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AIの基礎・活用

AIエージェントとは?

AIエージェントは、頼まれた目標に向けて作業の手順を自分で決め、予約システムやメールなどの道具を使って進めるAIのしくみです。答えを返すチャットのAIと違い、操作まで行う点が特徴です。任せる前に、触ってよい範囲と人が確かめる場面を決めておきます。

この記事でわかること

  • AIエージェントの定義は会社によって違います。総務省の情報通信白書(令和7年版)は、目標や指示に対して自動的に作業を決めて実行する機能をもつものが、そう呼ばれる傾向にあると説明しています。
  • チャットのAIは答えや文章を返し、操作は人が行います。AIエージェントは、空席の確認から予約の確定のように、ほかのシステムを使った操作まで続けて行えます。
  • 操作まで任せる分、人が意図しない注文やファイル削除、外からの不正な指示による情報の持ち出しといった危険があると、AI事業者ガイドラインは挙げています。
  • 任せる前に、AIが触ってよいシステムとデータ、人が確かめてから進める場面、操作の記録を見る人を決めます。
  • 手順が毎回同じ作業なら、決まった手順の自動化で足りることもあります。まず作業の手順を書き出してから選びます。

AIエージェントとは何か

「AIエージェント」という言葉に、決まった一つの定義はありません。総務省の情報通信白書(令和7年版)は、定義は開発企業によって異なるとしたうえで、設定された目標や言葉で与えられた指示に対して、自動的に作業を決め(必要に応じて細かく分け)、処理を実行する機能をもつものが、AIエージェントと呼ばれる傾向にあると説明しています。

総務省と経済産業省が令和8年3月31日に公表したAI事業者ガイドライン(第1.2版)は、このガイドラインでの定義として「特定の目標を達成するために、環境を感知し自律的に行動するAIシステム」と書いています。ここでの自律は高度なものだけでなく、ある程度の自律性をもつものも含むと注記されています。

つまり、人が一つずつ指示しなくても、目標に向けて次に何をするかをAIが決めて動くしくみ、と考えると分かりやすくなります。

チャットのAIと何が違うか

文章を作る生成AIに質問すると、答えや下書きが返ってきます。その答えを見て、予約を入れる、メールを送る、表に転記するといった操作をするのは人です。

AIエージェントは、この操作の部分まで行います。AI事業者ガイドラインの別添は、システム例の一つに、利用者の希望に合う旅行先とフライトを提案し、外部の予約システムと連携して空席確認・便選択・予約確定まで続けて行うサービスを挙げ、質問に答える型のAIとの違いとして説明しています。

生成AIを提供するAnthropic社の技術記事(2024年12月)は、もう一段細かく分けています。AIと道具を、あらかじめ決めた手順どおりにつなぐものを「ワークフロー」、どの道具をどの順で使うかをAI自身が決めるものを「エージェント」と呼び、どちらも含めて「エージェント的なシステム」としています。製品の名前にエージェントと付いていても、中身が決まった手順の自動化であることもあります。

小さな会社での使い方のアイデア

次は、当社が考えた使い方の例です。導入事例ではありません。どれも、最後の確定や送信は人が行う形にしています。

問い合わせへの返信の下書きを、調べものから作る

問い合わせメールを読んで、予約表や在庫表を確かめ、空き状況を入れた返信の下書きを作ります。送信は担当者が内容を確かめてから押します。

届いた書類を読み、表に転記して足りない項目を挙げる

メールに添付された注文書や請求書を開き、日付・品名・金額を管理表に書き写します。読み取れなかった項目や、過去の取引と金額が違う行は一覧にして人に回します。

打ち合わせの候補日を探して、案内文を用意する

社内の予定表から、参加者全員の空いている時間を探し、候補日を並べた案内文を作ります。予定表への登録は、相手の返事を受けて人が行います。

操作まで任せるときの注意点

AI事業者ガイドライン(第1.2版)の別添は、AIエージェントの場合、自律的な動作の中で人が意図しない商品の注文やファイルの削除などを行う可能性があると書いています。答えを返すだけのAIなら人が読んだ段階で止められる誤りも、操作まで任せると実際の注文や削除になって残ります。

同じ別添は、AIエージェントが外部のシステムやクラウドサービスと自動で連携する過程で、弱点を突いた攻撃などによって動きが不正に操作され、社内のデータが意図せず外部に送られるおそれも挙げています。読み込んだメールやWebページの文章に、AIへの指示が紛れ込む場合も考えておきます。

Anthropic社の技術記事も、エージェントは自律的に動く分、費用が高くなりやすく、途中の誤りが積み重なるおそれがあるとして、本番から切り離した環境で十分に試し、適切な制限を設けるよう勧めています。

任せる前に決めておくこと

AI事業者ガイドラインは、AIエージェントを提供する側に向けて、連携してよい道具やシステムをあらかじめ決めて制限すること、人の判断を挟むしくみを作ることを挙げています。使う側に向けては、操作履歴や入力・出力の記録を管理する体制を整えること、出力によって大きな影響が出る場合は人の判断を挟むしくみに沿って判断することを求めています。

小さな会社なら、次の3つを紙に書いておくところから始められます。項目の選び方は当社の作成例です。

AIが触ってよいシステムとデータ

予約表は見るだけ、在庫表は見るだけ、下書きフォルダには書いてよい、のように、システムごとに見る・書く・送るのどこまでを許すかを決めます。作業に要らないデータには触れさせません。

人が確かめてから進める場面

お金が動く操作(注文・支払い・返金)、社外への送信、データの削除は、AIが用意したところで止め、人が確かめてから確定します。

操作の記録を見る人と頻度

AIが何を読み、何を操作したかの記録が残るサービスを選び、週に1回など見る人と頻度を決めます。おかしな操作に気づいたときの連絡先も書いておきます。

エージェントにするか、決まった手順で十分か

Anthropic社の技術記事は、まずできるだけ単純な方法を探し、必要なときだけ複雑にするよう勧めています。エージェント的なシステムを作らないことも選択肢で、多くの用途では、資料や例を添えてAIに1回問い合わせる形を工夫すれば足りるとしています。

作業の手順を書き出してみて、毎回同じ順番で進むなら、決まった手順の自動化で足ります。問い合わせの内容によって調べる先が変わるなど、手順を事前に決めきれない作業が、エージェントを検討する対象です。

社内の資料をもとに答えさせたいだけなら、社内の資料をもとに答えるAI(RAG)の方が近いこともあります。AIの種類の違いは機械学習と生成AIは何が違う?で、社員が使うときのルールは社員が生成AIを使い始めたら、何を決めておく?で整理しています。

この記事を書いた人

立石伊吹代表取締役 / DX・AIアドバイザー

北海道札幌市を拠点に、業務アプリやAIの開発を行っています。北海道内は直接うかがい、道外はオンラインで対応しています。専門用語を使わず、相手の言葉で話すことを大事にしています。

どこまでAIに任せられるか、作業の手順から一緒に整理します。

AIエージェントが気になるが、自社のどの作業に合うか分からない。そんな段階でも相談できます。資料や仕様の提出は要りません。いまの作業の流れを聞きながら、決まった手順の自動化で足りるか、AIに判断させる部分があるか、人が確かめる場面はどこかを一緒に考えます。

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