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手書きの配車表は違反ではない。ただし、残す記録は決まっている

手書きの配車表そのものは違反になりません。ただし配車表とは別に、法令で1年間保存しなければならない記録が決まっています。令和7年4月からは荷待ちと荷役の記録が全車両に広がりました。小規模な運送会社の方向けに、残す記録と費用を整理しました。

この記事でわかること

  • 配車表の様式は法令で決まっていません。決まっているのは、業務の記録・点呼の記録を1年間、事故の記録を3年間保存することです。
  • 令和7年4月1日から、荷待ち時間と荷役作業の記録義務の対象が「8トン以上」の車両から全車両に広がりました。
  • 荷主都合で30分を超えて待機したときの待機時間料は、標準的運賃で小型車1,680円、大型車1,890円(30分までごと)と示されています。記録が無いと請求の根拠になりません。
  • 配車表は運行管理者が作る乗務割にあたり、拘束時間13時間・休息期間継続9時間などの基準の範囲内で組む必要があります。
  • まず手をつけるのは、配車表全体より荷待ちと荷役の記録1枚です。ここだけなら短期間で形になります。

手書きの配車表は法令違反になるのか

配車表を手書きで作っていること自体を禁じる規定はありません。貨物自動車運送事業輸送安全規則に配車表の様式や作り方の定めはなく、紙で作ろうとホワイトボードに書こうと、それだけで指摘を受けることはありません。

決まっているのは、配車表とは別に残す記録のほうです。同規則は、運転者ごとに業務の記録を残して1年間保存すること、点呼の記録を残して1年間保存すること、事故の記録は営業所で3年間保存することを、それぞれ別の条文で定めています。

監査で問題になるのは、たいてい配車表の見た目より、この保存が抜けている点です。配車表を作り直しても、業務の記録が揃っていなければ意味がありません。

業務の記録(第8条)

運転者ごとに、業務の開始と終了の地点・日時、主な経過地点、従事した距離、交替や休憩の地点と日時などを記録し、1年間保存します。

点呼の記録(第7条)

業務前と業務後の点呼で、酒気帯びの有無、疾病・疲労・睡眠不足の有無などを確認し、内容と日時・方法を1年間保存します。アルコール検知器は営業所ごとに備えます。

事故の記録(第9条の2)

発生日時・場所・当事者・概要・原因・再発防止対策を記録し、営業所で3年間保存します。ここだけ保存年限が長くなっています。

運行記録計(第9条)

車両総重量7トン以上または最大積載量4トン以上の車両は、瞬間速度・運行距離・運行時間を運行記録計で記録し、1年間保存します。

令和7年4月から、何が増えたのか

国土交通省は貨物自動車運送事業輸送安全規則を改正し、令和6年10月1日に公布、令和7年4月1日に施行しました。変わったのは、荷待ち時間と荷役作業・附帯業務を業務記録に書く義務の対象範囲です。

これまでは「車両総重量8トン以上または最大積載量5トン以上」の車両だけが対象でした。改正後は全車両が対象です。2トン車や4トン車しか持っていない会社も、今年から記録する側に入りました。

書き方そのものは従来と変わっていません。荷主都合で30分以上待機したときは荷待ちの記録が必要です。荷役作業や附帯業務は、荷主との契約書に実施する作業がすべて明記されている場合、要した時間の合計が1時間以上になったときが対象です。荷主の確認が得られたか、得られなかったかも記録項目に含まれます。保存はこれも最低1年間です。

対象が小型車まで広がった分、手書きで回している会社は実務の量が増えます。到着した時刻、荷役を始めた時刻、終えた時刻、出発した時刻を、ドライバーが現場で押さえておかないと、事務所に戻ってから書けません。

記録が無いと、いくら取り損ねるのか

この改正の目的は安全だけにとどまりません。国土交通省は、事業者が自分の荷待ち時間と荷役時間を記録することで、待機時間料や積込料・取卸料を荷主から適正に収受する根拠にできる点を挙げています。記録は請求書の裏づけになります。

金額の目安は、国が示している標準的運賃で確かめられます。荷主都合で30分を超えて待機した場合、30分までごとに小型車(2トンクラス)1,680円、中型車(4トンクラス)1,760円、大型車(10トンクラス)1,890円、トレーラー(20トンクラス)2,220円。2時間を超えた部分は、それぞれ2,010円、2,110円、2,270円、2,670円に上がります。

計算には注意点があります。標準的運賃の原価には30分の待機が含まれているため、待機時間全体から30分を差し引いた時間で計算します。国土交通省のQ&A集は、小型車で1時間待機した場合を1,680円、2時間15分の場合を7,050円という具体例で示しています。

1台1日1回の待機でこの金額です。ドライバーの記憶だけで運んでいると、この請求は起こせません。電子化の効果は、事務が楽になることより先に、取り損ねていた金額に出ます。

記録が残っている場合

到着日時と出発日時が残っていれば、荷主都合の待機が30分を超えたことを示せます。標準的運賃の単価をあてて請求の根拠にできます。

記録が残っていない場合

待たされた事実は現場の記憶にしかありません。荷主に確認を求められたときに示すものがなく、交渉のたびに立場が弱くなります。

荷主側の事情

改正流通業務総合効率化法により、荷主にも荷待ち・荷役時間の短縮の努力義務が課されます。時間を把握できない荷主が運送事業者に確認してくる場面も想定されています。

DEMO

待機時間料を、触って確かめる

何分待たされると、いくらになるのか。車種と待機した時間、1か月の回数を変えると、標準的運賃の単価をあてた金額が動きます。国土交通省が示している計算方法をそのまま画面にしました。

待機時間料の計算|記録が残っていれば請求できる金額

車種、待機した時間、待機の理由、1か月の回数を変えると、1回あたりの金額と内訳、月と年の合計が変わります。30分未満で記録の対象から外れる動きも確かめられます。

触って動かせます
触れるところ
車種、待機した時間、待機の理由(荷主都合かどうか)、1か月に同じ待機が起きる回数の4つ。
計算の根拠
標準的運賃の原価に含まれる30分を差し引き、到着から2時間までと2時間超で単価を分けます。国土交通省のQ&A集の計算例と同じ結果になります。
記録との関係
記録が必要なのは30分以上、料金が発生するのは30分を超えたとき。条件が違うことを画面の表示で分けています。

※ 単価は国土交通省が示している標準的運賃(2026年8月時点)です。標準的運賃は届出をしたうえで用いるもので、実際に収受できる金額は荷主との契約によります。金額の適用は個別にご確認ください。

配車表そのものが守らなければならない基準は何か

配車表は、法令の言葉では乗務割にあたります。運行管理者の業務を定めた条文は、勤務時間および乗務時間の範囲内で乗務割を作成し、これに従って運転者を乗務させることを、運行管理者の業務の一つに挙げています。

その範囲を決めているのが、厚生労働省の改善基準告示です。令和6年4月1日から適用されていて、トラック運転者には次の数値が定められています。手書きで配車表を組むとき、配車担当はこれを頭の中で確かめていることになります。

負担になるのは数値の多さより、確かめる回数です。1日単位で収まっていても、2日平均の運転時間や1か月の拘束時間で外れることがあります。急な変更が入ると、確かめ直す範囲がさらに広がります。

拘束時間(1日)

原則13時間以内。延長する場合でも最大15時間。長距離貨物運送では週2回まで16時間の特例があります。

拘束時間(1か月・1年)

原則1か月284時間以内、1年3,300時間以内。労使協定があれば年6か月まで1か月310時間、1年3,400時間まで延長できます。

休息期間

継続11時間以上を与えるよう努めることとされ、継続9時間を下回ってはいけません。長距離貨物運送では週2回まで継続8時間以上の特例があります。

運転時間

2日を平均して1日あたり9時間以内、2週を平均して1週あたり44時間以内。

連続運転時間

4時間以内。中断は1回おおむね10分以上、合計30分以上必要です。やむを得ない場合は30分まで延長できます。

何から始めれば、いちばん早く形になるか

配車表をまるごと作り直そうとすると、車両・荷主・ドライバー・運賃をすべて登録する話になり、止まります。当社がお勧めするのは、令和7年4月に増えた記録から先に画面にする進め方です。

ドライバーのスマートフォンで、到着・荷役開始・荷役終了・出発の4つの時刻を押すだけの画面をまず作ります。位置と時刻が自動で残るので、事務所で書き起こす作業が消えます。項目が少ないぶん、短い期間で使い始められます。

次に、その記録を月末に集計し、荷主別に待機時間を並べる画面を足します。どの荷主で何分待たされているかが金額で見えると、運賃交渉の材料が揃います。配車表本体の置き換えは、そのあとで構いません。

基準に収まっているかの確認を機械に任せるのは、さらに次の段階です。割り当てを入れた時点で拘束時間と休息期間を計算し、外れる組み合わせに印を出します。配車担当が決める形は変えません。機械は外れそうな組み合わせを示すところまでを担当します。

第1段階(記録)

荷待ちと荷役の時刻をスマートフォンで残す。手書きの配車表はそのまま使い続けます。

第2段階(集計)

荷主別・月別に待機時間を集計する。標準的運賃の単価をあてて金額で見えるようにします。

第3段階(確認)

配車の割り当てが改善基準告示の範囲に収まるかを自動で確認し、外れる組み合わせに印を出します。

いくらかかるのか。見積もりの前に決めること

金額は作る範囲で変わります。第1段階だけの記録アプリと、第3段階まで含めた配車支援では規模が数倍違います。段階を分けるのは、最初から全部を見積もると判断できない金額になるからです。

見積もりを出すために決めていただくのは、次の4つです。ここが決まっていれば範囲と金額を出せます。決まっていない状態でご相談いただいても構いません。

費用の考え方そのものは、業種が変わっても大きくは違いません。アプリを作るときに何が金額を動かすかは、札幌でアプリを作るといくらかかるのかに、ストアの登録料や公開後に毎年かかる作業まで含めて整理しています。

台数とドライバー数

何台・何名がスマートフォンを使うか。ここで同時に使う人数の想定が決まります。

いま使っている道具

配車表がExcelなのかホワイトボードなのか。既にデジタコや運行管理システムがあるなら、そこから取り出せるデータが変わります。

荷主との契約の形

荷役作業が契約書に明記されているかどうかで、記録が必要になる条件が変わります。

どこまでを対象にするか

記録だけか、集計まで含めるか、配車の確認まで載せるか。第1段階から始めて足していく形にできます。

まとめ

手書きの配車表を続けること自体に問題はありません。問われるのは、業務の記録と点呼の記録を1年間、事故の記録を3年間、残しているかどうかです。

令和7年4月から、荷待ちと荷役の記録は全車両が対象になりました。この記録は監査のためだけでなく、待機時間料を荷主に請求するときの根拠になります。標準的運賃では小型車で30分ごと1,680円です。

始めるなら、配車表本体より先に荷待ち・荷役の記録1枚からです。まずは直近1か月の運行を振り返って、荷主都合で30分を超えて待った回数を数えてみてください。その回数に単価をかけた金額が、いま記録が無いために請求できていない金額の目安になります。

よくある質問

配車表に決まった様式はありますか。

貨物自動車運送事業輸送安全規則に、配車表の様式を定めた規定はありません。条文が記録すべき事項を列挙しているのは、業務の記録・点呼の記録・事故の記録などのほうです。配車表は社内で使いやすい形にして構いませんが、そこから業務の記録に必要な項目が拾えるようにしておくと、二度書きが減ります。

荷待ちの記録は、何分から必要ですか。

荷主都合により集貨地点等で30分以上待機した場合が対象です。到着日時、荷主から指定された到着日時、荷役作業の開始と終了の日時、出発日時などを記録します。なお標準的運賃の待機時間料は「30分を超えて」待機した場合に発生し、計算時は待機時間全体から30分を差し引きます。記録の条件と料金の計算は別の基準なので、分けて考えてください。

2トン車しか持っていない場合も対象ですか。

令和7年4月1日から対象です。それ以前は車両総重量8トン以上または最大積載量5トン以上に限られていましたが、改正で全車両に広がりました。ただし貨物の積載状況の記録は、従来どおり8トン以上または5トン以上の車両が対象です。

記録はスマートフォンで残しても構いませんか。

条文は記録すべき事項と保存期間を定めていて、紙に限る書き方はしていません。ただし実際の扱いは所轄の運輸支局の指導にもよるため、置き換える前に、いまの様式で残している項目が漏れなく出せるかを確認してください。当社がお手伝いする場合も、既存の様式をそのまま出力できる形にしてから画面を作ります。

この記事を書いた人

立石伊吹代表取締役 / DX・AIアドバイザー

北海道札幌市手稲区の会社です。北海道内は直接うかがい、道外はオンラインで対応しています。専門用語を使わず、相手の言葉で話すことを大事にしています。

まず、荷待ちの記録1枚から始められます。

配車表がホワイトボードのままで、荷待ちや荷役の時間はドライバーの申告に頼っている。令和7年4月から2トン車も対象になったと聞いたが、何を足せばいいのか分からない。そんな状態なら、一度お話を聞かせてください。いまの配車表と業務記録の様式を見せていただいて、増える項目だけを先に画面にする形から一緒に決めます。北海道内なら営業所に伺います。

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