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飲食の需要予測・AI

生ビールの樽は金曜に何本頼むか。4日ぶんの杯数から本数を決める手順

金曜配達ぶんの本数は、金・土・日・月の4日で出る杯数の見込みから庫内に残っている杯数を引き、1本あたりの杯数で割って切り上げた数です。「残り1本になったら2本」が週末だけ外れるのは、樽を本数で数え、ビールを杯数で売っているからです。席数30〜80の居酒屋の経営者向けに書きました。

この記事でわかること

  • 頼む本数は「4日ぶんの杯数 − 庫内の残り杯数」を1本あたりの杯数で割って切り上げた数です。見込みが要るのは4日ぶんの杯数だけで、あとの2つは数えれば出ます。
  • 「残り1本になったら2本」は月〜木では合っていて、週末だけ外れます。単位のずれと曜日の偏りが重なるからで、ルールを直す前に1本が何杯かを自店の記録で測ります。
  • 国税庁の課税数量では、ビールは7月と12月に山、1月に谷があります。札幌の平年値で日平均気温が20℃を超える月は7月と8月だけなので、12月の山は宴会が作っています。
  • 本数は切り上げで決まるので、見込みは荒くてよく、迷うのは幅の両端で本数が変わる週だけです。余った未開封の樽は次の週に回せますが、切れた夜の売り逃しは記録しないと消えます。

金曜配達ぶんの本数は、4日ぶんの杯数から逆算する

酒屋の配達が火曜と金曜の昼だとします。ここでは、金曜の配達から次の火曜の配達までに使う金・土・日・月の4日分を考えます。頼む本数は、この4日で出る杯数の見込みからいまつないでいる樽の残り杯数と未開封の樽の杯数を引き、1本あたりの杯数で割って、端数を切り上げた数になります。

例えば、4日で出る杯数の見込みが150杯、つないでいる樽に15杯残っていて、未開封が1本あるとします。1本が仮に50杯の店なら、庫内には65杯あるので、足りないのは85杯です。50で割ると1.7本になり、切り上げて2本を頼みます。

式の中で見込みが要るのは、4日ぶんの杯数の1つだけです。残り杯数は樽を持ち上げるか目盛りを見れば分かり、1本あたりの杯数は一度測れば当分そのまま使えます。曜日と予約で杯数がどう動くかを見込む話は、あとの章で扱います。

4日ぶんの杯数

今回の配達から次の配達までに出る杯数。この例では金・土・日・月の4日分です。3つのうち、ここだけが見込みです。

庫内の残り杯数

つないでいる樽の残りと、未開封の樽の本数×1本あたりの杯数。数えれば出ます。

1本あたりの杯数

樽を開けてから空になるまでにレジで売った杯数。ジョッキの大きさと泡の量で店ごとに違うので、自店で測ります。

「残り1本になったら2本」が金曜の夜だけ外れる理由

多くの店で使われているのは、庫内の樽が残り1本になったら2本頼むという決め方です。品目が1つか2つで単位が樽1本という生ビールには、よく合ったルールです。月曜から木曜まではこれで切れることはほとんどありません。

外れるのは金曜と土曜です。理由は2つ重なっています。1つは、樽は本数で数えるのに、出ていくのは杯数だということです。庫内に1本あるという事実は、あと50杯前後は出せるという意味でしかありません。金曜と土曜で120杯出る店なら、1本では届かないと最初から決まっています。

もう1つは、杯数が週の後半に寄ることです。残り本数だけを見るルールは曜日を見ないので、月曜に残り1本を見たときと木曜に残り1本を見たときで、同じ判断を返します。木曜の残り1本は、金・土のぶんが引かれていない残りです。単位を杯数にそろえ、4日ぶんの杯数から引き算する形にすると、この2つのずれが式の中に入ります。

1本が何杯かは、カタログの数字を当てにせず自店のレジで測る

樽の容量から計算した杯数と店で実際に売れる杯数は同じになりません。ジョッキの大きさ・泡の量・サーバーの洗浄で流れる分が店ごとに違うからです。測り方は1つで、樽を開けた日時と空になった日時を書き、その間にレジで売った生ビールの杯数を数えます。3本ぶん測れば平均が出ます。

この数字は本数を決める式の分母になります。例えば150杯を用意するとき、1本あたり50杯なら3本ですが、45杯なら約3.3本必要になるため、境目の週の判断が変わります。杯数を測るときは、飲み放題の杯数も同じ伝票から拾い、1人あたり何杯出ているかを一緒に出しておきます。予約が入った週に、予約客の杯数を予約なしのお客さんの杯数と分けて見積もるための数字です。

生ビールが2系統ある店は系統ごとに別々に測ります。片方が切れたときにもう片方で受けられるかは銘柄によって違いますし、1本あたりの杯数も銘柄ごとに違います。系統が2つあれば、式も2つ動かします。

季節と気温の波を4日ぶんの見込みにどう足すか

曜日の差は直近4〜8週の同じ曜日の杯数を並べれば見えてきます。季節の差は1年ぶんの記録が要ります。自店の記録が1年に足りない間は、全国の波の形を借りられます。国税庁が毎月公表している酒税課税状況表の単月の課税数量で、2024年4月から2025年3月のビールを見ると、いちばん多い7月が25.7万キロリットル、12月が24.7万キロリットル、いちばん少ない1月が14.1万キロリットルです。7月は1月の1.8倍あります。

この数字は出荷の段階で課税された全国の合計で、1店の売上とは別の数字です。それでも、山が2つあることは分かります。夏の山と12月の山です。札幌の気温の平年値(気象庁、1991〜2020年)で日平均気温が20℃を超える月は7月の21.1℃と8月の22.3℃だけで、12月は−0.9℃です。12月の山は気温では説明がつかず、忘年会で来ています。

予約客の杯数と予約なしのお客さんの杯数は分けて見積もります。飲み放題の予約が12名入っていて、過去の平均が1人あたり3杯なら、予約分は36杯と見積もれます。見込みの幅を当てるのは残りの部分だけにします。宴会の入った週ほど、見込みに任せる範囲は狭くなります。気温の影響は自店の伝票で確かめてから足します。世間で言われる目安をそのまま当てると、北海道では夏の山を広く取りすぎます。

曜日の波

直近4〜8週の同じ曜日を並べる。金曜と土曜が月〜木の何倍かが分かれば、4日ぶんの見込みの土台になります。

季節の波

国税庁の月別の課税数量で見ると、7月と12月に山、1月に谷。自店の記録が1年たまるまでの代わりになります。

予約

飲み放題の人数×1人あたりの平均杯数で、予約分を見積もります。この試算では予約分を一定の値として扱い、予約なしのお客さんの杯数に幅を持たせます。

切り上げるから、見込みは荒くてよい。迷うのは境目の週だけ

本数は切り上げで決まります。だから見込みが数杯ずれても、答えは変わりません。4日ぶんの杯数を「130〜160杯」のように幅で持ち、幅の下側と上側でそれぞれ本数を出してみます。庫内に65杯あって1本50杯なら、下側は65杯足りなくて2本、上側は95杯足りなくて2本です。両端で同じ本数になる週は、それ以上考えることがありません。

幅の両端で本数が変わる週は、予約や保管場所などの条件を確認します。「2本か3本か」の週です。ここで比べるのは、3本頼んで1本余ったときに何が起きるかと、2本にして日曜の夜に切れたときに何が起きるかの2つで、次の章の話になります。

幅の広さは記録の量で決まります。同じ曜日の杯数が4週ぶんしか無ければ幅は広く、1年ぶんあれば狭くなります。当社が開発中の手軽に使える需要予測AIは、日付と数量の2列のCSVを入れて列を選ぶと、28日先までの予測を幅つきで出す作りです。生ビールなら日付と杯数の2列で試せます。

DEMO

4日ぶんの杯数と残りを入れると、本数が何本になるか

1本あたりの杯数・庫内の残り・曜日ごとの見込みとその幅・飲み放題の予約を入れると、金曜配達ぶんの本数が出ます。幅の両端で本数が同じなら迷わない週、違えば境目の週です。境目の週は、多い方と少ない方を頼んだときに何杯余り、何杯切れるかを並べます。

樽の本数の試算|境目の週かどうかを先に見る

生ビール1系統ぶんの数字を入れる画面です。4日ぶんの杯数の見込みを幅で持ち、庫内の残り杯数を引いて、1本あたりの杯数で割って切り上げます。予約分の見込み杯数は幅の外に置きます。冷やしておける本数の上限を超える案には印が付きます。

触って動かせます
計算の中身
4日ぶんの見込み杯数に予約分の見込みを足し、庫内の残り杯数を引いて、1本あたりの杯数で割って切り上げています。幅の下側と上側で別々に本数を出し、同じなら迷わない週と判定します。
使っている前提
数字はすべて入力例です。1本あたりの杯数は店ごとに違うので、自店で測った数に置き換えてください。
確かめてほしいところ
飲み放題の予約人数を0から12に増やしてみてください。予約分を加えることで必要な杯数が増え、幅の両端で求めた本数が同じになる場合と異なる場合を比較できます。

※ 余った樽は未開封なら翌週の在庫になるため、金額の損としては数えていません。切れた杯数の金額は、出せなかった杯数をすべて売り逃したとみなした粗利で、実際には瓶や別の飲み物で受けられる分があります。

余った樽と切れた夜。損は同じではない

多めに頼んで余った樽は、開けなければ次の週に回せます。消費者庁の資料は、賞味期限を「定められた方法により保存した場合において、期待される全ての品質の保持が十分に可能であると認められる期限」と説明していて、劣化が比較的遅い食品に付く表示です。同じ資料は、期限を超えても品質が保持されていることがあるとも書いています。樽の表示と保管方法を守っていれば、未開封の1本は在庫として翌週の式に入れられます。開栓した樽は別で、何日で使い切るかはメーカーの案内に従います。

余りの上限を決めるのは、賞味期限より置き場所です。樽を冷やしておける本数は店ごとに決まっていて、そこを埋めた週は次の配達で頼める本数が減ります。つまり売れ残りによる損失は「置き場所を1週間ふさぐ」ことで、金額としては小さいです。

切れた夜の損は、その場では見えません。瓶に振り替えた杯数、生を頼めずに別の飲み物にした人数、次の注文をやめた人は、レジのどこにも生ビールとして残りません。残った樽は翌朝も目に入るので、発注は自然と少なめに傾きます。品切れも記録しなければ、少なめの発注で困った日を振り返れません。切れた時刻とそこから閉店までに出た瓶の本数だけでよいので、その場で書いておきます。

余った未開封の樽

賞味期限と保管方法を守っていれば翌週の在庫。損は置き場所を1週間使うこと。

切れた夜

振り替えた瓶の本数と切れた時刻を書く。金額にするなら、出せなかった杯数×1杯の粗利。

月に1回並べる

余った本数と切れた夜の回数を同じ表に出す。片側だけが伸びていれば、翌月の幅の使い方を動かします。

木曜の発注を仕組みにする順番と費用の決め方

最初は紙1枚で足ります。横に金・土・日・月、縦に「先週の杯数」「予約分の見込み杯数」「見込み」の3行を作り、下に庫内の残り杯数と1本あたりの杯数を書いて、本数を出すだけです。木曜の夕方に5分で終わります。誰が書いても同じ本数になるなら、そこで止まって構いません。

紙がつらくなるのは、系統が増えたときと、曜日と予約と気温が重なる週の見込みを毎回手で直しているときです。そこから先は、レジの杯数を日付と一緒に書き出して見込みを自動で出し、木曜の画面に「2本」「3本」の2択で載せる仕組みが向きます。判断は店長に残り、仕組みが出すのは杯数の幅と根拠までです。この画面の形は生ビール樽の発注画面の開発プランに書いています。

見積もりに要るのは3点です。生ビールの系統が1つか2つか、レジの杯数を自動で取るか手で入れるか、酒屋への送信まで画面に入れるか。開発プランでは設計から納品まで約2ヶ月を目安にしています。当社の需要予測AIのリリース前でも、レジの書き出しを1本お預かりして予測に使えるかを確かめる無料相談を受けています。

紙1枚で始める

4日×3行の表と、残り杯数、1本あたりの杯数。木曜の夕方に5分。

見込みを自動にする

日付と杯数の2列を書き出せば、当社の需要予測AIで28日先までの幅つきの予測を試せます。データ確認は無料です。

発注の画面まで作る

系統の数・レジとのつなぎ方・酒屋への送信の有無で金額が決まります。目安は約2ヶ月。

まとめ

金曜配達ぶんの本数は、4日ぶんの杯数から庫内の残り杯数を引き、1本あたりの杯数で割って切り上げた数です。見込みが要るのは4日ぶんの杯数だけです。

「残り1本で2本」が週末だけ外れるのは、本数と杯数の単位のずれに週の後半へ寄る曜日の偏りが重なるからです。切り上げで決まるので、見込みは荒くてよく、迷うのは境目の週だけです。

次にやることは1つです。次に樽を開けたら、空になるまでにレジで売った杯数を数えてください。その1つの数字が式の分母になり、そこから先の表はすべて店にある記録で埋まります。

よくある質問

10リットルと19リットル、どちらの樽を頼めばいいですか?

本数ではなく、開栓してから空になるまでの日数で選びます。1日に出る杯数で樽の杯数を割ると、開けてから何日で空になるかが出ます。その日数が、メーカーが案内している開栓後の日数に収まる大きさが上限です。平日に小さい樽、週末に大きい樽と分ける店もあります。

気温が上がった週は多めに頼むべきですか?

自店の伝票で確かめてからにしてください。札幌の平年値で日平均気温が20℃を超える月は7月と8月の2つだけで、夏の山は本州より短いです。先に見るのは予約と曜日で、気温は「同じ曜日で、暑かった週と涼しかった週の杯数がどれだけ違ったか」を並べてから足す順番です。

記録は何ヶ月分あれば見込みに使えますか?

曜日の差は4〜8週の記録で見えてきます。季節の差を自店の数字で見るには1年ぶん要ります。それまでは国税庁の月別の課税数量の形を借りて、7月と12月を厚く、1月を薄く置きます。当社の需要予測AIは3ヶ月分ほどの記録から試せますが、季節まで反映するなら1年分あるほうが確かです。

予約が入っていない週末の見込みが毎回外れます。何から直せばいいですか?

先に1本あたりの杯数を測り直してください。式の分母がずれていると、見込みが合っていても本数がずれます。次に、切れた夜の記録を1ヶ月ぶん見返して、外れが「多すぎ」と「足りない」のどちらに寄っているかを数えます。片側に寄っていれば、見込みではなく幅の使い方を動かします。

この記事を書いた人

水上貴洋取締役 / 飲食DXコンサルタント

北海道札幌市を拠点に、業務アプリやAIの開発を行っています。北海道内は直接うかがい、道外はオンラインで対応しています。専門用語を使わず、相手の言葉で話すことを大事にしています。

週末に必要なビール樽の発注量を相談できます

木曜の発注を店長以外にも任せたい。金曜の夜に生を切らした回数が月に1回を超えている。冷やしておける本数が少なくて多めに頼めない。レジの書き出しはあるが、杯数の列がどれか分からない。そんな段階で相談していただいて大丈夫です。CSVファイルを1つお預かりして、日付と杯数の2列が取れるかを見るところから始めます。

ビール樽の発注量を相談する (新しいタブで開きます)

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