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AIの基礎・活用

ホームページにAIのチャット窓口を置くと、何ができる?

ホームページのチャット窓口には、用意した答えから選んで返す型と、生成AIがその場で文章を作る型があります。前者は答えを事前に確かめられ、後者は言い方の違う質問にも応じられます。どちらを選ぶかは、間違えたときに困る質問がどれだけあるかで決まります。

この記事でわかること

  • チャット窓口は、営業時間・場所・予約の方法のように何度も聞かれる質問へ、夜や休みの日でもすぐ返事をする使い方が中心です。
  • 決まった答えを返す型は、返す文章をすべて事前に確かめられる一方、用意していない質問や言い方の違う質問に弱くなります。
  • 生成AIの型は質問の意味をくみ取って答えますが、資料に無いことを答える場合があり、すべての質問を事前に試すことはできません。
  • 個別の見積もり、予約の確定、アレルギーや体調に関わる質問、苦情は、AIに答えさせず人へ引き継ぐ作りにしておきます。
  • 置く前に、これまでメールや電話で届いた問い合わせとその答えを集めておくと、窓口が正しく答えるかを1件ずつ試せます。

チャット窓口に任せられること

ホームページの右下などに置くチャット窓口は、お客さんが文字で質問し、その場で返事を受け取れる仕組みです。次は使い方のアイデアで、どれも効果を約束するものではありません。

何度も聞かれる質問に、時間を問わず返す

営業時間、駐車場の有無、予約やキャンセルの方法、支払いの方法など、答えが決まっている質問です。電話がつながらない時間に調べている人にも返事ができます。

探している情報のページへ案内する

メニュー、料金表、アクセスのページがあっても、お客さんが見つけられないことがあります。質問に合わせて該当ページのリンクを返すだけでも、案内として役に立ちます。

問い合わせの前に用件を整理する

「何について聞きたいか」「希望の日にち」などを順に聞き、問い合わせフォームへ引き継ぎます。受け取る側は、最初の返事から具体的に答えやすくなります。

決まった答えを返す型と生成AIの型

チャット窓口の中身は、大きく2つの作り方に分かれます。デジタル庁の「テキスト生成AI利活用におけるリスクへの対策ガイドブック(アルファ版)」は、従来のチャットボットでよく起きる問題として、返せる答えの数が少なく、どう入力しても必要な答えにたどり着けないことや、文中の単語の一部だけを拾って意味を無視することを挙げています。

決まった答えを返す型

質問と答えの組み合わせや、選択肢をたどる流れを事前に作っておく型です。返す文章はすべて人が書いたもので、事前に確かめておけます。一方で、用意していない質問には答えられず、同じ意味でも言い方が違うと見つからないことがあります。

生成AIの型

質問を生成AIに渡し、その場で返事の文章を作らせる型です。言い方が違っても意味をくみ取りやすく、店の資料を一緒に渡して答えさせる作り方もあります。ただし、資料に無いことをもっともらしく答える場合があり、同じ質問でも返事が毎回同じになるとは限りません。

生成AIは「探す」部分にだけ使う作り方もある

2つの型は、どちらか一方を選ぶものではありません。同じガイドブックは、事前に用意した答えの候補をもとにして、生成AIは質問の言い方の違いを吸収したり、合う候補を探したりする部分に使う方法を紹介しています。答えの候補が事前に決まっているので、原理的にはすべての答えを事前に試せる点を利点に挙げています。

ガイドブックは、生成AIの品質を保つ最も安全な方法は、試していない答えを使わないことだとも書いています。チャットボット以外でも、生成AIを使う範囲を絞ることは品質の安定や費用の抑制につながるとして、本当に生成AIが必要な処理かを先に検討するよう勧めています。

当社の考えでは、営業時間や料金のように間違えると困る答えは人が書いた文章を返し、生成AIには「どの答えが合うか探す」「答えが無いときに人への引き継ぎを案内する」ことを任せる作りが、小さな店や会社には始めやすい形です。生成AIが資料に無いことを答える理由は生成AIの答えが間違っているのはなぜ?で説明しています。

AIに答えさせず、人へ引き継ぐ質問

チャット窓口の返事は、お客さんから見れば店や会社の返事です。次のような質問は、窓口では「担当者から連絡します」「お電話でご確認ください」と案内し、人が答える作りにしておきます。どれを人に回すかは業種によって変わるため、ここに挙げたのは当社が考える目安です。

個別の見積もりや割引の約束

条件によって金額が変わるものは、窓口が出した金額をお客さんが確定した値段と受け取るおそれがあります。料金表のページへの案内にとどめます。

予約の空き状況や確定

予約の仕組みとつながっていない窓口は、いまの空きを知りません。空いていると答えてしまうと、来店当日に食い違いが起きます。

アレルギー・体調・安全に関わる質問

間違えたときの影響が大きく、店ごとの細かい事情で答えが変わります。必ず人が確かめて答えます。

苦情や返金の相談

事情を聞いて判断する必要があり、文章のやりとりだけで済ませると、かえってこじれることがあります。

お客さんが書き込む個人情報と、指示を書き換えようとする入力

チャット窓口には、お客さんが名前や電話番号、相談の中身を書き込むことがあります。個人情報保護委員会の注意喚起(令和5年6月2日)は、事業者が本人の同意なく個人データを含む指示を生成AIサービスに入力し、それが応答の出力以外の目的で扱われる場合、個人情報保護法に違反するおそれがあるとしています。そのため、使うサービスが入力内容を機械学習に使わないことなどを十分に確認するよう求めています。

生成AIの型では、窓口への指示を無視させようとする文章を入力される場合があり、プロンプトインジェクションと呼ばれます。デジタル庁のガイドブックは、生成AIの出力の形式を決めておき、その中の必要な部分だけを利用者に返すことで、この攻撃に強くなると説明しています。ただし絶対ではないとも注意しています。答えさせてよい範囲を絞っておくことが、ここでも役に立ちます。

生成AIをホームページから呼び出すにはAPIという窓口を使い、料金は使った量で決まるのが一般的です。仕組みと契約の違いは生成AIのAPIとは?にまとめています。

置く前に、過去の問い合わせで試す

窓口が役に立つかは、実際に届いた質問で確かめるのが確実です。デジタル庁のガイドブックも、問い合わせ対応の一部を生成AIに置き換える場合、過去に実際にあった問い合わせとその回答を試すための材料に使えると説明しています。

まず、メール・電話・SNSで届いた問い合わせを1〜2か月分さかのぼり、質問と実際に返した答えを並べて書き出してください。名前や連絡先は消しておきます。同じ質問が何度も出てくるなら、窓口に任せられる候補です。毎回事情が違う質問が多いなら、窓口よりも問い合わせフォームの項目を見直すほうが効果があるかもしれません。

書き出した質問を窓口に入れ、返事が実際の答えと合っているか、人へ引き継ぐべき質問を引き継いでいるかを1件ずつ見ます。店の資料をもとに答える仕組みそのものは社内の資料をもとに答えるAIとは?で詳しく解説しています。

この記事を書いた人

立石伊吹代表取締役 / DX・AIアドバイザー

北海道札幌市を拠点に、業務アプリやAIの開発を行っています。北海道内は直接うかがい、道外はオンラインで対応しています。専門用語を使わず、相手の言葉で話すことを大事にしています。

チャット窓口が合うか、届いている問い合わせから考えます。

窓口を置くかどうか決めていない段階でも相談できます。資料や決まった仕様は要りません。よく届く問い合わせの種類を伺い、窓口に任せられる質問と人が答えたほうがよい質問を分けるところから一緒に考えます。

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