EvoQuest
EvoQuest AI需要予測AI 2026.09

SCENARIO ── GROCERY DAILY ORDER CASE

レジの客数から、
あすの牛乳と豆腐の数を決める。

札幌市内、売場面積150平方メートルの食料品店を想定します。1日の客数は400人前後、店主夫婦とパート6人。日配品の問屋とパン屋への発注を「きのうと同じ数」から、レジの客数をもとにした数に変える開発プランです。

想定領域
需要予測AI / 食料品店の日配品の発注
担当範囲
レジ記録の整理・客数日報と発注表の設計・開発・定着支援
想定対象
売場面積150平方メートル・レジ2台・日配58品目の個人店
想定期間
設計〜納品 約 3 ヶ月

OVERVIEW

プロジェクト概要

日配品は、牛乳・豆腐・納豆・パン・生麺のように毎日届く食品で、この店では58品目あります。頼む数は店主が前日の伝票を見て決めていて、ほとんどの日は前日と同じ数です。ところが客数は曜日で動きます。金曜は木曜より多く、雨の日は減る。同じ数を頼めば、金曜の夕方に牛乳が切れ、月曜の朝に豆腐が残ります。

この開発プランは、小売店の来店数は何を見れば見込めるかの記事で書いた「レジの客数・曜日・天気」を、そのまま発注の数に落とす仕組みです。毎日いちばん開くのは客数日報の画面で、見込みはそこから開く1枚に置いています。決めることは1つだけ。毎日15時、あすの日配品の発注数を確定して問屋とパン屋へ送る。飲食店で品目ごとの残りから積み上げる 発注表アプリの開発プラン と対になる、客数から降ろす側の設計です。

CHALLENGE

課題

  • 01 発注数が「きのうと同じ」で、客数の波が入っていない。この店の金曜は木曜より客数が1割ほど多いのに、頼む数は同じ。金曜の夕方に牛乳が切れて、切れた時刻はどこにも残らない。月曜の朝には豆腐が残っている。
  • 02 日配品には消費期限の品目と賞味期限の品目が混ざっているのに、余裕の置き方が全部同じ。食品表示基準は、消費期限を「安全性を欠くこととなるおそれがないと認められる期限」、賞味期限を「期待される全ての品質の保持が十分に可能であると認められる期限」と定めている。豆腐と食パンは期限を過ぎたら捨てるしかなく、牛乳と納豆は数日持ち越せる。同じ気持ちで「多めに」頼めば、捨てるのはいつも消費期限の側になる。
  • 03 レジには日ごとの会計回数と品目ごとの売れ数が残っているのに、発注のときに開くのは前日の伝票だけ。雨の日に何割減るか、給料日の週に何が動くかは店主の記憶の中にあり、店主が休む日はパートが前日と同じ数を頼む。

APPROACH

アプローチ

最初に作るのは客数日報です。レジから日ごとの会計回数を取り込み、天気と、その日に変わったことを1行だけ残します。売り切れた品目は棚が空いた時点でボタンを押して時刻を残し、捨てた品目と見切りで値引きした品目は閉店後に個数を入れます。この1画面を毎日つけると、3ヶ月で曜日の波と雨の日の減り方がこの店の数字で出ます。中小企業基盤整備機構の起業マニュアルが、小売の仕入情報として「どの商品が、いつ・どれだけ・いくらで売れたのか」の販売データと、在庫のない商品への要求を品切れか取扱外かを区別して記録する顧客要求伝票を挙げているのを、店の作業に置き換えたものです。

頼む数の式は1つです。あすの見込み客数に、直近4週の同じ曜日の100人あたりの売れ数を掛け、あす朝に残る数を引き、発注の単位に切り上げる。あす朝に残る数は、15時の残りから閉店までに売れる見込みを引いた数です。見込み客数は幅で出すので、売れ数も幅で出ます。幅のどこで頼むかは品目の期限で分けます。消費期限の豆腐・パン・生麺は下側で頼み、賞味期限で数日持ち越せる牛乳・納豆・卵は上側で頼む。宅配で決まっているぶんは見込みに混ぜず、別の行に足します。特売の日は店が自分で動かした日なので、普段の曜日の波の材料から外して、特売の日どうしで見ます。

天気は、あすのぶんだけ予報を使います。気象庁の府県天気予報は毎日5時・11時・17時に出るので、15時の確定で見るのは11時の予報です。雨の日にどれだけ減るかは、一般の数字を使わず、日報にたまったこの店の記録から出します。7日先までは週間天気予報の信頼度A・B・Cを添え、8日先から先は予報が無いので平年値と去年の同じ時期の日報で見込みます。効果は的中率では測りません。消費期限切れで捨てた仕入額、見切りで値引きした差額、売り切れボタンを押した時刻より後のレジ客数に100人あたりの売れ数を掛けた買えなかった人の推計、それに店主以外が15時に確定した日数で測ります。

CONSULTATION

まず、レジの客数を3ヶ月ぶんです。

金曜の夕方に牛乳が切れて、月曜の朝に豆腐が残る。
店主が休む日に、パートが同じ数を頼めるようにしたい。
レジから出した日別の客数を1本お預かりして、曜日の波が見えるかを確かめるところから、ご相談ください。

SCREENS

主要画面

想定する主要画面です。毎日開くのは1枚目の客数日報で、2枚目の発注表は15時に、3枚目と4枚目は根拠を確かめるときと月に1回の見直しで開きます。店名・問屋名・品目・数量・金額はすべて売場面積150平方メートルの食料品店の規模感に合わせた想定例です。

01. 客数日報

左に直近2週間の日報が並び、右にきょうの入力欄がある。客数はレジから取り込まれ、店の人が入れるのは天気と1行の理由、売り切れ・廃棄・見切りだけ。きょうは食パンが14時35分に売り切れ、その後のレジ客数から買えなかった人の数がその場で出ている。

毎日開く画面
設計のポイント
客数は入力しない。レジの会計回数を日別に取り込み、店の人が足すのは天気・理由・売り切れの3つに絞る。続かない日報は記録にならない。
売り切れボタン
棚が空いた時点で品目を押すと時刻が残る。その時刻より後のレジ客数に100人あたりの売れ数を掛けて、買えなかった人の推計をその日のうちに出す。
特売の日
チラシの日は印をつけて、普段の曜日の波の材料から外す。特売の日どうしで並べて、次の特売の数に使う。

02. あすの発注表(日配)

問屋とパン屋ごとに品目が並び、15時の残りを入れると、あす朝の残り・あすの売れ数の幅・頼む数が行ごとに出る。金曜の見込み客数は雨の予報で下がり、消費期限の品目は幅の下側、賞味期限の品目は上側で数が出ている。宅配の定期分は別の列に足される。

15時に開く画面
設計のポイント
頼む数は式で出るが確定ではなく、店主が行ごとに直せる。直した行は理由を1つ選ぶと残り、月次の振り返りで式の数と直した数のどちらが実績に近かったかを見る。
幅のどこで頼むか
消費期限の豆腐・パン・生麺は下側、賞味期限で持ち越せる牛乳・納豆・卵は上側。位置は品目ごとの設定で持ち、行の横に小さな目盛りで見せる。
締め時間
パン屋は15時30分、問屋は16時の締め(この店の契約条件の想定)。15時に確定すれば両方に間に合う。確定した数はCSVで書き出し、問屋の発注画面へ写す。

03. 客数の見込み(あすから28日先)

直近2週間のレジ客数と、あすから7日先までの見込みの幅が1本のグラフに並ぶ。右には、何日先まで何の予報が使えるかと、あすの幅の根拠(金曜の直近4週・雨の日の減り方)がある。8日先から28日先は日ごとの予報が無いので、週ごとの幅で下に出る。

見込み
予測が担当する範囲
幅が扱うのは店頭の客数だけ。宅配の定期分と特売の日は幅の外に置く。あすのぶんは11時の府県天気予報、7日先までは週間天気予報の信頼度を添える。
雨の日の減り方
一般の数字を使わない。日報にたまったこの店の雨の日と晴れの日の差から出し、記録が少ないうちは幅を広げて見せる。
段階
最初は直近4週の同じ曜日の平均と上下の幅。日報が3ヶ月たまったら、日付と客数の2列から28日先までの幅を出す仕組みに置き換える。

04. 月次の振り返り(廃棄・見切り・売り切れ)

品目ごとに、消費期限切れで捨てた仕入額、見切りで値引きした差額、売り切れの回数と買えなかった人の推計が並ぶ。右には幅の位置を動かす候補が出て、店主が採用するかを決める。店主以外が15時に確定した日数もここに出る。

月次
設計のポイント
効果は的中率で測らない。捨てた額と買えなかった人の推計額のどちらが大きいかを品目ごとに見て、幅の位置を上下に動かす。
記録の出どころ
廃棄と見切りは日報の閉店後の入力から、売り切れは日報のボタンから、客数はレジから。振り返りのために新しく入力する項目は作らない。
提案の扱い
「菓子パンを中央にすると、8月の売り切れ4回のうち3回は残った」のような候補は出すが、採用は店主が押す。押さなければ設定は変わらない。

OUTCOME

変わったこと

仕組みが運用に乗ったあと、この店の発注が2つの点で変わる想定です。効果は的中率ではなく、捨てた額・買えなかった人の推計・店主以外が確定した日数で測ります。

01

「金曜に切れて月曜に残る」が、曜日ごとの数に変わる

Before頼む数はきのうと同じで、曜日の波は店主の記憶の中にあった。牛乳が切れた時刻はどこにも残らず、切れたことも翌朝の空の棚で気づいていた。
After金曜と月曜で見込み客数が変わり、頼む数がそれに追いつく。売り切れはボタンで時刻が残り、その後のレジ客数から買えなかった人の数がその日のうちに出る。店主が休む日も、パートが15時に同じ式で確定する。

数えるのは、品目ごとの売り切れ回数と買えなかった人の推計、それに店主以外が確定した日の割合です。仕組みを入れる前の1ヶ月は、売り切れの時刻だけ紙に書いてもらい、先に数を持っておきます。

02

捨てる側と持ち越せる側で、余裕の置き方が分かれる

Before豆腐も牛乳も同じ気持ちで多めに頼み、捨てるのは期限の短い豆腐とパンばかりだった。値引きシールを貼る品目と個数は、その日の棚を見た人の判断だった。
After消費期限の品目は幅の下側、賞味期限の品目は上側で数が出る。月に1回、捨てた額と買えなかった人の推計額を品目ごとに並べて、位置を動かすかを店主が決める。

数えるのは、消費期限の品目の廃棄額と、賞味期限の品目の売り切れ回数です。最初の3ヶ月は数字の傾向を見るだけにして、位置を動かすのは4ヶ月目からにします。

PROCESS

3ヶ月の進め方

札幌市内・近郊なら店へ伺い、道外はオンラインで進めます。レジからCSVを出せることが前提で、問屋の発注システムとはつながない範囲なので、設計から納品まで3ヶ月の想定です。

1
MONTH 01 / レジ記録の整理 + 客数日報の開始

3ヶ月ぶんのレジのCSVで、曜日の波が見えるかを確かめる

最初に、レジから直近3ヶ月の日別の会計回数と品目別の売れ数をCSVで出してもらい、曜日ごとに並べて平均と上下の幅を見ます。ここで曜日の波が見えなければ、記録の取り方から直します。同時に、58品目の期限の区分(消費期限か賞味期限か)、発注の単位、問屋とパン屋の締め時間を1枚の表にします。日報はこの月から紙で始めてもらい、売り切れの時刻と捨てた個数を残す習慣を先につけます。

  • レジからのCSV書き出しの手順確認と、直近3ヶ月の曜日別の集計
  • 58品目の期限区分・発注単位・仕入値の表づくり
  • 問屋とパン屋の締め時間・納品時刻・宅配の定期分の聞き取り
  • 紙の客数日報の開始(客数・天気・理由・売り切れの時刻・廃棄)
2
MONTH 02 / 客数日報・発注表・見込み・振り返りの開発 + Excelとの並行

式で出た数と、店主が実際に頼んだ数の差を残す

4つの画面を作ります。先に発注表の式をExcelに落として2週間使ってもらい、式で出た数と店主が実際に頼んだ数の差を品目ごとに残します。差が大きい品目は、100人あたりの売れ数の取り方か、幅の位置の初期値がずれているので、ここで直します。雨の日の減り方は、この時点の日報から仮の値を置き、記録が増えるたびに置き直す作りにします。

  • 客数日報・あすの発注表・客数の見込み・月次の振り返りの開発
  • レジのCSVの取り込みと、日別の会計回数・品目別の売れ数の突合
  • Excelの発注表での2週間の並行運用と、差の記録
  • 幅の位置の初期値(消費期限=下側/賞味期限=上側)の確認
3
MONTH 03 / 実運用 + 引き渡し

店主が休む日に、パートが15時に確定する

発注を紙とExcelからアプリに移します。確かめるのは3つです。雨の予報の日に見込み客数が下がって頼む数に反映されるか、宅配の定期分が別の行に足されているか、店主が休む日にパートが残りを入れて確定まで進めるか。月の後半に店主が休む日を1回つくってもらい、パートだけで発注表を確定してもらいます。月次の振り返りは、この月のデータで最初の1枚を一緒に見て、幅の位置を動かすのは翌々月からと決めて引き渡します。

  • 雨の予報の日・特売の日・宅配の定期分がある日での頼む数の確認
  • 店主が不在の日に、パートだけで確定する運用の確認
  • 最初の月次の振り返りを一緒に見る時間と、設定変更の手順の引き継ぎ
  • 日報が3ヶ月たまった時点で見込みの出し方を置き換える段取りの確認

FAQ

よくある質問

  • Q1 問屋の発注端末があります。それと何が違いますか。
    問屋の端末は、決めた数を送る道具です。困るのは数を決める側で、端末に入れる数は店の人が考えています。この開発プランは、その数をレジの客数から出す側を作ります。確定した数はCSVで書き出せるので、端末へ写す形から始め、端末が取り込みに対応していれば直接渡す形も相談できます。最初の相談で問屋の名前と端末の種類を伺います。
  • Q2 レジに客数の集計がありません。始められますか。
    始められます。レジの会計回数か、レシートの通し番号を日ごとに控えれば、それが客数の記録になります。今日から数え始めても、3ヶ月あれば曜日の波は見えてきます。CSVを出せるレジであれば取り込みで自動になり、出せないレジなら日報に手で入れる形になります。どちらでも式は同じです。
  • Q3 天気は自動で取り込めますか。
    最初は、気象庁の予報を店の人が見て、日報に晴れ・曇り・雨・雪の4つから選ぶ形にします。あすのぶんは11時の府県天気予報を確定の前に見るだけで足ります。予報の自動取り込みは、範囲を決めてから追加する項目で、費用が動くところなので、最初の3ヶ月は手で入れて記録の質を優先します。
  • Q4 費用はどのくらいかかりますか。
    範囲を決めてから見積もります。金額が動くのは3か所です。1つめはレジからCSVを出せるかどうかで、出せれば取り込みだけで動きます。2つめは品目の数と問屋の数で、この想定(58品目・2社)なら3ヶ月の範囲に収まります。3つめは見込みの出し方で、直近4週の平均で始めるか、最初から予測の仕組みを組み込むかで開発量が変わります。相談の場では、まずレジの機種と、直近1ヶ月の発注の控えを伺います。

まず、レジの客数を3ヶ月ぶんです。

金曜の夕方に牛乳が切れて、月曜の朝に豆腐が残る。
店主が休む日に、パートが同じ数を頼めるようにしたい。
レジから出した日別の客数を1本お預かりして、曜日の波が見えるかを確かめるところから、ご相談ください。