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飲食の需要予測・AI

パン屋は1日に何個焼くか。取り置き分と店頭分を分けて、焼成の回ごとに数を決める

パンの焼く数は、品目ごとに「取り置き・予約の個数+店頭で売れると見込む個数」で決めます。店頭分は過去の記録から取り置き分を除いて見込み、最後に予約分を足し戻します。総量を確定できる時刻は製法で違います。店内でパンを焼く個人経営のベーカリー向けの記事です。

この記事でわかること

  • 焼く個数は「取り置き・予約の個数」と「店頭で売れると見込む個数」の合計です。取り置きは受けた時点で個数が確定し、店頭分は日によって変わるため、2つを分けて記録し、分けて計算します。
  • 店頭で売れた個数は「焼いた個数 − 取り置きの個数 − 閉店時の残り個数」で出します。レジの販売数には取り置きの受け渡しも入るので、そのまま平均すると、次の予約を足したときに二重に数えてしまいます。
  • 店頭分の見込みを焼成の回(1日に何回かに分けて焼くときの各回)に割り振るときは、店頭で売れる時間帯の割合を使い、取り置きは受け取り時刻に間に合う回に足します。
  • 総量を確定できる時刻は製法で違います。生地から店内で作る店は生地を仕込む前、冷凍生地や成形済みの冷凍パンを焼く店は、冷凍庫から出す時点まで数を直せます。取り置きの受付締切は、この時刻に合わせます。
  • 品目×焼成の回の紙の表から始められます。品目が多く、転記と集計が毎日の負担になってきたら、店頭分の見込みと取り置きの確認を仕組みにする段階です。

焼く個数は、取り置きの個数と店頭で売れると見込む個数に分けて出す

1品目の焼く個数は、「取り置き・予約で受けた個数」と「店頭で売れると見込む個数」を足した数です。取り置きは電話や店頭で受けた時点で個数が決まります。店頭分は曜日や天気で変わり、焼く前には分かりません。2つを1つの数字にまとめると、取り置きの増減が店頭分の変化に見えてしまいます。

たとえば、ある土曜はクロワッサンの取り置きが18個入り、別の土曜は8個だったとします。取り置きを含めた販売数で比べると、取り置きが18個入った土曜のほうが、店頭のお客さんが多かったように見えます。実際には、店頭で売れた個数はどちらの土曜も40個台でした(試算例)。この記事では、店頭分だけを見込みの対象にし、取り置きは確定した個数として最後に足します。

中小機構のJ-Net21「パン屋(ベーカリー)」の開業ガイドは、前日に予約注文を受けるスマホアプリがフードロスの削減にもつながると紹介しています。予約で確定した個数が増えるほど、見込みで焼く個数は減ります。その効果を数字で確かめるためにも、取り置き分と店頭分を分けて記録しておきます。

店頭で売れた個数は、焼いた個数から取り置きと残りを引いて出す

使う記録は、品目ごと・焼成の回ごとの4つです。焼いた個数、そのうち取り置きに回した個数、閉店時の残り個数、売り切れた時刻です。店頭で売れた個数は「焼いた個数 − 取り置きの個数 − 閉店時の残り個数」で出せます。受け取りに来なかった取り置きは、棚に戻した時刻を書き、戻した個数を取り置きの個数から引きます。

レジの品目別の販売数は、この計算の代わりになりません。取り置きの受け渡しもレジを通るので、販売数には取り置き分が入っています。J-Net21のガイドが触れているとおり、スマホやタブレットのPOSレジアプリには売上管理・分析の機能があります。その数字を見る場合も、取り置きの受け渡しが含まれている点は同じです。取り置きを別の会計として打つか、取り置き台帳の個数を後から引くかのどちらかで、店頭分を分けてください。

下の表は、同じ店の直近4週の土曜のクロワッサンを並べた試算例です。「販売数(取り置き込み)」の平均は約55個ですが、店頭で売れた個数の平均は約43個です。次の土曜の取り置きが15個入っているとき、55個に15個を足すと70個になり、取り置き分を二重に数えてしまいます。正しくは43個前後の店頭分に15個を足して58個前後です。

1週目(試算例)

焼いた60個、取り置き10個、残り6個。店頭で売れた個数は44個。販売数(取り置き込み)は54個。

2週目(試算例)

焼いた60個、取り置き18個、残り0個で13時40分に売り切れ。店頭で売れた個数は42個ですが、売り切れていなければもっと売れた可能性があります。

3週目・4週目(試算例)

3週目は焼いた60個、取り置き8個、残り9個で店頭43個。4週目は焼いた60個、取り置き12個、残り5個で店頭43個。

店頭分の見込みに予約分を足し戻し、焼成の回に割り振る

店頭分は、同じ曜日の店頭で売れた個数を4週ほど並べて見込みます。上の試算例なら、売り切れなかった3週は44個・43個・43個です。13時40分に売り切れた2週目の42個は、実際に売れる個数の下限として扱い、見込みの上側を広げる材料にします。この店の土曜の店頭分は「43〜48個」のように幅で持っておくと、どこまで多めに焼くかを店主が選べます。売り切れた時刻から売れた可能性のある個数を推計する方法は、惣菜の製造数の記事に書いています。

焼く個数は、店頭分の見込みに、その日の取り置きの個数を足した数です。幅の中央の45個を選び、取り置きが15個なら60個です。ここで予約分を足し忘れると、店頭分の45個しか焼かず、取り置きを渡した時点で店頭の棚が15個分早く空きます。

1日に何回かに分けて焼く店は、この60個を焼成の回に割り振ります。店頭分は、店頭で売れる時間帯の割合で分けます。試算例の店で、開店から10時半までに店頭分の4割、10時半から13時半までに4割、それ以降に2割が売れるなら、45個は18個・18個・9個です。取り置きは受け取り時刻に間に合う回に足します。午前受け取りの9個を1回目に、昼受け取りの6個を2回目に足すと、焼成の回ごとの個数は27個・24個・9個になります。

店頭分の見込み

同じ曜日の店頭で売れた個数を4週ほど並べる。売り切れた日は下限として扱い、幅の上側に反映する。

足し戻す取り置き

総量を決める時点で受けている取り置き・予約の個数。受け取りに来なかった分を棚に戻した実績も記録する。

焼成の回への割り振り

店頭分は時間帯の割合で分け、取り置きは受け取り時刻に間に合う回に足す。合計が焼く個数と一致しているかを確認する。

DEMO

取り置きの個数と店頭分の見込みを動かすと、焼成の回ごとの個数がどう変わるか

直近4週の店頭で売れた個数、次の日の取り置きの個数と受け取り時刻、幅のどこで焼くか、時間帯の割合を動かすと、焼く個数の合計と焼成の回ごとの個数が変わります。取り置き込みの販売数で計算した場合との差も並べます。

パン1品目の焼く個数の試算|店頭分の見込み+取り置き分と、焼成の回への割り振り

架空の店のクロワッサン1品目で試す画面です。店頭で売れた個数の記録と取り置きの個数から、焼く個数の合計と、3回に分けて焼く場合の回ごとの個数を出します。

触って動かせます
計算の中身
店頭で売れた個数=焼いた個数−取り置きの個数−閉店時の残り個数。焼く個数=店頭分の見込み(幅の選んだ側)+取り置きの個数。店頭分は時間帯の割合で焼成の回に分け、取り置きは受け取り時刻に間に合う回に足します。
使っている前提
焼成の回は3回(開店前・10時半・13時半)。売り切れた週の個数は下限として扱い、幅の上側にだけ使います。個数・割合はすべて架空の入力例です。
確かめてほしいところ
取り置き込みの販売数の平均に次の取り置きを足すと、焼く個数が取り置き分だけ多くなることを見てください。

※ 店・品目・個数・時間帯の割合はすべて架空の入力例です。

総量をいつ確定できるかは、生地から作るか冷凍生地を焼くかで違う

J-Net21のガイドは、店内でパンを焼くベーカリーの製法を3つに分けています。原材料から生地を作り、成形して焼き上げるまでを店内で行う「オールスクラッチ製法」、冷凍生地を仕入れて店内で成形・焼成する「ベイクオフ製法」、成形済みの冷凍パンを仕入れて店内では焼くだけの「QBD製法」です。製法によって、焼く個数を決めなければならない時刻が変わります。

生地から作る店は、生地を仕込んだ時点で、その生地から作れる個数の上限がほぼ決まります。前日に仕込む品目は前日のうちに、当日の朝に仕込む品目は仕込み前に、総量を決めます。冷凍生地を使う店は冷凍庫から出す時点で、成形済みの冷凍パンを焼く店は焼成の回ごとに冷凍庫から出す時点まで、個数を直せます。後から直せる店ほど、1回目は少なめに焼き、午前中の売れ方を見て2回目以降を決める組み方がとれます。

取り置きの受付締切は、総量を決める時刻の少し前に置きます。締切までに入った取り置きは足し戻す個数に入り、締切後に受けた取り置きは店頭分から回すことになります。締切後の取り置きが焼く個数を超えそうな回は、焼き増しできるか、受け取り時刻をずらしてもらうかを、その場で判断します。

品目の数、店頭に置く時間、残ったパンの扱いを、店に合わせて決めておく

品目が数十種類ある店は、売上の多い品目と残りやすい品目から始めてください。残りの品目は、しばらく今の個数のまま焼き、閉店時の残り個数と売り切れた時刻だけを記録します。

焼き上がりから何時間まで店頭に置くか、翌日に回すか値引きして売るかは、店が味や食感をもとに決めている基準です。容器包装に入れて売るパンに表示する消費期限・賞味期限は、食品表示基準の第2条で定義されている別のものです。消費期限は品質の劣化に伴い安全性を欠くおそれがないと認められる期限、賞味期限は期待される品質の保持が十分に可能と認められる期限です。店頭の目安と期限表示を混同しないよう、記録では分けて書きます。

残ったパンを値引きして売る店は、値引きを始めた時刻と個数も書きます。農林水産省の「飲食店等の食品ロス削減のための好事例集」には、当日残った商品を値引きして販売し、廃棄を出さないようにしているパンの販売店の例があります。値引きで売れた個数は店頭で売れた個数に入れ、定価で売れた個数とは分けておくと、次に焼く個数を多めにしすぎていないかを確かめられます。

店頭分の見込みを、日付と個数の記録から出す

この記事の計算で見込みが要るのは、品目ごとの店頭分だけです。取り置きの個数は台帳から、焼成の回への割り振りは時間帯の割合から出せます。店頭分は、過去の日付と店頭で売れた個数の並びから、曜日の違いや季節の増減を反映して見込めます。

当社が開発中の手軽に使える需要予測AIは、日付と数量の2列のCSVから28日先までの日ごとの予測を幅つきで出す作りです。パン屋で使う場合、数量の列には取り置きを除いた店頭分を入れます。取り置き込みの販売数を入れると、取り置きの多かった日に引きずられた見込みになります。幅のどこで焼くか、予約分を足した総量をいつ確定するかは、これまでどおり店主が決めます。

紙の表で始められる範囲と、仕組みにする目安

最初は、品目×焼成の回の表が1枚あれば始められます。焼成の回ごとに「焼いた個数・取り置きの個数・売り切れた時刻」を書き、閉店時に品目ごとの残り個数を書きます。まず主力の3品目で4週分たまれば、曜日ごとの店頭分と時間帯の割合が出せます。ここまでは費用がかかりません。

仕組みにするのを考える目安は3つです。品目が多く、閉店後の集計と翌日の個数の計算が毎日の負担になっている。取り置きの電話を受けるたびに、焼き上がり予定と取り置き済みの個数を工房に確かめている。レジの販売数から取り置き分を引く作業を手でやっている。どれかが続いているなら、相談の時期です。

当社は、店頭分の見込みを出す部分と、取り置きと焼き上がり予定を売場と工房で共有する画面の両方を相談できます。後者はパン屋の予約・取り置き管理の開発プランで、受付の画面と、焼成の回ごとの焼く個数と取り置き数を並べる工房の画面を設計しています。費用と期間は、品目の数、焼成の回の数、取り置きの受け方(電話・店頭・ネット)、レジから販売数をどう取り出すか、使う端末の台数を確かめると見積もれます。

紙の表

品目×焼成の回。焼いた個数・取り置きの個数・売り切れた時刻・閉店時の残り個数。費用はかかりません。

店頭分の見込み

取り置きを除いた日別の店頭分をCSVにすれば試せます。手軽に使える需要予測AIは開発中で、手元のデータが使えるかの先行相談は無料です。

取り置きと焼き上がり予定の共有

受付と工房で同じ数字を見る画面。品目数・焼成の回・取り置きの受け方・レジとのつなぎ方で費用が決まります。

まとめ

焼く個数は、取り置き・予約の個数と、店頭で売れると見込む個数の合計です。見込むのは店頭分だけで、取り置きは確定した個数として最後に足し戻します。

店頭で売れた個数は「焼いた個数 − 取り置き − 閉店時の残り」で出し、売り切れた日は下限として扱います。総量を確定できる時刻は製法で違い、取り置きの受付締切はその時刻に合わせます。

次にやることは1つです。いちばん残りやすい品目1つについて、あすから焼成の回ごとの焼いた個数と取り置きの個数、売り切れた時刻、閉店時の残り個数を紙に書いてください。

よくある質問

取り置きを受け取りに来なかった場合は、どう記録すればよいですか?

取り置きの個数からその分を引き、棚に戻した時刻と個数を書きます。戻したパンが店頭で売れたら店頭で売れた個数に入ります。受け取りに来ないお客さんが多い品目や曜日は、取り置きの個数をそのまま足し戻すと多めに焼くことになるので、戻した個数の実績を見て、足し戻す個数を調整するかどうかを決めます。

品目が50種類以上あります。全部の焼く個数を見込む必要がありますか?

最初から全部を見込む必要はありません。売上の多い品目と、閉店時に残りやすい品目から始めます。残りの品目は今の個数のまま焼き、残り個数と売り切れた時刻だけを記録しておくと、あとから見込む品目を増やすときに使えます。

レジの販売数から、取り置き分を分けられません。どうすればよいですか?

取り置き台帳やノートに書いた個数を、品目ごと・日ごとに合計して、レジの販売数から引けば店頭分が出ます。毎日の手作業が負担なら、取り置きの受け渡しを別の会計ボタンで打つなど、レジ側で分ける方法をレジの設定で確かめてください。

この記事を書いた人

立石伊吹代表取締役 / DX・AIアドバイザー

北海道札幌市を拠点に、業務アプリやAIの開発を行っています。北海道内は直接うかがい、道外はオンラインで対応しています。専門用語を使わず、相手の言葉で話すことを大事にしています。

パンの焼く個数の決め方を相談できます

夕方に同じパンが残る、取り置きが入ると店頭の棚が早く空く、焼く個数が店主の経験に頼っていて任せられない。そんなお店のご相談を受けています。レジの記録や取り置きのノートから店頭分を見込めるか、どの品目から始めるかを一緒に確認します。資料が揃っていない段階でも構いません。

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