EvoQuest
EvoQuest Food食数予測AI 2026.08

SCENARIO ── MEAL DELIVERY WEEKLY COUNT CASE

発注とシフトは木曜に決まる。
食数は、当日の朝まで動く。

札幌で昼56食・夕30食を届ける高齢者向け配食サービスを想定します。利用者は74名。注文は「月水金の昼だけ」「毎日昼夕」と曜日で決まっているので、名簿を数えれば翌週の食数は出るはずです。ところが実際の数は、入院した、ショートステイに入った、お盆は息子の家に行く、という電話で毎日動きます。食材の発注とパートのシフトは木曜に締まるのに、休みの連絡はその後から集まる。届出で確定した数を先に固め、まだ連絡が来ていない休みだけを幅で予測して、木曜15時に翌週の食数を確定する仕組みを、EvoQuest Foodの業務システムとしてこう設計します。

想定領域
食数予測 / 配食業務のDX
担当範囲
要件整理・予測設計・画面設計・実装
想定対象
1日50〜150食の高齢者向け配食事業者(自治体の見守り配食の受託を含む)
想定期間
設計〜納品 約 3 ヶ月

OVERVIEW

プロジェクト概要

配食サービスと検索して出てくるのは、利用者向けの料金比較、自治体の見守り配食の案内、それに配達と請求の管理システムです。管理システムは、利用者ごとの予定表から配達の一覧と請求書を作るところまでを受け持ちます。「翌週、何食作ることになりそうか」を決める場面は、どのシステムも受け持っていません。決めているのは今も、事務机の紙の食数表と、電話を受けた人の記憶です。

配食の食数には、飲食店と違う構造があります。注文が曜日で固定されているので、数字の大半は最初から確定していることです。動かすのは休みの連絡で、これには3種類あります。日付の決まっている休み(ショートステイ、通院)。終わりの見えない休み(入院)。直前に分かる休み(帰省、家族の来訪、体調)。そして配食は弁当を置いてくる仕事ではありません。玄関で手渡して様子を確かめる、安否確認を兼ねた仕事です。名簿の反映が漏れると、休止中の家を訪ねて家族へ電話する空の安否確認になり、再開した人には夕方まで弁当が届かない。この2つは、廃棄よりも重い損です。

この設計のゴールは2つです。木曜15時に翌週の食数を確定する一回が、毎週きちんと終わること。そして休みと再開の電話が、切ったその場で食数表・配達リスト・請求の3ヶ所へ反映されることです。

CHALLENGE

課題

  • 01 変更の連絡が、一日中べつべつの窓口から入る。本人からの電話、長男からの電話、ケアマネジャーからのFAX、病院の相談員から。受けた人が紙の食数表に書き、厨房のホワイトボードとドライバーのコース表と月末の請求へ、それぞれ転記する。1ヶ所でも漏れると欠配か誤配になる。
  • 02 休止の終わりが読めない。「退院したら再開します」のまま数週間が過ぎ、再開の連絡は突然「あすからお願いします」と来る。いま休止中なのが誰で、次にいつ様子を確認するかは、事務机の付箋と店主の記憶にしかない。
  • 03 発注とシフトは木曜に締まるのに、休みの連絡はその後から集まる。盆と正月の週は帰省で食数が1〜2割減るが、届が出そろうのは直前。米や冷凍は翌週へ回せるものの、肉・魚と葉物は行き場がなく、パートは決まった人数のまま出勤する。
  • 04 不在が「ただの留守」で済まない。手渡しできなければ、決まりに沿って本人へ電話し、つながらなければ家族と地域包括支援センターへ連絡する。休止の反映漏れで留守の家を訪ねるたび、この手順がまるごと空回りし、コースの後ろの利用者は待たされる。

APPROACH

アプローチ

設計の中心に置くのは、木曜15時の一回の確定です。翌週7日ぶんの昼・夕の食数を日別に確定し、その数がそのまま食材の発注書とパートのシフト表になります。締切を木曜15時に置くのは、米・冷凍・乾物の週1回の発注がそこで締まるからです。決めるのは店主で、仕組みが出すのは根拠の数字と期限だけです。

予測の前に、確定している数を使い切ります。曜日で決まった名簿から日別の基礎数を出し、届出済みの休止と休みを引く。ここまでは計算で、画面では緑で固まります。幅のある予測が受け持つのは「まだ連絡が来ていない休み」だけです。過去の実績を見ると、盆の週の休みの届は半分近くが発注締切のあとに届きます。だから盆入りの木曜昼は「41〜45食」のように下へ開いた幅になります。逆に、休止中の人の再開は予測しません。退院の日を決めるのは病院と家族で、こちらが当てにいく数字ではないからです。台帳が「金曜に長男へ確認」と期日を出し、確認が取れた日から食数の緑へ戻します。

発注は、幅の両端を食材の日持ちで使い分けます。米・冷凍・調味料のように翌週へ回せるものは幅の上限で頼み、肉・魚・葉物のように回せないものは下限で頼む。足りないぶんは週の途中の納品と買い足しで埋めます。予測が外れても、損の出方が小さい側に倒れるようにしておく設計です。

そしてこの案件では、予測より先に台帳を固めます。変更の電話を1回入力すれば、食数表・配達リスト・請求の3ヶ所へ同時に反映される。転記をやめることが先で、予測はそのあとです。欠配と誤配は金額の損というより信用と安全の損で、幅の精度をいくら上げても、名簿が古いままでは意味がないからです。ドライバーの配達リストには手渡しの記録を持たせ、不在時の連絡の手順と時刻もそこに残します。この記録は、自治体の見守り配食の実施報告にもそのまま使えます。

効果は金額と時間で測ります。使い切れずに捨てた食材の金額。週の途中でスーパーへ買い足しに走った回数。変更の連絡が3ヶ所へ反映されるまでの時間と、反映漏れによる欠配・誤配の件数。この3つを月次レポートに並べ、幅の広さを毎月直していきます。

CONSULTATION

盆と正月の発注を、ことしは名簿から決めませんか。

紙の食数表と請求の控えがあれば、過去の食数は復元できます。
最初の1週間は、変更の電話が誰から何件来るかを数えるだけで構いません。
台帳、配達リスト、予測の順で固めて、週1回の発注に間に合う形で納品します。

SCREENS

主要画面

想定する画面のサンプル。事務机のパソコンと、ドライバーのスマホで使う前提の構成です。事業者名・利用者名・食数・金額はすべて想定例で、実在の事業者・実績ではありません。

01. 木曜15時、翌週の食数を日別に確定する

週に一度の看板画面。翌週の7日それぞれに、名簿どおりの基礎数、届出済みの休み、確定した食数、まだ連絡が来ていない休みの予測が並びます。盆の3日間は幅が下へ開き、右側で米は幅の上限、肉・魚は下限と、発注への換算が食材ごとに分かれます。確定すると発注書とシフト表が出ます。

週間食数表
設計のポイント
予測を眺める画面にしない。木曜15時の期限付きで、翌週の食数を確定して発注書を出す画面にする。
確定と予測を分ける
名簿と届出で決まった数は緑、まだ連絡のない休みは幅。どこからが予測かを数字の見た目で分ける。
休みは下へ開く
名簿より多く要ることはほぼない。幅は下側に開き、スポットの注文だけを上側に少し見込む。

02. 電話を切る前に、3ヶ所へ反映を終える

毎日いちばん開く画面。電話を受けながら利用者名で開き、休止・再開・1回休み・曜日変更をボタンで入れます。あすのぶんの締切(前日17時)との前後で、いつから効くかが自動で決まります。保存すると食数表・配達リスト・請求の3ヶ所へ同時に反映され、きょう受けた変更が時刻と連絡者つきで下に並びます。

変更受付
設計のポイント
転記をなくす。1回の入力が食数表・配達リスト・請求に同時へ届き、どこかだけ古い状態を作らない。
締切は画面が言う
前日17時を過ぎた変更は翌々日から効く。受けた人が規約を思い出して判断する場面を残さない。
連絡者ごと残す
本人・長男・ケアマネジャーの誰からの連絡かを記録する。あとで行き違いが起きたとき、そのまま確認先になる。

03. 再開は予測せず、確認の期日で管理する

休止中の利用者だけを並べた台帳です。理由と休止からの日数、次にいつ誰へ様子を確認するかが並び、期日を過ぎた行が上に上がります。退院の日は病院と家族が決めるので、予測はしません。確認が取れた再開日だけが食数表の緑へ戻ります。長い休止は、月ごとの確認の電話が営業を兼ねます。

休止・再開台帳
設計のポイント
再開を当てにいく予測を作らない。台帳が確認の期日を出し、人が電話で確かめた日付だけを使う。
期日が過ぎたら上へ
付箋と記憶で管理していた確認の予定を、期日つきの一覧にする。抜けた確認が画面の一番上に残り続ける。
休止も数字にする
休止中の6名で、来週は46食ぶん。再開の確認は食数の話であると同時に、戻ってきてもらう営業でもある。

04. 手渡しの記録が、安否確認の記録になる

ドライバーのスマホで見るコース順のリストです。休止中の家は載らず、再開初日とお試しの新規には印が付きます。玄関で渡したら1タップで時刻が残り、不在のときは電話・家族・地域包括支援センターの手順が順に出て、対応の時刻ごと記録されます。この記録は自治体の見守り配食の実施報告にそのまま使えます。

配達リスト
設計のポイント
名簿の反映漏れをゼロにする。休止の家がリストから消え、再開の家が戻る。紙のコース表の書き直しをやめる。
不在の手順を画面に
声かけ、本人へ電話、家族、地域包括支援センターの順を画面が出す。対応した時刻が自動で記録に残る。
報告書がついでに出る
手渡しと不在対応の記録から、自治体へ出す実施報告の数字が月末にそのまま集計される。

05. 捨てた食材と買い足しを、週ごとに並べる

月に一度見る画面です。使い切れずに捨てた食材の金額、週の途中で買い足しに走った回数、欠配・誤配の件数、変更の連絡が反映されるまでの平均時間が並びます。週ごとの表で、実際の食数が予測の幅に収まったかを確かめ、連休の週の幅をどれだけ広げるかを翌月に持ち越します。

月次レポート
設計のポイント
的中率の画面にしない。追うのは捨てた食材の金額、買い足しの回数、欠配・誤配の件数の3つだけ。
外れた週の記録
幅を外れた週には理由をひと言残す。連休や感染症の流行など、翌年の同じ週の幅の根拠になる。
見守りの実績も出す
安否確認の実施回数と異変時の連絡件数を同じ画面に集計し、自治体への報告様式に合わせて出力する。

OUTCOME

変わったこと

仕組みが運用に乗ったあと、決め方が3つの点で変わる想定です。

01

確定を使い切り、予測が受け持つのは連絡のない休みだけ

Before名簿と付箋と記憶を突き合わせ、翌週の食数を「だいたいこれくらい」で発注していた。どこまでが確かな数か、決めた本人にも分からない。
After名簿と届出で決まる数は緑で固まり、幅を当てるのはまだ連絡が来ていない休みだけ。盆の週は下へ開いた幅が画面に出る。

予測の受け持ちを狭くするほど、外れたときの損も小さくなります。確定が9割を占める商売だからこそ、残りの1割だけを丁寧に扱います。

02

発注の上限と下限を、食材の日持ちで使い分ける

Before名簿どおりの数で発注し、盆の週は肉・魚と葉物が余った。余りは翌週の献立でどうにか消化するか、捨てるかだった。
After翌週へ回せる米・冷凍は幅の上限で、回せない生鮮は下限で頼む。届の差分は週の途中の納品と買い足しで埋める。

買い足しは割高で手間もかかりますが、捨てるよりは安い。どちらの損を選ぶかを食材ごとに決めておくのが、この発注の考え方です。

03

変更の電話が、1回の入力で3ヶ所へ届く。

Before食数表に書いた変更を、厨房のホワイトボードとコース表と請求へ転記していた。漏れた月は欠配か誤配が起き、謝りの電話から始まった。
After電話を切る前に入力が終わり、食数表・配達リスト・請求が同じ数字になる。休止中の家はコースから消え、再開の家は印つきで戻る。

空の安否確認と欠配は、金額に直せない損です。予測より先にここを固めるのが、この開発プランの順番です。

PROCESS

3ヶ月の進め方

札幌市内なら事業所へ伺い、道外はオンラインで進めます。盆か正月をどちらか挟む3ヶ月を想定し、月の区切りで実際に触れるものをお渡しして、現場で使った感想を次の作業に反映します。

1
MONTH 01 / 名簿の整理 + 変更の流れの観察

紙の食数表と請求の控えから、名簿と台帳を起こす

利用者ごとの曜日パターン、弁当の区分(普通・きざみ・おかゆ)、コースの順路、連絡先を、紙の食数表と請求の控えから一覧に起こします。あわせて1週間、変更の電話が誰から何件、何時に入るかを記録し、転記の行き先と漏れやすい箇所を洗い出します。発注の締切と納品の曜日もここで確認し、週間食数表の締切時刻を決めます。

  • 事業所でのヒアリング(2〜3回)
  • 利用者名簿・曜日パターン・コース順の一覧化
  • 変更の電話の1週間の記録と流れの整理
  • 発注サイクルの確認と画面の下書き
2
MONTH 02 / 台帳と配達リストの先行運用

変更受付と配達リストを先に動かし、転記をやめる

変更受付・休止再開台帳・配達リストの3画面を先に開発し、予測を待たずに使い始めます。電話を受けたその場で入力し、ドライバーはスマホのリストで回る。転記が消えた時点で欠配・誤配の芽が減り、同時に、正確な食数の実績がこの日から貯まり始めます。紙の食数表は1ヶ月並走させ、数字が合うことを確かめてから外します。

  • 変更受付・休止再開台帳・配達リストの開発
  • 紙の食数表との1ヶ月の並走
  • 不在時の手順と記録項目の取り決め
  • 請求データからの過去1年の食数の復元
3
MONTH 03 / 予測の検証 + 発注との接続

過去1年の食数で幅を検証し、木曜の発注につなぐ

復元した過去1年の食数で幅の予測を試作し、先月の各週をさかのぼって、実際の食数がどれだけ幅に収まったかを検証します。盆・正月・連休の週の開き方を店主と確かめてから、週間食数表を発注書とシフト表につなぎます。最後の2週間は、いつもの決め方と並べて運用し、木曜15時に確定が終わることを確かめてから納品します。

  • 過去実績での幅の検証と連休週の調整
  • 週間食数表と月次レポートの開発
  • 発注書・シフト表への接続
  • いつもの決め方との2週間の並行運用 + 納品

FAQ

よくある質問

  • Q1 自治体の見守り配食を受託していて、実施報告の様式が決まっています。
    配達リストの記録から、その様式に合わせて月次の数字を出せるようにします。手渡しの実施回数、不在時の対応、家族や地域包括支援センターへ連絡した件数は、ドライバーが配達の中で残した記録がそのまま根拠になります。報告のための集計作業を月末に別途やらずに済む形が目標です。契約している自治体の様式を最初の月に確認して、項目を合わせます。
  • Q2 再開の時期をAIが予測してくれるのですか。
    しません。退院の日を決めるのは病院と本人・家族で、外から当てにいく数字だと考えていません。仕組みが受け持つのは、休止中の一覧に「次にいつ誰へ確認するか」の期日を出し、抜けを防ぐことまでです。予測が受け持つのは、帰省や体調のようにまだ連絡が来ていない小さな休みの発生だけで、こちらは過去の実績から幅で出せます。
  • Q3 普通食のほかに、きざみ食やおかゆの利用者がいます。
    区分ごとに数えます。名簿に弁当の区分を持たせ、食数表も発注も普通・きざみ・おかゆの別で出します。区分は利用者の属性なので予測の対象にはならず、休みの幅が区分ごとに割り付くだけです。区分の変更(きざみへの切り替えなど)は変更受付から入れれば、翌日の調理指示と配達リストに反映されます。
  • Q4 利用者は70人ほどです。予測に足りるデータがあるのでしょうか。
    この設計なら足ります。予測の受け持ちを「連絡なしの休み」だけに狭めてあるので、必要なのは日別の食数と休みの記録が1年ぶんあることくらいです。過去の食数は請求の控えから復元できます。逆に、盆と正月だけはデータが年に1回ずつしか貯まらないので、初年度は幅を広めに出し、外れた理由を記録して翌年に持ち越す運用にします。
  • Q5 締切のあとの急なキャンセルは、どう扱いますか。
    なくならない前提で扱います。急な入院や受診は当日の朝にも起きます。規約上の料金の扱いは今の決まりのままで構いません。仕組みの側では、締切後のキャンセルを理由つきで記録し、月次レポートで件数と傾向を見ます。特定の曜日や利用者に寄っているなら、確認の電話を前倒しする材料になりますし、翌週の幅にも反映されます。

盆と正月の発注を、ことしは名簿から決めませんか。

紙の食数表と請求の控えがあれば、過去の食数は復元できます。
最初の1週間は、変更の電話が誰から何件来るかを数えるだけで構いません。
台帳、配達リスト、予測の順で固めて、週1回の発注に間に合う形で納品します。