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予約の無断キャンセルに、小さな飲食店が先にできること

無断キャンセルは、お客さんが来ない日を当てるより、来られないと分かった時点で連絡してもらえる形をつくるほうが先です。前日の確認、キャンセルを伝えやすい連絡先、予約時のキャンセル料の説明の3つは、予約システムがなくても紙と電話で始められます。

この記事でわかること

  • 無断キャンセルと、事前に連絡のあるキャンセルでは、店が打てる手が違います。連絡があれば、食材を別の料理に回したり、空いた席に別のお客さんを案内したりできます。
  • 2018年に経済産業省の委託事業の勉強会がまとめた対策レポートは、店の取り組みとして、予約の再確認、キャンセル連絡をしやすくすること、キャンセルポリシーの明示、事前決済や預かり金の4つを挙げています。
  • キャンセル料を請求するには、根拠のある金額を決め、予約のときにお客さんへ伝えておくことが前提になります。消費者契約法第9条により、店に生じる平均的な損害を超える部分は無効です。
  • 前日の確認は、全部の予約ではなく、人数の多い予約やコース予約から始めても構いません。無断キャンセルが起きた日の記録を残すと、どこまで仕組みにするかを決める材料になります。

「連絡のないキャンセル」だけが、店の手を止める

2018年11月に公表された「No show(飲食店における無断キャンセル)対策レポート」(経済産業省の発表ページ。現在は国立国会図書館の保存版で読めます)は、経済産業省の委託事業として開かれた有識者の勉強会(弁護士、大学教授、飲食業界の団体などが参加)がまとめたものです。レポートでは、予約した日時になっても連絡なく、または店からの連絡に応じずに来店しないことを無断キャンセル(No show)と呼び、飲食店の予約全体の1%弱を占めると言われている、と紹介しています。

レポートが強調しているのは、無断キャンセルと、直前でも連絡のあるキャンセルとの違いです。連絡があれば、食材を別の料理に回したり、空いた席に別のお客さんを案内したりできます。連絡がないと、遅れて来るかもしれないお客さんのために席を空けたまま待つことになります。

つまり店の側で最初に取り組めるのは、来られなくなったお客さんが、その時点で連絡しやすい形を用意することです。

対策レポートが挙げる、店の4つの取り組み

レポートは、飲食店が取り組むことが期待されるものとして次の4つを挙げています。ここではレポートの内容を要約し、小さな店での始め方は次の章で当社の考えとして書きます。

予約の再確認(リコンファーム)

来店日の前に、予約の内容を確かめる連絡を入れます。レポートは、電話での確認は人手の少ない店では負担が大きいこと、予約システムからSMS(携帯電話番号あてのメッセージ)で送れば負担が少ないことに触れ、予約時に連絡先を確実に聞いておくことを大切だとしています。

キャンセルの連絡をしやすくする

キャンセルしようとしても店に電話がつながらず、結果として無断キャンセルになる場合があると想定しています。確認のSMSにキャンセルのボタンを付ける方法も紹介されています。

キャンセルポリシーとキャンセル料の目安を示す

インターネット上で示すだけでなく、電話予約でも最低限のキャンセルポリシーを説明するべきだとしています。

事前決済や預かり金(デポジット)

人数や金額から、無断キャンセルが起きたときの被害が大きくなると予想される予約では、事前決済や預かり金を導入することも考えられるとしています。

予約システムがなくても、紙と電話で始められること

4つの取り組みは、予約システムを入れなくても一部は始められます。以下は当社の提案で、どこまで行うかは店の予約の受け方や人数によって変わります。

予約台帳に「連絡先」と「確認した日」の欄をつくる

電話で予約を受けたら、名前と人数に加えて、当日つながる電話番号を聞いて書きます。前日に確認できたら、その日付と誰が確認したかを書き込みます。確認済みかどうかが台帳を見れば分かり、担当が替わっても二重に電話しなくて済みます。

前日の確認は、対象を絞って始める

全部の予約に電話をかける余裕がなければ、4人以上の予約、コース予約、初めてのお客さんなど、来なかったときの影響が大きい予約から始めます。どの予約に電話するかと、電話する時間帯を決めておきます。

営業時間外でもキャンセルを受けられる手段を用意する

レポートも、開店前で電話が通じずキャンセルの連絡ができない例を挙げています。留守番電話に用件を残してもらう、店のメールアドレスや予約サイトのキャンセル欄を案内するなど、電話以外の受け口を予約のときに伝えます。

電話予約で伝える一言を決めておく

「来られなくなったら、分かった時点でご連絡ください」と、キャンセル料がかかる場合はその条件を、予約を受けるときに毎回伝えます。言う内容をメモにして電話の横に置いておくと、受けた人によって説明が変わりません。

無断キャンセルが起きた日を記録する

日付、予約の人数と内容、予約を受けた方法(電話・予約サイトなど)、前日に確認したかどうか、準備していた料理を書き残します。どんな予約で起きやすいかが見えてくると、確認の対象を広げるか、預かり金を考えるかを決める材料になります。

キャンセル料は「決める」「伝える」「説明できる」の順で

対策レポートは、無断キャンセルが起きたとき、飲食店は損害賠償を請求しうると整理しています。電話だけの予約でも、予約の内容が決まっていれば契約が成立することがある、とも書いています。そのうえで、請求するには、適切なキャンセル料を決めること、キャンセルポリシーを設定すること、予約のときにその内容をお客さんへ示すことが必要だとしています。

金額については、コース予約では全額となることがあるものの、別の料理に回せる食材や人件費などを除いて、店の収益の構造に合わせて算定する必要があるとしています。席だけの予約では、平均客単価の何割か(平均客単価から、ほかに回せる食材費や人件費などを除いた額)が一つの目安とされています。

法律の上限として、消費者契約法第9条第1項第1号は、契約の解除に伴う損害賠償の予定や違約金が、同じ種類の契約で店に生じる平均的な損害の額を超える場合、その超える部分を無効としています。同条第2項は、お客さんから算定の根拠を聞かれたら、その概要を説明するよう努めることを店に求めています。

原価表を使った具体的な計算の考え方は、宴会の人数変更はいつまで?でまとめています。個別の請求額や規約の文面に迷ったら、記録をそろえて弁護士などの専門家に相談してください。

予約システムを考えるのは、記録を見てから

飲食店向けの予約サービスには、前日の自動連絡、キャンセルの受付、クレジットカードの事前登録などの機能を持つものがあります。どの機能があるか、料金の形、いまの予約サイトや電話予約とまとめて管理できるかは製品ごとに違うので、候補の資料で直接確かめてください。

紙の台帳と電話でしばらく続けてみて、確認の電話が負担になっている、営業時間外のキャンセル連絡を取りこぼしている、予約サイトと電話の予約が別々の台帳になっている、といったことが見えてきたら、仕組みにする理由がはっきりします。連絡先を集めるときの個人情報の扱いは、常連さんに喜んでもらう仕組みで整理しています。

よくある質問

電話で受けた予約でも、キャンセル料をお願いできますか?

対策レポートは、口頭だけの電話予約であっても、予約の内容が決まっていれば契約が成立することがあると整理しています。ただし請求の前提として、キャンセル料の条件を予約のときにお客さんへ伝えておく必要があります。電話でも、キャンセル料がかかる場合とその条件を毎回説明できるよう、伝える内容を決めておきます。

前日の確認の連絡は、何日前に入れるのがよいですか?

決まった日数はありません。対策レポートは、SMSやメールを使えば来店の3日前、前日、当日の朝など、状況に合わせて確認できる例を紹介しています。仕入れや仕込みを始める前に人数が分かっていたほうがよいコースなら、発注の締切より前に確認するなど、店の準備に合わせて決めます。

この記事を書いた人

立石伊吹代表取締役 / DX・AIアドバイザー

北海道札幌市を拠点に、業務アプリやAIの開発を行っています。北海道内は直接うかがい、道外はオンラインで対応しています。専門用語を使わず、相手の言葉で話すことを大事にしています。

予約の受け方と台帳を、店の流れに合わせて整えられます。

電話と予約サイトで台帳が分かれている、前日の確認を自動にしたい、既製の予約サービスで足りるか分からない。そんな段階でも相談できます。いまの予約の受け方と、無断キャンセルが起きたときの様子を聞きながら、何を仕組みにするかを一緒に整理します。

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