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AIの基礎・活用

生成AIの答えが間違っているのはなぜ?

生成AIは、事実と違う内容を自然な文章で答えることがあります。もっともらしい言葉の並びを作るしくみのため、知らないことも知っているように書いてしまいます。聞き方を工夫すると減らせますが、なくせないため、数字や固有名詞は元の資料で確かめてから使います。

この記事でわかること

  • 生成AIが事実に基づかない内容をもっともらしく答えることを、ハルシネーション(幻覚)と呼びます。総務省の情報通信白書は、完全には抑えられないため、使う人が答えを確かめることが望ましいとしています。
  • 個人情報保護委員会は、生成AIの文章は確率的な相関関係にもとづいて作られるとしています。自然な文章であることと、内容が正しいことは別です。
  • デジタル庁のガイドブックは、学習データに無い情報を聞くと事実と違う答えが返ってくることがあると説明しています。自社の内部の情報や細かい数字を聞く質問は、とくに注意が要ります。
  • 資料を渡してその中だけで答えさせる、分からなければ分からないと答えてよいと伝える、根拠の箇所を引用させる、といった聞き方で誤りを減らせます。
  • 使う前に確かめる箇所は、数字・日付・人名や社名・URL・制度や法令の説明です。元の資料や公式の情報と照らし合わせます。

どんな間違い方をするのか

ChatGPTのような生成AIに質問すると、ていねいで筋の通った文章が返ってきます。その中に、実在しない制度の名前、違う年の日付、存在しないURLが混ざっていることがあります。文章の調子からは、正しい部分と間違った部分の区別がつきません。

総務省の情報通信白書(令和6年版)は、生成AIが事実に基づかない誤った情報をもっともらしく生成することをハルシネーション(幻覚)と呼ぶと説明しています。技術的な対策は検討されているものの完全には抑えられないため、検索を併用するなどして、出力が正しいかを利用者が確かめることが望ましいとしています。

間違いを含む答えも、自信のない言い方になるとは限りません。「AIが言い切っているから正しい」とは判断できないことを、最初に知っておくと使い方を決めやすくなります。

間違える理由は、文章の作り方にある

個人情報保護委員会の注意喚起(令和5年6月)は、生成AIの応答は自然な文章であっても、確率的な相関関係にもとづいて生成されるため、不正確な内容が含まれるリスクがあるとしています。Anthropic社の用語集も、生成AIの土台になる言語モデルは、大量の文章を使い、それまでの文脈から次の言葉を予測するように学習させると説明しています。調べた事実を書き写すしくみとは違い、続く言葉としてありそうなものを選んで文章を組み立てています。

そのため、答えを知らない質問にも、それらしい文章を作ってしまいます。デジタル庁の「テキスト生成AI利活用におけるリスクへの対策ガイドブック(アルファ版)」は、学習データに無い情報を聞くと、根拠のない事実と異なる答えを返すことがあると説明し、デジタル庁AI班の職員数を聞く例を挙げています。学習データに情報があっても、確実に知識として身につくとは限らないとも書いています。

同じガイドブックは、同じ質問をしても毎回同じ答えになるとは限らないことにも触れています。一度うまく答えたからといって、次も同じ答えが返るとは考えないほうが安全です。

間違いが起きやすい質問

次は、上の説明から当社が整理した、とくに確かめが必要な質問の例です。

自社や取引先の、外に出ていない情報

自社の規則・価格・在庫・取引条件は、ふつう生成AIの学習データに入っていません。聞いても、一般的な会社の例をもとにした答えが返ってくるだけです。

細かい数字・日付・固有名詞

統計の数値、制度が始まった年、人名や社名、本やウェブページのURLは、もっともらしい別の値に置き換わりやすい部分です。

法令や制度の細部

条文の番号、届け出の期限、対象になる条件などは、似た制度と混ざることがあります。改正で内容が変わっている場合もあります。

学習した時点より後のこと

学習データに含まれていない最近の出来事や、新しい商品・料金の情報です。ウェブ検索の機能を持つサービスもありますが、検索した結果をまとめる段階でも誤りは起こり得るため、元のページを開いて確かめます。

聞き方を変えると、間違いを減らせる

生成AI「Claude」を提供するAnthropic社は、開発者向けの公式資料で、ハルシネーションを減らす方法として次のようなものを挙げています。仕事で生成AIに頼むときにも、そのまま使える考え方です。

分からないときは分からないと答えてよいと伝える

「資料に書かれていない場合や確信が持てない場合は、分からないと答えてください」と一言添えます。同じ資料は、この簡単な工夫で誤った情報を大きく減らせるとしています。

元になる資料を渡し、その中だけで答えさせる

自社の規則や商品説明を文章で渡し、「この資料に書かれていることだけを使って答えてください」と頼みます。答えを確かめるときも、渡した資料と見比べるだけで済みます。

根拠になる箇所をそのまま引用させる

長い資料なら、先に関係する箇所を原文のまま抜き出させてから答えさせます。答えのそれぞれに引用を付けさせ、引用が見つからない内容は削るよう頼む方法もあります。

同じ質問を何度か聞いて比べる

同じ質問を繰り返し、答えが食い違うところは誤りを疑います。

仕事で使う前に、どこを確かめるか

Anthropic社の同じ資料も、これらの方法で誤りは減らせてもなくせないため、重要な情報、とくに大きな判断に使う情報は必ず確かめるよう書いています。確かめる箇所を決めておくと、全文を調べ直さずに済みます。

当社がおすすめするのは、数字・日付・人名や社名・URL・制度や法令の説明の5つに印を付け、元の資料や公式の情報と照らし合わせる方法です。URLは実際に開き、法令や制度は役所のページで確かめます。

文章の言い回しや構成の提案なら、おかしな点があっても読んだ人が気づきやすいものです。一方、お客さんへの案内に書く金額や期限は、間違いがそのまま相手に伝わります。どこまで確かめるかは、外に出る文章かどうかで分けると決めやすくなります。社内で誰が確かめるかの決め方は社員が生成AIを使い始めたら、何を決めておく?で紹介しています。

間違い方を知るための、最初の試し方

自分がよく知っている分野の質問を、生成AIに3つほどしてみます。自社の商品の特徴、地元の行事の日程、仕事で使う制度などです。答えのどこが合っていて、どこが違うかを見ると、どんな部分で間違えやすいかが手元の例で分かります。

次に、同じ質問に自社の資料を付けて、「この資料だけを使って答えてください」と聞き直します。答えがどう変わるかを比べると、資料を渡す使い方が自社の作業に合うかを判断できます。資料に個人情報や取引先の情報が含まれる場合は、入力してよい情報かを先に確かめてください。

社内の資料を毎回渡す手間を省き、質問に合う資料を自動で探して答えるしくみは、社内の資料をもとに答えるAIとは?で説明しています。生成AIと、数字を予測する機械学習との違いは機械学習と生成AIは何が違う?で紹介しています。

この記事を書いた人

立石伊吹代表取締役 / DX・AIアドバイザー

北海道札幌市を拠点に、業務アプリやAIの開発を行っています。北海道内は直接うかがい、道外はオンラインで対応しています。専門用語を使わず、相手の言葉で話すことを大事にしています。

生成AIをどの作業に、どこまで任せるか一緒に考えます。

生成AIを使ってみたが、答えをどこまで信じてよいか分からない。そんな段階でも相談できます。資料や仕様の提出は要りません。いまの作業の進め方を聞きながら、生成AIに頼める部分と人が確かめる部分を一緒に整理します。

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