EvoQuest

AIの基礎・活用

紙の申込書や注文書、AIでデータにできる?

紙の文字を表のデータにするAIは、一般にAI-OCRと呼ばれ、手書きの書類にも使えます。ただし、くせ字や枠からはみ出した字は誤ることがあり、人が直す手順が前提です。同じ様式の紙が毎月多いならAI-OCR、様式がばらばらで枚数が少ないなら生成AIから試すと選びやすくなります。

この記事でわかること

  • OCRは文字認識のことです。AI-OCRは、総務省のガイドブックの用語解説では、AIで文字認識を行う仕組みで、1文字ずつのマス目が無い欄の手書きも認識できるものとされています。
  • 茨城県つくば市の例では、手書きの申請書などを画像から表の形式(CSV)に変換しています。AIが読めない画像は一覧で表示され、職員が見て手で入力します。
  • 同じ書類でも、正しく読めた割合は文字ごとに数えるか記入欄ごとに数えるかで変わります。つくば市の共同研究では文字単位で93.41%、項目単位で89.11%でした。
  • 同じ様式の紙が毎月たくさんあるならAI-OCRのサービス、様式がばらばらで枚数が少ないなら写真を受け付ける生成AI、月に数枚なら手入力のままでもよい、という分け方ができます。
  • 名前や住所が書かれた書類は、どこで処理されるサービスかを先に確かめます。

AI-OCRは、紙の文字をデータにするAI

OCRは、日本語では文字認識と呼ばれます。紙をスキャナーやカメラで画像にし、そこに書かれた文字をパソコンで扱える文字のデータに変えます。

総務省の「自治体におけるAI活用・導入ガイドブック<導入手順編>(令和7年12月、第4版)」は、用語解説でAI-OCRを、AIを用いて文字認識を行う仕組みで、マス目で1文字ずつ区切られていない欄に書かれた手書き文字も認識できるものと説明しています。

同じガイドブックには、茨城県つくば市が導入したAI-OCRが紹介されています。市民が手書きした申請書などを画像として取り込み、CSVファイルに変換する仕組みです。CSVはExcelでも開ける表の形式なので、変換したデータを台帳や別のシステムへ取り込みやすくなります。

AIが読めない字は、人が見て直す

つくば市は2018年度に、ほかの市と共同でAI-OCRの検証を行っています。ガイドブックによると、市の20種類の帳票で正しく読めた割合は、文字単位で93.41%、項目単位で89.11%でした。同じ書類でも、何を1件と数えるかで数字が変わります。AIの数字の見方はAIの「精度95%」は何を表している?で説明しています。

ガイドブックは、目で見ても判別しにくいくせ字や乱れた字、枠からはみ出した文字では誤ることがあると書いています。つくば市のAI-OCRでは、AIが読めなかった画像だけが一覧で表示され、人がその画像を見て文字を入力すると、CSVに反映されます。

つまり、AI-OCRを入れても紙を確かめる作業はゼロにはなりません。導入を考えるときは、AIが読めた分だけでなく、人が直す画面の使いやすさと、直す作業にかかる時間まで含めて比べます。

AI-OCRか、生成AIか、手入力のままか

紙をデータにする方法は、紙の様式と枚数で選びやすくなります。次は当社が考える分け方の目安です。

同じ様式の紙が、毎月たくさんある

申込書や注文書のように決まった様式の紙が続くなら、AI-OCRのサービスが候補です。自社の実物の紙で試せるか、AIが読めなかった字を直す画面があるか、どんな形式で書き出せるかを確かめます。料金の数え方もサービスによって違います。つくば市が導入したサービスは年間定額で、基本の使用量を超えると項目単位で料金が加算される仕組みでした。

様式がばらばらで、枚数は少ない

取引先ごとに形が違う納品書や、ときどき届く手書きのメモなら、写真を受け付ける生成AIに見せて表にまとめてもらう方法から試せます。生成AI「Claude」の公式資料は、大事な文字ははっきり写して小さすぎないようにすること、画像を強く圧縮すると文字が読みにくくなることを挙げています。完全な正確さが必要な作業に、人の確認なしで使わないようにとも書いています。

月に数枚なら、手入力のままでもよい

枚数が少なければ、AIの結果を確かめる時間と手で入力する時間がほとんど変わらないことがあります。紙で受け付ける理由が無くなっているなら、紙をデータにする前に、最初からスマホで入力してもらう受付に替える方法もあります。

データにしたあと、生成AIでまとめる使い方も

文字をデータにすると、その先で生成AIに整理を頼めます。同じガイドブックには、岡山県の村が、住民の意見が書かれた付箋を無償のAI-OCRソフトで文字のデータにし、生成AIで分野別の傾向や強み・弱みをまとめた例が載っています。付箋の内容を報告書にまとめるのに半日かかっていた作業が、1時間程度になったと書かれています。

この村は、生成AIが出した結果を職員が必ず確認・修正するルールを決めています。手書きのアンケートや意見カードの整理を考えているなら、アンケートの感想、生成AIでまとめられる?も参考になります。

名前や住所が書かれた紙を扱うとき

申込書や注文書には、名前・住所・電話番号が書かれていることがよくあります。AI-OCRや生成AIのサービスに送る前に、画像がどこで処理され、保存されるのかを確かめます。

つくば市は2019年の時点で、AI-OCRで扱うデータに個人情報が含まれる可能性があるとして、一般向けのクラウド上で処理するサービスは適当でないと判断し、自治体向けの専用ネットワーク上のサービスを選んでいます。これは自治体の判断の例ですが、会社でも、どの書類ならどのサービスに送ってよいかを先に決めておけます。決め方は社員が生成AIを使い始めたら、何を決めておく?で紹介しています。

試すときは、くせ字の紙も混ぜる

最初は、実際に届いた紙をそのまま使います。きれいに書かれたものだけでなく、くせ字や訂正の二重線、枠からはみ出した字がある紙も混ぜておきます。

AIの結果は、記入欄ごとに正しかったか誤っていたかを記録します。あわせて、誤りを見つけて直すのにかかった時間も測ります。手で入力するより早く終わるかどうかが、使い続けるかを決める材料になります。

この記事を書いた人

立石伊吹代表取締役 / DX・AIアドバイザー

北海道札幌市を拠点に、業務アプリやAIの開発を行っています。北海道内は直接うかがい、道外はオンラインで対応しています。専門用語を使わず、相手の言葉で話すことを大事にしています。

紙の書類をデータにする方法を、一緒に選びます。

毎月手で入力している書類がある、AI-OCRを試すか迷っている。そんな段階でも相談できます。書類の実物や個人情報を送っていただく必要はありません。どんな紙が毎月何枚くらいあり、入力したデータを何に使っているかを聞きながら、AI-OCR・生成AI・入力のしかたの見直しのどれが合いそうかを一緒に考えます。

手入力の作業について相談する (新しいタブで開きます)

メールでのお問い合わせ:info@evoquest.jp 解説記事一覧へ戻る

EvoQuest

AI相談窓口

EvoQuestについて、
気になることを聞いてください。

サービスの内容や制作実績、
費用の目安などをご案内します。

AIが回答します。個人情報・機密情報は入力しないでください。入力内容は回答のためにAI提供元へ送信されます。利用について(新しいタブ)

直接お問い合わせ

会話はこのタブに一時保存されます。