AIの基礎・活用
生成AIに、店の情報や書き方を毎回説明しなくていい?
先に登録しておける場所があるサービスなら、毎回の説明は減らせます。Claudeでは、すべての会話に効く「指示」と、作業ごとに指示と資料をまとめる「プロジェクト」の2つがあります。どちらの場合も、何を渡すかを決め、答えを確かめるのは人です。
この記事でわかること
- 生成AIのサービスには、頼むたびに同じ前提を書かなくて済むよう、指示や資料を先に登録しておける機能を持つものがあります。
- Claudeの場合、アカウント全体の「指示」はすべての会話に適用され、「プロジェクト」の指示と資料はそのプロジェクトの中の会話だけに使われます。
- 自分の立場や言葉づかいのように、どの作業でも変わらないことは全体の指示へ。SNS投稿、求人の文面のように作業ごとに違う決まりと資料はプロジェクトへ分けます。
- 登録した資料も、サービスの会社に送られる情報です。価格や営業時間が変わったら書き直し、答えの数字は元の資料で確かめます。
毎回の説明が要るのは、AIが店の事情を知らないから
生成AIは、店の場所も、メニューの価格も、いつもの文章の書き方も知らない状態で頼まれごとを受け取ります。そのため、紹介文や返信の下書きを頼むたびに、店の情報や「です・ます調で」「200字以内」といった決まりを書き添えることになります。
頼み方に何を書き足すとよいかは生成AIにうまく頼むには?で説明しています。この記事は、その書き足す部分のうち毎回変わらないものを、サービスの側に先に登録しておく方法を扱います。
先に登録しておける場所は2種類ある
例として、当社が2026年10月28日に確認したAnthropic社のClaudeのヘルプ(Understanding Claude's Personalization Features、What are projects?)の説明を整理します。
すべての会話に効く「指示」
アカウントの設定画面(Settings)の中にある指示の欄に書きます。ヘルプは、よく使う方法、普段使う用語、よくある場面、話し方の希望などを書く例を挙げ、ここに書いた指示はClaudeとのすべての会話に適用されると説明しています。
作業ごとにまとめる「プロジェクト」
プロジェクトは、会話の履歴と資料(ナレッジ)を別々に持つ作業場所です。資料として文書や文章などのファイルを載せると、Claudeはそのプロジェクトの中の会話で背景として使います。プロジェクトごとの指示も書け、ヘルプは改まった口調にする、特定の業種の立場で答えさせるといった例を挙げています。この指示はそのプロジェクトの中の会話だけに適用されます。
どちらに何を書くか
ヘルプの説明をもとに、店や会社の使い方に当てはめて当社が整理した分け方です。
全体の指示には、どの作業でも変わらないこと
「札幌で定食屋を営んでいる」「専門用語は使わずに説明してほしい」「答えは日本語で」のように、何を頼むときにも前提にしてほしいことを書きます。作業ごとの細かい決まりまで入れると、関係のない頼みごとにも効いてしまうため、短くまとめます。
プロジェクトには、作業ごとの決まりと資料
「SNS投稿」「求人の文面」「お客さんへの返信」のように作業ごとにプロジェクトを分け、それぞれの決まりを指示に書きます。メニュー表、過去に反応の良かった投稿、店の基本情報をまとめた文書のように、毎回貼っていた材料は資料として載せます。
SNS投稿のプロジェクトに書く指示の例
次は当社が作った例です。実在の店の設定ではありません。
「札幌市内の小さな定食屋のInstagram投稿を書きます。読むのは近所に勤める常連さんです。です・ます調で、本文は150字以内にします。価格・提供期間・産地は、資料のメニュー表に書かれたものだけを使い、資料に無いことは書かずに質問してください。最後に、確かめが必要な数字と日付を箇条書きで添えてください。」
資料には、いまのメニュー表と、過去の投稿を2〜3本載せます。お手本の投稿があると、言葉で説明するより書き方が伝わりやすくなります。投稿のたびに入力するのは、その日に伝えたいことだけになります。
登録するときに気をつけること
資料に載せたファイルも、入力した文章と同じくサービスの会社に送られます。お客さんの名前や連絡先が入った名簿、取引先との契約書は載せません。入力した内容が学習に使われるかの確かめ方は生成AIに入力した内容は、AIの学習に使われる?にまとめています。
登録した内容は、書き直すまで古いまま使われます。価格の改定や営業時間の変更があったら、指示と資料を更新します。資料の文書の先頭に「2026年10月時点」のように日付を書いておくと、古くなったことに気づきやすくなります。
指示を書いても、答えに間違いが混ざることはあります。数字・日付・固有名詞は、使う前に元の資料で確かめます。理由と確かめ方は生成AIの答えが間違っているのはなぜ?で説明しています。
使える範囲はプランで違い、画面も変わることがある
What are projects?のページには、プロジェクトは無料のアカウントを含むすべての利用者が使え、無料のアカウントで作れるのは5つまでと書かれています。資料が多いときに容量を広げる仕組み(RAG)は有料プランだけです。一方、同じヘルプの別のページには、プロジェクトの指示を有料プラン向けとする記述もありました。自分のプランで何が使えるかは、実際の画面で確かめてください。
同じページによると、プロジェクトは新しい形の試験提供(ベータ版)が段階的に始まっています。名前や置き場所が変わることがあるため、この記事の説明は確認した日の内容として読んでください。
ほかの生成AIのサービスに同じような機能があるか、どこにあるかは、当社はこの記事では確かめていません。使っているサービスのヘルプで「指示」「プロジェクト」「カスタマイズ」などの言葉で探してみてください。
いちばんよく頼む作業で、1つ作ってみる
先週いちばん多く頼んだ作業を1つ選び、毎回書き添えていた決まりを5行ほどに書き出します。プロジェクトを1つ作ってその5行を指示に入れ、毎回貼っていた材料を資料に載せます。
1週間ほど使い、答えを手直しした箇所をメモしておきます。同じ直しが続くなら、その条件を指示に足します。作業が増えたら、プロジェクトを作業ごとに分けていきます。
社内の規程や商品資料のように量が多く、質問に合う部分を自動で探して答えさせたい場合は、社内の資料をもとに答えるAIとは?で仕組みを紹介しています。
生成AIに任せる作業と、先に決めておくことを一緒に整理します。
使い始めたばかりの段階でも相談できます。資料の提出は要りません。いま生成AIに頼んでいる作業を伺い、サービスの設定で足りるのか、社内の資料を使う仕組みが合うのかを一緒に考えます。
