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同窓会アプリを作る前に、事務局が決めておく3つ

一度きりの集まりの出欠なら、無料の連絡手段で足ります。名簿・会報・総会案内を毎年回している同窓会がアプリを作るなら、先に決めるのは名簿の同意の範囲、案内の届け方、ストアに出す名義の3つです。大学・高校の同窓会の役員と事務局の方に向けて書きました。

この記事でわかること

  • 同窓会は営利・非営利を問わず、会員名簿を検索できる形で会の運営に使っていれば個人情報保護法の個人情報取扱事業者です。個人情報保護委員会の資料が自治会・同窓会を名指しで挙げています。
  • 会員同士が名簿を見られる機能は、名簿に載る本人以外への提供なので第三者提供にあたります。事前に本人の同意が要り、同意の無い会員の情報は出さない設計にします。
  • 通知はアプリを入れた会員にしか届きません。郵便は2024年10月の改定で定形が110円、はがきが85円になり、封書を減らせる量は入れた会員の割合で決まります。
  • ストアに組織の名義で出すには、Appleは契約を結べる法人であることとD-U-N-S番号を求めています。年会費は99米ドルで、任意団体のままなら名義をどうするかを最初に決めます。
  • 費用は会員数より載せる機能の数で決まります。お知らせと通知に絞れば小さく始められ、公開までの期間は3ヶ月前後が目安です。

幹事の1回きりなら要らない。事務局が毎年回すなら検討する

「同窓会 アプリ」で探している方は2種類います。卒業して何年かの節目に1回集まる幹事と、大学や高校の同窓会組織で名簿・会費・会報を毎年回している事務局です。前者にアプリは要りません。出欠と会場の連絡は、参加者が普段使っている無料の連絡手段で済み、終われば解散です。

後者は毎年同じ作業が続きます。住所変更の受付、総会と行事の案内、会報の発送、会費の納入のお願い。会員が増えるほど、届かない案内と戻ってくる封書が増えます。アプリで変わるのは、この「届ける」と「受け付ける」の2つです。

当社が開発した天使大学同窓会の公式アプリは、お知らせと行事の案内をスマホの通知で届けることを軸に、詳しい情報は先に制作した公式ホームページに置く形にしました。名簿の検索や会費の決済は載せていません。最初に載せる範囲を絞った例として、後の費用の話でも触れます。

名簿をアプリに載せる前に、同意の範囲を確かめる

同窓会は個人情報保護法の対象です。第16条第2項は、個人情報データベース等を事業の用に供している者を個人情報取扱事業者と定めていて、営利か非営利かは問いません。個人情報保護委員会のQ&A(Q1-54)は、NPO法人や自治会・町内会、同窓会、PTAも該当し得ると答えています。会員名簿をExcelで持っていれば、すでにこの対象です。

アプリにすると変わるのは、名簿を誰が見るかです。事務局だけが見る名簿なら、紙やExcelのときと義務は同じで、利用目的の特定(第17条)と安全管理措置(第23条)を続けます。会員同士が名簿を検索できる機能を付けると、名簿に載る本人以外の会員へ個人データを渡すことになり、第27条第1項の第三者提供にあたります。個人情報保護委員会の「自治会・同窓会等向け 会員名簿を作るときの注意事項」は、会員に名簿を配ることを原則として第三者提供と説明し、あらかじめ本人の同意を得るよう求めています。

同意は取り直しが要る場合と要らない場合があります。同じ資料は、以前に名簿を作った際に利用目的を伝えて第三者提供の同意を得ている会員については改めて何かする必要は無いとし、一方で「災害時の連絡のため」に取った連絡先を「イベントの告知」に使うのは関連性が認められず、本人の同意が要るとしています。紙の名簿を配ってきた同窓会がアプリで同じ項目を同じ会員に見せるなら前者、住所変更の受付のために取った連絡先を会員同士の検索に開くなら後者です。

同意が取れない会員が出たときの扱いも、同じ資料に例があります。同意が得られた項目はそのまま、得られなかった項目は隠してから配る、という方法です。アプリなら会員ごとに公開する項目を持たせれば、この処理を毎回手でやらずに済みます。設計の時点で本人が公開範囲を選べる形にしておくと、同意の記録も一緒に残ります。

事務局だけが見る名簿

役員は法の「従業者」にあたり、事務局として監督が要ります(第24条)。開発会社や印刷会社は委託先で、名簿の持ち出し禁止や返却の条件を書面で渡し、扱いを確認します(第25条)。委託は第三者提供ではないので、会員の同意は要りません(第27条第5項第1号)。

会員同士が見られる名簿

第三者提供です。取得の画面に利用目的を明示し(第21条第2項)、公開に同意した項目だけを出します。会報に入退会の情報を載せることも同じ扱いで、原則として本人の同意が要ります。

通知は入れた人にしか届かない。紙と併用して割合を測る

案内を郵便で送る費用は上がっています。総務省の資料では、2024年10月の改定で25グラム以下の定形郵便物は84円から110円に、通常はがきは63円から85円になりました。内国郵便の物数は平成13年度の262億通から令和4年度の144億通へ45.0%減っていて、値上げの背景はこの減少です。想定例として、会員1,000人に年2回封書を送る同窓会なら、切手代だけで年22万円です。

アプリの通知に切り替えて減るのは、アプリを入れた会員に送る分だけです。入れていない会員には紙を送り続けることになるので、最初の1年は紙と通知の併用になります。効果を測る数字は「会員のうちアプリを入れた人の割合」で、これが上がった分だけ封書が減ります。

通知で変わるのは費用より届き方です。ホームページは見に来てもらえたときにしか情報が届きません。通知は向こうから届くので、行事の申込み締切のように日付のある案内で差が出ます。天使大学同窓会のアプリでこの点を軸にしたのは、案内の内容より、届くきっかけを作ることが先だったからです。

LINE公式アカウントで足りる同窓会もあります。年に数回のお知らせを送るだけで、会員の多くがLINEを使っているなら、そちらが早く始められます。アプリにする意味が出るのは、卒業年次や支部で送り分けたい、出欠の受付を案内と同じ場所で済ませたい、名簿の更新を本人にしてもらいたい、のどれかがあるときです。

ストアに出す名義と、毎年かかる費用

iPhoneのアプリを配るにはApple Developer Programへの登録が要り、年会費は99米ドルです。Appleの登録案内は、組織として登録する場合にAppleと契約を締結できる法人であることを求めていて、屋号や通称、支店名での登録は認めていません。あわせてD-U-N-S番号、組織のドメインのメールアドレス、公開されているWebサイトが要ります。

非営利団体向けの年会費の免除制度はありますが、Appleの案内で認定機関として挙がっているのは米国、EU、中国本土で、日本の団体向けの記載はありません。同窓会が免除を前提に費用を組むのは避け、年会費はかかるものとして見ておきます。

法人格の無い任意団体で運営している同窓会は多いはずです。その場合、誰の名義でストアに出すかが最初の決めごとになります。同窓会を法人にするのか、母体の学校法人に頼むのか、別の形にするのか。ここが決まらないと開発に入っても公開できません。Google Playにも初回の登録料があり、こちらも本人確認と組織の確認が要ります。

公開後は、iPhoneとAndroidのOSが毎年更新されるのに合わせた作業が続きます。年会費と合わせて、毎年の費用として最初に見ておいてください。

費用と期間。見積もりの前に決める3つ

費用は会員の人数ではなく、載せる機能の数で決まります。お知らせと行事の案内を通知で届けるだけの構成がいちばん小さく、出欠の受付、会員自身による住所変更、名簿の検索、会費の管理の順に増えます。天使大学同窓会のアプリは最初の構成に絞り、公開までの期間は3ヶ月前後を目安にしました。総会や周年行事に合わせるなら、ストアの審査が一度で通らないこともあるので、その日から逆算して始めます。

見積もりの前に決めることは3つです。

載せる範囲の線引き

お知らせと通知だけか、出欠や住所変更まで入れるか。会費の決済をアプリ内で扱うかは、決済の手数料とストアの審査条件が絡むので、最初の範囲に入れるかを別に決めます。

ストアに出す名義

同窓会の法人格の有無と、D-U-N-S番号を取る主体。ここは開発と並行できないので、いちばん先に着手します。

名簿の同意の状態

いま持っている名簿が、どの利用目的で、誰への提供に同意を得たものか。会員同士の検索を載せるなら、同意の取り直しが要る会員の数がここで分かります。

当社に相談する場合の進め方

この3つを整理してから、お知らせと通知だけの構成と、出欠や名簿まで入れた構成の2案を金額付きで出し、そこから削る相談をします。初回の相談と概算の見積もりは無料です。契約で確かめる点は札幌でアプリ開発を依頼する前ににまとめています。

まとめ

同窓会は会員名簿を持った時点で個人情報取扱事業者です。事務局だけが見る名簿なら義務は紙のときと同じで、会員同士が見られる機能は第三者提供にあたり、本人の同意が要ります。

通知はアプリを入れた会員にしか届かないので、最初の1年は紙と併用し、入れた会員の割合で効果を測ります。ストアに組織名義で出すには法人であることが求められ、年会費は毎年かかります。

次にやることを1つ挙げます。いまの会員名簿を作ったとき、会員に何と説明して同意を取ったかを、入会申込書か会則で確かめてください。「会員に名簿を配る」と書いてあるかどうかで、アプリに名簿を載せられる範囲が決まります。

よくある質問

卒業何年かの節目に1回集まる同窓会の幹事です。アプリを作る意味はありますか。

ありません。一度きりの集まりの出欠と会場の連絡は、参加者が普段使っている無料の連絡手段で足り、終われば解散です。ストアに出すには年会費と法人の名義が要るので、1回の集まりのために作ると費用だけが残ります。この記事は、名簿と会報を毎年回している同窓会の事務局に向けたものです。

紙の名簿を会員に配ってきました。アプリで同じ名簿を見せるなら、同意は取り直しですか。

同じ項目を同じ範囲の会員に見せるなら、個人情報保護委員会の資料は改めて何かする必要は無いとしています。項目を増やす、見せる相手を広げる、別の目的で取った連絡先を載せる、のどれかがあれば同意が要ります。取り直す会員の数を先に数えておくと、公開の時期に間に合うかが分かります。

会費の集金もアプリでできますか。

できますが、最初の範囲からは外すことを勧めています。決済を載せると手数料と審査の確認事項が増え、会費の納入状況は名簿と結びつけて管理する必要があるからです。まずお知らせと通知で会員にアプリを入れてもらい、入れた割合が上がってから会費の機能を足すほうが、費用を段階に分けられます。

この記事を書いた人

立石伊吹代表取締役 / DX・AIアドバイザー

北海道札幌市を拠点に、業務アプリやAIの開発を行っています。北海道内は直接うかがい、道外はオンラインで対応しています。専門用語を使わず、相手の言葉で話すことを大事にしています。

会員名簿を作ったときの同意の文言を、確かめてみてください。

会報の戻りが増えている。総会の案内が届いているか分からない。名簿をアプリに載せてよいのか判断がつかない。そんな状態でしたら、いまの入会申込書と会則、会員数、年に送っている郵便の回数を教えてください。お知らせと通知だけの構成で足りるのか、名簿や出欠まで入れるのかを切り分け、ストアに出す名義の決め方まで一緒に整理します。北海道内なら事務局に伺います。

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