします。毎年の冬囲いは、去年やった庭のリストから今年の案内と見積の下書きを起こせるようにします。

CONSULTATION

「現調は済んだのに、見積を出せていない」を仕組みで止める。

繁忙期の夜なべで見積を作っている。去年の金額を探してフォルダをさかのぼっている。出した見積のその後を追えていない。
そういう見積まわりの事務こそ、現調から返事待ちまでがひと続きになった仕組みに置き換えられます。
現調への同行から画面設計、開発、繁忙期前の定着まで、通しで引き受けます。

SCREENS

主要画面

想定する主要画面と、設計で大事にしている考え方です。現調で振った番号が、見積の明細からお客様に渡す見積書まで一貫してついて回る構成で、データはすべて札幌の造園業の規模感に合わせた想定例です。

01. 案件ボード(現調 → 見積 → 返事待ち)

動いている案件を「現調これから」「見積これから」「返事待ち」「決まった」の四列で見るボード。現調から日数が経って止まっている案件を列の上に赤く出し、「出していない見積」を見えるようにする画面。

案件ボード
設計のポイント
売上の数字ではなく「どの案件が何日止まっているか」を主役にする。金額のグラフは置かない。
滞留の警告
現調から5日を過ぎた未提出案件、返事がないまま2週間過ぎた見積を、日数つきで上に浮かせる。
操作
案件カードをクリックすると、その案件の見積作成画面へそのまま進む。

02. 現調メモ(庭先でスマホから)

庭を回りながら、木ごとに番号を振って写真と「樹種・高さ・作業内容」を記録するスマホ画面。トラックの横付け可否や手運びの距離、蜂の巣などの危険もその場で残し、帰り道には拾い出しが終わっている状態にする。

スマホ現調
設計のポイント
「どの写真がどの木か」を夜に思い出す作業をなくす。番号・写真・作業内容を庭でセットにする。
入力の負担
樹種と作業は選択チップ中心。軍手のままでも押せる大きさにし、自由記述は最小限。
現場条件
横付け不可・手運び20m・電線接近など、単価に響く条件を選ぶだけで記録できる。

03. 見積作成(拾い出しに単価を当てる)

左に現調の番号つき拾い出し、右に見積の明細を並べる2ペイン。左の木を選ぶと対応する明細行が光り、過去の見積から樹種・作業ごとの単価を呼び出せる。人工と処分費の検算も同じ画面で見える。

2ペイン
設計のポイント
見積作成を「ゼロから書く」から「番号に単価を当てる」に変える。左右の対応が常に見える。
単価の呼び出し
同じ樹種・同じ作業の過去見積を横に出し、「去年のファイルを探す」をなくす。
取りこぼし防止
明細に入っていない拾い出しが残っていると、画面が件数つきで知らせる。

04. お客様に渡す見積書(写真ページつき)

明細の①②③が現調写真の番号とつながった見積書。2枚目に番号つきの写真ページが付き、お客様が「どの木のことか」を迷わず確かめられる。有効期限と作業時期の目安も載せる。

帳票
設計のポイント
「一式」で書かない。木ごとの明細と写真が対応した見積書は、それ自体が他社との差になる。
番号の一貫性
現調で振った番号が、明細・写真ページ・現場作業の指示まで同じ番号で通る。
出力
印刷・PDFのほか、そのままLINEやメールで送れる形式で書き出せる。

05. 冬囲いの案内リスト(去年の庭から)

去年冬囲いをした庭の一覧から、今年の案内を出す先を選ぶ画面。去年の内容と金額がそのまま今年の見積の下書きになる。庭木が変わった家は「要現調」の印をつけて分けておく。

毎年の仕事
設計のポイント
冬囲いは毎年ほぼ同じ内容の仕事。去年の見積を「探す」のではなく「下書きとして使い回す」。
案内の段取り
10月に電話が鳴るのを待たず、8月末にこちらから案内を出す前提の画面にする。
例外の扱い
去年キャンセルした家・庭を改修した家は印で分け、一律送付にしない。

OUTCOME

変わったこと

仕組みが運用に乗ったあと、見積まわりの事務が3つの軸で変わる想定です。

01

見積作成が
「夜の思い出し作業」から「番号に単価を当てる作業」へ。

Before車のノートの走り書きとスマホの写真を突き合わせ、どの写真がどの木か思い出しながらExcelに打っていた。
After現調の時点で番号・写真・作業内容がそろっていて、事務所では単価を当てるだけ。

1件あたり写真の整理15分+入力30分かかっていた夜なべを、現調のついでの記録に前倒しする。

02

出し忘れが
「気づいたら失注」から「ボードで止まって見える」へ。

Before繁忙期に「現調済み・見積未提出」が溜まっても、どれが何日止まっているか誰も分からなかった。
After止まっている案件が日数つきでボードの上に浮き、出した見積も返事が来るまで残り続ける。

見積の速さはそのまま受注率に効く。先に出した業者に決まる勝負で、遅れの側に回らない。

03

単価と毎年の仕事が
「親方の記憶とファイル探し」から「呼び出せる記録」へ。

Before去年の金額を確かめるのに過去のExcelを探し回り、冬囲いはお客さんからの電話待ちだった。
After樹種・作業ごとの過去単価が見積画面に出て、去年の冬囲いリストから今年の案内を起こせる。

若手が見積の下書きまで作れるようになり、親方は最後の値決めに集中できる。

PROCESS

3ヶ月の進め方

オンラインと現場訪問を組み合わせて、設計 → 開発 → 納品を2〜3ヶ月で進めます。繁忙期の前に現調画面から使い始められるよう、作る順番を業務の季節に合わせます。

1
MONTH 01 / 業務整理 + 現調への同行

「現調で何を見て、何を決めているか」を一緒に洗い出す月。

実際の現調に同行し、庭で何を見て、ノートに何を書き、単価をどう決めているかを観察します。過去の見積Excelから樹種・作業・単価の分類を棚卸しし、現調画面と案件ボードの骨組みを固めます。

  • 現調への同行と業務ヒアリング
  • 過去見積Excelの単価・項目の棚卸し
  • 樹種・作業・現場条件の選択肢づくり
  • 現調画面・案件ボードの下書き
2
MONTH 02 / 画面開発 + 実案件での試用

現調画面を実際の庭で使ってもらう月。

スマホの現調画面と案件ボード、見積作成の2ペインを開発し、実際の現調で数件使ってもらいます。軍手のまま押せるか、庭で電波が切れても記録が残るか、現場で確かめて画面に反映します。

  • 現調画面・案件ボード・見積作成の開発
  • 番号つき見積書・写真ページの出力
  • 実際の現調での試用と画面調整
  • 過去見積からの単価呼び出しの実装
3
MONTH 03 / 定着 + 納品

繁忙期の運用に耐える形に仕上げる月。

冬囲いの案内リストと返事待ちの追いかけを仕上げ、過去の顧客と見積データを移行します。事務担当と若手が自分で回せる手順書を添えて納品。繁忙期の入り口で困りごとを拾う調整期間を設けます。

  • 冬囲いリスト・返事待ち管理の仕上げ
  • 過去の顧客・見積データの移行
  • 手順書づくりと使い方の引き継ぎ
  • 納品 + 繁忙期前の調整

FAQ

よくある質問

  • Q1 見積の管理はExcelのままでは限界ですか?
    件数が少ない時期はExcelで十分回ります。限界が来るのは繁忙期で、「現調済みなのに見積を出していない案件がどれか」がExcelのファイル一覧からは見えないことが失注につながります。全部を作り替える必要はなく、単価表など残せるものはそのまま活かし、案件の流れを追う部分だけを仕組みにする設計から始められます。
  • Q2 単価の決め方までシステムに決められてしまいませんか?
    いいえ。単価を決めるのはいままで通り親方です。システムがやるのは「同じ樹種・同じ作業を過去にいくらで出したか」をすぐ出すことと、人工と処分費の検算だけ。値決めの判断はそのまま残し、判断の材料を探す時間をなくします。
  • Q3 職人がスマホの入力に慣れていなくても使えますか?
    現調画面は樹種と作業を選択チップから押すだけの作りにし、文字入力は最小限にします。軍手のままでも押せる大きさを前提に設計し、実際の現調で数件試してから仕上げる進め方です。どうしても難しければ、現調は写真と音声メモだけ残し、事務所で番号を振る運用にも合わせられます。
  • Q4 費用と期間はどのくらいを見ればいいですか?
    想定では設計から納品まで2〜3ヶ月です。費用は「何から作るか」で変わります。EvoQuestは最初から全部を作らず、いちばん損が出ている工程から作る考え方です。この想定なら、まず現調画面と案件ボードだけを作って繁忙期を一度越し、見積書の出力や冬囲いリストは効果を確かめてから足す、という分け方ができます。
  • Q5 IT導入補助金などの対象になりますか?
    業務システムの開発は、年度や公募回によってIT導入補助金や小規模事業者持続化補助金の対象になる場合があります。制度は毎年変わるため確約はできませんが、対象になりそうな公募があるかの確認と、申請に必要な見積書・事業計画の資料づくりはお手伝いできます。

「現調は済んだのに、見積を出せていない」を仕組みで止める。

繁忙期の夜なべで見積を作っている。去年の金額を探してフォルダをさかのぼっている。出した見積のその後を追えていない。
そういう見積まわりの事務こそ、現調から返事待ちまでがひと続きになった仕組みに置き換えられます。
現調への同行から画面設計、開発、繁忙期前の定着まで、通しで引き受けます。