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飲食・食品の業務

検収記録簿には何を書くのか。納品のときに確かめる項目と、記録の残し方

検収記録簿に残すのは、納品の日付と品名、数量、仕入元、そして受け取るときに確かめた品温と鮮度、包装や期限表示の状態、確認した人の名前です。給食施設と小規模な飲食店で根拠になる決まりが違うので、施設別に整理しました。

この記事でわかること

  • 大量調理施設衛生管理マニュアルは、原材料の納入に調理従事者等が必ず立ち会い、検収場で品質、鮮度、品温、異物の混入等を点検して結果を記録すると定めています。
  • 同じマニュアルは、品名、仕入元の名称と所在地、生産者の名称と所在地、ロットが確認できる情報、仕入れ年月日を記録し、1年間保管するとしています。
  • ただしこのマニュアルの対象は、同一メニューを1回300食以上または1日750食以上を提供する調理施設です。
  • 小規模な飲食店は、厚生労働省の手引書にある「原材料の受入の確認」として、外観、におい、包装の状態、表示を確かめ、良否と気づいたことを日誌に残す形です。
  • 保存年限は施設で変わります。マニュアルの対象施設は1年間、それ以外は食品衛生法施行規則が「合理的に設定する」としています。

検収記録簿は、何を残すための帳票か

検収は、食材が届いたときに受け取る側が中身を確かめる作業です。その結果を残したものが検収記録簿で、検収簿と呼ぶ施設もあります。厨房でつける帳票の中では入口にあたり、出口にあたるのが、提供前に責任者が食べて確かめる検食簿です。

目的は2つです。あとで食中毒や異物の申し出があったときに、どの日にどこから何が入ったかをさかのぼること。もう1つは、届いた時点で問題があった食材を、そのまま調理へ流さないことです。

根拠になる決まりは施設によって変わります。まず自分の施設がどれに当たるかを確かめてください。取り違えると、要らない欄を毎日書き続けることになります。

1回300食以上または1日750食以上の給食施設

厚生労働省の大量調理施設衛生管理マニュアルが適用されます。点検の項目と記録、1年間の保管まで具体的に書かれています。

学校・共同調理場

学校給食衛生管理基準にもとづく衛生管理が根拠です。納入業者が学校へ直接届ける食品については、検収責任者を決めて納品時の温度や賞味期限等を確認し、記録を保管します。

小規模な飲食店・300食を下回る給食施設

食品衛生法施行規則にもとづく衛生管理計画の中で、原材料の受入の確認をどう行うかを自分で決め、実施を記録します。様式は指定されていません。

納品のときに何を確かめて、何を書くのか

大量調理施設衛生管理マニュアルは、原材料の納入に際して調理従事者等が必ず立ち会い、検収場で品質、鮮度、品温、異物の混入等について点検を行い、その結果を記録することと定めています。品温とは食材そのものの温度で、業者が運搬中に適切な温度管理を行っていたかを含めて見ます。

別の項目として、原材料の品名、仕入元の名称と所在地、生産者(製造または加工者を含む)の名称と所在地、ロットが確認できる情報(年月日表示またはロット番号)、仕入れ年月日を記録し、1年間保管することとされています。保管設備に入れるときは、搬入時の時刻、室温、冷凍または冷蔵設備内の温度も記録します。

現場で使う様式に落とすと、次の欄になります。全施設共通の様式を国が定めているわけではないため、自治体の指導や施設の運営規程で様式が決まっている場合は、そちらが優先します。

納品日と時刻

仕入れ年月日は1年間保管する記録の項目です。時刻は保管設備へ入れた時刻とあわせて書くと、常温に置かれていた時間が後から分かります。

品名と数量、仕入元

品名と数量、仕入元の名称と所在地を残します。生産者の名称と所在地やロット番号まで書くのは、回収の連絡が来たときに該当する日を特定するためです。

品温

測った温度を数字で書きます。「良」だけにすると、何度だったから受け取ったのかが後から分かりません。冷蔵と冷凍で分けて記録します。

鮮度・におい・外観

変色、傷み、解けかけていないか。厚生労働省の飲食店向け手引書は、外観、におい、包装の状態、表示(期限、保存方法)を確認する、としています。

異物の混入と包装の状態

段ボールの濡れ、袋の破れ、虫の混入。破れていた場合は、返品するか使わないかをその場で決めて記録に残します。

確認した人の名前

印でも署名でも構いませんが、不在の日に誰が代わるかを先に決めておかないと欄が空きます。

品温は何度なら受け取ってよいのか

大量調理施設衛生管理マニュアルは、原材料と製品の保存温度を別添1の表で示しています。検収のとき、届いた食材の品温をこの温度と照らして判断します。主なものを抜き出すと、生鮮魚介類(生食用鮮魚介類を含む)は5℃以下、食肉と食肉製品は10℃以下、生鮮果実と野菜は10℃前後、殻付卵は10℃以下、液卵は8℃以下、冷凍食品と冷凍食肉製品は−15℃以下です。

この数字は保存温度として示されたもので、適用されるのは同一メニューを1回300食以上または1日750食以上を提供する調理施設です。それより小さい施設や一般の飲食店には、この表がそのまま義務としてかかるわけではありません。ただし、食材が傷む条件は規模で変わらないので、目安としては使えます。

小規模な飲食店向けの手引書では、受入の確認とは別に冷蔵庫・冷凍庫の庫内温度の確認が挙げられ、冷蔵は10℃以下、冷凍は−15℃以下を確認する例が示されています。届いた食材をしまう先の温度も、あわせて見る項目です。

誰が立ち会って、誰が確認するのか

大量調理施設衛生管理マニュアルは、原材料の納入に調理従事者等が必ず立ち会うとしています。加えて、施設の運営管理責任者が衛生管理者を指名し、点検表にもとづく点検を行わせ、そのつど結果の報告を受けて確認する体制まで定めています。点検した人と、確認した人が別にいる形です。

学校では検収責任者を決めます。文部科学省の食に関する指導の手引は、納入業者が学校に直接届ける食品について、検収責任者を決め、納品時の温度や賞味期限等を確認し、その記録を適切に保管する、としています。誰を検収責任者にするかまでは国が指定していないので、施設で決めたうえで、不在の日の代わりまで文書にしておいてください。

小規模な飲食店の手引書は、もっと軽い形を示しています。その日に確かめた人が実施記録の欄にサインし、日々チェックした人とは別の人(店主など)が週に1度程度確認して、確認者の欄にサインする。人数の少ない店でも回るように組まれています。

業者側にも求めることがあります。マニュアルは、継続して購入する場合、配送中の保存温度の徹底を業者へ指示し、業者が定期的に行う原材料の微生物検査等の結果の提出を求めることとしています。この検査結果も1年間保管します。

記録は何年とっておくのか

「検収記録簿は何年」と一律に言える数字はありません。大量調理施設衛生管理マニュアルの対象施設では、原材料の記録(品名、仕入元、生産者、ロット、仕入れ年月日)が1年間、点検表の点検結果が1年間、納入業者から提出させた検査結果が1年間です。

それ以外の施設と一般の飲食店は、食品衛生法施行規則が根拠になります。同規則は、衛生管理の実施状況を記録し保存することを求めたうえで、保存期間については「取り扱う食品又は添加物が使用され、又は消費されるまでの期間を踏まえ、合理的に設定する」としています。年数を国が指定する形ではなく、扱う食材の日持ちを踏まえて自分で決める形です。

同規則の一般的な衛生管理の基準には、仕入元や出荷先などの記録を作成し保存するよう努めること、という努力義務の規定もあります。項目ごとに義務の強さが違うので、様式を決める前に、自分の施設が監査を受ける根拠を所管の窓口に確かめておくと早いです。自治体の指導や運営規程で、国の基準より長い年限が決まっていることもあります。

基準に合わないものが届いたとき、記録に何を残すか

検収記録簿が役に立つのは、むしろ問題があった日です。厚生労働省の飲食店向け手引書には、記載例として「朝 小麦粉の包装が1袋破れていたので返品。午後、再納品」と書かれた日誌が載っています。良否の丸だけでなく、何が起きて、そのあとどうしたかを1行で残す形です。

大量調理施設衛生管理マニュアルは、点検の結果、改善できない異常の報告を受けた場合、責任者が食材の返品、献立の一部削除、調理済み食品の回収等の措置を講じることと定めています。返品の記録は、その日の献立を変えた理由の説明にもなります。

残すのは次の4つで足ります。いつ、どの品目で、何が基準から外れていたか(品温が何度だった、包装が破れていた、期限が短かった)、そしてどう処理したか(返品、交換、その日は使わない、加熱用に回す)。処理まで書いておくと、同じ業者で繰り返していることに気づけます。

繰り返しに気づけると、業者との話し合いの材料になります。配送の時間帯や届ける順番を変えてもらう交渉は、日付の入った記録があるかどうかで通り方が変わります。

紙のままで足りるか、画面にするか

紙で足りるのは、1日の納品が数回で、書く人がほぼ決まっていて、綴じる場所が1か所にまとまっている場合です。検収記録簿だけなら紙でも回ります。

負担になるのは、帳票が増えてからです。検収、冷蔵庫の温度、加熱の中心温度、保存食、検食、健康チェック、清掃点検。書く場所は検収室の壁、冷蔵庫の扉、調理台の脇と分かれていて、夕方に事務室で書き写す作業が発生します。同じ日付と担当者名を1日に何度も書いているなら、見直す段階です。

当社の検食簿の電子化・衛生記録システムの開発プランでは、定員50名の特別養護老人ホームを想定し、手書きの帳票7種類を厨房のタブレットと担当者のスマートフォンにまとめる形を画面つきで紹介しています。設計から並行運用まで約3ヶ月を見込んだ内容です。

費用を見積もるために決めるのは3つです。電子化する帳票を何種類にするか、入力する端末を何台どこに置くか、監査に出す帳票の出力まで含めるか。とくに1つめが金額に最も効きます。書く回数の多い記録から順に、検収記録簿と温度の記録だけで始めて、運用が回ってから増やす進め方もできます。初回の相談と概算の見積もりは無料で、いま使っている様式を見ながら、どこから手をつけるかを整理するところから始められます。

作り始める前に1つだけ確かめてください。管轄の保健所や運営指導の窓口に、電子の記録で受けてもらえるか、確認印をどう扱うかを聞いておくことです。ここを飛ばすと、紙にも書く二重の運用になって、現場の手間だけが増えます。

まとめ

検収記録簿に残すのは、納品日と時刻、品名と数量、仕入元、品温、鮮度と外観、包装と表示、異物の有無、確認した人の名前です。マニュアルの対象施設は、これに生産者の名称と所在地、ロットが確認できる情報が加わります。

保存年限は施設で変わります。マニュアルの対象施設は原材料の記録も点検結果も1年間、それ以外は食品衛生法施行規則にもとづいて、扱う食材を踏まえて自分で決めます。自治体の指導が別にあることもあるので、根拠の確認が先です。

問題があった日ほど、記録の価値が出ます。何が基準から外れていて、そのあとどうしたかまで書いてください。

次にやることを1つ挙げるなら、いま使っている検収記録簿に品温を数字で書く欄があるかを見てください。「良・否」だけになっているなら、そこに温度の数字が入るようにするのが、いちばん小さくて効く直しです。

よくある質問

納品書や伝票が残っていれば、検収記録簿は別に作らなくてもよいですか。

伝票で分かるのは、何がいくつ届いたかと仕入元までです。検収で求められているのは、届いた食材の状態を受け取る側が確かめた結果なので、品温、鮮度、包装と表示、異物の有無は伝票には出てきません。実務では、納品書の余白に温度と確認者を書き足して綴じる形をとっている施設もあります。その場合は、伝票が1年後まで読める状態で残るか、業者ごとに様式が変わっても同じ項目が埋まるかを確かめてください。埋まらない項目が出るなら、自分の施設の様式を1枚持ったほうが手間は少なくなります。

検収記録簿の様式は、国が定めたものを使わなければいけませんか。

全施設共通の様式は定められていません。大量調理施設衛生管理マニュアルは点検表にもとづく点検を求めていますが、そこに載っている様式は、施設が自分の帳票を作るときの下敷きです。自治体の指導や施設の運営規程で様式が決まっている場合は、そちらに従ってください。決まっていない場合は、この記事に挙げた項目が埋まる様式であれば構いません。他の施設の様式をそのまま使うと、自分の施設には要らない欄まで毎日書くことになりがちです。項目を足す前に根拠を確かめてください。

納品が早朝で、厨房の担当者が立ち会えないときはどうすればよいですか。

大量調理施設衛生管理マニュアルの対象施設では、原材料の納入に調理従事者等が必ず立ち会うこととされているので、立ち会える時刻に配送してもらうよう業者と調整するのが基本です。時刻をずらせない場合は、置き配のあいだ食材がどの温度に置かれるかが問題になります。保冷設備を用意したうえで、出勤後に品温を測って記録する形が考えられますが、その運用でよいかは管轄の窓口に確かめてください。立ち会えない日が続くようなら、記録の様式を直すより先に、配送の時刻そのものを業者と話し合ったほうが早く解決します。

1日20食ほどの小さな施設でも、同じ記録が必要ですか。

大量調理施設衛生管理マニュアルが対象としているのは、同一メニューを1回300食以上または1日750食以上を提供する調理施設です。これを下回る施設には、マニュアルの記録がそのまま義務としてかかりません。ただし、食品衛生法施行規則にもとづく衛生管理計画の中で、原材料の受入の確認をいつ、どのように行い、問題があったときにどうするかを決め、実施を記録することは求められます。小規模な飲食店向けの手引書では、この記録は1日1行の日誌の形で、良否と気づいたことを書く程度にまとめられています。

この記事を書いた人

水上貴洋取締役 / 飲食DXコンサルタント

北海道札幌市を拠点に、業務アプリやAIの開発を行っています。北海道内は直接うかがい、道外はオンラインで対応しています。専門用語を使わず、相手の言葉で話すことを大事にしています。

衛生記録の紙を、書く場所ごとに画面へ移せます。

検収記録簿と温度記録を紙でつけていて、夕方に事務室で書き写している。監査や運営指導の前に空欄を埋め直したことがある。そんな状態なら、一度お話を聞かせてください。いま使っている様式と、1日に何回どこで書いているかが分かれば、どの帳票から画面にすると手間が減るかを一緒に整理します。資料を用意しなくても、困っていることからで大丈夫です。北海道内なら厨房を見に行きます。

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