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EvoQuest Apps業務DX支援 2026.08

SCENARIO ── REFORM RECORDS CASE

壁を閉じる前の写真と、
10年ぶんの書類を、案件の側に置く。

現場の写真は職長のスマートフォン、見積は事務所のパソコン、契約書は紙のファイル。札幌市内で内装リフォームを手がける小さな会社向けに、写真と書類と日付を案件ごとに集める開発プランです。建設業法が求める帳簿と図書が、工事中の入力だけで引渡しの日に揃う形にします。

想定領域
業務システム / リフォーム・内装業の記録管理
担当範囲
業務整理・撮影項目の設計・開発・定着支援
想定対象
年間 20〜30 件・社員5名・協力会社 十数社の内装リフォーム会社(建設業許可あり)
想定期間
設計〜納品 約 3 ヶ月

OVERVIEW

プロジェクト概要

案件ごとの写真、取り交わした書類、日付。この3つだけを集める記録の仕組みをつくる開発プランです。見積の金額や現場の粗利には踏み込みません。お金の側は 工務店・リフォーム業の原価管理システム に分けてあり、こちらは「あとから探せるか」だけを引き受けます

期限の起点を引渡しの日に置いているのには理由があります。建設業法施行規則第28条は、帳簿と添付書類の保存期間を引渡しから5年間、完成図などの図書を引渡しから10年間と定めています。さらに第27条は、記載と書類の添付を「それぞれの事項又は書類に係る事実が生じ、又は明らかになつたとき」に遅滞なく行うよう求めています。引渡しのあとに思い出しながら綴じる作業では、条文の求めるかたちになりません。工事中に現場と事務所が普通に入力したものが、そのまま帳簿と図書の側へ積み上がる構造にします。

CHALLENGE

課題

  • 01 壁を閉じる前の写真が、会社に届くのが遅い。撮っているのは職長のスマートフォンで、共有フォルダに入るのは月末か、催促したとき。断熱材と配管が下地の裏に隠れたあとでは、もう撮り直せない。
  • 02 引渡しから残す年数が書類ごとに違うのに、分けて綴じた記憶が誰にもない。完成図、発注者との打合せ記録、材料費等記載見積書は10年間。帳簿と契約書面の写しは5年間。同じ1つの現場ファイルに、年限の違う紙が混ざったまま棚に入る。
  • 03 お客様の自宅で契約した案件の、法定書面をいつ渡したかが残っていない。訪問販売にあたる契約のクーリング・オフは、その書面を受け取った日から8日間で数える。日付がメールの送信履歴の中にしかないと、確かめるだけで半日かかる。
  • 04 協力会社から届く見積書と請求書のPDFが、担当者のメールボックスの中で終わっている。電子で受け取った取引の書類は電子のまま残す決まりで、日付・金額・取引先で取り出せる状態にしておく必要がある。事務のパソコンの「ダウンロード」フォルダは、その状態になっていない。
  • 05 引渡しの3年後に「あのとき配管をどう通したか」と聞かれても、答えが担当者の記憶にしかない。その担当者は、もう会社にいない。

APPROACH

アプローチ

集める作業を「あとで」にしないために、入力する場所を作業のある場所へ寄せます。写真は現場のスマートフォンから、書類は届いたその日に、日付は決まった瞬間に。事務所に戻ってからまとめて入れ直す工程を作らないことが、この設計のいちばん大きな判断です。

撮影のときに何を残すかは、国土交通省の営繕工事写真撮影要領を土台にしました。この要領は、黒板に写し込む項目として工事名、工事種目、撮影部位、寸法や規格、撮影時期、施工状況、立会者名と受注者名を挙げ、写真の整理は工事種目または分類ごとに行うとしています。民間のリフォーム工事にこの要領が適用されるわけではありませんが、項目の立て方はそのまま借りられます。撮る前に部位と撮影時期を選ぶ形にしておくと、あとで並べ替える手間が消えます。

帳簿は、別に入力する画面を作りません。施行規則第26条第1項が挙げる記載事項は、工事名と現場の所在地、注文者と契約した年月日、注文者の商号と住所、検査が完了した年月日、引渡しをした年月日、そして下請には支払った額と年月日と支払手段です。どれも案件の画面で普通に扱う情報なので、日付を入れた時点で帳簿の行が埋まります。同条第6項は、記載事項が電子計算機のファイルに記録され、営業所で明確に紙面または画面に表示できるときは、その記録で帳簿への記載に代えられるとしています。第7項では、添付書類をスキャナで読み取った記録に代えることも認めています。紙の帳簿を別に起こす作業は、この設計では発生しません。

CONSULTATION

まず、隠れてしまう部位の一覧からです。

壁を閉じる前の写真が、会社に届くのが遅い。
引渡しから何年、何を残すのかを毎回調べ直している。
いまお使いの案件表と、写真の共有フォルダを見せていただくところから、ご相談ください。

SCREENS

主要画面

想定する主要画面です。事務所の担当者が毎朝いちばん最初に開くのは1枚目で、現場が触るのは2枚目だけ。残りの4枚は、その日の入力が積み上がった結果を見る画面です。データはすべて内装リフォーム会社の規模感に合わせた想定例です。

01. きょうの現場

動いている現場を横に並べ、きょう届いた写真、期限の近い日付、まだ受け取っていない書類を1画面に集める。事務の担当者が朝いちばんに開き、電話をかける先をここで決める構成。

当日ダッシュボード
設計のポイント
一覧に全案件を並べず、きょう手を動かす必要があるものだけを上に出す。着工前の写真が無いまま着工日を迎えた現場は、いちばん上に固定する。
独自パーツ
現場ごとの記録の充足バー。着手前・施工中・完成の3つの撮影時期のうち、どこが空のままかを横並びで示す。
状態の表現
期限の近さは色だけでなく残り日数の数字でも示し、色の見え方が違う方にも配慮。

02. 現場での撮影(スマートフォン)

現場名を選び、撮影時期と撮影部位を選んでから撮る。工事名・工事種目・撮影部位・撮影時期・立会者は写真と一緒に保存され、撮った瞬間に会社側の台帳へ届く。

撮影画面
設計のポイント
手袋のまま片手で押せるように、選ぶ項目を2つに絞る。部位の候補は現場の工種から絞り込んで出す。
参照した資料
営繕工事写真撮影要領(国土交通省)が挙げる写し込み項目を、リフォーム工事で使う分だけ残した。
電波の弱い現場
圏外でも撮影はでき、電波の戻った時点で送信する。送信前の枚数を画面の上に出しておく。

03. 案件の写真台帳

1つの案件の写真を、撮影時期(着手前・施工中・完成)と撮影部位で並べる。下地や配管のように隠れてしまう部位は、着工の前に必要な枚数を決めておき、撮れていない部位を空の枠として表示する。

一覧
設計のポイント
撮った写真を集める画面ではなく、撮れていない部位を見つける画面にする。空の枠は工事が進むほど取り返しがつかなくなるので、閉じる工程の前に通知する。
編集の扱い
撮影後の画像そのものは加工しない。書き込みは写真とは別の層に保存し、元の画像はいつでも取り出せる。
出力
部位ごとに並べた一覧を、お客様への説明用にそのまま印刷できる形で出す。

04. 書類と交付日の台帳

見積書、契約の書面、追加や変更の書面、完成図を案件ごとに置き、渡した日と受け取った日を記録する。訪問して契約した案件は、法定書面を交付した日から8日間を画面に表示する。

台帳
設計のポイント
書類を案件だけで持たず、案件と版と相手で持つ。差し替えた図面を誰にいつ渡したかが、あとから1行で追える。
保存の要件
PDFで受け取った見積書と請求書は、取引年月日・取引金額・取引先を統一した順序でファイル名に入れて保存する。国税庁の一問一答が挙げている方法をそのまま使う。
状態の表現
受け取り待ちの書類は、待っている日数を添えて上に出す。

05. 建設業法の帳簿

施行規則第26条第1項の記載事項が、案件の画面に入れた日付から自動で並ぶ。契約書面の写しは添付として紐づき、下請への支払いは額・年月日・支払手段まで1行に入る。

帳簿
設計のポイント
帳簿を書く作業を新しく作らない。事実が確定したときに案件側で入力し、変更があった行には変更年月日を付記して残す。
表示の要件
営業所の画面で明確に表示でき、そのまま印刷もできること。規則が電子での記録を認める条件がここにあるため、画面の見た目より印刷の体裁を優先する。
空欄の扱い
記載事項が埋まっていない案件は、埋まっていない項目名を並べて出す。

06. 引渡しと保存年限の確認

引渡し日を入れると、5年間残す帳簿・添付書類と、10年間残す完成図・打合せ記録・材料費等記載見積書が別々にまとまる。足りない書類はここで名前が出るので、引渡しの前に取りに行ける。

確認画面
設計のポイント
引渡しの日を、保存の起点として画面の中心に置く。以後は何年何月まで残すかが案件ごとに表示され続ける。
対象の切り分け
図書の範囲は請け負い方で変わる。発注者から直接請け負った場合に必要な4種類を既定にし、下請の案件では対象外の欄を伏せる。
取り出し
引渡し済みの案件は、案件名か住所か引渡し年月から探せる。10年後に開くことを前提にした検索にする。

OUTCOME

変わったこと

仕組みが運用に乗ったあと、この会社の仕事が4つの点で変わる想定です。効果は探す時間と、取り返しのつかない抜けの数で測ります。記録が増えたこと自体は数えません。

01

隠れる部分の写真が、閉じるより前に会社へ届く

Before職長のスマートフォンに溜まった写真が共有フォルダへ移るのは月末。断熱材や配管が下地の裏へ入ったあとで、撮り忘れに気づいていた。
After撮影と同時に案件の台帳へ届く。撮れていない部位が空の枠として残るので、工程が閉じる前に現場へ連絡が回る。

数えるのは、着手前と施工中の必要部位のうち埋まっていない枠が、引渡しの時点でいくつ残ったかです。最初の3ヶ月で数えてから、必要部位の設定を直します。

02

引渡しの日に、5年の分と10年の分が分かれて閉じる

Before現場ファイルは1冊で、年限の違う紙が同じ綴じに入っていた。何をいつまで置くのかは、そのつど調べ直していた。
After引渡し日を入れた時点で、帳簿と添付書類、図書の4種類がそれぞれの年限で分かれる。足りない書類はその場で名前が出る。

保存期間は施行規則第28条の定めによります。帳簿と添付書類は引渡しから5年間、発注者と締結した住宅を新築する工事だけ10年間。図書は引渡しから10年間です。許可の要らない軽微な工事だけを請け負っている段階なら、この義務はまだかかりません。

03

PDFで届いた請求書が、日付と金額と取引先で取り出せる

Before協力会社からのPDFは担当者のメールボックスの中。名前も置き場所もばらばらで、去年の請求書を探すのに30分かかっていた。
After取り込んだ時点で、取引年月日・取引金額・取引先を統一した順序でファイル名に入れる。国税庁の一問一答が、この方法で検索の要件を満たすとしている。

個人事業者は前々年、法人は前々事業年度の売上高が5,000万円以下なら、検索機能の確保そのものは不要とされています(税務職員のダウンロードの求めに応じられることが前提)。それでも社内で探せない状態は困るので、要件の有無と関係なくファイル名を揃えます。

04

3年後の問い合わせに、担当者がいなくても答えられる

Before引渡し後の連絡は、当時の現場監督に電話でつなぐしかなかった。辞めたあとは、床を開けて確かめる話になっていた。
After住所か案件名で開けば、そのときの写真と図面と打合せ記録が同じ画面に並ぶ。壁の裏の写真がある案件では、開けずに答えが出る。

測るのは、引渡し済みの案件について問い合わせを受けてから写真を出すまでの時間です。仕組みを入れる前に、直近の数件で実際に計ってから始めます。

PROCESS

3ヶ月の進め方

札幌市内・近郊なら事務所へ伺い、道外はオンラインで進めます。動いている現場を止めずに進めるため、最後の1ヶ月は実際の引渡しを1件通すところまでを含めた3ヶ月の想定です。

1
MONTH 01 / 業務ヒアリング + 撮影項目の設計

現場を1件見て、撮る部位を先に決める

事務所で半日、いまの案件表と写真の共有フォルダ、契約書のファイルを見せてもらいます。そのあと動いている現場へ1件同行し、職長が実際にどの場面で写真を撮っているか、どこで手が止まるかを確かめます。ここで決めるのは撮影部位の一覧です。工種ごとに、着手前・施工中・完成のどこで何を撮るかを表にして、隠れてしまう部位に印を付けます。過去の引渡し済み案件を2件開いてもらい、10年間残す図書がいま揃っているかも確認します。

  • 事務所での半日の確認(案件表・写真フォルダ・契約書ファイル)
  • 現場同行による撮影の実態確認と、手が止まる場面の洗い出し
  • 工種別の撮影部位一覧の作成(隠れる部位への印付け)
  • 引渡し済み案件2件での、帳簿記載事項と図書の充足確認
2
MONTH 02 / 撮影・写真台帳・書類台帳の開発 + 並行運用

動いている現場2件で、2週間そのまま使う

撮影画面、案件の写真台帳、書類と交付日の台帳、きょうの現場を開発します。できた時点で動いている現場2件に入れ、いまの共有フォルダへの保存を止めずに2週間並行して使います。見るのは、部位の候補が現場の言葉と合っているか、電波の弱い現場で送信が滞らないか、事務の担当者が朝に開く画面として過不足がないかの3点です。出てきたずれを直してから、全案件へ広げます。

  • 撮影画面・写真台帳・書類台帳・きょうの現場の開発
  • 動いている現場2件での並行運用(2週間)
  • 部位の候補・送信の挙動・朝の画面の調整
  • 協力会社からのPDFの取り込みとファイル名の付け方の確認
3
MONTH 03 / 帳簿・引渡し画面の開発 + 引渡し1件の通し

実際の引渡しを1件通して、閉じ方を確かめる

建設業法の帳簿と、引渡しと保存年限の確認を開発します。この月に引渡しを迎える案件を1件選び、引渡しの日に実際に画面を使って書類を閉じます。足りないものが出れば、その場で取りに行く流れまでを一緒にやります。印刷した帳簿の体裁を営業所で確認し、顧問の先生や所管の窓口に見てもらう前提で整えます。過去の引渡し済み案件をどこまで遡って入れるかは、この段階で件数を見て決めます。

  • 建設業法の帳簿・引渡しと保存年限の確認の開発
  • 実案件1件での引渡し当日の通し運用
  • 印刷した帳簿と添付書類の体裁確認
  • 過去案件の移行範囲の決定と、事務担当への引き継ぎ

FAQ

よくある質問

  • Q1 建設業の許可をまだ取っていません。それでも必要ですか。
    帳簿と図書を残す義務は、建設業法第3条第1項の許可を受けて建設業を営む会社にかかります。許可が要らない軽微な建設工事だけを請け負っているうちは、この義務はありません。ただし写真が探せない、書類がどこにあるか分からないという困りごとは、許可の有無と関係なく起きています。水回りと内装をまとめて請けた1件で500万円を越えることがある以上、越えたあとの形で先に作っておくほうが、あとで入れ直さずに済みます。いま許可が無い場合は、帳簿の画面を後ろに回して、写真と書類の台帳から始める組み方もできます。
  • Q2 紙のファイルをやめて、画面だけにしてしまって大丈夫ですか。
    施行規則は、帳簿の記載事項が電子計算機のファイルに記録され、営業所で明確に紙面または画面に表示できるときは、その記録で記載に代えられるとしています。添付書類についても、スキャナで取り込んだ記録に代えられる旨の定めがあります。ですので条文の側は電子を認めています。とはいえ立入検査での実際の扱いは所管の窓口によるところがあるので、紙をやめる前に、行政書士の先生や許可を出している窓口へ一度ご確認ください。当社が作る場合は、画面から印刷した帳簿の体裁を先に確認する工程を3ヶ月目に入れています。
  • Q3 リフォームかし保険に入る予定です。写真はこれで足りますか。
    足りるかどうかは保険法人の要領によります。国土交通省の案内では、リフォームかし保険は施工中と工事完了後に第三者検査員である建築士が現場検査を行う仕組みで、加入する事業者はあらかじめ保険法人へ事業者登録をする必要があるとされています。検査の日程と提出する資料は保険法人ごとに違うので、加入予定の保険法人が示す撮影の指示に合わせて部位を足すことになります。この仕組みが用意するのは、部位の一覧をあとから足せる形と、検査の日を案件の日付として持てる形までです。1ヶ月目に撮影部位を決めるとき、保険を使う予定があるかを必ず伺います。
  • Q4 費用はどのくらいかかりますか。
    範囲を決めてから見積もります。金額が動くのは3か所です。1つめは画面の数で、帳簿と引渡しの確認まで入れるか、写真と書類の台帳だけにするかで開発量が変わります。2つめは写真の置き場所で、枚数と保存年数によって毎月の保管費が決まります。10年間残す前提なので、ここは一度試算してからお決めいただきます。3つめは過去案件をどこまで遡って入れるかで、引渡し済みの案件を手で入れ直すぶんは作業量にそのまま乗ります。この3つを決めれば見積もりが出せます。相談の場では、まず動いている現場の数と、いま撮っている写真の月あたりの枚数を伺います。

まず、隠れてしまう部位の一覧からです。

壁を閉じる前の写真が、会社に届くのが遅い。
引渡しから何年、何を残すのかを毎回調べ直している。
いまお使いの案件表と、写真の共有フォルダを見せていただくところから、ご相談ください。