EvoQuest
EvoQuest AI売れ行き予測AI 2026.08

SCENARIO ── CHOKUBAIJO RESTOCK CASE

人気の品は、昼すぎに売り切れる。
午後のお客さんは、空いた棚を覚えて帰る。

出品者92名、4月下旬から11月まで営業する札幌近郊の農産物直売所を想定します。販売は委託で、値付けは出品者、売れ残りは出品者が閉店後に引き取ります。夏の週末は開店前から車が並び、とうきびもミニトマトも昼すぎには売り切れる。それなのに午後の棚は空いたままで、夕方に来たお客さんは手ぶらで帰ります。補充を頼む電話は、棚が空いてから。畑からの持ち込みには1〜2時間かかるので、着いたころには閉店まで売り切れません。品目ごとに閉店までの売れ行きを幅で予測し、11時に補充依頼を確定して出品者のスマホへ送る売れ行き予測AIを、EvoQuestはこう設計します。

想定領域
売れ行き予測AI / 直売所の業務改善
担当範囲
要件整理・予測AI設計・画面設計・実装(出品者向けスマホ画面まで)
想定対象
出品者50〜150名規模の農産物直売所・道の駅の直売コーナー
想定期間
設計〜納品 約 3 ヶ月(収穫の最盛期に並行運用)

OVERVIEW

プロジェクト概要

直売所と売り切れで検索して出てくるのは、出品者向けの「午後にも納品しましょう」という出荷のコツの記事、直売所向けPOSレジの紹介、それに行政の運営マニュアルです。直売所向けのPOSには、売れた数を出品者の携帯へ知らせる売上速報メールの機能があり、使っている店も多い。足りないのは、その先です。速報メールが知らせるのは「ここまで売れた数」で、畑にいる出品者がそこから「今から持って行けば閉店までに売り切れるか」を判断するのは難しい。判断は人によって割れ、人気の品目に補充が重なる日と、誰も来ない日ができます。

店側の打ち手も、棚が空いてからの電話です。畑で収穫と袋詰めをして運ぶと、届くのは1〜2時間あと。14時に頼んだ補充は15時すぎに着き、17時の閉店までに売り切れずに残ります。委託販売では売れ残りは出品者の持ち帰りなので、頼んだのに残したという結果が出品者との間に積み重なり、店はだんだん電話をかけにくくなります。

そして、この売り逃しはどこにも記録されません。POSにあるのは売れた記録で、棚が空いていた時間の記録ではないからです。空いた棚の損は、手数料で立つ店と、売上で立つ出品者の両方にあるのに、どの棚が何時間空いていたかは誰も知らない。この設計のゴールは、11時の一回で、きょうの補充依頼が品目と数量で確定し、出品者のスマホに届いていることです。

CHALLENGE

課題

  • 01 朝いちの搬入で、その日の棚がほぼ決まる。人気の品は昼すぎに売り切れ、午後の棚が空く。夕方に来たお客さんは「午後は何もない店」と覚えて、来なくなる。午後の客足の細りが、棚の空きをさらに当たり前にしていく。
  • 02 補充の電話は、棚が空いてから。収穫・袋詰め・運搬で1〜2時間かかるので、着くのは15時前。17時の閉店までに売り切れず、頼んだのに残してしまう。売れ残りは出品者の持ち帰りだから、残した日から次の電話がかけにくくなる。
  • 03 売上速報メールはあるが、判断は出品者まかせ。届くのは「ここまで売れた数」で、今から持ち込んで間に合うかは分からない。判断は人によって割れ、人気の品目に補充が重なる日と、誰も持って来ない日ができる。
  • 04 空いた棚の売り逃しが、どこにも数字にならない。POSに残るのは売れた記録だけで、棚が空いていた時間は残らない。損は店の手数料と出品者の売上の両方に立つのに、どの棚が何時間空いていたかを誰も数えていないので、品揃えの相談はずっと感覚のままになる。

APPROACH

アプローチ

設計の中心に置くのは、11時の一回の確定です。品目ごとに閉店までの売れ行きを幅で予測し、いまの残数との差を「きょうの補充依頼」として確定して、出品者のスマホへ送ります。締切を11時に置くのは、持ち込みまでの時間から逆算するためです。収穫・袋詰め・運搬にかかる時間は出品者ごとに違うので、あらかじめ台帳に登録しておきます。いちばん長い人で2時間なら、11時の依頼は13時に届き、13時から17時の客足で売り切る算段が立ちます。11時を過ぎてから見えた不足は、きょうの補充にはせず、あすの搬入を増やす依頼に切り替えます。

予測の前に、確定している数を使い切ります。いま棚に何が何束あるかは、朝の搬入登録と売れた数の差でPOSから確定で出ます。予測が受け持つのは閉店までにあと何束売れるか、それだけです。材料は、開店からの売れ方、曜日、天気、連休やイベントの有無。同じ残り15パックでも、平日の雨と連休の晴れでは答えが違います。予測を出すのは売れ数の多い主要な品目に絞り、少量ずつ並ぶ季節の品は、無理に予測せず残数と売り切れ時刻の記録だけを貯めます。

依頼の数量は、予測の下限までにします。頼んだぶんが売れ残ると、引き取りの運転と気まずさが出品者の側に立つからです。下限は過去の実績でまず売り切れる水準に置き、上限との差は依頼にせず、見込みとしてスマホに開示します。18パックの依頼に対して「27パックまで売れる見込み」と添えれば、上乗せするかは出品者が畑の都合で決められます。依頼する相手は、その品目を朝に持ち込んだ出品者のうち、持ち込み時間の短い順です。返事は「受ける」「数を変えて受ける」「きょうは行けない」の三択で、電話で受けた返事も店の画面から同じように記録します。

出品者のスマホに届く画面は、店のシステムとは別に作る小さなアプリです。依頼と、自分の品の売れ行きと、あすの増量依頼だけが並びます。ここはEvoQuest Appsのアプリ開発と組み合わせる部分で、ガラケーの出品者にはSMSと電話で同じ内容を届けます。夕方に残りそうな品目には、15時に引き取りの事前通知を送ります。急な雨で客足が落ちた日に、閉店後の棚の前で初めて残りを知るのと、畑で2時間前に知るのとでは、引き取りの段取りが違います。

効果は的中率ではなく、金額と時間で測ります。品目ごとに棚が空いていた時間を記録し、同じ曜日・時間帯の過去の売れ数から売り逃しを推計します。それに、補充の持ち込みで売れた額と、依頼したのに残った束数。最後の数字はゼロに近いほどよく、残った日は翌週の下限を下げて直します。月に一度、品目×時間帯の空きを並べたレポートを出せば、「午後の葉物が足りない」を数字で出品者に相談でき、新しい出品者を勧誘する材料にもなります。

CONSULTATION

「切れてから電話」を、11時の依頼に変えませんか。

午後の空いた棚は、お客さんと出品者の両方を遠ざけます。
POSに売れた記録が残っているなら、どの棚が何時間空いていたかは今からでも数えられます。
まずは直近1ヶ月の空きの時間を一緒に数えるところから、ご相談ください。

SCREENS

主要画面

想定する画面のサンプル。11時に締める補充依頼を中心に、レジ横のパソコンと出品者のスマホで使う前提の構成です。農園名・数量・金額はすべて想定例で、実在の直売所・出品者ではありません。

01. 11時に、依頼する品目と数量を確定する

毎日11時に締める画面。品目ごとに、朝の搬入、いまの残数、閉店までの売れ行きの幅が並び、不足が出ている品目に依頼の数量と依頼先の候補が出ます。依頼は予測の下限まで。確定すると、出品者のスマホへそのまま送信されます。

補充依頼
設計のポイント
見込みを眺める画面にしない。11時の締切で依頼の数量と相手を確定し、送信まで終える画面にする。
下限だけを使う
依頼は幅の下限まで。頼んだぶんが残ると、引き取りの運転と気まずさが出品者に立つ。上乗せは見込みの開示で出品者に任せる。
締切の根拠
収穫・袋詰め・運搬の時間は出品者ごとに台帳へ登録。最長2時間なら、11時の依頼が13時に届き、午後の客足で売り切れる。

02. 残数と売り切れ見込みを、品目ごとに

店のスタッフが毎日いちばん開く画面。品目ごとの残数と売り切れ見込みの時刻、補充の持ち込み予定が並びます。売り切れた品目は空きの時間が記録され、夕方に残りそうな品目は15時の事前通知の候補に上がります。

売り場
設計のポイント
売り切れを「めでたい」で終わらせない。切れた時刻からの空きの時間を残し、売り逃しの推計につなぐ。
持ち込みの予定も並べる
依頼への返事と到着予定を同じ画面に出す。レジのスタッフが「あと30分でとうきびが届きます」と案内できる。
残りの事前通知
夕方に残りそうな品目は15時に出品者へ知らせる。引き取りの段取りを、畑にいる時間のうちに立ててもらう。

03. 畑のスマホに届く依頼と、その返事

依頼の送信と返事を管理する画面です。右は出品者のスマホでの見え方。依頼の数量と持ち込み期限、それに見込みの上限が並び、返事は三択です。ガラケーの出品者にはSMSと電話で同じ内容を伝え、電話の結果もここへ記録します。

出品者連絡
三択にする理由
畑の途中で長い文章は打てない。「受ける」「数を変えて受ける」「きょうは行けない」から選ぶだけにする。
行けない日も記録する
断りの返事も貯めれば、次の依頼先の順番が実績で決まる。頼める人に頼みが偏りすぎるのも防げる。
スマホに出す範囲
出品者に見せるのは自分の品の数字だけ。ほかの出品者の売上や在庫は見えない。

04. 曜日・天気・行楽で、売れ方がどう変わるか

品目ごとの売れ方の型を見る画面です。時間帯の偏り、曜日の差、天気の影響が並び、11時の予測の根拠をここから確かめられます。予測が外れた日は、その日に何があったかをひと言残して、翌週の幅に反映します。

品目別傾向
型は品目ごとに違う
とうきびは午前に偏り、葉物は夕方の買い足しでも動く。品目ごとの型が、依頼の数量と期限の根拠になる。
天気は品目別に見る
雨で落ちる品目と、雨でも変わらない品目がある。天気の影響を品目別に持つから、幅が絞れる。
外れの記録
近くで祭りがあった、テレビで特集された。外れた日のひと言が、翌年の同じ週の材料になる。

05. 空いていた棚の時間を、金額に直す

月に一度の画面。品目×時間帯で棚が空いていた時間と売り逃しの推計、補充の持ち込みで売れた額、依頼したのに残った束数が並びます。出品者ごとの持ち込み実績は、品揃えの相談と新しい出品者の勧誘の材料になります。

月次レポート
推計は推計と示す
売り逃しは、同じ曜日・時間帯の売れ数から推計した参考値。根拠つきで出して、それでも判断には十分に効く。
信用の測定器
依頼したのに残った束数は、ゼロに近いほどよい。残った週は下限を下げる。埋める量より、頼める関係を先に守る。
勧誘の材料
午後の葉物が月に何時間空いて、いくら売り逃したか。この数字は「持って来れば売れます」という勧誘の根拠になる。

OUTCOME

変わったこと

仕組みが運用に乗ったあと、店と出品者の仕事が3つの点で変わる想定です。

01

補充が、棚が切れる前に届く

Before棚が空いてから気づいて電話していた。着くのは15時前で、閉店までに売り切れないことも多かった。
After主要品目の不足が幅で出て、11時に依頼、13時に届く。想定例では、棚が空いていた時間が月118時間から43時間に減る。

ゼロにはなりません。予測を出すのは主要な品目だけで、少量の季節の品は売り切れたら終わりのままです。それでも、売り場の主役が午後も棚に並びます。

02

頼んだぶんが、まず売り切れる

Before何束頼むかは勘だった。多めに頼んで残した日から、その出品者には電話をかけにくくなった。
After依頼は予測の下限まで。上乗せは見込みを開示して出品者の判断に任せる。想定例では、依頼したのに残った束数が全体の3%を切る。

依頼に応じるかは出品者の自由です。畑の都合で行けない日は当然あり、その返事も記録して、次の依頼先の順番に反映していきます。

03

空いていた棚が、金額で見える

BeforePOSにあるのは売れた記録だけ。売り逃しは数字にならず、品揃えの相談は感覚で続いていた。
After品目×時間帯の空きが記録され、売り逃しの推計が月次で出る。想定例では8月の売り逃し推計が販売額ベースで27万円から9.4万円に縮む。

推計には、同じ曜日・時間帯の過去の売れ数という根拠を添えます。この数字は出品者への相談だけでなく、新しい出品者を迎える勧誘にも使えます。

PROCESS

3ヶ月の進め方

札幌市内・近郊なら店へ伺い、道外はオンラインで進めます。並行運用は収穫の最盛期に当てたいので、月の区切りで実際に触れるものをお渡ししながら、雪が来る前の3ヶ月で納めるのを想定します。レジ横で使ってみた感想を、次の月の作業へ反映します。

1
MONTH 01 / POSデータの整理 + 運用設計

品目の名寄せと、出品者の台帳づくり

直売所のPOSデータは出品者ごとのラベルで動いているので、同じミニトマトが人によって別の品名で記録されています。まず過去2年ぶんを品目に名寄せし、時間帯ごとの売れ方を数えられる形にします。あわせて出品者の台帳を作ります。持ち込みにかかる時間、連絡の手段、補充に応じられる曜日。依頼の文言と持ち込み期限の決めも、店長と一緒にこの月に固めます。

  • 店でのヒアリング(2〜3回)
  • POSデータの出力と品目の名寄せ(過去2年)
  • 出品者台帳(持ち込み時間・連絡手段)の整備
  • 依頼の文言と持ち込み期限の設計
2
MONTH 02 / 予測の実装 + 5画面の開発

品目別の予測を組み、5画面を作る

開店からの売れ方・曜日・天気・連休から、閉店までの売れ行きを品目ごとに幅で出す予測を組みます。予測を出す主要品目もここで選びます。画面は補充依頼・売り場・出品者連絡・品目別傾向・月次レポートの5つ。予測はいきなり依頼にはつなげず、過去データでのさかのぼり検証で、幅が実績をどのくらい捉えるかを確かめてから次へ進みます。

  • 品目別予測の試作と幅の調整
  • 過去データでのさかのぼり検証
  • 5画面の開発
  • 出品者向けスマホ画面の試験配信
3
MONTH 03 / 最盛期の並行運用 + 納品

依頼を5名から始めて、実績で直す

収穫の最盛期に、画面の予測とそれまでどおりの運用を並べて記録します。補充依頼は、持ち込みの多い出品者5名ほどから始めて、応じてもらえた割合と、依頼したのに残った束数を実測します。残った週は下限を下げ、依頼先の順番を返事の実績で直します。月次レポートの初回を店長と一緒に見て、出品者へ配る形を確認してから納品します。

  • 予測と実績の並行記録
  • 補充依頼の運用開始(出品者5名から)
  • 下限と依頼先の順番の調整
  • 月次レポートの初回レビュー + 納品

FAQ

よくある質問

  • Q1 出品者は高齢の方が多く、スマホの依頼なんて見てもらえるでしょうか?
    全員には届かない前提で設計します。売上速報メールをガラケーで受けている出品者はすでに多いので、スマホのアプリ、SMS、電話の三通りを用意して、人ごとに届く手段を台帳に登録します。電話で受けた返事も店の画面から同じ形で記録するので、仕組みの側から見れば手段の違いは吸収されます。並行運用も、持ち込みが多く連絡のつきやすい5名ほどから始めて、無理に広げません。
  • Q2 売上速報メールならもう使っています。何が違うのですか?
    速報メールが知らせるのは「ここまで売れた数」、つまり過去です。持ち込みの判断に要るのは「閉店までにあと何束売れるか」と「今から持ち込んで間に合うか」で、この2つは速報からは出てきません。もうひとつの違いは、判断の主体です。速報は出品者それぞれの判断に任せるので、補充が重なる日と誰も来ない日ができます。この設計では店が11時に依頼として束ね、数量と期限を付けて送ります。
  • Q3 予測が外れて、頼んだぶんが売れ残ったらどうなりますか?
    起こる前提で、二段で守ります。まず依頼は予測の下限までで、下限は過去の実績でまず売り切れる水準に置きます。それでも残った日は、その品目の翌週の下限を下げ、外れた理由をひと言記録します。委託販売なので残りの金銭的な負担が店に移るわけではありませんが、頼んだのに残したという事実は依頼への信用を削ります。だからこの数字を月次レポートの一番目に置いて、ゼロに近づけ続ける設計にしています。
  • Q4 旬の初物や、少量しか並ばない品はどう扱いますか?
    予測を出しません。データが薄い品目に無理に幅を出すと、幅が広すぎて依頼の役に立たず、外れたときに仕組み全体の信用を落とします。予測と依頼の対象は売れ数の多い主要品目に絞り、それ以外は残数と売り切れ時刻の記録だけを貯めます。記録が2シーズンぶん貯まった品目から、予測の対象に順次加えていきます。
  • Q5 うちのレジは古くて、データが出せるか分かりません。それでも作れますか?
    まず今のレジで何が出せるかを一緒に確かめます。直売所向けのPOSなら、出品者コードと品名、売上の時刻は残っていることがほとんどで、それだけあれば時間帯ごとの売れ方は数えられます。搬入の登録が無い場合は、朝の搬入をタブレットで登録する運用をこの開発の中に含めます。レジそのものの入れ替えが要る場合は、正直にそうお伝えして、費用を見てから判断していただきます。

「切れてから電話」を、11時の依頼に変えませんか。

午後の空いた棚は、お客さんと出品者の両方を遠ざけます。
POSに売れた記録が残っているなら、どの棚が何時間空いていたかは今からでも数えられます。
まずは直近1ヶ月の空きの時間を一緒に数えるところから、ご相談ください。