EvoQuest
EvoQuest Food業務アプリ 執筆:水上貴洋(取締役) 2026.07

SCENARIO ── STOCKTAKE CASE

棚卸の数量をスマートフォンで入力し
在庫金額と原価率を集計する

保管場所ごとに食材の数量を入力し、棚卸表と原価率を集計するアプリの開発案です。開封品や仕込み済みの料理の数え方も登録します。個人店から数店舗を想定し、約2〜3ヶ月の進め方を紹介します。

想定領域
業務アプリ / 飲食店の業務改善
担当範囲
作業と記録の確認・管理画面の開発・導入時の説明
想定対象
個人店〜小規模店 1〜数店舗
想定期間
設計〜納品 約 2〜3 ヶ月

OVERVIEW

どんな仕組みをつくるか

スマートフォンで食材や酒類の数量を入力し、単価から期末在庫金額を集計するアプリです。店主はPCで棚卸表を確認し、期首在庫・当月仕入・売上と合わせて売上原価と原価率を計算します。

この開発案は棚卸の記録と集計を対象にします。メニューごとの原価計算は別の開発案で紹介しています。棚卸の範囲と数え方を毎月そろえ、原価率を比較できるようにします。

CHALLENGE

課題

  • 01 紙の記録を転記する手間がある。閉店後に食材を数え、翌日Excelに入力する方法では、同じ数量を2回記録する必要があります。
  • 02 開封品や仕込み済みの料理の数え方が担当者ごとに違う。たとえば開封済みのボトルを0.5本と数えるか0.3本と数えるかで、期末在庫金額と原価率が変わります。
  • 03 数量の集計と単価の確認に時間がかかる。約120品目を1品15秒で記録すると30分、転記にさらに30分かかる想定です。仕入伝票から単価を確認する作業も残ります。
  • 04 忙しい月に棚卸を実施できない。期末在庫が分からないと、その月の原価率を正しく計算できず、前月との比較もしにくくなります。

APPROACH

課題への対応

現在の棚卸表をもとに保管場所と棚の順番に合わせて品目を表示します。担当者は食材を数えた場所でスマートフォンに数量を入力します。未入力や前回との差を確認して確定すると、数量と単価から期末棚卸高を集計します。

品目ごとに数え方を登録します。開封ボトルは0.1本刻み、仕込みダレは容器の重さを差し引き、乾物の袋は1袋か0.5袋で入力する想定です。今回はバーコードのない食材が多い個人店を対象とし、バーコード読み取りは含めません。

CONSULTATION

現在の棚卸表をもとに記録と集計を見直せます

紙からExcelへの転記や開封品の数え方など、棚卸で困っていることをお聞かせください。
現在の品目数・保管場所・担当人数を確認し、必要な機能と費用の目安をお伝えします。
業務の確認から開発、実際の棚卸での試用まで対応します。

SCREENS

主要画面

想定する業務画面のサンプル(想定例)。数える画面はスマホ、棚卸表と締めはPCという役割分担です。店名・品目・単価などのデータはすべて個人店の規模感に合わせた想定例で、実在の店舗ではありません。

01. 棚卸の開始

担当者が数える保管場所と入力状況を確認する画面です。前回の確認事項を見てから、店内を回る順番に合わせて棚卸を始めます。

スマホ
使い方のポイント
今回数える場所と品目を表示し、担当者が入力を始められるようにする。
順路の固定
保管場所を店内の作業順に表示し、担当者が変わっても同じ順番で数えられるようにする。
持ち越しメモ
前回「数え漏れ?」で終わった品目を冒頭に出し、同じ見落としを繰り返さない。

02. 在庫数量の入力

保管場所と棚ごとに品目を並べ、担当者が前回の数量を見ながら入力します。開封ボトルは0.1本刻みで選択し、仕込みダレは容器込みの重量から容器の重さを自動で差し引きます。

スマホ・数量入力
使い方のポイント
数え方が品目の行に書いてある。「0.1刻み」「風袋1.2kg」を思い出す必要がない。
片手入力
数量を入力するボタンを大きくし、入力した数量と単価から金額を計算する。
環境への配慮
庫内で立ち止まる時間を減らすため、1画面に出す品目は棚1段ぶんに絞る。

03. 棚卸の確定前確認

全部の場所を数え終えると、未入力の品目と「前回はあったのに今回ゼロ」の品目だけが残る画面。使い切りか数え漏れかをその場で選び、確定すると期末棚卸高がその晩のうちに締まる。

スマホ
使い方のポイント
未入力や前月との差が大きい品目を表示し、担当者が確認してから確定する。
ゼロの扱い
「使い切った」と「数え忘れた」を区別して記録。翌月の持ち越しメモにつながる。
確定前の確認
確定前に合計金額と前回比を一度だけ見せ、桁を間違えた入力がないか確認できるようにする。

04. 棚卸表の確認・保存

スマホで入れた数がそのまま並ぶ、保管場所別の棚卸表。品目・数え方・単価・数量・金額と場所ごとの小計、期末棚卸高の合計。青色申告の期末棚卸高の根拠として、月ごとに印刷・保存できる。

PC・帳票
使い方のポイント
現在のExcelの棚卸表に合わせて出力できるようにし、税理士へ渡す項目も確認する。
単価の出どころ
各行の単価に「いつの仕入価格か」を併記。伝票を探し直さずに計算に使った単価を確認できる。
保存
帳簿書類として月次のPDFを残す前提。過去の棚卸表もここから開ける。

05. 売上原価と原価率の集計

期首棚卸高+当月仕入高−期末棚卸高=売上原価を式の形のまま表示して、売上を入れると原価率が出る。月次の推移も並び、棚卸を飛ばした月は「未実施」と表示し、原価率は空欄にする。

PC・締め
使い方のポイント
原価率の計算に使った仕入高・棚卸高と計算式を表示し、店主が確認できるようにする。
仕入高の受け取り
当月仕入は納品書の合計を入力。損益管理アプリと併用する場合はそちらから引き継ぐ。
推移の見せ方
原価率の上下に「開封品の基準変更」などの注記を添え、数字が動いた理由を残す。

06. 品目と数え方

品目ごとの単価・単位・数え方(0.1本刻み/風袋引き/1 か 0.5)と置いてある場所・棚の順番を管理する画面。新しい食材が増えたら行を足し、レイアウト替えをしたら並び順を入れ替える。

PC・品目登録
使い方のポイント
品目ごとの数え方を登録し、棚卸の担当者が入力画面で確認できるようにする。
単価の更新
仕入価格が変わったらここで直す。次の棚卸から新単価で金額計算される。
並び順
棚の順番の入れ替えはドラッグで。順路が変われば数える画面も同じ順に変わる。

OUTCOME

この仕組みで改善したいこと

この開発案では、転記にかかる時間と数え方のばらつきを確認します。次の3点を目標に実際の月末棚卸で試します。

01

棚卸の数量を一度の入力で集計する

今の作業紙に記録した約120品目を翌日Excelへ転記し、仕入伝票から単価を確認し直している。
導入後の使い方食材を数えた場所で入力した数量から棚卸表と期末在庫金額を集計し、閉店後に内容を確認して確定できる。

数量の記録に30分、転記に30分かかる作業を、その場での入力1回にまとめる想定です。

02

開封品を同じ基準で数える

今の作業同じ開封済みの一升瓶が、数える人によって0.5になったり0.3になったりしていた。
導入後の使い方品目ごとの数え方を画面に表示する。開封品は10目盛りの表示から選び、同じ単位で数量を入力できる。

数え方を統一し、担当者による数量のばらつきを抑えて、月ごとの在庫金額と原価率を比較しやすくします。

03

棚卸と仕入・売上を合わせて原価率を確認する

今の作業Excelの打ち直しと単価拾いが終わるまで、今月の原価率は分からなかった。
導入後の使い方期首在庫・仕入額・期末在庫・売上が揃うと、売上原価と原価率が計算式とともに画面に出る。

期首28.5万円+仕入92.3万円−期末26.7万円=売上原価94.1万円のように、計算式を表示して担当者が検算できるようにします。

PROCESS

開発の進め方

オンラインで現在の棚卸表と入力方法を確認し、2〜3ヶ月での納品を想定しています。月末の実際の棚卸で試し、使いにくい箇所を修正して翌月に再確認します。

1
MONTH 01 / 業務の確認・棚卸表の整理

品目と保管場所、数え方を決める

現在の棚卸表・Excel・仕入伝票を確認し、品目・単価・保管場所を整理します。開封品と仕込み済みの料理の数え方を品目ごとに決め、数量入力画面の案を作ります。

  • 業務打ち合わせ(2〜3回)
  • 品目・単価・保管場所の確認
  • 開封品・仕込み品の数え方の取り決め
  • 数える画面の下書き
2
MONTH 02 / 画面開発・月末の実地テスト

月末の棚卸でスマートフォン入力を試す

スマートフォンの数量入力・未入力確認画面とパソコンの棚卸表を作ります。月末の棚卸で担当者に使っていただき、冷蔵庫や倉庫での入力方法を調整します。

  • 数える画面・締め前チェックの開発
  • 棚卸表・品目の登録画面の開発
  • 月末の実地棚卸での試用
  • 庫内での使い勝手の改善
3
MONTH 03 / 締め画面・納品

原価率の計算と記録の保存を確認する

期首在庫・仕入額・期末在庫・売上から売上原価と原価率を出す締め画面と月次PDFの保存を仕上げます。2回目の月末棚卸を通して運用を確かめ、単価更新や品目追加のやり方まで引き継いで納品します。

  • 原価率の締め画面の開発
  • 棚卸表の印刷・PDF保存
  • 2回目の実地棚卸での検証
  • 納品・運用引き継ぎ

FAQ

よくある質問

  • Q1 飲食店の棚卸アプリを作る費用はどのくらいですか?
    決まった定価はありませんが、この開発プランのように「数える・棚卸表・原価率の締め」に範囲を絞れば、飲食店向けの業務アプリとしては小さい部類に入ります。レジや会計ソフトとの連携、複数店舗対応を足すと段階的に増える構造です。初回相談と概算見積もりは無料なので、いまの棚卸表を見せていただくところから始められます。
  • Q2 いま使っているExcelの棚卸表からの移行は大変ですか?
    Excelの品目・単価・分類はそのまま取り込めるので、打ち直しは要りません。手間をかけるのは移行そのものより「並べ替え」です。Excelの行の順を実際に店内を歩く順・棚の順に組み替える作業を最初の月に一緒にやります。ここが数える速さを決めるので、任せきりにせず現場と一緒に決めます。
  • Q3 バーコードやQRコードで読み取る方式にはしないのですか?
    この想定ではあえて作りません。個人店の在庫は段ボール・小分け袋・寸胴の中身が多くてバーコードが無く、全品にラベルを貼ると管理の手間が増えるためです。その分、品目ごとに数え方を固定して「見て、押すだけ」の速さを優先します。酒販店の瓶物が大半を占めるような店なら読み取りが効くこともあるので、そこは在庫の中身を見て判断します。
  • Q4 開封済みの調味料や仕込み中の鍋はどう数えるのですか?
    品目ごとに数え方をアプリに持たせます。開封ボトルは0.1本刻みのゲージ、仕込みダレやスープは容器込みの重さを量って風袋を自動で引く、乾物の袋は「1 か 0.5」の二択という具合です。仕込み済みのものも提供前なら在庫に含めるのが原則なので、数え忘れやすい仕込み品ほど画面に明示します。
  • Q5 導入までの期間と使い始めてからの手間はどのくらいですか?
    想定では設計から納品まで約2〜3ヶ月です。開発の途中で実際の月末棚卸に2回使ってもらい、庫内での使い勝手を直してから納品します。使い始めてからの日常の手間は、仕入価格が変わったときの単価更新と新しい食材の行追加くらいです。毎月の棚卸そのものは、数えて確定を押すだけになります。
  • Q6 棚卸の数字から原価率はどう計算しますか?
    期首棚卸高+当月仕入高−期末棚卸高=売上原価、売上原価÷売上高=原価率です。月初の在庫が28.5万円、当月の仕入が92.3万円、月末の在庫が26.7万円なら売上原価は94.1万円で、売上が300万円なら原価率は31.4%になります(想定例)。仕入額を売上で割っただけの数字は、月末に残った食材が原価に混ざるので、まとめ買いをした月に跳ね上がります。単価は、税務署に届け出た評価方法が無ければ最終仕入原価法(いちばん最後に仕入れた単価)で計算すると国税庁の手引きにあります。この開発プランの締め画面は、この式をそのまま並べて検算できる形にしています。
  • Q7 棚卸表は何年とっておく必要がありますか?
    青色申告なら、帳簿と決算のときに作った棚卸表は原則7年間の保存です(請求書や納品書などは5年間でよいと、国税庁のタックスアンサーNo.2070にあります)。白色申告でも、決算に関して作成した棚卸表は5年間の保存です(同No.2080)。月ごとに印刷かPDFで残しておけば、確定申告のときに探し直さずに済みます。この開発プランでは、スマホで入れた数がそのまま月次の棚卸表になり、PDFで残ります。
  • Q8 棚卸を早く終わらせるには、何から変えればよいですか?
    アプリを入れる前でも、Excelの棚卸表のままできることが3つあります。1つ目は行の並びを店内を歩く順(冷蔵庫の上段から下段、次に冷凍ストッカー、最後にドライ棚)に組み替えること。2つ目は開封済みのボトルや仕込み中の鍋の数え方を品目ごとに決め、表の横に書いておくこと。3つ目は数える品目を金額の大きいものに絞り、調味料の小袋のような少額の品はまとめて1行にすることです。数える人が店主1人で品目が少ないうちは、これで足ります。数える人が2人以上になって数え方がずれ始めたときや、翌日の打ち直しが毎月30分を超えるようになったときが、この開発プランのような画面に移す目安です。
  • Q9 飲食店の棚卸は、どこまで数えればよいですか?調味料・割り箸・仕込み中のものも含めますか?
    法令上の棚卸資産は、商品や製品、半製品、仕掛品、主要原材料、補助原材料、貯蔵中の消耗品と定められています(所得税法施行令第3条)。飲食店に当てはめると、冷蔵庫と冷凍庫の食材や酒類だけでなく、開封済みの調味料、仕込み中のタレやスープ、まだ使っていないテイクアウト容器や割り箸まで含まれます。範囲を決めたら、毎月同じ範囲で数えてください。月によって数える範囲が変わると、原価率を前月と比べられなくなります。少額の消耗品まで毎回数えると時間ばかりかかるので、金額の大きい食材と酒類を先に数え、消耗品をどこまで含めるかは税理士と決めて品目の一覧に書いておくと迷いません。この開発プランでは、品目の登録画面に数え方と置き場所を持たせて、担当者が変わっても同じ範囲と同じ刻みで数える形にしています。
  • Q10 無料の棚卸アプリやExcelで足りるのは、どんな店ですか?
    数える人が店主1人で、翌日の打ち直しが苦にならない品目数で、原価率は月1回分かれば足りる店なら、Excelやスプレッドシートのままで足ります。列は品目・数え方・単価・数量・金額の5つで、行を店内を歩く順に並べておけば、紙より速く数えられます。無料のアプリを試すときに確かめるのは3つです。棚卸表を印刷かPDFで残せるか(帳簿と決算のときに作る書類は原則7年間の保存です)、仕入価格が変わったときに単価を直せるか、登録した品目と過去の数字を外に出せるか。この3つが無いと、月を重ねるほど乗り換えにくくなります。切り替えを考えるのは、数える人が2人以上になって数え方がずれ始めたとき、翌日の打ち直しが30分を超えたとき、複数の店の在庫を1つの表で見たくなったときです。

現在の棚卸表をもとに記録と集計を見直せます

紙からExcelへの転記や開封品の数え方など、棚卸で困っていることをお聞かせください。
現在の品目数・保管場所・担当人数を確認し、必要な機能と費用の目安をお伝えします。
業務の確認から開発、実際の棚卸での試用まで対応します。

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