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飲食の需要予測・AI

スーパーの惣菜は何パック作るか。朝・昼・15時の便に分けて決める手順と、値引きの時刻から最後の便を逆算する方法

惣菜の作る数は、1日分を朝に一度で決めず、朝・昼・15時の便に分けます。朝に決めるのは昼の便までに売れる数だけです。最後の便は値引きを始める時刻から逆算します。惣菜を店内で作っているスーパーや弁当店の経営者・惣菜部門の責任者向けです。

この記事でわかること

  • 惣菜は消費期限の付く食品で、その日に売れ残った分は翌日の棚に並べられません。「1日で何パック」を朝に決めると、外れた分がそのまま廃棄か欠品になります。便に分けると、朝に決める数は最初の便の分だけで済みます。
  • 便ごとの数は、レジの時間帯別の売れ数から出します。開店から昼までに1日の何割が売れるかは、店と品目でほぼ決まっています。1日の合計の見込みにその割合を掛けたものが、朝の便の数です。
  • 最後の便は、閉店と値引きを始める時刻から逆算します。値引き前に定価で売れる数と、値引き後に売れる数を足したものが上限です。値引きは売り切るための最後の手段です。作る数を決める段階では当てにしません。
  • 売れた数だけでなく、売り切れた時刻を残します。17時に棚が空いた日の売れ数は、その日の実力より小さい数です。空いていた時間が長い日は、次の見込みを上に寄せる材料になります。
  • 捨てた1パックの損は原価、売り逃した1パックの損は粗利で、金額が違います。どちらに寄せるかは品目ごとに決めます。紙の便表から始められ、仕組みにする費用は品目数・便の数・レジからの取り出し方で決まります。

1日分を朝に決めない。便に分けると、朝に決める数は最初の便だけになる

惣菜の作る数でいちばん外れやすいのは、「きょうは唐揚げ120パック」と朝に1日分を決める方法です。惣菜は消費期限の付く食品で、東京都の期限表示の案内でも「お弁当・サンドイッチ・そうざいなど、傷みやすい食品」に消費期限が付くと説明されています。期限そのものは作った店が検査などにもとづいて決めますが、店内で作る揚げ物や弁当はその日に売り切る前提の品目が多く、売れ残った分は翌日の棚に並べられません。朝に決めた数が20パック多ければ、20パックがそのまま夕方の値引きと閉店後の廃棄になります。

便に分けると、朝に決めるのは最初の便の分だけで済みます。たとえば朝の便で開店から13時まで、昼の便で13時から16時まで、15時に揚げる便で16時から閉店までをまかなう組み方なら、朝に決める数は「13時までに売れる数」だけです。昼の便は午前中の売れ行きを見てから、最後の便は15時までの残数を見てから決められます。1日の見込みが外れても、外れた分の多くは次の便で直せます。

便の数は店の設備で決まります。フライヤーが1台で揚げ物を1日3回しか回せない店なら3便、炊飯器が2台で白飯を昼にもう一釜炊ける店なら白飯は2便です。品目ごとに便の数が違ってよく、全部の品目を同じ便に揃える必要はありません。煮物や漬物のように翌日に持ち越せる品目は、この記事の外です。ここで扱うのは、その日に売り切る揚げ物・弁当・寿司・サラダの類です。

便ごとの数は、レジの時間帯別の売れ数から出す

朝の便の数を出すには、「1日の売れ数のうち、13時までに何割が売れるか」が要ります。この割合はレジに残っています。単品ごとの売れた時刻を直近4週ぶん1時間刻みで集計し、曜日ごとに足すと、たとえば唐揚げは「平日は13時までに45%、16時までに70%」のような形で見えてきます。この割合は品目と店の客層でほぼ決まっていて、日によって大きくは動きません。

動くのは1日の合計です。同じ土曜でも、チラシのある週と給料日前では売れ数が違います。だから便ごとの見込みは、1日の合計の見込みに、その品目の時間帯の割合を掛けて出します。1日の合計は、過去の日付と売れ数の並びから幅で見込めます。発注量の記事に書いた「届くまでに使う数」と同じ考え方で、ここでは「次の便までに売れる数」を見込みます。

当社が開発中の需要予測AI「EvoQuest Iramepakari」は、日付と数量の2列のCSVから28日先までの日ごとの見込みを幅つきで出す作りで、レジから書き出した品目ごとの日別売れ数がそのまま入ります。時間帯の割合を掛けるのは店の側です。チラシの特売日と、恵方巻のように年に1回しか売らない品は、過去の並びだけでは足りないので、次の節で別に扱います。

集計の刻み

1時間刻みで4週ぶん。曜日ごとに足してから割合を出します。1日ずつ出すと、雨の日1日に引きずられます。

品目の単位

パックの数で数えます。重さで売る量り売りは、グラムの合計をパックの平均の重さで割って数に直します。

割合を見直す時期

開店時間や売場の位置を変えた月、季節で夕方の客が増える月は、翌月に測り直します。

最後の便は、値引きを始める時刻と閉店から逆算する

最後の便だけは、見込みの掛け算に加えて、時刻から逆算します。閉店が21時、値引きシールを貼り始めるのが18時の店なら、最後の便が売場に並ぶ16時から18時までは定価で売れ、18時から21時までは値引きで売れます。最後の便の上限は、この2つの時間帯で売れる見込みの合計です。それより多く作った分は、どれだけ値引きしても閉店時に残ります。

値引きは、売り切るための最後の手段として置きます。作る数を決める段階で「余ったら値引きで売ればよい」と当てにすると、最後の便が毎日多くなり、値引きが毎日になります。値引きで売った1パックは、定価で売れたはずの1パックの粗利を削っています。値引きを始める時刻は残数と売れる速さで決めるもので、毎日18時に固定するものではありません。

農林水産省は毎年12月に、恵方巻のような季節の食品を需要に見合った販売にするよう小売や製造の事業者に呼びかけていて、令和7年12月24日の呼びかけには71事業者が参加しています。年に1回の品は過去の並びが1年に1点しかないので、予約を取って数を確定させ、当日分は少なめに作って売り切る組み方になります。毎日の惣菜も季節の品も、「売り切る時刻を先に決めて、そこから数を出す」点は同じです。

定価で売れる時間

最後の便が並ぶ時刻から値引き開始まで。ここで売れる数は、時間帯の割合から出せます。

値引きで売れる時間

値引き開始から閉店まで。割引率で売れる速さが変わるので、貼った時刻と割引率と残数を記録して、自店の数字を作ります。

上限の意味

2つの合計は上限です。幅のどこで作るかは、損の比較の節で決めます。

DEMO

便ごとの数と値引きの時刻を動かすと、廃棄と売り逃しがどう変わるか

1日の売れ数の見込みと幅、幅のどちら側で作るか、値引きを始める時刻と割引率、売価と原価を動かすと、便ごとに作る数、閉店時の残数、売り切れる時刻、捨てた金額と売り逃した金額が変わります。

惣菜1品目の便ごとの製造数の試算|値引きの開始時刻と、廃棄額・売り逃し額の比較

架空の店の唐揚げ1品目で試す画面です。1日の見込みと幅、幅のどちら側で作るか、値引きを始める時刻と割引率を動かすと、朝・昼・15時の便の数と、実際の売れ数が見込みの下側・中央・上側だった場合の残数・売り切れ時刻・廃棄額・売り逃し額が並びます。

触って動かせます
計算の中身
時間帯の売れ数=1日の売れ数×その品目の時間帯の割合(架空の入力例)。便の数=その便がまかなう時間帯の見込みの合計(幅の選んだ側)から、その時点の残数を引いた数。値引き後は売れる速さが割引率に応じて上がる前提を置いています。
使っている前提
10時開店・21時閉店、便は10時・13時・16時に並ぶ3便。売価398円・原価160円は架空の入力例です。値引き後の売れる速さの上がり方も架空の前提で、自店の記録で置き換える数字です。
確かめてほしいところ
幅の上側で作ったときの廃棄額と、下側で作ったときの売り逃し額が、売価と原価の組み合わせで逆転することを見てください。値引きを早めるほど残数は減りますが、値引きで削った粗利が増えます。

※ 店・品目・売れ数・時間帯の割合・値引き後の売れ方はすべて架空の入力例です。実際の売れ数は3通り(見込みの下側・中央・上側)だけを並べていて、それ以外の外れ方は見ていません。

売れた数だけでなく、売り切れた時刻を残す

レジに残るのは売れた数で、売れたはずの数ではありません。唐揚げが17時に売り切れた日の売れ数が80パックなら、17時から21時に来たお客さんが買ったはずの分は、どこにも数字として残りません。この日の80パックをそのまま次の見込みの材料にすると、見込みは毎回下に引っ張られ、売り切れる日が増えていきます。

だから、品目ごとに「棚が空いた時刻」を残します。売り切れた日は、その時刻以降の時間帯の割合を使って、売れたはずの数を足してから記録します。17時に売り切れて、この品目は17時以降に1日の20%が売れる店なら、80パックは1日の80%にあたり、1日の実力は100パック前後と見ます。この直しを入れた数字を、次の見込みの材料にします。

廃棄も同じ形で残します。閉店時に残った数を、品目と日付つきで書きます。農林水産省の令和6年度の推計では、日本の食品ロスは年間461万トンで、そのうち食品小売業から出る分が48万トンです。この数字を店の帳簿に下ろすと、「捨てた数×原価」の1行になります。この1行が毎日残っているかどうかで、次の節の比較ができるかどうかが決まります。

残すもの

品目・日付・便ごとに作った数・売り切れた時刻(空かなければ空欄)・値引きの開始時刻と割引率・閉店時の残数。

誰が書くか

閉店時の残数は片付けの人、売り切れた時刻は売場の人。レジには残らない数字なので、人が書きます。

直し方

売り切れた日は、その時刻以降の割合ぶんを足してから記録します。直していない売れ数を見込みの材料に使うと、見込みが下がり続けます。

捨てた1パックと売り逃した1パックは、損の金額が違う

幅の上側で作るか下側で作るかは、余った損と足りない損の大きさで決めます。想定例で言うと、売価398円、材料と容器の原価が160円の唐揚げなら、1パック捨てた損は160円、1パック売り逃した損は粗利の238円です。数字の上では、売り逃しのほうが1パックあたりの損は大きくなります。18時に3割引で売れば売価は279円で、原価は回収できます。

ただし、この比較は品目で逆転します。原価の高い刺身の盛り合わせや、手間のかかる巻き寿司は、捨てた損のほうが大きくなります。原価が安く粗利の大きい揚げ物は上側で作り、原価の高い品目は下側で作って売り切る、というように品目ごとに寄せる側を変えます。全品目を「多め」に揃えると、原価の高い品目の廃棄だけが積み上がります。

金額に出ない損もあります。夕方に来て棚が空いていたお客さんが次から別の店に行く分は、レジにも廃棄の記録にも残りません。この損は測れないので、売り切れた時刻の記録で代わりに見ます。週に何日、何時に空いたかが分かれば、「この品目は下側で作ると週3日は17時に空く」という言い方ができ、上側に寄せるかどうかを店長が決められます。

捨てた損

原価(材料・容器)。作った時点で払っている費用で、売れなければ戻りません。

売り逃した損

粗利。定価で売れていれば入った分です。原価の低い品目ほどこちらが大きくなります。

測れない損

棚が空いていたのを見たお客さんの分。売り切れた時刻と回数で代わりに見ます。

紙の便表から始める。仕組みにする費用は、品目数・便の数・レジの取り出し方で決まる

最初に要るのは、品目×便の表が1枚です。行に品目、列に便を置き、便ごとに「見込み・作った数・売り切れた時刻・残数」の4つを書きます。裏に値引きの開始時刻と割引率を書けば、この記事で使う数字は全部そろいます。4週ぶん書くと時間帯の割合が出せるので、まずはこの表を紙で回すところからで、費用はかかりません。

次の段階は、レジから品目ごとの日別売れ数を書き出して、1日の合計の見込みを機械で出すことです。Iramepakariは日付と数量の2列があれば動くので、レジのCSVに品目と日付と数量が入っていれば、そのまま使えます。リリース前の今は、手元のCSVが使える形かどうかの確認を無料で受けています。時間帯別が取れないレジでも、日別が取れれば1日の合計の見込みは出せ、便への割り方は紙の表の割合で足ります。

便ごとの見込み、作った数、売り切れた時刻、値引きの目安を1つの画面にまとめて調理場のタブレットで見る形にする場合は、当社のスーパー惣菜の作り足しボードの開発プランで、惣菜を内製する1〜3店舗を対象に設計から納品まで約3ヶ月を目安にしています。費用は、品目数、便の数、レジから売れ数をどう取り出すか(CSVの手動書き出しか、自動連携か)の3つを決めると見積もれます。

紙の表

品目×便。見込み・作った数・売り切れた時刻・残数の4つ。費用はかかりません。

CSVで見込みを出す

レジの日別売れ数を書き出す。日付と数量の2列があれば試せます。

画面まで作る

便表・売り切れ時刻・値引きの目安を1画面に。品目数・便の数・レジとのつなぎ方の3つで費用が決まります。

まとめ

惣菜の作る数は、1日分を朝に一度で決めず、便に分けます。朝に決めるのは最初の便の分だけです。便ごとの数は、1日の合計の見込みに時間帯の割合を掛けて出します。

最後の便は、値引きを始める時刻と閉店から逆算した上限を超えないようにします。売れた数だけでなく売り切れた時刻と閉店時の残数を残し、捨てた損(原価)と売り逃した損(粗利)を品目ごとに比べて、幅のどちら側で作るかを決めます。

次にやることは1つです。あすから、いちばん廃棄の多い品目1つについて、便ごとに作った数と、棚が空いた時刻と、閉店時の残数を紙に書いてください。4週ぶんたまると、この記事の割り算と比較ができます。

よくある質問

値引きシールは何時から貼るのが正しいですか?

決まった時刻はありません。残っている数と、いまの売れる速さで閉店までに売り切れるかを見て決めます。定価のまま売り切れるペースなら貼らず、間に合わないなら貼ります。毎日18時に貼る運用は、最後の便が多すぎることを値引きで隠している場合があるので、貼った時刻・割引率・その時点の残数を記録して、最後の便の数のほうを見直します。

レジが古くて、時間帯別の売れ数が取れません。便に分けられますか?

分けられます。1日の合計の見込みは日別の売れ数があれば出せます。便への割り方は、便ごとに作った数と、便が並ぶ時刻の残数と、棚が空いた時刻を紙に4週ぶん書けば、時間帯別のレジが無くても割合が出せます。レジを替えるのは、この紙の記録で便の効果を確かめたあとで構いません。

需要予測のAIを入れれば、作る数は自動で決まりますか?

決まりません。過去の日付と売れ数の並びから出せるのは、1日の合計の見込みを幅で示すところまでです。便の割り方、幅のどちら側で作るか、値引きを始めるかどうかは、設備と原価と売場を知っている人が決めます。当社のスーパー惣菜の開発プランも、見込みと残数と値引きの目安を並べて、最終判断を売場に残す作りにしています。

個人の弁当店や惣菜店でも、同じやり方で足りますか?

足ります。品目が少ないほど紙の便表で回せますし、フライヤーが1台で便が1つしか組めない店でも、最後の便の逆算(値引きの開始時刻と閉店までに売れる数の合計を上限にする)だけは使えます。売り切れた時刻と閉店時の残数を残すところから始めると、規模に関係なく次の数が決めやすくなります。

この記事を書いた人

水上貴洋取締役 / 飲食DXコンサルタント

北海道札幌市手稲区の会社です。北海道内は直接うかがい、道外はオンラインで対応しています。専門用語を使わず、相手の言葉で話すことを大事にしています。

レジの売れ数と、閉店時に残った数のメモを見せてもらうところから。

朝に1日分を決めていて、チーフが休むと数が合わなくなる。値引きが毎日になっている。捨てた数を数えていないので、原価率が上がった理由が分からない。そのどれかに当てはまるなら、レジから書き出した品目ごとの日別売れ数を1本お預かりして、便ごとの見込みが出る形になっているかを確かめるところから始められます。北海道内は訪問、道外はオンラインで対応します。

売れ数の記録から便ごとの数が出るか確認する (新しいタブで開きます)

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