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需要予測・AI

小売店の来店数は何を見れば見込めるか。レジの客数・曜日・天気の順に見る

見るのは3つです。自分の店のレジに残る日ごとの客数、曜日、天気。国の統計に来店数の項目は無く、店の記録が唯一の材料になります。この3つを何日先まで使えるかで、発注と人の配置の組み立てが変わります。個人店から数店舗の小売店の経営者向けに整理しました。

この記事でわかること

  • 来店数の記録は自分の店のレジにしかない。経済産業省の商業動態統計が毎月集めるのは販売額・従業者数・売場面積・営業日数で、客数の項目は無い
  • 曜日の波は、直近の同じ曜日を4〜8週ぶん並べれば見える。祝日と特売の日は別に分けて、自店の記録で確かめる
  • 天気の予報が使えるのは、雨なら7日先、気温の傾向なら12日先まで。それより先は30年平均の平年値と、去年の同じ時期の記録で見込む
  • 前日の発注、1週間先のシフト、1か月先の仕入れ計画で、使える材料が違う。見込みは幅で持ち、上側と下側のどちらを取るかは店の人が決める
  • Excelの4列から始められる。仕組みにする費用は、どの判断に使うか・レジからCSVを出せるか・何日先まで要るかの3つで決まる

来店数の記録は、自分の店のレジにしかない

経済産業省が毎月、全国の約26,500の事業所・企業から集めている商業動態統計で、百貨店・スーパーに聞いている項目は、商品販売額、商品券販売額、期末の商品手持額、月末の従業者数、売場面積、月間営業日数です。客数はありません。地域や業態の来店数を国の統計から引いてきて自分の店に当てる、という道は最初から無いことになります。

材料は自分の店のレジにあります。日ごとの会計の回数が、その店の来店数の記録です。レジやPOSの売上集計に客数や会計回数の欄があれば、それを日別に書き出します。まずやることは、日付と客数の2列を、さかのぼれるだけさかのぼって1枚に出すことです。売上より客数で見るのは、単価の上下と人の出入りを分けるためです。

客数を集計していないレジでも、レシートの通し番号や会計回数から数えられます。今日から数え始めても、3か月あれば曜日の波は見えてきます。当社の需要予測AI「EvoQuest Iramepakari」も、必要なのは日付と数量の2列だけで、3か月分ほどから試せる作りにしています。

曜日の波は、直近の同じ曜日を4〜8週ぶん並べれば見える

2列が出たら、曜日を1列足して、同じ曜日を縦に並べます。直近4週から8週の月曜だけ、火曜だけを並べると、その店の1週間の形が出ます。平均だけで終わらせず、いちばん多かった週と少なかった週の数も残しておきます。この上下の差が、あとで見込みの「幅」になります。

祝日は曜日から外して別に並べます。祝日の来店は平日と同じ形になるとは限らないので、平日の平均に混ぜると平日の見込みがずれます。特売や催事の日も別にします。店が自分で動かした日は、普段の波の材料にしません。月初や月末、特定の日付に山があるかどうかも、世間で言われる傾向をそのまま当てはめず、自分の店の数字で確かめて、無ければ無いと決めます。

同じ曜日を縦に並べる

直近4〜8週ぶん。平均と、多かった週・少なかった週の3つの数を残す。

祝日は別の列にする

曜日の平均に混ぜない。祝日だけを並べて、その店での向きを見る。

特売・催事の日も別にする

店が動かした日は普段の波に入れない。効果を測る材料として別に取っておく。

天気は7日先まで、気温の傾向は12日先まで。それより先は平年値

気象庁の予報は、先の日ほど種類が変わります。今日・明日・明後日は府県天気予報で、毎日5時・11時・17時に出ます。翌日から7日先までは週間天気予報で、毎日11時ごろと17時ごろです。8日先から12日先を中心とした気温は「2週間気温予報」で、日ごとではなく5日間の平均を、毎日14時30分ごろに出します。

週間天気予報には、3日目以降の雨の予報に信頼度A・B・Cが付いています。気象庁の説明では、Aは雨の有無の適中率が平均88%で、翌日に予報が変わる割合が1%。Bは73%と6%、Cは58%と16%です(2014年12月までの5年間の検証)。信頼度Cの日の「雨」で発注を減らすかどうかは、外れたときの損と比べてから決めることになります。

北海道地方の2025年の年集計では、週間天気予報の雨の有無の適中率は3日目で77%、7日目で69%でした。最高気温の予報誤差は明後日で1.7℃、7日目で2.6℃です。7日先の天気は、参考にはできるが、それだけで発注量を大きく振らない、くらいの重みで扱います。

日ごとの天気予報は7日先で終わり、気温の傾向も12日先までです。その先は1か月予報などの季節予報になり、期間全体の気温が「低い・平年並・高い」のどれになるかを確率で示すだけです。そこで使うのは平年値です。平年値は1991年から2020年の30年間の観測の平均で、10年に1回更新されます。気象庁の「過去の気象データ検索」で、店の近くの観測地点の日ごとの平年値と、去年・一昨年の同じ日の実際の天気を無料で見られます。

3日先まで

府県天気予報。毎日5時・11時・17時。翌日の発注に使う。

7日先まで

週間天気予報。毎日11時ごろ・17時ごろ。3日目以降は信頼度A・B・Cを見る。

12日先まで

2週間気温予報。5日間平均の気温と、およそ80%の確率で収まる予測範囲。

それより先

平年値と、去年の同じ時期の自店の記録。日ごとの天気予報は無い。

前日の発注・来週のシフト・来月の仕入れで、使える材料が違う

来店数を見込む場面は、決める日から営業日までの日数で3つに分かれます。前日に決める日配品や生鮮の発注は、曜日の波と明日の天気予報を両方使えます。材料がいちばんそろう場面です。

1週間先のシフトは、曜日の波が主で、天気は信頼度AかBの日だけ足す形になります。7日先の雨の適中率が7割前後ということは、10日のうち3日ほどは外れる計算です。人数を雨を前提に減らすより、雨なら早上がりできる組み方にしておくほうが損が小さくなります。

2週間から1か月先の仕入れ計画や棚割は、天気予報が無いので、曜日の波と平年値、去年の同じ時期の自店の記録で組みます。ここで出るのは1つの数ではなく幅です。当社の需要予測AI「EvoQuest Iramepakari」が28日先までを幅つきで出すのは、この場面で使うためです。幅の上側で仕入れるか下側で仕入れるかは、次の章の損の大きさで店の人が決めます。

前日に決めること

日配品・生鮮の発注。曜日の波と明日の天気予報。

1週間前に決めること

シフト。曜日が主で、天気は信頼度A・Bの日だけ足す。

2〜4週間前に決めること

仕入れ計画・棚割・催事の量。曜日と平年値と去年の同じ時期。

DEMO

何日先を見込むかで、使える材料と幅がどう変わるか

決める日から営業日までの日数を動かすと、その時点で使える予報の種類と、見込みの幅、発注と人数への当てはめがどう変わるかを試せます。

来店数の見込み|何日先かで材料が変わる

架空の小売店(1日の客数が400人前後)を例に、何日先の営業日かを1〜28日で動かします。7日以内は天気の見込みを選べ、8日先からは平年の天気で計算します。幅の上側・下側のどちらを取るかも切り替えられます。

触って動かせます
触れるところ
何日先か(1〜28日)、曜日、天気の見込み(7日以内のみ)、幅のどこを取るかの4つ。
材料の切り替わり
3日先までは府県天気予報、7日先までは週間天気予報、12日先までは2週間気温予報、その先は平年値と去年の同時期に切り替わります。
判断への当てはめ
見込みの客数から、日配品の発注数とレジに立つ人数の目安を出します。上側・下側を切り替えると数が変わります。

※ 画面の店・客数・雨や雪で減る割合・幅の広がり方はすべて架空の例です。予報の種類と発表時刻は気象庁の公表内容にもとづいていますが、実際の導入では店の過去の記録から店ごとの波と幅を出します。

外れた日に何が起きるか。食品小売業の食品ロスは年48万トン

農林水産省の推計(令和6年度)では、日本の食品ロスは年間461万トンで、そのうち事業系が237万トン、食品小売業が48万トンです。外食産業の70万トン、食品製造業の110万トンと並ぶ量で、多めに見込んで売れ残った分の一部がここに入ります。逆に少なめに見込んで棚が空けば、売上が立たないうえに、空いた棚を見て帰ったお客さんはどこにも記録されません。

だから見込みは幅で持ち、上側と下側のどちらを取るかを品目ごとに決めます。日持ちしない品は下側に寄せて欠品を許し、日持ちする品は上側に寄せて売り切る。この決めは店ごとに違うので、機械に任せず店の人が決めます。予測が出すのは幅と期限で、決めるのは人です。

外れた日は、理由を1行だけ残します。雪、近くの催し、臨時休業、特売の反動。理由が付いた外れは次の見込みの材料になり、理由の無い外れが続くなら、見ている材料が足りない合図です。

Excelの4列から始めて、仕組みにする費用は何で決まるか

最初はExcelで足ります。日付、客数、曜日、天気の4列を作り、曜日ごとに並べ替えて平均と上下を見る。天気は気象庁の過去データから、雨か雪かの1列で十分です。ここまでで、曜日の波と、雨の日にどれだけ減るかは分かります。

手作業が追いつかなくなるのは、品目や店舗が増えたときと、何日先までを毎日更新したくなったときです。そこで仕組みに移すなら、費用は3つで決まります。どの判断に使うか(発注か、人の配置か、仕入れ計画か)、レジからCSVを出せるか、何日先まで要るか。この3つが決まれば見積もれます。

当社の費用は、初回相談とデータの確認が0円、その先のコンサルティングが月5万円から、個別の開発は内容により数百万円規模になる場合があります。既製の仕組みで足りるなら、Iramepakariのように、CSVを入れて予測を出す形が最短です。中小企業のデジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)の通常枠は在庫管理システムなどのITツールが対象で、事務局に登録されたツールを、登録されたIT導入支援事業者と組んで申請する仕組みです。使えるかどうかは、導入するツールが登録されているかで決まります。

Excelで足りる範囲

1店舗で、主要な品目と、曜日と天気の2つの要因まで。

仕組みに移す合図

品目や店舗が増えた。毎日更新したい。幅を毎回手で計算したくない。

費用を決める3つ

使う判断、レジからCSVが出るか、何日先まで要るか。

まとめ

来店数の材料は自分の店のレジの客数です。国の統計に客数の項目は無いので、日付と客数の2列を出すところから始めます。

曜日の波は自店の記録で見えます。天気は雨で7日先、気温で12日先まで予報が使え、その先は平年値と去年の同じ時期で見込みます。見込みは幅で持ち、上側・下側は品目の日持ちで店の人が決めます。外れた日は理由を1行残します。

次にやることは1つです。レジから直近3か月の日別の客数をCSVで出し、曜日の列を足して同じ曜日を並べてみてください。需要予測の解説記事の一覧には、発注量やシフトの決め方を同じ考え方で整理した記事があります。

よくある質問

来店予測と来客予測は違うものですか?

どちらも「来る人の数を見込む」ことで、小売では来店数・来店客数、飲食では来客数と呼ぶことが多いだけです。違いが出るのは使い道で、小売は発注と棚、飲食は仕込みと予約に結びつきます。飲食店の場合は、予約と仕込み量を軸に整理した飲食店の来客予測の記事のほうが当てはまります。

客数を集計していないレジでも始められますか?

始められます。レシートの通し番号や会計回数を日ごとに控えれば、それが客数の記録になります。今日から数え始めても、3か月分あれば曜日の波は見えます。1年分あると、季節の増減まで見込みに入れやすくなります。

何日先まで見込みに意味がありますか?

天気を織り込めるのは雨で7日先、気温で12日先までです。それより先は曜日の波と平年値、去年の同じ時期の記録で見込むことになり、1つの数より幅で見ることになります。当社の需要予測AI「EvoQuest Iramepakari」が28日先までを幅つきで出すのは、仕入れ計画や催事の量のように、2〜4週間前に決める場面のためです。

雪の多い地域では、天気のほかに何を見ればいいですか?

気象庁の「早期天候情報」です。6日先から14日先までの期間で、その時期としては10年に1度くらいしか起きない大雪や高温・低温になる確率が30%以上と見込まれたときに、月曜と木曜の14時30分ごろに地方ごとに出ます。大雪の情報は11月から3月に日本海側を中心とした地域が対象です。出たときに仕入れをどうするかを、あらかじめ店で決めておくと使えます。

この記事を書いた人

立石伊吹代表取締役 / DX・AIアドバイザー

北海道札幌市手稲区の会社です。北海道内は直接うかがい、道外はオンラインで対応しています。専門用語を使わず、相手の言葉で話すことを大事にしています。

レジの客数を3か月ぶん見せてもらうところから。

発注を前日の勘で決めていて、雨や祝日のたびに余りと欠品を繰り返している。来月のシフトや仕入れ計画を立てたいが、去年の数字がレジの中にあるだけで見返していない。見込みは要るが、システムに数百万円は出せない。そのどれかに当てはまるなら、レジから出したCSVを1本お預かりして、曜日と天気の波が見えるかを確かめるところから始められます。北海道内は訪問、道外はオンラインで対応します。

レジのCSVで波が見えるか確認する (新しいタブで開きます)

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