EvoQuest
EvoQuest FoodAI業務システム 執筆:水上貴洋(取締役) 2026.09

SCENARIO ── PREP SHEET CASE

品目ごとに仕込み量を決める時刻を分け
天気と予約の変更を反映する

品目ごとの調理時間から、仕込み量を決める締切を計算するアプリの開発案です。前夜・当日朝・営業中に判断する品目を分け、店主と朝の担当者がそれぞれ数量を確定します。24席の食堂で約2ヶ月の導入を想定します。

想定領域
業務アプリ / 飲食店の仕込み量の決定
担当範囲
作業と記録の確認・管理画面の開発・導入時の説明
想定対象
席数24・厨房2名・11時開店の個人店(昼夜営業)
想定期間
設計〜納品 約 2 ヶ月

OVERVIEW

どんな仕組みをつくるか

品目ごとに仕込み量を決める時刻と担当者を登録し、天気予報や予約変更を確認して数量を確定するアプリです。品目別の予測は販売数の予測・仕込み管理、食材の発注量は発注表アプリの開発案で紹介しています。

仕込み量は前日の何時に確定するかで説明しているとおり、営業開始時刻から作業時間と漬け込み・解凍などの待ち時間を引いて締切を計算します。11時開店の想定では、時間のかかる品目は前夜、短時間で準備できる品目は朝に数量を決めます。気象庁の5時・11時・17時の予報のうち、締切前に確認できる最新の予報を表示します。

CHALLENGE

課題

  • 01 朝の天気や予約変更が仕込み量に反映されない。すべての品目を前夜に確定する方法では、当日朝の情報を使えません。
  • 02 数量を変更できる時刻が担当者に共有されていない。朝の担当者が変更してよい品目が分からず、前夜の指示をそのまま使っています。
  • 03 持ち越せるかどうかを考慮せず、いつもの感覚で仕込み量を決めている。2日持つ煮物は控えめに、その日限りの刺身は多めに仕込んでいるので、捨てるのはいつも持ち越せない側になる。農林水産省の推計では、2024年度の外食産業の食品ロスは70万トンで、事業系全体の3割にあたる。
  • 04 追加調理と品切れの記録が残っていない。廃棄だけを見て仕込み量を減らすと、不足した品目を見落とします。

APPROACH

課題への対応

最初に作るのは、品目ごとの締切表です。品目ごとに、仕込みにかかる時間、漬け込みなどで待つ時間、営業中に追加で作る時間を確認し、締切を計算します。持ち越せる日数も登録します。締切は、営業開始の時刻から仕込みの時間と待つ時間を引いた時刻です。この想定では、締切が前日の閉店より前になる品目が5つ、朝8時に厨房へ入ってから開店までに収まる品目が4つ、仕込みの時間が短く営業中に足せる品目が3つに分けます。食品衛生法施行規則の別表第17は「販売量を見込んで適切な量を仕入れること」を営業者の衛生管理の基準に置いていて、この締切表はその見込みを品目ごとに何時に立てるかを書き出したものにあたります。

1枚の仕込み表で、前夜に確定する欄と朝に確定する欄を分けます。前夜22時に店主が確定するのは、前夜の欄だけです。朝の欄は空のまま残し、8時15分に朝番が5時の予報と朝までに入った予約の変更を見て確定します。前夜の画面には朝に決めてよい品目の入力欄が出ません。確定した欄には、誰が、何時に、どの予報を見て決めたかが残ります。店主が休みの朝でも、朝番は前夜の数を写さずに、朝の情報をもとに担当品目の仕込み量を決められます。

見込みは1つの数ではなく、少なめと多めの幅で添えます。予約で確定している人数のぶんは幅に混ぜず、先に足します。幅のどこで確定するかは、持ち越せる日数と営業中に足せるかで品目ごとに置きます。2日持ち越せる煮物は上寄り、持ち越せず営業中に足せるごはんとみそ汁は下寄り、持ち越せず足すのにも時間がかかる品目だけが真ん中です。最初は直近4週の同じ曜日の平均と上下の幅で始め、記録が3ヶ月たまった段階で、当社が開発中の手軽に使える需要予測AIが出す28日先までの幅に置き換えられる作りにしておきます。予報で幅そのものは作りません。幅の中で上下どちらに寄せるかの材料に使います。この店の記録で雨の日の昼が晴れの日の8割なら、5時の予報で降水確率が上がった朝は、朝の欄の初期値が下側に動きます。

効果は的中率で見ません。品目ごとに、捨てた仕入額、品切れを記録した時刻とその後の来店数から出す品切れによる損失の推計、営業中に足した回数を、締切の区分ごとに週に1回並べます。前夜と朝では判断時に使える情報が違うため、同じ区分の中で結果を比べ、仕込み量を見直します。もう1つ数えるのは、締切を前夜から朝へ移せた品目の数です。待つ時間を短くできる品目が見つかるたびに、確定時に使える情報を半日分新しくできます。

CONSULTATION

品目ごとの作業時間と確定時刻から相談できます

全部の品目を前夜に決めていて、朝の天気や予約の変更を使えていない。
店主が休みの朝に、パートが前日の数を写している。
品目ごとの仕込みにかかる時間と朝に厨房へ入る時刻を伺うところからご相談ください。

SCREENS

主要画面

想定する主要画面です。毎朝8時に朝番が開くのは1枚目で、前夜22時に店主が開くのは3枚目です。締切表は最初の1ヶ月で作り、あとは品目を足すときだけ触ります。店名・品目・時間・数量・金額はすべて席数24の和食の食堂の規模感に合わせた想定例です。

01. 今日の仕込み表

前夜に確定した5品目、朝に決める4品目、営業中に追加できる3品目を分けて表示します。朝の担当者は5時の予報と予約変更を確認し、8時15分に担当品目の数量を確定します。

毎朝開く画面
使い方のポイント
前夜に確定する品目と朝に確定する品目を同じ表で確認する。通常の入力時刻を分け、確定後に変更する場合は理由と変更前の数量を記録する。
予報の見え方
前夜の行には17時の予報、朝の行には5時の予報が並ぶ。同じ木曜の昼の降水確率が、17時の予報で30%、5時の予報で70%に変わった場合、朝の欄の初期値だけが下側に動く。
状態の表現
持ち越し分がある場合は必要量から差し引き、本日作る数量を表示する。想定例では煮物の残り6食を差し引き、20食を仕込む。

02. 品目ごとの作業時間と確定時刻

12品目について、仕込みにかかる時間、手を離れて待つ時間、式で出た締切、前夜・朝・営業中の区分、持ち越せる日数、営業中に足すのにかかる時間、幅のどこで確定するかを1行ずつ持つ。上には1日の時間の帯があり、17時と5時の予報の発表、22時の前夜の確定、8時の厨房入り、11時の開店の上に、品目ごとの締切が印で並ぶ。

設定
使い方のポイント
担当者が仕込み時間と待つ時間を登録すると、営業開始時刻から逆算して確定時刻を計算する。時間を変更すると、前夜・朝・営業中の区分も更新する。
候補の表示
待つ時間を短くすると朝に確定できる品目を表示する。変更するかどうかは、品質と作業方法を確認して店主が決める。
持ち越しの根拠
持ち越せる日数は店の決めごとで法令に数字はないので、日数の横に根拠の一言(冷蔵10℃以下で2日、翌日は温め直して提供、など)を残す欄を置く。東京都保健医療局が示す冷蔵庫10℃以下・冷凍庫マイナス15℃以下の目安は、既定の文言として入れておく。

03. 翌日の販売見込みと天気予報

水曜の夜22時の画面。前夜に確定する5品目について、直近4週の同じ曜日の実績と、あすの幅、予約で確定している人数のぶんが並ぶ。右には17時の予報のあす6時間ごとの降水確率と最高・最低気温。朝に確定する品目は仮の幅だけが灰色で見え、入力はできない。

見込み
使い方のポイント
予約で確定した数量と予約以外の予測を分けて表示する。品目ごとに両者の割合を確認できるようにする。
予報の使い方
17時の予報は、あす6時間ごとの降水確率と最高・最低気温まで。幅そのものを予報で作らず、幅の中で上下どちらに寄せるかだけに使う。週間天気予報の信頼度A・B・Cは、週1回まとめて頼む冷凍品の画面にだけ出す。
段階
最初は直近4週の同じ曜日の平均と最小・最大。記録が3ヶ月たまったら、日付と数量の2列のCSVから28日先までの幅を出す仕組みに置き換える。置き換えても、幅のどこで確定するかを決めるのは人のまま。

04. 品切れ・追加調理・残量の記録

営業中は品切れと追加調理をボタンで記録し、閉店時に残量を入力します。追加した場合の提供可能時刻も表示し、担当者が追加調理を行うか判断します。

営業中
使い方のポイント
営業中は2つのボタンで記録し、閉店時に残りを入力する。ボタンを押した時刻は自動で残る。時刻が残れば、品切れのあとに何人来たかをレジの会計数と突き合わせて、品切れによる損失の推計が出せる。
足せる品目の見え方
ごはんは炊き上がりまで80分なので、13時12分に足すと14時32分で昼の営業終了より後になる。その計算を画面が出し、足すか、夜のぶんとして炊くかを人が選ぶ。
残りの扱い
閉店時の残りは、持ち越せる品目なら翌日の「今日つくる量」から引かれ、持ち越せない品目なら廃棄分として原価が集計される。入力は1回で、行き先は締切表の持ち越し日数で分かれる。

05. 仕込みと廃棄・品切れの週次確認

月曜の朝に店主が見る、先週7日ぶんの表。前夜・朝・営業中の区分ごとに、幅に収まった日数、捨てた仕入額、品切れの回数と品切れによる損失の推計、作り足しの回数が並ぶ。下には、締切を前夜から朝へ移した品目と、その前後で幅の広さがどう変わったかが出る。

週次
使い方のポイント
前夜と朝では判断時に使える情報が違うため、区分ごとに結果を確認する。廃棄や品切れの記録を見て、仕込み量を上寄りにするか下寄りにするかを見直す。
数えるもの
捨てた額は閉店時の残りの入力から、品切れと作り足しは営業中のボタンから自動で集まる。振り返りのために新しく入力する項目は作らない。
締切を移した効果
確定時刻を前夜から朝へ変更した品目は、変更前後4週の予測範囲と廃棄額を比較し、運用の変化を確認する。

OUTCOME

この仕組みで改善したいこと

仕組みが運用に乗ったあと、この店の仕込みが4つの点で変わる想定です。効果は的中率ではなく、朝に決め直せた品目の数と捨てた額・品切れの時刻で測ります。

01

朝の天気と予約変更を仕込み量に反映する

今の作業12品目すべてを閉店後に決めていたので、朝に分かる材料は何も使われていなかった。雨でランチの来店が少ない日も、前夜の数のまま炊いていた。
導入後の使い方締切が朝の区分に入る4品目は、8時15分に朝番が5時の予報と予約を見て確定する。前夜に決めるのは5品目だけになる。

数えるのは、朝の区分に入っている品目の数と、朝番が自分で朝の欄を確定した日数です。仕組みを入れる前の1ヶ月で、店主が休みの朝に前日の数を写していた日数を先に数えておきます。

02

持ち越せない品目の廃棄額を確認する

今の作業煮物は控えめ、刺身は多めという置き方が習慣になっていて、捨てた分は刺身に集中していた。金額は月末の原価率でしか見えなかった。
導入後の使い方翌日への持ち越しの可否に合わせ、品目ごとに予測範囲のどの数量を採用するか設定する。週ごとの廃棄額を確認し、数量を増やす品目と減らす品目を検討できる。

閉店時の残数と原価から廃棄額を計算します。最初の4週は設定を変えずに記録し、予測範囲のどの数量を採用するかの見直しは5週目から行います。

03

朝に数量を決められる品目を確認する

今の作業「うちは全部前夜に仕込む」が前提で、待つ時間を短くできる品目があるかどうかを考える機会がなかった。
導入後の使い方待ち時間を短縮すれば朝に仕込める品目を表示する。店主が変更を決め、変更前後の予測範囲と廃棄額を比較できる。

前夜から朝の仕込みに変更した品目数と変更前後4週の廃棄額を確認します。結果に応じて元の方法に戻せるようにし、その変更も記録します。

04

品切れ時刻を記録し不足による損失も検討する

今の作業品切れを記録した回数は誰も数えておらず、翌週の仕込みは捨てた分だけを見て減る方向にしか動かなかった。
導入後の使い方担当者が営業中にボタンを押して品切れ時刻を記録する。その後の会計数から損失を推計し、廃棄額と並べて仕込み数の増減を検討できる。

推計は「品切れを記録した後の会計数 × その品目が付く定食の割合(直近4週) × 粗利」で出します。推計であることは表に書き、実数と混ぜません。この推計には、会計時刻を含むレジのCSVが必要です。日ごとの合計しか取得できない場合は、品切れ後の会計数を算出できないため、品切れによる損失の金額は表示しません。

PROCESS

開発の進め方

札幌市内・近郊なら店へ伺い、道外はオンラインで進めます。品目が12で、レジや予約台帳とはつながない範囲なので、設計から納品まで2ヶ月の想定です。

1
MONTH 01 / 業務打ち合わせ・締切表づくり

作業時間を確認し、品目ごとの確定時刻を決める

閉店後に2晩、朝8時に2回伺い、いまの仕込みの手順を見せてもらいます。品目ごとに、仕込みにかかる時間と手を離れて待つ時間をその場で計り、持ち越せる日数と営業中に足すのにかかる時間を聞き取ります。営業開始からさかのぼった締切を式で出し、前夜・朝・営業中の3つに分けた表を作ります。この表ができた時点で、いったん紙の仕込み表を前夜の欄と朝の欄に分けて2週間使ってもらい、朝番が朝の欄を自分で書けるかを確認します。前夜に書いた数を朝に直したくなった品目も記録します。直したくなった品目が朝へ移す候補の最初の一覧になります。

  • 閉店後の仕込みの同行(2晩)と朝8時からの仕込みの同行(2回)
  • 品目ごとの仕込み時間・待つ時間の計測と持ち越し日数・足す時間の聞き取り
  • 12品目の締切表(前夜5・朝4・営業中3)の作成と区分の確認
  • 紙の仕込み表を前夜の欄と朝の欄に分けた2週間の並行運用
2
MONTH 02 / 仕込み表・締切表・見込み・営業中の記録・週次振り返りの開発・実運用

朝の担当者が数量を確定する手順を試す

5つの画面を作り、紙の仕込み表をアプリに移します。確かめるのは3つです。前夜22時の画面に朝の品目の入力欄が出ないこと、5時の予報が朝の欄の初期値に反映されること、朝番が店主に電話せずに朝の欄を確定できること。月の後半に店主が休む朝を1回つくってもらい、朝番だけで確定してもらいます。週次の振り返りは、この月のデータで最初の1枚を一緒に見て、幅の置き方を動かすのは翌月からと決めて引き渡します。

  • 今日の仕込み表・締切表・あすの見込み・営業中の記録・週次の振り返りの開発
  • 前夜の画面と朝の画面で入力できる欄が分かれていることの確認
  • 店主が不在の朝に朝番だけで朝の欄を確定する運用の確認
  • 最初の週次の振り返りを一緒に見る時間と、締切表の直し方の引き継ぎ

FAQ

よくある質問

  • Q1 前夜に全部仕込むのが習慣です。朝に回すと開店に間に合わなくなりませんか?
    間に合うかどうかは、締切表の計算で決まります。営業開始の時刻から仕込みにかかる時間と待つ時間を引いた時刻が朝8時より後になる品目だけを、朝の区分に入れます。この店の想定では12品目のうち4品目でした。計算で前夜の区分に入った品目は、前夜のままです。朝に回すのは、計算上の余裕がある品目に限ります。最初の1ヶ月に紙で2週間試すのは、この計算が実際の朝の手順と合っているかを確かめるためです。
  • Q2 天気予報は仕込み量の判断にどう使いますか?
    予報で幅そのものを作ることはしません。幅は直近4週の同じ曜日の実績から出し、予報はその幅の中で上下どちらに寄せるかの材料に使います。どのくらい寄せるかは、この店の記録で雨の日と晴れの日の出数がどれだけ違ったかから決めます。記録が無いうちは寄せません。気象庁の予報が5時・11時・17時の発表なので、朝に確定する品目のほうが新しい予報を使えます。予報の影響を大きく見せるより、締切を遅らせて新しい予報を見られる品目を増やすほうを先にします。
  • Q3 メニュー別販売数の予測・仕込み管理プランとの違いは何ですか?
    品目別予測の開発案は夜だけ営業する居酒屋で、前夜22時半に12品目を一度に確定する形でした。構成比が日ごとに動く点が主題です。こちらは昼夜営業の食堂で、品目ごとに締切が違う点が主題です。前夜に決める品目と朝に決める品目を分け、朝の品目には5時の予報と朝までの予約変更を使います。1回で全部を決める店なら品目別予測の方法、朝に厨房へ入ってから間に合う品目がある店なら品目ごとに確定時刻を分ける方法が合います。
  • Q4 費用はどのくらいかかりますか?
    範囲を決めてから見積もります。費用が変わるのは3か所です。1つめは品目の数と締切の区分の数で、この想定(12品目・前夜と朝の2回の確定)なら2ヶ月の範囲に収まります。2つめはレジや予約台帳とつなぐかどうかで、つながない形なら予約の人数は手で入れます。3つめは見込みの出し方で、同じ曜日の平均で始めるか、最初から予測の仕組みを組み込むかで開発量が変わります。相談の場では、まず品目ごとの仕込みにかかる時間と朝に厨房へ入る時刻を伺います。

品目ごとの作業時間と確定時刻から相談できます

全部の品目を前夜に決めていて、朝の天気や予約の変更を使えていない。
店主が休みの朝に、パートが前日の数を写している。
品目ごとの仕込みにかかる時間と朝に厨房へ入る時刻を伺うところからご相談ください。

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