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清掃・設備点検の作業報告書は、何を残しておくのか

作業報告書に残すのは、現場名、作業日、作業した人、作業項目ごとの実施結果、特記事項の5つです。請け負い先が特定建築物なら、この記録は建物側で5年保存する帳簿の材料になります。清掃と設備点検を請け負う会社向けに整理しました。

この記事でわかること

  • 報告書の1行は作業項目ごとにします。現場1件を1行にすると、実施した項目と翌日に回した項目が同じ行に入ります。
  • 請け負い先が特定建築物なら、清掃やねずみ等の防除の状況を記載した帳簿書類を建物の所有者等が5年間保存します(建築物衛生法施行規則第20条)。出した報告書はその材料になります。
  • 消防用設備等の点検は、報告書の様式を消防庁長官が定めています(消防法施行規則第31条の6第5項)。自社の記録は、その様式へ写せる項目でそろえます。
  • 紙から切り替えるかどうかは人数では決まりません。書き写す回数、提出先ごとの様式の数、写真の扱いを数えます。
  • 費用と期間は、対象にする帳票、提出先ごとの様式、現場の電波、権限の分け方、いまのExcelからの移行で変わります。

報告書の1行は、作業項目ごとにする

報告書を作り直すとき、最初に決めるのは1行に何を書くかです。現場1件を1行にすると、床の洗浄は終わったがガラスは翌日に回した日を表せません。実施した項目と持ち越した項目が同じ行に入ります。

1行は作業項目ごとにします。現場名、作業日、作業した人、その項目の実施結果、特記事項を並べます。毎日同じ項目を回る現場では、作業項目の一覧を先に持たせて、当日の結果だけを入れる形にします。

記録を埋める人は作業の種類で変わります。日常清掃は現場の担当者、定期作業は数人の班、法定点検は資格を持った点検者です。誰がどの行を埋めるかを決めておけば、空欄が「まだ実施していない」を表します。

日常清掃の記録

毎日の巡回で回る項目(トイレ、玄関まわり、ごみの搬出など)を固定し、実施したかどうかと気づいた点を入れます。項目を毎回手で書き起こすと記入が形だけになります。

定期作業の記録

床の洗浄やワックス、ガラス、貯水槽のように回数が決まっている作業は、実施した日と次回の予定日を残します。あとから実施日を示せるかはここで決まります。

法定点検の記録

点検した設備、点検した人、判定、不良があった箇所を入れます。様式が決まっている点検は、先に様式を見てから項目を決めます。

提出した報告書は、建物側で何になるのか

自社の控えとして残すだけの書類ではありません。請け負い先の建物が特定建築物にあたる場合、建物の所有者等は、空気環境の調整、給水と排水の管理、清掃、ねずみ等の防除の状況を記載した帳簿書類を備えておく義務があります。建築物における衛生的環境の確保に関する法律施行規則第20条第1項第1号です。同条第2項で、この帳簿書類は5年間保存することになっています。

特定建築物の範囲は同法施行令第1条にあります。興行場、百貨店、集会場、図書館、博物館、美術館、遊技場、店舗または事務所、旅館、研修所を含む学校(学校教育法第1条の学校と幼保連携型認定こども園を除く)の用途に使う部分が、延べ面積3,000平方メートル以上の建物です。小中高校や大学、幼保連携型認定こども園だけに使う建物は8,000平方メートル以上が対象です。

業者が出した報告書は、建物側に5年分たまる帳簿の中身になります。現場ごと・月ごとに取り出せる形にしておけば、照会にも答えられます。

実施の間隔も同じ規則で決まっています。第4条の5は、日常の掃除のほかに大掃除を6月以内ごとに1回、定期に統一的に行うこと、ねずみ等の発生場所や被害の状況の調査も6月以内ごとに1回行うことを定めています。貯水槽の清掃は1年以内ごとに1回(第4条第1項第7号)、排水設備の掃除は6月以内ごとに1回(第4条の3)、冷却塔と加湿装置、空気調和設備の排水受けの汚れの点検は1月以内ごとに1回(第3条の18)です。報告書に実施日が入っていなければ、この間隔を守ったことを建物側が示せません。

記録を確認する人にも基準があります。同規則第25条は、建築物清掃業の登録要件として、清掃作業の監督を行う者をビルクリーニング1級の技能検定合格者か、厚生労働大臣の登録を受けた講習を修了して6年以内の人としています。

提出する様式を、自社で決められない作業がある

消防用設備等の点検は、報告の形が決まっています。消防法施行規則第31条の6第3項は、防火対象物の関係者が点検の結果を維持台帳に記録し、あわせて消防長または消防署長に報告することを定めています。報告の期間は建物の用途で分かれ、劇場や百貨店、ホテル、病院、飲食店などは1年に1回、工場や事務所、共同住宅、学校などは3年に1回です。

点検の方法と報告書の様式は、同条第5項で消防庁長官が定めます。様式を業者の側で決めることはできません。東京消防庁の案内では、提出する書類は消防用設備等点検結果報告書、点検結果総括表、点検者一覧表と、必要な設備の点検票とされています。押印は不要です。

同じ案内では、点検の周期を機器点検が6か月に1回、総合点検が1年に1回としています。報告が3年に1回の建物でも点検は続くので、報告の年に3年分の点検票をそろえられるかが課題になります。また、延べ面積1,000平方メートル以上の建物など3つの条件に当てはまる場合は、消防設備士または消防設備点検資格者が点検することとされています。誰が点検したかを記録に残す必要があるのは、ここにつながっています。

自社の記録は、この様式へ写せる項目でそろえます。独自の項目名にすると、提出のたびに対応させる手間が増えます。

紙のままで手間が出るのは、どの工程か

手間の出どころは、記入そのものより後ろの工程です。現場のチェック表を事務所でExcelに打ち直し、管理会社の様式に合わせた月次報告書を作り、請求書の作業内容にもう一度書く。同じ内容を3回書いている現場は珍しくありません。

写真も分かれます。現場のスタッフが自分のスマホで撮り、事務所へはメッセージアプリで届きます。どの作業の写真かは本文の説明頼みなので、月末に照らし合わせる手間が残ります。

切り替えを考えるかは、人数や現場の数ではなく、次の4つが回っているかで決まります。1か月だけ数えてみてください。

同じ内容を書き写す回数

現場のチェック表から月次報告書、請求書までに何回書き写しているか。1つの作業で数えると、減らせる工程が見えます。

提出先ごとの様式の数

管理会社やオーナーごとに様式が違えば、その数だけ作り替えが発生します。共通の項目と、先方だけが求める項目を分けます。

写真の枚数と、どこまで結びついているか

1か月に受け取る枚数と、現場・作業日・作業項目のどこまで結びついているか。届いた順に並ぶだけなら、毎月あとで対応させる作業が出ます。

過去の記録を探した回数と時間

「去年の同じ時期にこの箇所をどう処理したか」と聞かれて調べた回数と、1件にかかった時間。年に数回でも1回に半日かかるなら、検討する理由になります。

紙・Excel・共有のスプレッドシート・専用アプリのどれにするか

全部を作り替えなくても始められます。記入欄の並びを提出する様式と同じ順にするだけで、書き写しの間違いが減る場合もあります。いまの方法に近いほうから確かめてください。

同時に編集できるかどうかは、製品の名前では決まりません。ファイルの保存先、契約しているプラン、共有の設定で変わります。いまの保存先で、2人が同じ行を同時に直したときにどうなるかを試してください。その結果が切り替えの判断材料になります。

既存の業務ソフトを検討するときは、法令で様式が決まっている帳票をそのまま出力できるかを先に確かめます。ここが合わないと、入力したあとで様式へ写す工程が残ります。

Excelの台帳にする

現場と作業項目の一覧を1つのシート、実施の記録を別のシートにして、両者の組み合わせでつなぎます。1か月ごとにシートを増やすと、年をまたぐ集計ができません。

共有のスプレッドシートにする

事務所と現場が同じ表を見る形です。誰がどの列を直せるか、変更した人と時刻が残るかを、契約しているプランで確認します。

既存の業務ソフトを使う

ビルメンテナンス向けの製品や、汎用の業務アプリ作成サービスがあります。呼び方と巡回の順番を変えずに使えるなら、作るより早いです。

自社に合わせて作る

提出先ごとの様式が多い、写真を作業項目に結びつけたい、現場の端末から入れたい。こうした条件が重なると、設定だけでは追いつかなくなります。

費用と期間は、何が決まれば出せるのか

金額を先に出せないのは、対象にする帳票と提出先の数で作業量が変わるからです。逆に言えば、下の5つが決まれば概算を出せます。相談の前に社内で決めておく必要はありません。

当社の清掃・点検の現場報告アプリの開発プランでは、現場スタッフ数名から数十名の規模を想定し、設計から公開まで約3か月を見込んでいます。これは想定にもとづく開発プランで、実際の期間は対象の範囲で変わります。数人で使う業務アプリなら、要件整理から納品まで2〜3か月が当社の目安です。初回の相談と概算見積もりは無料です。

切り替えたあとに何が変わったかは、実測で確かめます。書き写しの回数、月次報告書を作る時間、提出後の差し戻し件数を、前後で比べてください。

対象にする帳票の種類と数

日常清掃の記録だけか、定期作業と法定点検まで含めるか。様式が決まっている帳票は出力の作り込みが必要です。

提出先ごとの様式と出力の形

管理会社やオーナーの数と、それぞれの様式。提出が紙かPDFかで、用紙の大きさと余白の確認も要ります。

現場の端末と電波

地下の機械室や立体駐車場のように電波が届かない現場があるか。届かない場所では、下書きを端末に保存して戻ってから送る作りにします。

権限の分け方

誰がどの現場の記録を見られるか、直せるか。協力会社に入力してもらうなら、その範囲も決めます。1つの現場を複数社で分担しているなら、ここから決めます。

いまのExcelからの移行

現場の一覧と作業項目をどこまで移すか。過去の記録を何年分移すかで作業量が変わります。

まとめ

報告書の1行は作業項目ごとにして、現場名、作業日、作業した人、実施結果、特記事項を並べます。空欄が「まだ実施していない」を表せば、持ち越した作業が見えます。

特定建築物の現場では、出した報告書が建物側で5年保存する帳簿の材料になります。消防用設備等の点検は報告書の様式が決まっているので、自社の記録はその様式へ写せる項目でそろえます。

まず1か月、1つの作業を何回書き写しているかと、提出先ごとの様式が何種類あるかを数えてください。書式を整えるだけで足りるのか、仕組みにするのかを決める材料になります。

よくある質問

作業報告書は何年残せばよいですか?

自社の保存年限は契約と社内の規定で決めますが、提出先が負う義務から逆算できます。特定建築物では、清掃やねずみ等の防除の状況を記載した帳簿書類を建物の所有者等が5年間保存します(建築物衛生法施行規則第20条第2項)。消防用設備等の点検結果は、防火対象物の関係者が維持台帳に記録します(消防法施行規則第31条の6第3項)。過去の記録をどこまで照会されるかを提出先に確認して決めてください。

現場が地下で電波が届きません。スマホからの入力は使えますか?

使えます。入力した内容を端末に下書きとして保存し、電波のある場所に戻ってから送る作りにします。写真も同じ扱いにできます。設計の前に、電波が届かない現場とそこで入力する項目を洗い出してください。送信を忘れたまま次の現場へ移らないよう、未送信の件数を画面に出しておくと安全です。

消防設備の点検票を、自社のアプリから出せますか?

点検の方法と報告書の様式は消防庁長官が定めているので(消防法施行規則第31条の6第5項)、アプリ側はその様式に合わせて出力します。先に提出先の消防署が受け付けている書式と提出方法を確認し、必要な項目が入力画面にあるかを突き合わせてください。設備の種類ごとに点検票が分かれるため、扱う設備を絞って始めるほうが早く動き出せます。

この記事を書いた人

立石伊吹代表取締役 / DX・AIアドバイザー

北海道札幌市を拠点に、業務アプリやAIの開発を行っています。北海道内は直接うかがい、道外はオンラインで対応しています。専門用語を使わず、相手の言葉で話すことを大事にしています。

現場の報告書と月次報告のまとめ方をご相談ください

現場のチェック表を事務所で打ち直している、管理会社ごとの様式に合わせて毎月作り替えている、写真がスタッフのスマホに残ったまま。こうした状態からご相談いただけます。いまお使いのチェック表と、提出している報告書を見せていただければ、紙の書式を整えるだけで足りる部分と、仕組みにしたほうがよい部分を分けて整理します。完成した仕様書や現場の実データをご用意いただく必要はありません。

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