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EvoQuest Apps介護施設向け業務アプリ 2026.09

SCENARIO ── CARE HOME MEAL CARD CASE

食事会議で決めた変更が、
次の食事の食札に載っている。

札幌市内、定員50名の特別養護老人ホームを想定します。厨房は直営で、管理栄養士1名と調理員6名。名刺大の紙の食札を手書きで直して回している運用を、医師の食事箋と食事会議の変更がそのまま次の食事の札になる仕組みに変える開発プランです。

想定領域
介護施設向け業務アプリ / 食札と食形態の変更管理
担当範囲
現状の食札の棚卸・食形態の対応表づくり・画面設計・開発・定着支援
想定対象
定員30〜100名の特養・老健(施設内に厨房がある、または委託の厨房が施設内にある)
想定期間
設計〜納品 約 3 ヶ月

OVERVIEW

プロジェクト概要

食札は、入所者一人ひとりの食事の指示書です。主食の種類と量、副食の形態、とろみの濃さ、禁止食材、医師の食事箋にもとづく療養食、骨抜きや自助具のような個別の対応。この施設では48名ぶんを管理栄養士がExcelで作り、名刺大の紙に印刷して、ユニットごとの配膳車に差してあります。指定介護老人福祉施設の運営基準は、栄養と入所者の心身の状況・嗜好を考慮した食事を適切な時間に提供すること(第14条)と、各入所者の状態に応じた栄養管理を計画的に行うこと(第17条の2)を求めていて、食札はその両方の結果が1枚に集まる場所です。

困るのは、内容が変わるときです。変更の出どころは3つあります。医師の食事箋、月1回の食事会議、それに看護や介護から当日に入る「熱があるので今日は全がゆで」の申し出。どれも決まった瞬間は口頭か手書きで動き、紙の札は誰かが直すまで古いままです。厚生労働省の事故予防ガイドライン(令和7年11月)は、配膳・下膳時を職員の業務がひっ迫して事故が起きやすい時間帯に挙げています。札の版がずれているかもしれない、と一番忙しい時間に疑いながら配るのが今の運用です。この開発プランは、変更を受けた時点で「どの食事から新しい札にするか」を確定し、その食事の配膳チェック画面に新しい内容が出ている状態を作ります。食数を前日15時で締める 食数予測AIの開発プラン が「何食か」を扱うのに対して、こちらは「誰にどれを」の側です。

CHALLENGE

課題

  • 01 変更が3つの入口から入り、通る道が全部違う。医師の食事箋は看護師が受け取って管理栄養士に渡す。食事会議の決定は議事録に残るが、厨房へは管理栄養士が口頭で伝える。当日の発熱は介護職が厨房に内線で言う。どの道も記録の場所が違い、翌週に「あの人、ムースに変わりましたよね」と聞き直すことがある。
  • 02 紙の札は手書きで直すと、直した人にしか経緯が分からない。とろみの欄を二重線で消して「中間」と書いた札が、誰の判断で、いつから有効なのかは札を見ても分からない。古い札が配膳車に残っていて、新しい札と2枚ある人も出る。
  • 03 「ムース」「やわらか」の中身が、施設の外では通じない。入院先や他の事業所に食形態を伝えるとき、この施設のムース食がどの程度のやわらかさかは名前だけでは伝わらない。厚生労働省の事故予防ガイドラインは、デイサービスで食形態を変更したのに訪問介護事業所へ伝わらず誤えんにつながる例を挙げている。
  • 04 療養食は医師の食事箋にもとづいて提供したときに算定できると、介護報酬の留意事項通知(老企第40号)にある。食札の療養食の欄と食事箋の日付の対応は紙のファイルの中にあり、監査のときに突き合わせて探す。高血圧に対する減塩は加算の対象にならないと同じ通知にあるので、塩分を控える個別対応と療養食を札の上で分けて持つ必要もある。

APPROACH

アプローチ

入口を1つにします。医師の食事箋、食事会議の決定、当日の申し出のどれも、まず「変更の受付」に入れます。入れるのは、誰の何がどう変わるかと、出どころは何か、の2つだけです。管理栄養士はそれを見て、どの食事から新しい札にするかを確定します。前日15時までに確定した変更は翌朝食から、それより後は翌昼食から、当日の申し出はその食事だけ、と施設の締めの時刻に合わせた規則を持たせ、確定と同時に食札、厨房の形態別の仕込み表、食数の締めの3か所へ同じ内容が届きます。管理栄養士が休みの日は看護師長が確定できる権限を持ち、翌日に管理栄養士が確認する形にします。

毎日いちばん開くのは配膳チェックの画面です。ユニットのタブレットと厨房のモニターに、その食事の入所者が一人ずつ並び、きょうから変わった人は行の頭に印が付きます。厨房は盛り付けの時点で、フロアは渡す前に、札と実物を見比べて確認を押します。厚生労働省の医療安全の記述情報分析には、医師の指示と食札の記載の相違が職種の間で共有されずに食事の提供を誤った事例があり、食札のチェックの仕組みを作ることが改善策に挙がっています。同じ考え方で、確認は厨房とフロアの2回にします。違っていたときは「札と実物が違う」を押して、何が違ったかと、どこで見つけたかを残します。この記録が次の食事会議の材料になります。

食形態の名前は、施設の名前のままにします。ただし裏側に、日本摂食えん下リハビリテーション学会のえん下調整食分類(学会分類2021)のコードを対応表として持ちます。厚生労働省の中医協資料に早見表の抜粋が載っていて、コード4は「箸やスプーンで切れるやわらかさ」、コード2-1は「均質でなめらかで、べたつかず、まとまりやすいもの」のように、形態が言葉で決まっています。入院先や他の事業所への申し送り書は、施設の名前とコードを並べて出します。効果は、配膳後に見つかった不一致の件数、変更の確定から札に反映されるまでの食数、手書きで直した札の枚数、管理栄養士が不在の日に確定された変更の件数で測ります。

CONSULTATION

まず、いまの食札を全部です。

とろみの欄を手書きで直した札が配膳車にある。
変更が伝わったかどうかを、配膳の時間に聞き直している。
配膳車にある紙の食札を写真で見せていただき、項目と名前をそろえるところから、ご相談ください。

SCREENS

主要画面

想定する主要画面です。毎日開くのは1枚目の配膳チェックで、2枚目と3枚目は変更が入ったとき、4枚目は入所・退所と申し送りのとき、5枚目は月1回の食事会議の前に開きます。施設名・入所者名・食形態・人数はすべて定員50名の特別養護老人ホームの規模感に合わせた想定例です。

01. 配膳チェック(きょうの昼食・ユニットごと)

2階ユニット10名の昼食。主食・副食の形態・とろみ・禁止食材・療養食・個別対応が一人1行で並び、きょうから変わった人は行の頭に印が付く。発熱で今日だけ全がゆにした人は「当日」の印、受診で欠食の人は薄く表示される。厨房は盛り付けで、フロアは渡す前に確認を押す。

毎日開く画面
設計のポイント
札の内容は前日15時の確定で固まり、当日の申し出だけが「当日」の印つきで上書きされる。誰が受けたかも行に残る。
2回の確認
厨房の確認とフロアの確認は別の列。フロアの確認が済むまで、その人の行は完了にならない。
札と実物が違う
押すと、何が違ったか(とろみ・形態・主食・禁止)と見つけた場所を選ぶだけで記録が残る。配膳は止めずに、正しいものへ差し替える。

02. 変更の受付と確定

医師の食事箋、食事会議、当日の申し出から入った変更が1つの一覧に並ぶ。前→後の内容、出どころ、開始する食事、状態(受付・確定・反映済み)と、反映先(食札・仕込み表・食数)が行ごとに見える。15時の締めまでの残り時間と、未確定の件数が右にある。

変更が入ったとき
開始する食事の規則
15時までに確定した変更は翌朝食から、それより後は翌昼食から。当日の申し出はその食事だけで、翌日に戻すか続けるかを確定のときに選ぶ。
出どころを残す
食事箋の変更は食事箋の日付、食事会議の変更は会議の日付、当日の申し出は受けた人の名前が行に付く。
管理栄養士が不在の日
看護師長が確定できる。翌日に管理栄養士が確認して印を付ける。

03. 入所者の食札と変更の履歴

一人ぶんの食札が紙の札と同じ並びで大きく出て、右に版の履歴が並ぶ。いつ、何が、どの出どころで変わり、どの食事から有効だったかが1行ずつ残る。療養食の欄には医師の食事箋の日付が付き、食事箋が無い療養食は入れられない。

一人ずつの食札
版で持つ
札を直すのではなく、新しい版を作る。古い版は履歴に残り、配膳チェックには有効な版だけが出る。
根拠の書類
食事箋、食事会議の記録、経口維持計画の更新日をこの画面から開ける。監査で突き合わせる材料が1か所にそろう。
申し送り書
入院や他事業所への申し送りは、この画面の「申し送り書」から出す。施設の食形態の名前と学会分類のコードが並ぶ。

04. 食形態の対応表(施設の名前と学会分類)

常食・一口大・やわらか食・ムース食・ミキサー食・ゼリー食という施設の名前に、学会分類2021のコードと形態の説明、主食の組み合わせ、とろみの初期値、いまの人数が並ぶ。廃止した名前(きざみ食)と、その振り分け先も残す。

入所・退所のとき
名前は変えない
現場で使う名前は施設のまま。コードは裏側の対応で持ち、申し送り書と入所時の聞き取りで使う。
入所時
病院から「ソフト食」と聞いたときに、コードで確かめてから施設の名前に置き換える。名前の一致で決めない。
廃止の記録
食事会議で名前を廃止したときは、いつ、どの名前へ振り分けたかを残す。古い札に廃止した名前が残っていれば一覧に出る。

05. 月次の確認(不一致・変更・食事箋)

その月の変更件数が出どころ別に並び、確定から札への反映までにかかった食数、配膳前に見つかった不一致と配膳後に見つかった不一致が件数で出る。療養食の食事箋の日付一覧と、摂取量の記録から食事会議の議題になりそうな人の候補も右に出る。

月1回
効果の測り方
不一致は「配膳前に見つかった」と「配膳後に見つかった」を分けて数える。前者が増えて後者が0に近づくのが狙い。
食事会議の材料
不一致の記録と、摂取量が下がっている人の一覧をそのまま会議に持ち込む。新しく集計する作業を作らない。
食事箋の一覧
療養食を出している人の食事箋の日付が並ぶ。医師の見直しが必要な人を会議の前に確かめる。

OUTCOME

変わったこと

仕組みが運用に乗ったあと、この施設の食札まわりが3つの点で変わる想定です。効果は、配膳後に見つかった不一致の件数、変更が札に反映されるまでの食数、手書きで直した札の枚数で測ります。

01

手書きで直した札が、版の履歴に変わる

Beforeとろみの欄を二重線で消して書き足した札が配膳車にあり、誰の判断でいつから有効かは札を見ても分からなかった。新旧2枚の札が同じ人に残ることもあった。
After変更は新しい版として作られ、有効な版だけが配膳チェックに出る。いつ、何が、どの出どころで変わったかが1行ずつ残り、古い版は履歴の中にある。

数えるのは、手書きで直した札の枚数(0が目標)と、変更の確定から札への反映までの食数です。仕組みを入れる前の1ヶ月は、管理栄養士に手書きで直した回数だけ紙に控えてもらい、先に数を持っておきます。

02

配膳の確認が、厨房とフロアの2回になる

Before札と実物の照合は、盛り付けのときに調理員が目で見るだけだった。フロアで気づいた違いは口頭で厨房に戻り、記録には残らなかった。
After厨房が盛り付けで、フロアが渡す前に確認を押す。違っていたときは何が違ったかと見つけた場所が残り、月次の確認と食事会議に材料として出る。

数えるのは、配膳前に見つかった不一致と、配膳後に見つかった不一致の件数です。前者が増えるのは確認が働いている印なので、減らす対象は後者だけにします。

03

施設の外へ食形態を伝えるとき、名前とコードが並ぶ

Before入院先への申し送りは「ムース食・とろみ中間」と施設の名前で書き、先方がどう受け取ったかは分からなかった。退院して戻る日に、病院の「ソフト食」を施設のどの名前に置くかを聞き取りで決めていた。
After申し送り書に施設の名前と学会分類2021のコードが並ぶ。戻る日は、病院から聞いたコードを対応表で施設の名前に置き換え、最初の食事から札が出る。

数えるのは、入院と退院のときに食形態の聞き直しが要った件数です。件数は少ないので、月次ではなく四半期で見ます。

PROCESS

3ヶ月の進め方

札幌市内・近郊なら施設へ伺い、道外はオンラインで進めます。給食管理ソフトが入っている施設では、食札の印刷はソフトのまま残し、変更の受付と配膳チェックだけを足す形も選べます。設計から納品まで3ヶ月の想定です。

1
MONTH 01 / 食札の棚卸 + 変更の通り道の聞き取り

48名ぶんの紙の食札を集めて、項目と名前をそろえる

最初に、配膳車にある紙の食札を全部集めて写真に撮り、書かれている項目を1枚の表にします。手書きで直した札、新旧2枚ある人、書いてある名前が人によって違う項目(「きざみ」と「一口大」の混在など)がここで出ます。同時に、変更が入る3つの入口(医師の食事箋・食事会議・当日の申し出)ごとに、誰が受けて誰に渡しているかを聞き取り、施設の食形態の名前と学会分類2021のコードの対応表を管理栄養士と作ります。手書きで直した回数は、この月から紙に控えてもらいます。

  • 紙の食札の回収と、項目の表づくり
  • 変更の3つの入口の聞き取り(受ける人・渡す先・記録の場所)
  • 食形態の対応表(施設の名前・コード・主食・とろみの初期値)
  • 療養食の食事箋の日付の一覧づくり
2
MONTH 02 / 5画面の開発 + 1ユニットでの並行運用

紙の札と画面を並べて、違いが出た行を残す

5つの画面を作り、先に1ユニットだけで紙の札と画面を並べて2週間使ってもらいます。変更が入った日に、紙の札と画面のどちらが先に正しくなるかを記録し、遅れた側の理由を1行ずつ残します。ここで出るのは、たいてい当日の申し出の受け方です。内線で厨房に言うのが早いのか、タブレットに入れるのが早いのかは施設の間取りで変わるので、この2週間で決めます。

  • 配膳チェック・変更の受付・入所者の食札・食形態の対応表・月次の確認の開発
  • 1ユニットでの並行運用(紙の札との比較)
  • 当日の申し出の受け方の確認(内線かタブレットか)
  • 給食管理ソフトの食札印刷との役割分担の確認
3
MONTH 03 / 全ユニットへ展開 + 引き渡し

管理栄養士が休みの日に、看護師長が変更を確定する

全ユニットのタブレットと厨房のモニターに切り替え、紙の札は配膳車から外します。確かめるのは3つです。食事会議の決定が翌朝食の配膳チェックに出ているか、当日の申し出が「当日」の印つきでその食事だけに反映されるか、管理栄養士が不在の日に看護師長が確定して翌日に確認の印が付くか。月の後半に管理栄養士が休みの日を1回つくってもらい、その日の変更を看護師長だけで通してもらいます。最初の月次の確認は一緒に見て、不一致の記録の見方と食事会議への持ち込み方を引き継ぎます。

  • 全ユニット・厨房への展開と、紙の食札の撤去
  • 管理栄養士が不在の日の確定の運用確認
  • 最初の月次の確認と、食事会議への持ち込み
  • 申し送り書の出力の確認(入院・他事業所向け)

FAQ

よくある質問

  • Q1 給食管理ソフトで食札を印刷しています。それと何が違いますか。
    給食管理ソフトの食札は、決まった内容を献立と一緒に印刷する道具です。困るのは、内容が変わったときに誰がいつから直すかと、配膳のときに札と実物を確かめる側で、そこはソフトの外にあります。この開発プランはその外側を作ります。印刷はソフトのまま残し、変更の受付と配膳チェックだけを足す形から始められるので、最初の相談でソフトの名前と、食札のデータを外へ出せるかを伺います。
  • Q2 厨房を給食会社に委託しています。それでも使えますか。
    使えます。厨房のモニターに出す配膳チェックと形態別の仕込み表は、委託会社の職員が見る画面になります。変更の確定は施設側の管理栄養士か看護師長が行い、委託会社には確定した内容だけが届く形にします。委託契約で厨房が使ってよい端末や、記録をどちらが持つかの取り決めがあるので、契約書の該当箇所を最初に確認します。
  • Q3 学会分類のコードは使っていません。それでも困りませんか。
    困りません。現場で使う名前は施設のままで動きます。コードは対応表として裏側に持つだけで、使う場面は入院先や他の事業所への申し送りと、入所時の聞き取りの2つです。対応表は管理栄養士と一緒に作るので、施設の「ムース食」がどのコードに当たるかを決めるところから始めます。決められない名前があれば、その名前は申し送り書に説明文で出します。
  • Q4 費用はどのくらいかかりますか。
    範囲を決めてから見積もります。金額が動くのは3か所です。1つめは給食管理ソフトから食札のデータを出せるかどうかで、出せれば取り込みだけで済みます。2つめはユニットの数とタブレットの台数で、この想定(5ユニット・厨房1か所)なら3ヶ月の範囲に収まります。3つめは委託の厨房があるかどうかで、委託会社の端末に出す場合は契約の確認が先に要ります。相談の場では、まず配膳車の食札を写真で見せていただきます。

まず、いまの食札を全部です。

とろみの欄を手書きで直した札が配膳車にある。
変更が伝わったかどうかを、配膳の時間に聞き直している。
配膳車にある紙の食札を写真で見せていただき、項目と名前をそろえるところから、ご相談ください。