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直売所の追加出荷は何時までに頼む?午後の品切れを減らす依頼の決め方

追加出荷の締切は、出荷者が収穫から陳列までにかかる時間を閉店時刻から引いて決めます。何を何個頼むかは、届く時刻の残数と、そこから閉店までに売れる見込みの差で出します。農産物を委託で預かる直売所の店長向けです。

この記事でわかること

  • 締切は、出荷者ごとの所要時間から決まります。収穫・袋詰め・値札の用意・運搬にかかる時間は人によって違うので、出荷者の台帳に書いておき、閉店時刻から引いた時刻をその人の締切にします。
  • 追加で持ち込む分にも名称と原産地の値札が要ります。食品表示基準では、生鮮食品を売るときに名称と原産地を表示すると決まっています。この用意にかかる時間も締切に含めます。
  • 依頼する数量は、届く時刻から閉店までに売れる見込みの下限から、届く時刻に残っている見込みを引いた数にします。下限を使うのは、売れ残った分を引き取るのが出荷者だからです。
  • レジの販売数だけでは、売れなかったのか棚が空いていたのかを区別できません。棚が空いた時刻と補充で戻した時刻を残すと、翌週にどの品目を早めに頼むかが決まります。
  • 紙のメモ1枚から始められます。仕組みにする費用は、品目数・出荷者数・レジからのデータの取り出し方で決まります。

締切は、出荷者が畑から運ぶ時間から決まる

農産物直売所の棚は、出荷者から預かった商品で埋まっています。農林水産省の6次産業化総合調査では、出荷者数を「農産物直売所に農産物又は農産加工品の販売を委託している農業経営体数」と定義し、卸売市場などから買い取っている分は出荷者数に含めないとしています。売り場に並んでいるのは、店が所有する在庫とは別の、他人の商品です。

この違いが、午後の品切れへの対応を変えます。仕入れた商品なら倉庫から足せますが、委託の商品は畑から運ばないと増えません。「棚が空いたので追加をお願いします」と電話をした時点では、もう間に合っていないことがあります。出荷者は収穫して、洗って、袋に詰めて、値札を用意して、車で運びます。この時間の分だけ、依頼は前倒しになります。

締切の出し方は引き算です。閉店時刻から、届いた商品が売れるのに必要な時間を引き、運搬の時間を引き、袋詰めと値札の時間を引き、収穫の時間を引きます。残った時刻が、その出荷者への締切です。試算例として、閉店17時、売れるのに3時間、運搬40分、袋詰めと値札30分、収穫50分と置くと、締切は11時ごろになります。この4つの時間は直売所と出荷者ごとに違うので、自分の店の数字に置き換えてください。

所要時間は出荷者ごとに違います。店から5分の人と40分の人、朝の収穫で袋詰めまで終えている人と、依頼を受けてから畑に出る人では、同じ締切にはなりません。出荷者の台帳に「収穫から陳列までにかかる時間」の欄を1つ足し、本人に申告してもらって、実際に届いた時刻で直します。締切を1つに揃えると、近い人に合わせれば遠い人が間に合わず、遠い人に合わせれば近い人への依頼が早すぎます。

追加で持ち込む分にも、名称と原産地の値札が要る

締切を計算するときに忘れやすいのが、値札の時間です。食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)第18条は、食品関連事業者が一般用生鮮食品を販売する際に、名称と原産地を表示しなければならないと定めています。原産地は、農産物の国産品なら都道府県名で、市町村名その他一般に知られている地名に代えることもできます。

この条文には除外があり、容器包装に入れないで、かつ生産した場所で販売する場合などは対象外です。畑の脇で袋に入れずに売る形は除外に当たりますが、直売所は生産した場所ではないので、この除外には当たりません。追加で持ち込む分にも表示が要ります。同じ基準の第22条は、容器包装に入れられていない生鮮食品については、製品に近接した掲示その他の見やすい場所に表示すると定めています。

実際の運用は直売所ごとに決まっています。岡谷市が観光案内所内に開設している無人の農産物直売所(6月から11月の営業)では、出荷の方法として「指定の値札シールに価格を記入し、商品に貼付して陳列」すると案内しています。値札を店側のレジ機器で発行する直売所なら、出荷者が店に着いてから発行して貼る時間が追加で要ります。締切の引き算には、この時間も入れてください。

価格を書くのは出荷者です。店が「あと20袋ほしい」と頼んでも、いくらで売るかは出荷者が決めます。追加分を安くしてほしいなら、値引きの相談として数量の依頼とは分けて伝えます。

頼む数は、届く時刻から閉店までに売れる見込みの下限から出す

数量は2つの数の差で出します。1つは、届く時刻に棚に残っている見込みです。いまの残数から、締切から到着までに売れる分を引いて出します。もう1つは、届いてから閉店までに売れる見込みで、同じ曜日・同じ時間帯の過去の販売数から見積もります。依頼する数量は、後者の下限から前者を引いた数にします。0を下回ったら、その品目は頼みません。

下限を使うのには理由があります。委託販売では、売れれば店に手数料が入り、売れ残れば出荷者が引き取って持ち帰ります。6次産業化総合調査(令和6年度・2026年7月7日確報公表)によると、他の農家などの出荷物も取り扱う直売所11,190事業体のうち、86.5%が出荷者から料金を徴収していて、販売金額に対する平均手数料率は生鮮品で会員15.5%、会員以外18.8%でした。頼みすぎたときの損は、店の帳簿には出ません。引き取って持ち帰る出荷者が負います。

上限との差は、依頼にはせず、そのまま伝えます。試算例として「下限で18袋、上側まで売れる日なら27袋」と数量と条件の両方を出せば、あと9袋を持ってくるかどうかは出荷者が決められます。畑の状況もその日の予定も、出荷者のほうがよく知っています。店が数字を1つだけ渡すと、この判断ができません。

誰に頼むかは、締切に間に合う人、その品目を出せる人、直近に依頼が集中していない人の順に絞ります。同じ人ばかりに頼むと、その人の引き取りの負担だけが増えます。依頼した回数と、売れ残った数を出荷者ごとに残すと、次に誰へ頼むかの材料になります。

見込みに使う記録

品目ごとの時間帯別の販売数を直近4週ぶん、曜日をそろえて集計します。レジが時間帯別に出せないなら、朝の陳列数と14時・閉店時の残数を4週ぶん紙に書けば代わりになります。

単位をそろえる

袋・束・パックのどれで数えているかを品目ごとに決めます。重さで売る品目は、重量の合計を1袋の平均重量で割って袋の数に直してから計算します。

頼まない判断も残す

締切に間に合わない、出せる人がいないなどで頼まなかった日は、理由を1行書きます。同じ理由が続く品目は、朝の陳列数を増やす相談に変えます。

DEMO

締切の時刻と届くまでの時間を動かすと、頼む数と売り逃しがどう変わるか

いまの残数、締切の時刻、届くまでにかかる時間、閉店までの販売見込みと幅、売価と手数料率を動かすと、依頼する数量と、頼まなかった場合に売り逃す数量、頼んで売れ残る可能性のある数量が変わります。

直売所の追加依頼の数量の試算|締切の時刻と到着の遅れで、頼む数がどう動くか

架空の直売所の1品目で試す画面です。締切の時刻と届くまでの時間を動かすと、到着時刻、到着時点の残り見込み、依頼する数量が変わります。実際の売れ方が見込みの下側・中央・上側だった場合の残数と売り逃し、店の手数料と出荷者の手取りも並びます。

触って動かせます
計算の中身
到着時刻=締切+届くまでの時間。到着時点の残り見込み=いまの残数−(締切から到着までの時間×1時間あたりの販売見込み)。依頼数量=到着から閉店までの販売見込みの下限−到着時点の残り見込み(0未満は0)。1時間あたりの販売見込みは一定として計算しています。
使っている前提
閉店17時、1袋200円、手数料率15%は架空の入力例です。実際の手数料率は直売所の規約で決まります。時間帯によって売れる速さが変わる点は、この画面では扱っていません。
確かめてほしいところ
届くまでの時間を30分延ばすだけで、依頼できる数量が減ることを見てください。締切を早めるほど依頼できる数は増えますが、締切の時点で分かっている残数の精度は落ちます。

※ 直売所・品目・残数・販売見込み・手数料率はすべて架空の入力例です。実際の売れ方は3通り(見込みの下側・中央・上側)だけを並べていて、それ以外の外れ方は見ていません。

棚が空いた時刻を残さないと、翌週の依頼が組めない

レジに残るのは、売れた数と売れた時刻です。抜けているのは、売りたくても売れなかった分です。14時に棚が空いた日のトマトの販売数は、14時までの数字でしかありません。これをそのまま翌週の見込みに使うと、品切れのたびに見込みが下がり、翌週も同じ時刻に棚が空きます。

残す記録は3つです。棚が空いた時刻、補充して商品を戻した時刻、その品目の同じ曜日・同じ時間帯の1時間あたりの平均販売数。空いていた時間に平均販売数を掛けると、売り逃した数量の目安が出ます。これは次の依頼を相談するための参考値です。レジに記録が無い数量なので、月次の売上とは別の欄に書きます。

月に1回、品目を縦、時間帯を横に並べて、空いていた時間を集計します。「金曜と土曜の15時以降、葉物が2時間空いている」のような形が見えたら、打てる手は追加依頼のほかにもあります。朝の陳列数を増やす、その時間帯に出せる出荷者を増やす、売り場の位置を変える。この集計は、出荷者を募るときの説明にも使えます。

補充が届いたあとも、持ち込まれた数量・売れた数・閉店時の残数を残します。依頼したのに残った日が続く品目は、到着が遅かったのか、同じ時間帯に他の出荷者の商品も並んだのかを確かめてから、見込みの下限を下げます。

紙のメモから始めて、どこから仕組みにするか

最初にそろえるのは、レジ横に置く紙1枚です。品目名、棚が空いた時刻、戻した時刻の3列を、気づいたときに書きます。2週間で、空きが集中する曜日と時間帯が見えます。費用はかかりません。

次がExcelです。レジから品目別の日別販売数を書き出し、曜日ごとに並べます。列は日付と数量の2列で足ります。紙のメモから「空いていた時間」を足すと、その日の販売数が品切れで頭打ちになっていたかどうかが分かります。

仕組みにするかどうかの目安は、連絡の手間です。6次産業化総合調査では、他の農家などの出荷物も取り扱う直売所の1事業体当たりの出荷者数は115戸で、30戸未満が47.0%、30戸以上100戸未満が22.9%でした。出荷者が30戸に満たないなら、電話とExcelで回せることが多いはずです。毎日20件を超える依頼と返事を電話で受けていて、誰に何を頼んだかが店長の記憶にしか無いなら、そこが仕組みに移す時期です。

見込みの計算そのものは、過去の日付と数量の並びがあれば任せられます。当社が開発中の手軽に使える需要予測AIは、日付と数量の2列のCSVを入れて列を選ぶと、28日先までの日ごとの見込みを幅つきで出す作りです。時間帯への割り振りと、締切・依頼先の決定は、売り場と出荷者を知っている人が行います。

期間の目安は、当社の直売所向けの開発プランで、設計から納品までを約3ヶ月と置き、収穫の最盛期に並行運用する想定にしています。実際の期間と費用は、下の4つをどこまで含めるかで変わります。まず紙の記録だけを2週間続けて、必要な範囲を絞ってからお見積もりします。

費用を見積もるために決めること

品目をいくつ扱うか、出荷者が何人か、レジからCSVを取り出せるか、出荷者への連絡をアプリにするか電話のままにするか。この4つで範囲が決まります。

小さく始める順番

品切れ時刻の記録、朝の陳列数の見直し、依頼の記録、見込みの計算、出荷者への配信。前の段が続いてから次に進みます。

効果の測り方

予測が当たった割合ではなく、棚が空いていた時間の合計と、依頼したのに売れ残った数量で測ります。どちらも導入前に紙で測れます。

まとめ

追加出荷の締切は、閉店時刻から、販売に要る時間・運搬・袋詰めと値札・収穫を順に引いて出します。所要時間は出荷者ごとに違うので、台帳に書いて実績で直します。

依頼する数量は、届く時刻から閉店までに売れる見込みの下限から、届く時刻の残り見込みを引いた数です。上限との差は依頼にせず、条件とあわせて出荷者へ伝えます。売れ残りを引き取るのは出荷者だからです。

まず、レジ横に紙を1枚置いて、棚が空いた時刻と戻した時刻を2週間書いてみてください。空きが集中する曜日と時間帯が分かれば、どの依頼から早めるかが決まります。

よくある質問

店から頼んだのに売れ残ったら、店は何か負担しますか?

決まりはありません。委託販売では売れ残りは出荷者が引き取るのが基本で、店に負担する義務はありません。ただ、店からの依頼で持ち込んだ分だけ、引き取りの扱いを取り決めている直売所もあります。依頼を仕組みにするなら、「店から頼んだ分」と「出荷者の判断で持ち込んだ分」を記録上で分けておいてください。

出荷者が高齢で、スマートフォンを使わない人が多いです。それでも意味がありますか?

あります。仕組みにして効くのは、まず店側の判断です。誰に何をいくつ頼むかが画面で決まれば、連絡は電話でも構いません。電話で受けた返事を店の画面に同じ形で記録すれば、依頼と返事は残ります。出荷者側の画面は、使う人がいる分だけ後から足せます。

手数料率は、店から頼んだ追加分だけ変えてもいいですか?

各直売所の規約で決めることです。農林水産省の6次産業化総合調査では、他の農家などの出荷物も取り扱う直売所の86.5%が出荷者から料金を徴収していて、生鮮品の平均手数料率は会員15.5%、会員以外18.8%でした。全国で決まった数字はありません。変えるなら規約と出荷説明会の案内を先に直します。

季節だけ営業する直売所でも、この記録は役に立ちますか?

役に立ちます。同じ調査では、農産物直売所20,960事業体の1事業体当たりの営業日数は201日で、通年営業が10,780事業体、季節的営業が10,220事業体と、ほぼ半々でした。季節営業は期間が短いぶん、1年で貯まる記録も少なくなります。棚が空いた時刻のように後から取り戻せない記録ほど、初年度から残す価値があります。

この記事を書いた人

水上貴洋取締役 / 飲食DXコンサルタント

北海道札幌市を拠点に、業務アプリやAIの開発を行っています。北海道内は直接うかがい、道外はオンラインで対応しています。専門用語を使わず、相手の言葉で話すことを大事にしています。

直売所の追加出荷と品切れの記録を相談できます

午後に棚が空く、追加を頼んでも閉店に間に合わない、誰に頼むかを毎日その場で決めている。こうした困りごとからご相談ください。いまのレジの記録と連絡のやり方を確認して、締切の時刻と依頼する数量の決め方を一緒に整理します。出荷者の名簿や売上データを事前にそろえていただく必要はありません。

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