EvoQuest
EvoQuest Food弁当店向け 食数・配達管理 執筆:水上貴洋(取締役) 2026.09

SCENARIO ── OFFICE BENTO CASE

9時の締めより先に、
主菜の仕込みは前日に始まっている。

札幌市内、24の事業所へ1日約190食の日替わり弁当を届ける弁当店を想定します。定数の紙と電話メモで回している食数表を1つの画面にし、前日16時の主菜の仕込み数と、9時に締めた後の炊き足しの量をそこから決める開発プランです。

想定領域
業務アプリ / 弁当店の食数・配達・請求の管理
担当範囲
業務整理・食数表と台帳の設計・開発・定着支援
想定対象
24事業所・1日約190食・配達2便の個人店
想定期間
設計〜納品 約 3 ヶ月

OVERVIEW

プロジェクト概要

事業所向けの日替わり弁当は、注文の形が決まっています。事業所ごとに「いつもの数」(定数)があり、休みや出張のぶんだけ当日の朝に電話で減り、来客があれば増えます。締めは当日9時が多く、この店も9時です。ところが厨房は5時半に動き出していて、主菜の解凍と下味は前日の夕方に済ませています。9時に決まる数より先に、仕込みの数を決めなければならないのが、この業態の構造です。

この規模の店が探すと、事業所の従業員が端末で注文する仕組みや、掛売の請求まで一体になった業務ソフトが見つかります。紙の食数表と電話で回っている店が最初に困っているのは、それより手前にあります。電話で受けた変更が、炊飯と盛り付けと配達と請求の4か所に同じ数で届かないことです。この開発プランで作るのは、電話を聞きながら埋める1枚の食数表と、そこから出る配達リスト・通い箱の回収・月末の請求です。予測の画面は1枚だけで、前日16時に主菜の仕込み数を決めるときに開きます。

CHALLENGE

課題

  • 01 9時の締めより前に、仕込みの数を決めている。主菜の解凍と下味は前日16時、炊飯は当日6時に始まる。決めているのは店主の勘で、前日に「いつもより多めに」と言った根拠が残らない。余った主菜は捨て、足りない日は10時の追加依頼を断っている。
  • 02 変更の電話メモが、食数表・厨房のホワイトボード・配達メモ・請求の控えに手で書き写されている。1日6〜10件の変更を、片方だけ直した日は弁当の数が合わないか、月末の請求が合わない。
  • 03 通い箱(弁当箱)の未回収が事業所ごとに分からない。持ち出した数と午後に戻った数を数えていないので、月に何十個かが事業所の給湯室に残る。足りなくなると使い捨ての容器を買い足している。
  • 04 月末に、紙の食数表を事業所ごとに数え直して請求書を作る。24事業所ぶんで半日かかり、電話で受けた変更の書き漏れが請求の訂正になって返ってくる。振込の事業所と月初に現金で集金する事業所が混ざっていて、未入金の確認も紙の控えを見ている。

APPROACH

課題への対応

最初に作るのは、事業所ごとの定数を曜日別に持つ台帳と、そこから毎日自動で生まれる食数表です。定数は曜日で違う事業所があります。国土交通省の令和7年度テレワーク人口実態調査では雇用型テレワーカーが25.2%で、令和5年度の調査は、週1〜4日のテレワークと出社を組み合わせる働き方が広がっていると書いています。金曜だけ少ない事業所の数を、毎週電話で受けるのではなく台帳に置きます。電話で受けた変更は、受けたその場で食数表の行に入れ、盛り付け数・配達リスト・月末の集計へ同じ数が届きます。書き写す場所が無くなります。

9時の締めより前に決めるものを2つに分けます。主菜の仕込み数は前日16時、朝の炊飯量は当日6時です。どちらも、まず決まっている数を使います。定数の合計から、前日までに連絡のあった休みと出張を引き、来客ぶんの追加を足した数が「確定側」です。この店の想定では、金曜の定数196食に対して191食でした。予測が扱うのは残りの部分、つまり9時までに来る当日変更の合計だけです。同じ曜日の直近8週の当日変更が−7〜+5食なら、あすは184〜196食の幅で見ます。

幅のどちら側に寄せるかは、あとから足せるかどうかで決めます。主菜は前日に解凍と下味を済ませるので、締めた後には足せません。だから上限側で仕込み、余った分の原価を毎日数えます。ごはんは炊き上がりまで50分なので、朝6時は下限側の升数で炊き、9時に締めた数に合わせて9時15分に炊き足します。この店では1升で16食ぶんなので、184食なら11升、締めた数が194食なら2升を足します。10時5分に炊き上がれば、10時30分の詰め終わりに間に合います。締めた後に来た追加の依頼は、主菜の残りの範囲で受けられるかどうかを画面が出します。受けた数と断った数の両方を残します。

配達については、厚生労働省の大量調理施設衛生管理マニュアルが「調理終了後から2時間以内に喫食することが望ましい」とし、配送には10℃以下または65℃以上の温度管理と配送時刻の記録を求めています。このマニュアルの対象は1回300食以上か1日750食以上の施設で、この店は下回ります。ただ、食品衛生法施行規則の別表第17も「調理された食品を配送し、提供する場合にあつては、飲食に供されるまでの時間を考慮し、適切に管理すること」を営業者の基準にしています。配達リストには調理終了と搬出の時刻を残し、最終の事業所への到着が2時間に収まる順を組みます。

請求は税率の区分から持ちます。国税庁はケータリング等を「相手方が指定した場所において行う加熱、調理または給仕等の役務を伴う飲食料品の提供」と定義し、軽減税率の対象から外しています。届けて置いてくるだけの弁当はこれに当たらず、飲食料品の譲渡として8%です。会議室で配膳まで頼まれる依頼を受けるなら10%になるので、台帳に区分を持ち、請求書の税率をそこから決めます。効果は的中率で見ません。主菜の余りの原価、炊き足しの升数、締めた後の追加を受けた数と断った数、月末の集計にかかった時間、請求の訂正件数、通い箱の未回収数を数えます。

CONSULTATION

まず、紙の食数表と電話メモを見せてください。

9時の締めより先に仕込みを決めていて、余りと断った数がどこにも残っていない。
月末に食数表を数え直して請求書を作っている。
事業所の数と、1日に受ける変更の件数を伺うところから、ご相談ください。

SCREENS

主要画面

想定する主要画面です。毎朝いちばん開くのは1枚目の食数表で、前日16時に店主が開くのは2枚目だけです。事業所名・食数・時刻・金額はすべて24事業所・1日約190食の弁当店の規模感に合わせた想定例です。

01. 今日の食数表

金曜8時40分、締めの20分前の画面。24事業所が配達順に並び、定数・事前の変更・当日の変更・確定した数が行ごとに出る。当日の変更は受けた時刻と方法(電話・FAX・LINE)が残る。上には定数の合計、確定した数、前日に仕込んだ主菜の数、6時に炊いた升数と、締めた数に対して足す升数が並ぶ。

毎日開く画面
設計のポイント
電話中に事業所を選んで増減を入れるだけで1行になる。受けた時刻が自動で残るので、9時を過ぎた変更には「締め後」の印がつき、主菜の残りの範囲なら受ける、超えるなら断る、を画面が示す。
炊き足しの見え方
締めた数から6時に炊いた分を引き、1升16食で切り上げた升数が出る。9時15分に炊き始めれば10時5分に炊き上がる計算も横に出る。
状態の表現
連絡が無い事業所は定数のまま黒、事前に変更のあった行は灰色の印、当日に変更のあった行は青の印で示す。締めるボタンを押すと、配達リストと盛り付け数が確定する。

02. あすの見込み(前日16時)

木曜16時の画面。あす金曜の定数196食から、連絡済みの休み・出張9食を引き、来客の追加4食を足した191食が確定側として先に積まれる。その下に、直近8週の金曜の当日変更(−7〜+5食)が棒で並び、あすの幅184〜196食が出る。右に、主菜の仕込み数と朝の炊飯の升数を入れる欄がある。

見込み
設計のポイント
予測が扱うのは当日変更の合計だけ。定数と連絡済みの変更は予測に混ぜない。幅の根拠になった8週分の実績がその場で見えるので、先々週の−7食が何だったか(事業所の社員旅行など)を確かめてから決められる。
幅の使い分け
主菜は締めた後に足せないので上限側(196食+予備2食)を初期値にし、炊飯は足せるので下限側(184食→11升)を初期値にする。初期値を変えた場合は理由を選ぶ。
段階
最初は同じ曜日の直近8週の最小と最大。記録が3ヶ月たまったら、日付と数量の2列のCSVから28日先までの幅を出す仕組みに置き換える。置き換えても、上限側・下限側のどこで決めるかは人のまま。

03. 配達・回収リスト

金曜10時35分、出発前の画面。1便と2便に分かれた24事業所が配達順に並び、食数、持ち出す通い箱の数、到着の記録、午後の回収数が1行になる。上には調理終了10時25分と、2時間後の12時25分までに最終の事業所へ着く予定が出る。

配達
設計のポイント
食数表を締めた数がそのまま各行の食数になる。ドライバーは到着のボタンを押すだけで時刻が残り、配送時刻の記録になる。
通い箱の扱い
持ち出した数と午後に戻った数の差が、事業所ごとの未回収として翌日の行に繰り越される。3日残っている事業所には印がつき、翌日の配達時に声をかける。
温度と時間
保温庫から出した時刻を搬出時刻として残す。到着が12時25分を過ぎる順になったら、並び替えの候補が出る。

04. 事業所台帳

1つの事業所の設定画面。曜日別の定数(月〜木12食・金9食)、締めの時刻、変更の受付方法、配達の便と順、置き場所、通い箱の回収、請求の方法(月末締め翌月末振込か、月初に現金で集金か)、税率の区分、担当者の連絡先を1画面で持つ。左に24事業所の一覧。

台帳
設計のポイント
定数を曜日で持てるようにする。金曜に在宅勤務が多い事業所は、毎週の電話ではなく台帳の数で減る。定数を変えた履歴が残る。
税率の区分
届けるだけの弁当は軽減税率の8%、会議室で配膳まで行う依頼は10%。事業所ごとに区分を持ち、請求書の税率がここから決まる。
請求の方法
振込の事業所と現金集金の事業所を分ける。集金の事業所は、月初の配達リストに集金額が出る。

05. 月末の集計と請求

9月1日の画面。事業所ごとに8月の営業日ぶんの食数が食数表から集計され、食数×単価、税率、請求方法、8月分の請求書の発行状態、7月分の入金または集金の状態が1行に並ぶ。上に8月の合計(21営業日・食数・売上)と、請求の訂正件数、通い箱の未回収。

月末
設計のポイント
月末に数え直す作業を無くす。日々の食数表の確定した数がそのまま集計になるので、電話で受けた変更の書き漏れが請求の訂正になって戻ってこない。
未入金の見え方
振込の事業所は入金日を入れると消え、期日を過ぎた行は上に上がる。現金集金の事業所は集金した日とドライバーの名前が残る。
通い箱
月末時点で未回収が残っている事業所は、請求書と一緒に渡す案内に個数が出る。

OUTCOME

導入による変化

仕組みが運用に乗ったあと、この店の毎日と月末が3つの点で変わる想定です。効果は的中率ではなく、主菜の余りの原価と締めた後に受けられた追加の数、月末の集計にかかった時間で測ります。

01

前日16時の仕込み数に、根拠が残る

Before定数の紙を見て「金曜だから少なめ」と店主が決めていた。余った主菜は数えず、足りない日は10時の追加を断っていた。
After確定側の数と当日変更の幅を見て、主菜は上限側、炊飯は下限側で決める。主菜の余りは毎日原価で残り、締めた後の追加を受けた数と断った数も残る。

数えるのは、主菜の余り×原価の合計と、締めた後の追加依頼のうち受けられた件数です。仕組みを入れる前の1ヶ月は、紙のまま余りと断った件数だけを数えてもらい、比べる元にします。

02

電話で受けた変更が、1回の入力で厨房・配達・請求に届く

Before1日6〜10件の変更をホワイトボードと紙の食数表に書き、盛り付けと配達メモと月末の集計で計3回以上書き写していた。
After受けた場で1行入れると、盛り付け数・配達リスト・月末の集計が同じ数になる。書き写す場所が無い。

数えるのは、弁当の数が合わなかった日数と、請求の訂正件数です。前者は配達リストの食数と実際に積んだ数の差、後者は請求書を出し直した回数で数えます。

03

月末の集計が、半日から数十分になる

Before紙の食数表を24事業所ぶん数え直し、請求書を作り、振込と現金集金の控えを別に見ていた。
After食数表の確定した数がそのまま事業所別の集計になり、請求書と入金・集金の状態が同じ画面に並ぶ。通い箱の未回収も請求書の案内に出る。

数えるのは、月末の集計と請求書の作成にかかった時間と、通い箱の未回収数です。時間は最初の3ヶ月、毎月同じ人に計ってもらいます。

PROCESS

3ヶ月の進め方

札幌市内・近郊なら店へ伺い、道外はオンラインで進めます。24事業所で、請求まで含む範囲なので、設計から納品まで3ヶ月の想定です。

1
MONTH 01 / 業務ヒアリング + 台帳づくり

朝の3時間と月末の半日に同席して、24事業所の台帳を作る

5時半から9時の厨房と、月末の請求作業に同席します。事業所ごとの定数を曜日別に確かめ、締めの時刻、受付の方法、配達順、通い箱の扱い、請求の方法と税率の区分を1件ずつ台帳に入れます。同時に、紙の食数表に「受けた時刻」の欄だけ足して2週間使ってもらい、9時を過ぎた変更が1日に何件あるかと、主菜の余りを数えます。この2週間の数字が、あとで効果を比べる元になります。

  • 朝5時半から9時の厨房と、月末の請求作業への同席
  • 24事業所の定数(曜日別)・締め・受付方法・配達順・請求方法・税率区分の聞き取りと台帳化
  • 紙の食数表に「受けた時刻」欄を足した2週間の運用と、締め後の変更件数・主菜の余りの記録
  • 通い箱の総数と、事業所に残っている数の棚卸し
2
MONTH 02 / 食数表・見込み・配達リストの開発 + 並行運用

紙の食数表と画面を2週間並べて、締めた数が一致するかを確かめる

食数表・あすの見込み・配達リストの3画面を作り、紙と並行で2週間使います。確かめるのは3つです。電話で受けた変更がその場で行に入ること、9時に締めた数が盛り付け数と配達リストに一致すること、ドライバーが到着と回収の数を入れられること。あすの見込みは、この時点では同じ曜日の直近8週の最小と最大で出し、店主が主菜と炊飯の初期値を変えた日の理由を残します。

  • 今日の食数表・あすの見込み・配達・回収リストの開発
  • 紙の食数表との2週間の並行運用と、締めた数の突き合わせ
  • ドライバーのスマートフォンでの到着・回収入力の確認
  • 主菜と炊飯の初期値を変えた日の理由の記録と、幅の置き方の確認
3
MONTH 03 / 台帳・月末の集計と請求の開発 + 実運用

月末の請求を、紙を見ずに画面から出す

事業所台帳と月末の集計の画面を作り、その月の請求書を画面から出します。振込の事業所と現金集金の事業所で請求書と集金額の出方を確かめ、税率の区分が請求書に反映されることを見ます。引き渡しの前に、月末の集計にかかった時間を計り、1ヶ月目に同席したときの時間と比べます。あすの見込みを予測の仕組みに置き換えるのは、記録が3ヶ月たまってからと決めておきます。

  • 事業所台帳と、月末の集計・請求・入金確認の画面の開発
  • 振込・現金集金の2種類の請求書と、集金額の配達リストへの表示の確認
  • 月末の集計にかかる時間の計測と、1ヶ月目との比較
  • 台帳の直し方と、幅の置き方を見直す手順の引き継ぎ

FAQ

よくある質問

  • Q1 事業所の従業員が自分で注文するアプリにはできますか。
    できますが、この開発プランでは入れていません。この店の注文は事業所の担当者が人数をまとめて電話で伝える形で、担当者ごとに違う連絡手段(電話・FAX・LINE)をそのまま受けるほうが早いと考えたためです。従業員が個別に注文する仕組みは、事業所側に端末や運用を頼むことになり、24事業所すべてに同時に入れるのは難しいのが実際です。まず店の側の食数表を1つにし、希望する事業所からLINEで人数を送ってもらう形を足す順番にしています。
  • Q2 見込みが外れて主菜が足りなくなったらどうなりますか。
    主菜は上限側で仕込むので、幅の中に収まる限りは足りなくなりません。幅を超える追加が締めた後に来たときは、主菜の残りの範囲で受け、超える分は断ります。断った数は記録に残るので、同じ事業所から繰り返し追加が来るなら、定数を上げる相談をその事業所にします。幅そのものは、同じ曜日の当日変更の実績から毎週出し直します。
  • Q3 高齢者向け配食や仕出し弁当の開発プランとは、何が違いますか。
    高齢者向け配食は、利用者ごとの曜日固定の注文と、入院や帰省で長く休む連絡が主で、決めるのは週1回の食材発注でした。こちらは事業所ごとの定数に対して当日9時まで増減が入り、決めるのは前日16時の主菜の仕込み数と、締めた後の炊き足しです。配達も、配食は手渡しの安否確認を兼ね、こちらは事業所に置いて午後に箱を回収します。仕出し弁当の開発プランは法事や会議の単発の注文で、1件ごとに設えが違う点が主題です。
  • Q4 費用はどのくらいかかりますか。
    範囲を決めてから見積もります。金額が動くのは3か所です。1つめは事業所の数と請求の形の種類で、この想定(24事業所・振込と現金集金の2種類)なら3ヶ月の範囲に収まります。2つめは事業所側にLINEなどで人数を送ってもらう仕組みを最初から入れるかどうかです。3つめは請求書を会計ソフトへつなぐかどうかで、つながない形なら請求書のPDFと入金の一覧までになります。相談の場では、まず事業所の数と、電話で受ける変更が1日に何件あるかを伺います。

まず、紙の食数表と電話メモを見せてください。

9時の締めより先に仕込みを決めていて、余りと断った数がどこにも残っていない。
月末に食数表を数え直して請求書を作っている。
事業所の数と、1日に受ける変更の件数を伺うところから、ご相談ください。