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AIの基礎・活用

アンケートの感想、生成AIでまとめられる?

アンケートの自由記述は、生成AIに分類や要約を頼めます。似た意見をまとめ、良かった点と直してほしい点に分けるところまでは短い時間で進みます。まとめから漏れた意見がないかと、件数の確認は人が行います。

この記事でわかること

  • 生成AIには、自由に書かれた感想を「料理」「接客」「待ち時間」のような観点に分ける、似た意見を1つにまとめる、良かった点と直してほしい点に分ける、といった作業を頼めます。
  • 学校のアンケートで試した報告では、時間の短縮につながった一方で、まとめの確認や、どちらとも取れる記述を人が分け直す必要があったとされています。
  • お客さんの名前や連絡先は、入力する前に消します。入力した内容がAIの学習に使われるかどうかは、サービスの利用規約や設定で確かめます。
  • 回答に番号を振ってから頼むと、まとめから元の回答へすぐ戻れます。件数は元の表で数え直します。

生成AIに頼めること

選択式の設問は表計算ソフトで数えられますが、自由記述は1件ずつ読むしかなく、後回しになりがちです。文章を読んで分けたり縮めたりする作業は、ChatGPTのような文章を扱う生成AIが得意とするところです。

回答を貼り付けて、次のような作業を頼めます。

観点ごとに分ける

飲食店なら「料理」「接客」「店内」「価格」「その他」のように、分け方を指定して振り分けてもらいます。分け方を決めずに頼むと、AIが観点を提案します。

似た意見を1つにまとめる

「量が少ない」「もう少し量がほしい」のように、言い方が違うだけの意見を1行にまとめます。何十件の感想が、読める長さの一覧になります。

良かった点と直してほしい点に分ける

続けたいことと改善したいことが分かれると、次の打ち合わせで話す順番を決めやすくなります。

改善案や返事のたたき台を作る

直してほしい点ごとに、考えられる対応を挙げてもらいます。採用するかどうかは店や教室の事情を知る人が決めます。

こんな場面で使えます

次は当社が考えた使い方の例です。どれも、すでに集めている感想が材料になります。

店の卓上アンケートやWebのアンケート

1か月分の感想をまとめ、毎月の打ち合わせで「良かった点」「直してほしい点」を確認します。紙の回答は表に打ち込んでから使います。

教室・講座の受講後アンケート

回ごとの感想を並べ、分かりにくかった説明や、もっと聞きたかった話題を拾います。次の回の内容を決める材料になります。

イベントのあとのアンケート

来場者の感想を、受付・会場・内容のように分けて、来年の準備に向けた記録にします。当日の受付や感想の回収にアプリを使うアイデアはイベント当日だけ使うアプリで、何ができる?で紹介しています。

従業員アンケート

働き方についての自由記述を、テーマごとにまとめます。書いた人が分かる表現が残らないよう、入力前の確認を丁寧に行います。

学校で試した報告から分かること

文部科学省のリーディングDXスクール事業では、生成AIを試した学校が実践の報告を公開しています。その中に、保護者や児童のアンケートの自由記述を生成AIでまとめた例があります。

東京都足立区立興本小学校は(実践報告)、学園祭などの保護者アンケートをフォームで集め、表に出力した自由記述を生成AIに渡しました。「肯定的な意見と否定的な意見に分けて」「似ている意見は1つにまとめて」と頼み、さらに課題と改善策を表にまとめさせています。

報告では、短い時間でまとめられ、翌年度の変更点を話し合う時間も短くなったとしています。

同じ報告は課題も挙げています。課題の部分は丁寧に検討する必要があり、まとめを見てから元の記述を探し直す手間がかかったこと。まとめに載らなかった重大な意見がないか、改めて確かめる必要があったことです(この回は漏れはなかったと報告されています)。

三重県松阪市の小学校の報告でも、時間の短縮につながった一方、生成した内容の確認は必要で、あいまいな記述や肯定・否定に分けられない記述は改めて人が分類する必要があったとされています。奈良市立鼓阪北小学校は、分析の前に回答を匿名化し、重複した回答を除いています。

どれも学校での報告で、店や会社で同じ結果になるとは限りません。それでも、時間が短くなるのは「分けてまとめる」部分で、確認は人に残る、という点は仕事のアンケートにも当てはまります。

まとめを受け取ったら、人が確かめるところ

生成AIのまとめは、もっともらしく見えても間違いを含むことがあります。理由は生成AIの答えが間違っているのはなぜ?で説明しています。アンケートでは、とくに次の点を確かめます。

まとめから漏れた意見

1件しかない意見は、似た意見のまとまりに入らず落ちることがあります。少数でも大事な意見を見落としていないか、元の回答に目を通します。

件数と「多い順」

「〇件」「多い順」と書かれていても、元の表で数え直します。会議の資料や掲示に件数を載せるなら、表計算ソフトで数えた数字を使います。

どちらとも取れる感想

「量がちょうどいい、もう少し安ければ」のように、褒めている部分と直してほしい部分が混ざった感想は、片方だけに分けられがちです。

安全や苦情に関わる感想

体調・アレルギー・けが・強い苦情に関わる感想は、件数に関係なく全文を担当者が読み、対応を決めます。

入力する前に消しておく情報

アンケートには、名前・電話番号・メールアドレスや、本人が分かる書き込みが混ざることがあります。分類や要約に名前は要らないので、回答番号だけを残して、ほかは消してから入力します。

個人情報保護委員会は、事業者が生成AIに個人情報を入力するときは、その情報の利用目的の範囲内かを確かめること、本人の同意なく個人データを入力する場合は、サービス提供者がそのデータを機械学習に使わないことなどを十分に確かめることを求めています(生成AIサービスの利用に関する注意喚起等、2023年6月)。

入力した内容がAIの学習に使われるかどうかは、使うサービスの利用規約や設定で確かめます。社内で使い始めるときの決めごとは社員が生成AIを使い始めたら、何を決めておく?にまとめています。

最初の一歩は、回答に番号を振って頼むこと

直近のアンケート1回分を、表計算ソフトの1列に1件ずつ並べます。左の列に1、2、3と回答番号を振り、名前や連絡先の列は消しておきます。

頼むときは、何のアンケートか、どう分けたいか、出してほしい形を書きます。たとえば「これは飲食店の来店アンケートの感想です。料理・接客・店内・価格・その他に分け、似た意見は1行にまとめてください。それぞれに元の回答番号を付け、表にしてください」のような書き方です。

回答番号が付いていれば、気になるまとめから元の感想へすぐ戻れます。学校の報告で手間がかかったとされた「元の記述を探し直す」作業を減らすための、当社からの提案です。

毎月数百件の感想を同じ分け方で振り分け、月ごとの変化をグラフで見たい場合は、手で貼って頼む方法では手間が残ります。決めた分け方で自動に振り分ける仕組みを作るかどうかは、1回試して、分け方が定まってから考えれば足ります。

この記事を書いた人

立石伊吹代表取締役 / DX・AIアドバイザー

北海道札幌市を拠点に、業務アプリやAIの開発を行っています。北海道内は直接うかがい、道外はオンラインで対応しています。専門用語を使わず、相手の言葉で話すことを大事にしています。

集めた感想を、次の改善に使える形にしたい方へ。

手元のアンケートをどう分けるか、生成AIで足りるのか、仕組みを作る価値があるのかを整理する段階から相談できます。回答データの提出は要りません。どんな感想が集まっていて、何を決めるのに使いたいかを伺います。

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