EvoQuest
EvoQuest Appsスマホ業務アプリ 2026.09

SCENARIO ── LABOR SHEET CASE

その日の出面を1回入れると、
常用請求と賃金台帳の両方へ回る。

札幌市内で内装工事を請け負う社員6名の会社を想定します。職人は自社の現場と、応援に出した他社の現場に分かれ、電気工事では逆に他社から応援を借りています。月末に手帳とLINEから人工(にんく)を数え直している状態を、その日のうちに入れて月末は確認だけで終わる形に変える開発プランです。

想定領域
スマホ業務アプリ / 出面の記録・常用請求・労務集計
担当範囲
いまの出面表と請求書の整理・画面設計・開発・紙との並行運用
想定対象
社員の職人6名、一人親方3名が出入りし、常用の応援を出し借りしている内装・設備の工事会社
想定期間
設計〜切り替え 約 2 ヶ月。取引先ごとの単価の決め方と、いまの請求書の様式により調整

OVERVIEW

プロジェクト概要

出面(でづら)は、誰がどの現場に何日入ったかの記録です。内装や設備の工事会社では、この記録が3つの出口を持ちます。自社の現場に入った分は案件の労務費になり、他社の現場へ応援に出した分は常用請求になり、社員の分は賃金台帳に書く労働日数と労働時間数になります。ところが入り口は1つしかありません。職長が現場で見ている出面だけが、3つの出口すべてのもとになる数字です。

この開発プランでは、職長がその日の終わりにスマートフォンで出面を入れると、同じ数字が常用請求の明細と、賃金台帳に出す労働日数・労働時間数の両方へ回るようにします。月末にやることは、未入力の日を埋めることと、応援に出した人工を相手の控えと突き合わせることの2つだけになります。数え直しはしません。

案件ごとの見積・実行予算・粗利までつなぐ話は 工務店・リフォーム業の原価管理システム に分けてあります。こちらは労務費のもとになる人工の記録と、常用の請求・支払だけを扱います。原価管理を先に入れる場合も、出面の記録は結局どこかで要るので、どちらから始めるかは最初の相談で決めます。

CHALLENGE

課題

  • 01 出面が職長の手帳と、事務所に届くLINEの写真に分かれている。現場が3つあれば3人の職長がそれぞれの書き方で書く。半日で上がった日、応援に出した日、一人親方が入った日の印の付け方が人によって違う。
  • 02 月末に人工を数え直している。手帳とLINEを開いて、取引先ごとに応援の日数を拾い、常用請求書を作る。数え終わるのが翌月の中旬になり、入金もその分だけ後ろへずれる。
  • 03 応援に出した人工が、相手の控えと合わないことがある。合わないと気づくのは相手から請求書の確認が来たときで、そこから1か月前の出面をたどることになる。1人工の差が2万円を超えるので、そのままにもできない。
  • 04 給与計算のために、同じ数字をもう一度拾い直している。賃金台帳に書くのは労働日数と労働時間数で、請求に使う人工とは単位が違う。半日で上がった日は人工0.5でも労働日数は1日なので、人工の表からは出せない。

APPROACH

課題への対応

入り口を1つにします。職長がスマートフォンで開くのは「きょうの出面」の画面だけで、現場を選び、入った人を選び、人工と時間外を入れます。0.5人工の半日と、時間外の時間数を別々に入れるようにしたのは、この2つが後で別の出口へ行くからです。人工は請求と労務費へ、時間外の時間数は請求の時間外分と賃金台帳へ回ります。作業の内容は一行のメモとして残し、あとで「この日は何をしていたか」を聞かれたときに使います。

事務所が見るのは月間出面表です。人を縦、日を横に並べ、出面が出ていない日を赤い「未」で出します。締めの日に未入力が残っていると締められない作りにして、催促を月末の思い出しではなく画面の状態に変えます。この表には一人親方と、応援で借りている会社の人工も同じ形で並びます。誰に払う分か(社員か、一人親方か、応援を出してくれた会社か)は行の区分で分かれます。

応援の貸し借りは、取引先ごとに1枚の画面にまとめます。出した人工と時間外、相手の控えの数、その差を並べ、合わない日だけを抜き出します。差が残っている間は常用請求書を確定できないようにしておくと、確認の電話が月末の作業の中に入ります。電話をかけた日時と相手の名前、どちらの記録を直したかを残すので、翌月に同じことが起きたときにたどれます。

常用請求の画面は、締めた出面から明細を組み立てます。人工数と単価、時間外の時間数と単価、消費税を並べ、日ごとの明細を添付できる形にします。単価は取引先ごと・職種ごとに持ち、変えた日付を残します。労務集計の画面は同じ出面から、社員は労働日数・労働時間数・時間外の時間数を、一人親方は人工数と単価と金額を出します。労働基準法 第108条と同法施行規則 第54条が賃金台帳に求める項目に合わせてあるので、給与計算の担当者はこの3つを見れば足ります。

作らないものも決めておきます。給与の計算そのもの、社会保険の手続き、案件ごとの見積と粗利、現場写真の管理は対象外です。出面や勤怠を記録するアプリは既に複数売られていて、職人が10名ほどで、応援の貸し借りが無く、常用の請求先が1社だけなら、そちらのほうが早く安く始められます。当社に頼む意味があるのは、取引先ごとに単価と締め日が違う、応援の貸し借りを相手の控えと突き合わせたい、自社の請求書の様式に合わせたい、といった既製の型に収まらない部分があるときです。最初の相談で既製のもので足りると判断したら、そう伝えます。

CONSULTATION

いまの出面の書き方と、先月の常用請求書を見せていただくところから。

職長の手帳とLINEに出面が分かれている、月末に人工を数え直している、応援の人工が相手の控えと合わない。
完成した仕様は要りません。いまの書き方と困っていることから、どこまで仕組みにできるかを一緒に考えます。

SCREENS

主要画面

想定する主要画面です。この5枚は、9月の締め日(9月30日)の一日を、夕方から順に開いた並びにしています。毎日いちばん開くのは1枚目で、2枚目から5枚目は月末に開きます。会社名・職人名・現場名・単価・人工数はすべて想定例で、画面上の合計と請求金額は並んでいる出面から計算した数字です。

01. きょうの出面(現場ごとに、入った人と人工と時間外を入れる)

現場が縦に並び、その日に入った人が人工つきで出る。この日は南1条ビル2Fに4.0人工、北8条事務所に2.0人工、白石店舗改装に1.0人工で、合わせて7.0人工。右は入力中の画面で、現場・人工(0.5か1.0)・時間外の時間数・作業の内容を入れる。工事が終わった現場は「出面の入力は終了」に落ち、下には直近6日の提出の状況が現場ごとに並ぶ。9月26日と9月29日の「未」が、締めの前に埋める4件にあたる。

毎日開く画面
入れるのは職長
現場の職長がその日の終わりに入れます。事務所が代わりに入れることもできますが、その場合は入れた人の名前が残ります。1つの現場に何人入っても、入力は現場ごとに1画面で済みます。
人工と時間外を分ける
人工は0.5か1.0で入れ、時間外は時間数で別に入れます。分けてあるのは、人工が常用請求と案件の労務費へ、時間外の時間数が請求の時間外分と賃金台帳へ、別々に回るからです。
作業の内容
一行のメモとして残します。「軽鉄下地・2F東側」のような書き方で十分で、あとから「この日は何をしていたか」を聞かれたときに使います。写真の管理はこの画面では扱いません。

02. 月間出面表(人を縦・日を横に並べ、出ていない日を赤く出す)

9月16日から30日までを表示した状態。社員6名、一人親方3名、応援で借りている会社の順に並び、半日は0.5、入っていない日は「—」、出面が出ていない日は赤い「未」で出る。この時点の入力済みは136.0人工で、未入力4件を埋めると140.0人工になる。未入力が残っている間は「9月を締める」を押せない。下は現場と職長ごとの提出の状況で、稼働した日数、当日中に提出した日数、未提出の日、提出の平均時刻が並ぶ。

締めの前
未入力の4件
9月26日(土)南1条ビル2Fの佐々木 隆・木村 大地と、9月29日(火)北8条事務所の長谷川 涼・村上 陸です。北8条は応援に出している現場なので、この2件はそのまま常用請求の人工に効きます。
締められない状態を作る
未入力が残っていると締められない作りにしています。催促を月末の思い出しではなく、画面の状態にするためです。どうしても埋まらない日は、理由を書いて締める逃げ道も持たせます。
借りている人工も同じ表に
応援で借りている会社の人工も同じ表に並べます。行の区分で、社員・一人親方・借りた会社が分かれます。払う先と金額の出し方がそれぞれ違うためです。

03. 応援の貸し借り(出した人工と、相手の控えの差を出す)

上は応援に出した先。自社の記録は37.0人工・時間外6.0時間で、ほくと工務店の控えは38.0人工。中ほどの表は日ごとの突き合わせで、2人それぞれについて自社の出面と相手の控えを上下に並べ、いちばん下に差の行を置く。差が出ているのは9月18日(金)の村上 陸の1日だけで、自社の出面は休み、相手の控えには1.0人工が付いている。単価21,000円なので差は21,000円。下は借りた先で、中島電設からの請求書14.0人工と自社の記録が一致している。

相手と突き合わせる
合わない日だけを出す
日ごと・人ごとに並べたうえで、合わない日だけを抜き出します。相手の控えを受け取った日に差が出るので、月末に1か月分をたどらずに済みます。
確認の記録
電話をかけた日時、話した相手、どちらの記録を直したかを残します。翌月に同じ現場で差が出たときに、前回どう決めたかをたどれます。
契約の形
建設業務については労働者派遣が法律で禁じられています(労働者派遣法 第4条第1項第2号)。応援のやりとりは請負の契約として行うことになります。契約の形が実態に合っているかは社会保険労務士や行政の窓口で確認いただき、この画面は決めた取り決めに沿って出た人工を数えるところまでを扱います。

04. 常用請求(締めた出面から、取引先ごとの明細を組み立てる)

ほくと工務店への9月分。常用(内装工)37.0人工×21,000円で777,000円、時間外6.0時間×2,800円で16,800円、小計793,800円、消費税79,380円、合計873,180円。その下に請求書へ添える日ごとの明細と、取引先ごと・職種ごとの単価表が並ぶ。相手の控えとの差が確認中なので、この状態では確定を押せない。右は中島電設へ支払う分で、14.0人工×19,500円に消費税を足して300,300円。

月末に確定する
単価の持ち方
常用の単価は取引先ごと・職種ごとに持ち、時間外の単価も取引先ごとです。単価を変えた日付を残すので、さかのぼって直したときも、どの月にどの単価を使ったかが分かります。
締めの日と送る日
締めの日は取引先ごとに設定します(月末締め、20日締めなど)。締めてから請求書を送るまでの日数も持ち、期日が近づいた取引先を先頭に出します。
ここで作らないもの
自社案件の工事代金の請求は、この画面では作りません。出面から出るのは常用の請求と、案件ごとの労務費までです。

05. 労務集計(社員は労働日数と労働時間数、一人親方は人工と金額)

同じ出面から出す別の集計。社員6名は人工・労働日数・労働時間数・時間外の時間数と、36協定の年度累計が並ぶ。合計は118.5人工・119日・948.0時間・時間外68.0時間。一人親方3名は人工と単価と金額で、合計441,000円(税抜)。インボイスの登録がある人と無い人が行で分かれる。

給与計算へ渡す
人工と労働日数はそろわない
上田 直樹は18.5人工で、労働日数は19日です。半日で上がった日があり、人工は0.5でも労働日数は1日として数えます。請求に使う単位と、賃金台帳に書く単位は別のものです。
賃金台帳に要る項目
労働基準法 第108条は、賃金台帳を事業場ごとに作り、賃金支払の都度記入するよう定めています。同法施行規則 第54条は、労働者ごとに労働日数・労働時間数・時間外の時間数などを記入するよう求めています。この画面は、その3つを出面から出します。
時間外の年度累計
工作物の建設の事業について時間外労働の上限規制を猶予していた規定は、令和6年3月31日までとされていました(労働基準法 附則第139条第2項)。36協定で定められる上限は原則で1か月45時間・1年360時間です(同法第36条第4項)。年度の累計は月ごとに積み上げないと見えないため、列として置いています。

OUTCOME

導入による変化

この開発プランで目指す改善です。効果は「楽になった」という印象ではなく、次の3つを数えて確かめます。切り替え前の1か月は、いまの手帳とLINEから同じ項目を手で数えておき、切り替え後と比べます。

01

月末の人工の数え直しを、その日の入力の積み上げに変える

Before月末に手帳とLINEを開き、取引先ごとに応援の日数を拾って常用請求書を作る。数え終わるのが翌月の中旬になり、入金もその分だけ後ろへずれる。
After締めた日に明細が組み上がっている。月末にやるのは、未入力の日を埋めることと、相手の控えとの差を確かめることの2つになる。

数えるのは、締めの日から常用請求書を送るまでの日数と、月末の集計にかかった時間です。取引先ごとの入金日がどれだけ前に動いたかも残します。

02

応援の人工の食い違いを、請求書が来る前に見つける

Before合わないと気づくのは相手から請求書の確認が来たとき。そこから1か月前の出面をたどり、記憶と手帳で確かめることになる。
After相手の控えを受け取った日に、合わない日だけが抜き出される。差の人工数と金額が画面に出て、確認の電話と結果が記録に残る。

数えるのは、相手の控えと合わなかった日数、その人工数と金額、差が解消するまでの日数です。件数が出ること自体を悪く扱わない運用にします。

03

請求に使う人工と、賃金台帳に書く日数・時間数を同じ入力から出す

Before常用請求のために人工を数え、給与計算のために労働日数と労働時間数をもう一度拾う。半日で上がった日の扱いが2か所でずれることがある。
After1回入れた出面から、人工と労働日数・労働時間数・時間外の時間数がそれぞれ出る。半日の扱いは画面の中で1つに決まる。

数えるのは、給与計算のための転記の回数と、その転記で出た訂正の件数です。訂正が出た項目も残し、入力の仕方を直す材料にします。

PROCESS

2ヶ月の進め方

いまの出面の書き方と常用請求書の様式を確認し、出面の入力から段階的に切り替えます。以下は約2か月で切り替える場合の例です。取引先ごとの単価の決め方と請求書の様式により期間を調整します。

1
MONTH 01 / いまの出面と請求書の整理・入力と出面表の開発

職長の書き方を1つに決め、紙と並べて2週間使う

3人の職長の手帳、事務所に届いているLINEの写真、先月の常用請求書、給与計算に使っている表を見せていただきます。半日の付け方、応援に出した日の印、一人親方が入った日の扱いを1つに決め、その形でスマートフォンの入力画面と月間出面表を作ります。いまの書き方と並べて2週間使い、入力が現場で回るかを確かめます。

  • 手帳・LINE・常用請求書・給与計算の表の確認
  • 半日と応援と一人親方の付け方の統一
  • きょうの出面・月間出面表の開発
  • 紙との並行運用(2週間)と入力手順の調整
2
MONTH 02 / 応援の突き合わせ・常用請求・労務集計

先月の請求書と突き合わせて、締めから送付までを通す

応援の貸し借りの画面、常用請求の画面、労務集計の画面を作ります。取引先ごとの単価と締めの日を登録し、先月の常用請求書と同じ月の出面から作った明細を突き合わせて、金額が合うことを確かめます。労務集計は給与計算の担当者に見てもらい、賃金台帳へ渡す項目が足りているかを確認します。切り替え後の最初の締めに立ち会います。

  • 応援の突き合わせ・常用請求・労務集計の開発
  • 取引先ごとの単価と締め日の登録
  • 先月の請求書との突き合わせ
  • 最初の締めへの立ち会いと振り返り

FAQ

よくある質問

  • Q1 出面のアプリは既にいくつもあります。それと何が違いますか?
    出面や勤怠を記録するだけなら、既に売られているアプリのほうが早く安く始められます。当社に頼む意味があるのは、取引先ごとに常用の単価と締めの日が違う、応援に出した人工を相手の控えと突き合わせたい、自社の請求書の様式に合わせて出したい、といった既製の型に収まらない部分があるときです。最初の相談で既製のもので足りると判断したら、そう伝えます。
  • Q2 給与ソフトや会計ソフトに、この数字をそのまま入れられますか?
    そのまま取り込めるかは、お使いのソフトが受け付けるファイルの形によります。先に取り込みの仕様を確認させてください。確認が取れない場合でも、労務集計の画面をCSVで書き出して手で取り込む形や、画面を見ながら入力する形で始められます。連携は後から足せます。
  • Q3 建設キャリアアップシステムの就業履歴とつなげますか?
    今回の範囲には入れていません。つなげられるかどうかは仕様を確かめないと言えないので、必要であれば最初の相談で確認します。確認が取れるまでは、就業履歴の登録はこれまでどおりの方法で続ける前提で設計します。
  • Q4 電波が届かない現場があります。
    入力した内容が端末に残り、電波が入った時点で送る作りにします。地下や鉄骨の現場では珍しくないので、圏外で入力できることは最初から前提にします。事務所が代わりに入れることもでき、その場合は入れた人の名前が残ります。
  • Q5 費用はどのくらいかかりますか?
    画面の範囲を決めてから個別に見積もります。金額を左右するのは、常用の単価が取引先ごと・職種ごとに何通りあるか、時間外や深夜の割増をどう決めているか、締めの日が取引先ごとに違うか、応援の貸し借りを相殺するか請求と支払を別々に立てるか、そして過去の出面表をどこまで取り込むかです。給与ソフトへの連携を含めるかどうかでも変わるので、そこは仕様の確認が済んでから見積もりに足します。運用開始後の保守費は分けて説明します。

いまの出面の書き方と、先月の常用請求書を見せていただくところから。

職長の手帳とLINEに出面が分かれている、月末に人工を数え直している、応援の人工が相手の控えと合わない。
完成した仕様は要りません。いまの書き方と困っていることから、どこまで仕組みにできるかを一緒に考えます。