AIの基礎・活用
生成AIに入力した内容は、AIの学習に使われる?
使うサービスと契約の種類によって決まります。個人向けのプランでは利用者の設定しだい、法人向けやAPIでは学習に使わないと規約に書かれている、という分かれ方をするサービスがあります。学習に使わない設定でも、入力した内容は一定期間保存されます。
この記事でわかること
- 入力した内容がAIの学習に使われるかは、生成AIのサービスごと、さらに個人向け・法人向けといった契約の種類ごとに決まっています。
- Claudeの場合、個人向けのFree・Pro・Maxでは学習に使うかを利用者が設定で選び、法人向けのプランやAPIは別の規約で扱われます。
- 学習に使わない設定にしても、評価ボタンで送った会話などは例外として学習に使われることがあります。会話の保存期間もあります。
- 確かめる場所は、利用規約とプライバシーポリシー、アカウントの設定画面、会社で契約している場合は契約内容と管理者の設定です。
- 個人情報保護委員会は、事業者が本人の同意なく個人データを入力する場合、そのデータが学習に使われないことなどを十分に確かめるよう求めています。
「学習に使われる」とは何が起きることか
生成AIは、大量の文章を学習して作られます。サービスによっては、利用者がチャットに入力した文章やAIの答えを集めて、次のモデルを作るときの学習に使うことがあります。
個人情報保護委員会の生成AIサービスの利用に関する注意喚起等(令和5年6月2日)は、入力された個人情報が機械学習に使われ、ほかの情報と統計的に結びついたうえで、正確または不正確な内容で出力されるおそれがあると説明しています。
そのため同じ注意喚起は、利用者に対して、サービスを提供する会社の利用規約やプライバシーポリシーを十分に確かめ、入力する情報の内容をふまえて使うかを判断するよう求めています。
個人向けと法人向けで、決まりが分かれていることがある
同じ会社の生成AIでも、個人で申し込むプランと、会社で契約するプランやAPI(自社の仕組みからAIを呼び出す窓口)で、適用される規約が別になっていることがあります。例として、当社が2026年10月26日に確認したAnthropic社のClaudeの決まりを整理します。
個人向け(Free・Pro・Max)は、利用者が設定で選ぶ
Anthropic社の2025年8月28日のお知らせによると、個人向けのFree・Pro・Maxのアカウントでは、会話を学習に使ってよいかを利用者が選びます。新しく登録する人は登録の途中で選び、あとからプライバシーの設定(Privacy Settings)でいつでも変えられます。
法人向けのプランやAPIは、この設定の対象外
同じお知らせは、この変更がチーム・企業向けのプラン(Claude for Work)、教育・政府機関向け、APIには適用されないと書いています。APIなどに適用される商用利用規約には、サービスで受け取った顧客の入力と出力をモデルの学習に使わない旨が書かれています。
ほかの会社のサービスは、それぞれの規約で確かめる
ここで紹介したのはClaudeの決まりです。ほかの生成AIのサービスが、最初から学習に使う設定になっているか、どのプランで切り替えられるかは、当社はこの記事では確かめていません。使っているサービスのヘルプや規約で確認してください。規約は改定されることがあるため、確認した日付も控えておくと後で見直せます。
学習に使わない設定でも、残ることと例外
設定を切り替えても、入力した内容がすぐに消えるわけではありません。Claudeの個人向けの利用規約(2025年10月8日発効)とプライバシーポリシー(2026年9月10日発効)には、次のことが書かれています。
学習に使わない設定にしていても、答えに付いている評価ボタン(高評価・低評価)などで会話を送った場合と、有害な内容の確認のために会話に印が付いた場合は、学習に使われることがあります。評価ボタンを押すと、その会話全体がフィードバックとして保存されます。
会話を削除すると履歴からすぐに消え、30日以内に会社側のシステムからも削除されます。前述のお知らせによると、学習に使うことを選んだ場合の保存期間は5年、選ばない場合は30日です。設定をあとから切った場合も、すでに学習が始まっているモデルや完成したモデルからは取り除かれず、以後の新しい学習に使われなくなります。
使う前に確かめる場所
どのサービスでも、確かめる場所はだいたい同じです。ここからは当社が整理した確かめ方です。
利用規約とプライバシーポリシー
「学習」「改善」「training」といった言葉で探し、入力した内容をサービスの改善やモデルの学習に使うと書いてあるか、使わない方法が書かれているかを見ます。個人向けと法人向けで別の規約になっていないかも見ておきます。
アカウントの設定画面
学習に使うかを選ぶ項目が、プライバシーやデータの設定の中にあることが多いです。いまの設定が何になっているかを、実際に画面で確かめます。
会社で契約している場合は、契約内容と管理者
法人向けの契約では、会社との契約書や管理者の設定で扱いが決まります。Claudeの個人向けの利用規約には、勤務先のメールアドレスで登録したアカウントが会社の法人契約に結び付けられ、管理者がアカウントや会話を管理できるようになる場合があることも書かれています。仕事用と個人用のアカウントを分けて考えます。
学習に使われなくても、入力しないほうがいいもの
学習に使われない設定や契約でも、入力した内容はサービスの会社に送られ、一定期間保存されます。お客さんの名前や電話番号、取引先との契約の中身のように外に出してはいけない情報は、学習の設定とは別に、そもそも入力するかを決めておきます。
事業者には法律上の注意点もあります。個人情報保護委員会の注意喚起は、事業者が本人の同意なく個人データを含む指示を入力し、そのデータが答えを出す以外の目的で扱われる場合、個人情報保護法に違反するおそれがあるとしています。そのため、サービスの会社がそのデータを機械学習に使わないことなどを十分に確かめるよう求めています。
会社として入力しない情報や確かめる人をどう決めるかは、社員が生成AIを使い始めたら、何を決めておく?にまとめています。自社の仕組みにAIを組み込むときの契約と料金の考え方は生成AIのAPIとは?で説明しています。
いま使っているサービスの設定を、1つ開いてみる
普段使っている生成AIのサービスを1つ選び、設定画面でプライバシーやデータの項目を開いてみてください。学習に使うかを選ぶ項目があれば、いまの状態を確かめます。
あわせて、個人で登録したアカウントか、会社の契約のアカウントかも確かめます。仕事で使っているのに個人向けのアカウントだった場合は、どちらの規約が適用されるかを読み、社内で使い方を決めるきっかけにしてください。
生成AIに渡してよい情報を、業務に合わせて一緒に整理します。
使い始める前の段階でも相談できます。データや資料の提出は要りません。いま生成AIで扱いたい作業を伺い、チャットのサービスで足りるのか、法人向けの契約や自社の仕組みに組み込む形が合うのかを一緒に考えます。
