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AIの基礎・活用

生成AIにうまく頼むには?

生成AIの答えがありきたりになるのは、頼む人の頭の中にある前提が伝わっていないことが多いためです。何に使うか、誰が読むか、手元の材料、出してほしい形の4つを書き足すと、使える答えに近づきます。特別な言い回しを覚える必要はありません。

この記事でわかること

  • 生成AIは、店や会社の事情を何も知らない状態で頼まれごとを受け取ります。人に仕事を頼むときと同じく、前提を言葉にして渡すところから始めます。
  • 書き足すのは、何に使うか(理由も)、誰が読むか、手元の材料、出してほしい形の4つです。全部そろえなくても、1つ足すだけで答えが変わります。
  • 書き方をそろえたいときは、過去に書いた文章をお手本として2〜3本見せます。
  • 一度で完成させなくて構いません。返ってきた答えを見て「もっと短く」「価格を入れて」と頼み直します。
  • お客さんの名前や連絡先は入力しません。数字や日付は、使う前に元の資料で確かめます。

答えがぼんやりするのは、前提が伝わっていないから

「新メニューの紹介文を書いて」とだけ頼むと、どの店にも当てはまりそうな文章が返ってきます。生成AIは、店の場所も、常連さんの顔ぶれも、そのメニューを出す理由も知りません。知らないことは一般的な想像で埋めるしかありません。

生成AIのClaudeを開発するAnthropic社は、頼み方の手引き(Prompting best practices)で、AIを「優秀だけれど入ったばかりの新人」と考えるよう勧めています。職場の決まりや仕事の流れを知らないので、望むことを正確に説明するほど結果が良くなるという説明です。

同じ手引きは、書いた頼みごとを、事情をよく知らない同僚に見せてみることも勧めています。同僚が戸惑う頼み方なら、AIも戸惑います。手引きはClaude向けに書かれたもので、ほかの生成AIで同じ結果になるとは限りませんが、人に頼むときと同じ考え方なので、どのサービスでも試してみる価値があります。

書き足す4つのこと

次の4つを、頼みごとの前後に書き足します。手引きの説明をもとに、店や会社で使う場面に当てはめて当社が整理したものです。

何に使うか、なぜそうしたいか

「店頭の黒板に書く」「来週の会議で配る」のように使い道を書きます。手引きは、指示の理由を添えるとAIが目的を理解し、狙いに合った答えを返しやすくなると説明しています。「短くして」だけより、「黒板に書くので3行以内にして」のほうが伝わります。

誰が読むか

常連さん、初めて来る観光客、社内の新人、取引先の担当者。読む人が変われば、言葉の選び方も説明の細かさも変わります。

手元の材料

食材の産地、価格、提供期間、作り手のこだわり。AIが知り得ない事実は、こちらから渡します。渡さなかった事実は、もっともらしい作り話で埋められることがあります。

出してほしい形

文字数、箇条書きか文章か、表にするか、いくつ案を出すか。手引きは、出してほしい形と条件を具体的に書くこと、順番が大事な作業は番号付きの手順で頼むことを勧めています。してほしくないことより、してほしいことを書くほうがよいとも書かれています。「堅くしないで」より「友だちに話すような言い方で」と頼みます。

頼み方を書き足した例

次は当社が作った頼み方の例です。どちらの頼み方でも答えは毎回変わるため、ここではAIの答えは載せていません。

書き足す前は「新メニューの紹介文を書いて」の一文です。

書き足したあとは「札幌の小さな定食屋です。10月から出す鮭のちゃんちゃん焼き定食(1,200円)の紹介文を、店のInstagramに載せます。読むのは近所に勤める常連さんです。鮭は道内産、味噌は店で合わせています。友だちに話すような言い方で、120字前後の案を3つください」のようになります。

使い道、読む人、材料、形の4つが入っています。価格や産地は店が渡した事実なので、答えに出てきても確かめやすくなります。

書き方をそろえたいときは、お手本を見せる

毎週のSNS投稿やお知らせのように、決まった書き方がある文章は、言葉で説明するより実物を見せるほうが早く伝わります。手引きは、お手本を見せることが、答えの形や口調をそろえる確実な方法の一つだとしています。

過去にお客さんの反応が良かった投稿を2〜3本貼り付け、「この書き方に合わせて」と頼みます。手引きはお手本を3〜5個にすること、実際の使い方に近いものを選ぶこと、似たものばかりにしないことを勧めています。似たお手本ばかりだと、意図しない共通点までまねされるためです。たとえば季節の投稿だけを見せると、毎回季節の話から書き始める答えが返ってくることがあります。

一度で決めず、頼み直す

ChatGPTのようなチャット型の生成AIの多くは、同じ会話の中で続けて頼めば、前のやりとりを踏まえて直してくれます。最初の答えで完成させようとせず、返ってきたものを見てから直す点を伝えます。

「2つめの案をもっと短く」「価格を最後に入れて」「です・ます調に」のように、どこをどう変えるかを具体的に書くと、狙いどおりに直りやすくなります。何度か頼み直して形が決まったら、最終的に使った頼み方をメモに残しておくと、次からはそれを使い回せます。

頼む前と、使う前に気をつけること

材料を渡すときも、お客さんの名前・電話番号・住所は入力しません。入力した内容がAIの学習に使われるかどうかは、使うサービスの利用規約や設定で確かめます。社内で使い始めるときの決めごとは社員が生成AIを使い始めたら、何を決めておく?にまとめています。

頼み方を工夫しても、答えに間違いが混ざることはあります。数字・日付・固有名詞は元の資料で確かめてから使います。間違いが起きる理由と確かめ方は生成AIの答えが間違っているのはなぜ?で説明しています。

最初の一歩は、毎週書いている文章で試すこと

毎週のSNS投稿、月1回のお知らせ、求人の文面など、繰り返し書いている文章を1つ選びます。いつもの頼み方と、4つを書き足した頼み方で同じ文章を頼み、手直しの量を比べます。

書き足した頼み方のほうが手直しが少なければ、使い道・読む人・形の部分を決まった文として保存し、材料だけを毎回入れ替えます。これだけで、頼むたびに一から書く手間が減ります。

同じ頼み方を毎日何十回も使う作業や、社内の資料を毎回渡して答えさせたい作業では、手で頼む方法に手間が残ります。資料を自動で探して答える仕組みは社内の資料をもとに答えるAIとは?で紹介しています。

この記事を書いた人

立石伊吹代表取締役 / DX・AIアドバイザー

北海道札幌市を拠点に、業務アプリやAIの開発を行っています。北海道内は直接うかがい、道外はオンラインで対応しています。専門用語を使わず、相手の言葉で話すことを大事にしています。

生成AIを、毎日の作業でどう使うか考えたい方へ。

試してみたけれど使い道が定まらない、頼み方を社内でそろえたい、といった段階から相談できます。データや資料の提出は要りません。いま時間がかかっている文章や作業を伺い、生成AIで足りるのか、仕組みを作る価値があるのかを一緒に整理します。

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