EvoQuest
EvoQuest Food宴会予約・人数管理 2026.07

SCENARIO ── BANQUET HEADCOUNT CASE

25名で入った宴会が、当日の夕方に22名になる。
減った3人分のお造りは、もう引いてある。

札幌の座敷を持つ居酒屋。宴会の人数は、決まったあとに動きます。3週間前に25名で受けた歓送迎会が、前日に23名、当日の夕方に22名。連絡は幹事さんの電話とLINEとネット予約の変更通知に分かれ、受けた人が予約ノートを直しても、厨房のホワイトボードは25名のまま。これは需要予測の手前にある話です。すでに決まっている人数を、品ごとの「いつまでなら戻せるか」とセットで押さえる予約台帳(EvoQuest Food)を作り、そのうえで残った空席にだけフリー客の読みを当てる設計にします。

想定領域
宴会予約・人数管理 / 飲食店DX
担当範囲
要件整理・仕込み工程の逆算設計・画面設計・実装
想定対象
座敷・個室のある居酒屋(宴会30名規模・1〜数店舗)
想定期間
設計〜納品 約 3 ヶ月

OVERVIEW

プロジェクト概要

宴会の人数は、もう決まっている数字です。それなのに、いちばん動く。「居酒屋 人数変更 何日前」で調べて出てくるのは、ほとんどがお客さん向けの記事です。2〜3日前までなら無料、前日は5〜8割、当日は全額。相場としてはそのとおりで、うちのお店のネット予約ページにも似た一文が載っている。店側が知りたいのは、その先です。うちの店は、どの品を、何時まで戻せるのか。お造りの鮮魚は2日前に市場へ発注して前日に受けている。ザンギの下味は前日の夕方に漬け込む。鍋の出汁は当日の朝。品ごとに違うこの工程が、規約の「3日前まで」という一本の線には乗っていません。だから前日に「3人減りました」と言われたとき、何がもう戻らないのかを即答できない。いただくかどうかは、幹事さんの顔を見て決めることになります。

この話は、需要予測を入れる手前にあります。「あすは何人来るか」をAIで読む前に、予約でもう確定している人数が、予約ノートと厨房のホワイトボードと市場への発注メモで食い違っている。そういう店は珍しくありません。金曜の夜に25名の宴会が入っていれば、その日の売上の大半はすでに決まっていて、読みが担うのは残った席の分だけです。どこまでが確定で、どこからが読みなのか。この線がはっきりしているかどうかで、仕込みの決め方が変わります。確定を使い切ってから、残りにだけ読みを当てる。この順番で作ります。

CHALLENGE

課題

  • 01 人数が動く経路が、バラバラ。幹事さんからの電話、LINEの「すみません2人減りで」、ネット予約サービスからの変更通知、常連さんが来店したついでの口頭。受けた人が予約ノートを書き直しても、厨房のホワイトボードと市場への発注メモは元の人数のまま残る。
  • 02 変更の締切が、うちの仕込み工程から逆算されていない。予約ページには「3日前まで」と書いてあるのに、お造りの魚は2日前に発注し、ザンギは前日の夕方に漬け、鍋の出汁は当日の朝。品ごとに戻せる時刻が違うのに、締切は全部まとめて一本の線になっている。
  • 03 減った分をいただくかどうかを、その場の空気で決めている。前日に3名減。コース4,500円×3名分をいただくのか、次も使ってほしいから飲み込むのか。判断の根拠になる「実際にもう戻らない金額」が誰にも分からないまま、店主がその場で決めて、記録にも残らない。
  • 04 25名の宴会が確定している日でも、その日の総客数は「なんとなく」。座敷が埋まっている金曜に、カウンターとテーブルへあと何組入れるのかが読めない。電話で「今夜は満席でして」と断ったあとに、キャンセルの出た座敷がぽっかり空く。

APPROACH

アプローチ

作るものは2段構えです。1段目は、確定している人数を使い切ること。予約1件ごとに、人数とコースに加えて品ごとの「戻せる期限」を持たせます。この期限は、うちの店の工程から逆算して店が自分で決めます。お造りは市場への発注が2日前の15時だから、そこが本当の締切。ザンギは前日17時の漬け込み開始まで。鍋と〆は当日の朝10時まで。先付は夕方まで動かせる。要点は、期限を過ぎた変更を断る仕組みにしないことです。減りの連絡は受けます。受けたうえで「お造りの3人分はもう引いてあります」と即答でき、いただくかどうかを金額を見て決められる。判断そのものは店に残します。

2段目が、残った席にだけ読みを当てることです。その日の客数は「予約で確定した分」と「フリーで入る分」に分けられます。座敷が25名で埋まる金曜なら、読みが担うのはカウンターとテーブルの残りだけ。ここを画面ではっきり分けて出します。当たったかどうかより、その日の何割を読みが担っていたかが見えるほうが、次の手を決めやすいからです。担う範囲が狭ければ、外れても被害は小さい。範囲が広い日は、仕込みを決め切らずに当日足せる形で構える。読みは1つの数字ではなく幅で出し、外れた日には理由を一言だけ残してもらって、次の読みに戻します。予約台帳とフリー客の読みを同じ画面に置くところまでを、うちがまとめて面倒を見ます。

CONSULTATION

需要予測の前に、もう決まっている人数を使い切る。

3週間前に受けた25名が、当日の夕方に22名になる。
その3人分が戻るのか戻らないのかは、うちの店の工程を逆算すれば決まります。
宴会の人数管理から、残った席に当てる読みまで、ひとつの窓口でお手伝いします。

SCREENS

主要画面

想定する画面のサンプル。予約を受けるのは店のパソコン、当日の確認と厨房への共有はカウンター内のタブレットで使う前提の作りです。店名・席数・金額はすべて想定例で、実在の店舗・実績ではありません。

01. きょうから3日先の座敷

開店前にいちど開く看板画面。日ごとに席の埋まりが面積で並び、予約で確定した分・フリー客の読み・空きが一目で分かれます。予約の帯には「人数の変更を受けられるのは、あと何時間か」がいちばん近い品の締切で出ます。

日繰り
設計のポイント
確定とフリーの読みを、同じ画面で塗り分ける。きょうの何割が確定なのかが、数字を読まなくても分かる。
締切の見え方
予約ごとに残り時間を出す。切れるのは「3日前」ではなく、いちばん早い品(お造り)の発注締切。
空席の扱い
座敷が埋まっている日ほど、残りの席が主役になる。断る前にどこが空いているかを先に見せる。

02. 「2人減りました」を受ける画面

幹事さんからの連絡を受けて人数を直す画面。25名を22名に直すと、品ごとに「もう戻せない」「まだ戻せる」が分かれて出ます。戻らない分の金額がその場で合計され、いただくか・今回は飲み込むかを選んで記録に残します。

人数が動いた
設計のポイント
断るための画面にしない。受けたうえで「何がもう戻らないか」を即答できるようにするための画面。
金額で判断する
コース料金の何割、という決め方をやめる。実際に戻らない品の原価と仕入を積み上げて出す。判断は店主に残す。
伝わる先
直した瞬間に厨房の仕込み表と市場への発注控えが同じ人数になる。ホワイトボードの書き直しが要らない。

03. 確定分と、読みの分を分けた仕込み表

厨房が朝いちで見る画面。同じ仕込み表の中で「予約で確定している分」と「フリー客の読みの分」が上下に分かれ、決め切る品と当日足せる品も分かれています。読みの分は幅で出て、何を根拠にそう読んだかが一行添えられます。

仕込み表
設計のポイント
確定分は迷わず決め切る。読みの分だけを幅で構える。仕込みの手が止まる場所を最小にする。
品の性格で分ける
漬け込み・仕込みダレのように戻せない品と、当日に足せる品を最初から2段に分けて出す。
根拠を一行
「先週の同じ金曜より2組多い読み・大通のイベント初日」のように、読んだ理由を短く添える。

04. うちの宴会の、動きかた

予約人数が受けたときから当日までにどう動いたかを、まとめて振り返る画面。精度の点数は出しません。貯まるのは「歓送迎会は前日に増える」「町内会は当日2〜3名落ちる」といった、うちの店の癖です。読みが担った割合も同じ画面に出ます。

癖の記録
設計のポイント
「当たった・外れた」の採点表にしない。次に同じ幹事さんから電話が来たときに使える形で残す。
担った割合
その月の客数のうち、確定が何割で読みが何割だったか。予測の効き目を範囲で説明できるようにする。
戻らなかった分
締切後の減りで戻せなかった金額と、いただいた分・飲み込んだ分の記録。締切の引き直しの材料になる。

OUTCOME

変わったこと

仕組みが運用に乗ったあと、宴会まわりの段取りが3つの軸で変わる想定です。

01

人数の変更が
口伝えから、期限のついた受付へ。

Before電話・LINE・ネット予約の変更が別々に届き、予約ノートを直しても厨房と発注メモは元の人数のまま残っていた。
Afterどの経路で受けても同じ台帳に入り、直した瞬間に仕込み表と発注控えが揃う。締切までの残り時間も一緒に見える。

お客さまの連絡手段は今のまま変えません。電話もLINEも受け続けて、店の中の反映だけを1本にする想定です。

02

減った分の扱いが
その場の空気から、金額を見て決める形へ。

Before前日に3名減。いただくかどうかを幹事さんの顔を見て決め、判断の根拠も結果も記録に残らなかった。
After「お造り3人分はもう引いてある」が金額で出る。いただく・今回は飲み込むのどちらを選んでも、記録として残る。

請求を厳しくする仕組みにはしません。変わるのは、飲み込むと決めた分が記録に残ることだけ。締切の引き直しは、その記録を何ヶ月か見てから決めます。

03

読みが担うのは、残った席の分だけ。
それが画面に出ている。

Before「AIで来客を読む」と言われても、当たったか外れたかの話にしかならず、仕込みも発注も結局いつも通りだった。
Afterその日の客数のうち確定が何割・読みが何割かが画面で分かれ、読みが広い日だけ当日足せる形で構えられる。

読みの範囲が狭い日ほど、外れても被害は小さい。精度を上げる前に、まず確定を使い切って範囲を狭める設計です。

PROCESS

3ヶ月の進め方

札幌市内なら店舗へ伺い、道外はオンラインで進めます。設計 → 開発 → 納品を3ヶ月の想定。月の区切りごとに、実際に触って確かめられるものをお渡しし、現場の感想を翌月の作業に反映します。

1
MONTH 01 / 業務ヒアリング + 締切の逆算

「うちは、どの品を何時まで戻せるのか」を書き出す月。

宴会コースの品を一つずつたどって、市場への発注・仕込み・火入れがそれぞれ何時に始まるかを聞き取ります。そこから品ごとの「戻せる期限」を逆算し、いまの予約ページに書いてある締切とのずれを一覧にします。予約がどの経路で入り、どこで人数が動くかも、この月に洗い出します。

  • 宴会コースの品ごとの工程・発注リードタイムの聞き取り
  • 品別の「戻せる期限」の逆算と、現行の締切とのずれの整理
  • 予約の受付経路(電話・LINE・ネット予約)の棚卸し
  • 日繰りボードと予約台帳の下書き
2
MONTH 02 / 予約台帳の開発 + 読みの試作

台帳を形にして、残った席の読みを試す月。

予約台帳・日繰りボード・人数変更の画面を開発します。並行して、過去の売上と予約の記録から「予約で埋まっていない席にフリー客が何組入るか」を試作。ここでも精度の点数は追わず、確定分とフリー分がきちんと分かれて出るかを先に確かめます。読みが薄い時期は幅を広めに出す設計にします。

  • 予約台帳・日繰りボード・人数変更画面の開発
  • 品別の戻せる期限と、戻らない金額の計算ロジック
  • 確定分/フリー分に分けた客数の読みの試作
  • 動くサンプルで店主・厨房と内部デモ
3
MONTH 03 / 並走 + 納品

いまの予約ノートと2週間並走させて、店に馴染ませる月。

予約ノートをやめずに、同じ内容を台帳にも入れて2週間走らせます。締切の時刻が現場に合っているか、厨房の仕込み表がそのまま使える並びかを直し、タブレットの置き場所と文字の大きさも現場に合わせます。締切の引き直しをどう決めるか、記録をどう見返すかまで引き継いで納品します。

  • 予約ノートとの並走検証(2週間)
  • 締切時刻・仕込み表の並びの手直し
  • 減った分の扱いを決める運用ルールの言語化
  • 納品 + 癖の記録の見返しかたの引き継ぎ

FAQ

よくある質問

  • Q1 AIの需要予測を入れたくて相談したいのですが、これは予測の話ではないのでは?
    予測の手前の話です。そして多くの場合、こちらを先にやったほうが金額が動きます。宴会や予約で席が埋まる店は、その日の売上の大半がすでに決まっています。決まっている数字が予約ノートと厨房と発注メモで食い違っているうちは、読みの精度を上げても仕込みは変わりません。確定を使い切って、読みが担う範囲を狭めてから予測を当てる。この順番をおすすめしています。もちろん、予約が少なくフリー客が中心の店なら、最初から来客予測の側から入ります。
  • Q2 予測の精度はどのくらい出ますか?
    精度の数字はお出ししないようにしています。同じ「8割当たる」でも、予約で7割が埋まっている金曜と、ほぼフリー客の火曜では、外したときに動く金額がまるで違うからです。うちがお見せするのは2つ。その日の客数のうち何割を読みが担っているかと、外した日にどれだけ食材が戻らなかったかです。当てにいく設計というより、外れても仕込みが痛まない構え方の設計だと考えてください。
  • Q3 ぐるなびやホットペッパーからのネット予約も取り込めますか?
    予約サービス側でCSVの書き出しやメール通知が使えるなら、そこから台帳へ流し込む形を検討します。連携が難しいサービスもあるので、その場合は通知を見て台帳に一件入力する運用から始めます。入力を増やすように見えますが、いまも予約ノートと厨房のホワイトボードに二度書きしているはずなので、回数としてはむしろ減る想定です。予約サービスの契約はそのまま続けていただけます。
  • Q4 変更の締切を厳しくしたら、お客さんが離れませんか?
    締切を厳しくするための仕組みにはしません。変更の連絡は今までどおり受けます。変わるのは、受けた瞬間に「お造りの3人分はもう引いてあります」と店側が把握できることだけです。そのうえで、いただくか今回は飲み込むかは店主が決めます。むしろ、飲み込んだ分が記録として貯まるので、「この幹事さんには毎回2人分を飲み込んでいる」といった話が数字で見えるようになります。締切を引き直すかどうかは、その記録を見てから決めれば十分です。
  • Q5 予約管理システムをすでに使っています。入れ替えが必要ですか?
    入れ替えは前提にしません。いま使っているものが席の予約と台帳として回っているなら、そこは残したまま、足りていない部分だけを足す形が現実的です。品ごとの戻せる期限、厨房の仕込み表への反映、確定とフリーの分け方。この3つですね。最初の月に、いまの道具でできていることとできていないことを一覧にして、作る範囲をそこで一緒に決めます。

需要予測の前に、もう決まっている人数を使い切る。

3週間前に受けた25名が、当日の夕方に22名になる。
その3人分が戻るのか戻らないのかは、うちの店の工程を逆算すれば決まります。
宴会の人数管理から、残った席に当てる読みまで、ひとつの窓口でお手伝いします。