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飲食の需要予測・AI

セルフうどん店は次の釜に何玉入れる?客数と茹で置きの残りから決める方法

次に茹でる玉数は、提供期限までに注文されると見込む玉数から、その時間帯にも提供できる茹で置きの玉数を引いて決めます。15分ごとの客数と1人あたりの注文玉数を使い、セルフうどん店の釜ごとの判断手順を説明します。

この記事でわかること

  • 1日の合計客数は釜前の判断に使えません。釜に入れた玉が使えるのは、茹で上がりから店で決めた提供期限までの短い時間だけで、その間の予想客数に1人あたりの注文玉数を掛けて必要な玉数を出します。
  • 客数は券売機かレジの販売時刻から15分ごとに数えます。大盛りや2玉を含めた1人あたりの玉数も、同じ記録の「玉数の合計÷客数」で出ます。
  • 混み始めは多め、落ち着く時間帯は少なめに寄せます。切らすと次の釜が上がるまで列が止まり、余ると期限で捨てるしかないので、どちらの損が重いかは時間帯で変わります。
  • 捨てた玉数だけでなく、品切れしていた時間も記録します。釜1回ごとに「入れた玉数・捨てた玉数・切らした分数」を残すと、翌週の仕込み量を考える材料になります。

次に茹でる玉数は、注文の予測から提供可能な茹で置きを引いて決める

ここでは1回にまとめて茹でる玉数を計算します。「番重」は茹でた麺を入れておく容器です。残っている麺のうち、次の提供時間帯にも店で決めた提供期限内にある分だけを、使える在庫として数えます。

セルフ式のうどん店では、釜が空くたびに次の玉数を決めます。決め方は3つの数からです。1つ目は、釜に入れてから茹で上がるまでの時間と、上げてから店で決めた提供期限までの時間。この2つで「次の釜の玉が使える時間」が決まります。2つ目は、その時間に来る客の見込み数に1人あたりの玉数を掛けた数。3つ目は、番重に残っていて、その時間まで期限が切れない玉数です。2つ目から3つ目を引いた数が、次の釜に入れる玉数です。

想定例で書きます。茹で上がりに12分、提供期限を上げてから20分と決めた店なら、12時に釜を空けたときに入れる玉は、12時12分から12時32分までの客に出す玉です。この20分に来る客の見込みが30人、1人あたり1.2玉なら36玉。番重に12時12分の時点で残る玉が6玉なら、次の釜は30玉です。12分と20分は当社の開発プランで置いた想定例で、店で測った時間に置き換えます。

茹で置きで列を流す店の話です。注文ごとに釜をかける専門店は、前夜に翌朝の打ち数を決める別の決め方になります。中小機構のJ-Net21にあるうどん店の開業ガイドは、うどん店を専門店型・兼業店型・ファストフード店型に分け、昼食時の客数への対応が重要だと書いています。この記事はファストフード店型のうち、席数30〜40ほどのセルフ式を想定して整理しました。

1日の合計客数では決められない。1回に茹でた麺を提供できるのは、茹で上がりから提供期限まで

茹で置きはすぐ提供できますが、時間がたつと食感が落ちます。そのため、店ごとに「茹で上げてから何分まで提供するか」を決めます。まだ決めていない店は、この記事の手順より先に、その分数を決めます。その期限が釜の1回で使える時間の終わりです。始まりは茹で上がりの時刻です。

だから、1日に何人来るかが分かっても、釜前では使えません。要るのは「12分後から32分後までに何人来るか」で、その時間の範囲は釜が空くたびに先へ動きます。昼の4時間に釜が15分に1回空くなら、判断はおよそ16回。1回の判断が扱う客は、その日の客の1〜2割にすぎません。

時間は他店の数字を借りずに自店で測ります。茹で上がりまでの時間は麺の太さ・湯の量・釜の火力で変わり、上げてからの持ち時間は店が決める品質の基準で変わるからです。1週間、釜に入れた時刻・上げた時刻・番重に並べた時刻を紙に残せば、自店の「使える時間」が出ます。

茹で上がりまでの時間

釜に入れてから、上げて水で締めるまで。次の釜の玉が使える時間の「始まり」を決めます。

上げてからの提供期限

店が決めた「何分たったら下げるか」。使える時間の「終わり」を決めます。

番重の残りの経過時間

いま番重にある玉が、あと何分持つか。次の釜が上がる前に期限が来る玉は、次の釜の計算から外します。

客数は券売機の販売時刻から15分ごとに数える。1人あたりの玉数も同じ記録から出る

券売機やレジの記録には販売の時刻が付いています。同じ曜日の記録を15分ごとに集計すると、11時からの16枠それぞれの平均客数が出ます。これが釜前の見込みの土台です。集計はExcelの並べ替えと合計で足ります。

客数と玉数は同じではありません。大盛り、2玉、子どもと分け合う1玉があるので、販売記録の「玉数の合計÷客数」で1人あたりの玉数を出します。この換算率は店ごとに違うので、目安の数字を当てはめずに自店の記録から出します。

きょうの出足で直します。開店からの2枠が同じ曜日の平均より多い日は、残りの枠の見込みにも同じ倍率を掛けます。天気や近隣の行事の影響は、前日に考えるより、当日の最初の30分の売れ方のほうが正確に教えてくれます。

ここまでが、過去の日付と数量の並びから先を見込む作業、つまり需要予測です。役割は2段に分かれます。あすの粉とだしの仕込み量は「あす何人来るか」の日ごとの見込みで決まり、当社が開発中の手軽に使える需要予測AIは、日付と数量の2列のCSVからこの日ごとの見込みを28日先まで幅つきで出します。いっぽう釜前で使う15分刻みの見込みは、券売機の記録を店ごとに集計して作る範囲で、開発プランの側で扱います。

DEMO

釜が空いた時刻と番重の残りを動かして、次の釜の玉数を確かめる

釜が空いた時刻・茹で上がりまでの分数・上げてからの提供期限を入れると「使える時間」が決まり、同じ曜日の15分ごとの客数と1人あたりの玉数から、その時間帯に注文されると見込む玉数が出ます。番重に残る玉のうち、提供期限内に使える分を引いた数が、次の釜に入れる玉数の少なめと多めです。きょうの出足の倍率を動かすと、残りの枠の見込みが変わります。

次の釜の玉数の試算|提供できる時間帯に注文されると見込む玉数から、番重に残る提供期限内の玉を引く

釜に入れてから上がるまでの分数と上げてからの提供期限で「次の釜の玉が使える時間」を出し、その時間に重なる15分ごとの客数見込みに1人あたりの玉数を掛けます。番重の残りは、経過時間から期限の時刻を出し、上がる前に使い切る分と上がったあとも持つ分に分けます。幅で少なめと多めの2つの玉数を出し、多め側で入れて実際が少なめだった場合の廃棄額と、少なめ側で入れて実際が多めだった場合の売り逃しを並べます。

触って動かせます
計算の中身
使える時間=(釜が空いた時刻+茹で時間)から(その時刻+提供期限)まで。要る玉数=使える時間に重なる15分枠の客数見込み×出足の倍率×1人あたりの玉数。番重の残りは、期限(並べた時刻+提供期限)まで先に使い、上がったあとも残る分だけを要る玉数から引く。少なめ=中央×(1−幅)、多め=中央×(1+幅)。
使っている前提
茹で時間12分・提供期限20分・15分ごとの客数・1人あたり1.2玉・1玉の原価・客単価はすべて入力例です。自店で測った時間と券売機の記録に置き換えてください。時間帯の中では客が均等に来るものとして、15分枠を分の単位に分けて数えています。
確かめてほしいところ
釜が空いた時刻を12:00から12:30に動かすと、使える時間が山を越えて、次の釜の玉数が減ります。次に番重の残りの経過時間を5分から16分にしてみてください。残りが上がる前に期限を迎え、次の釜で全部をまかなう計算に変わります。

※ 上がる前に切らす見込みは、番重の残りで上がるまでの客をまかなえない場合の玉数で、いまの釜では取り戻せません。次の釜を早く入れる判断の材料として出しています。売り逃しの推計は、切らしたあいだの客が全員帰った場合の上限です。

混み始めは多め、落ち着く時間帯は少なめ。幅のどちらを取るかは時間帯で変える

見込みは1つの数にせず、少なめと多めの2つで持ちます。同じ曜日の同じ枠でも週によって客数はばらつくので、そのばらつきが幅です。釜前で決めるのは、この幅のどちら側を取るかです。

混み始めの枠は多め側を取ります。ここで切らすと、次の釜が上がるまで麺の受け渡しが止まります。セルフの列は途中で止まると全体が止まるので、切らした損は玉の原価より大きく、駐車場で引き返す車の分まで含みます。

落ち着いていく枠は少なめ側を取ります。余った玉は、次の客が来る前に期限が来て捨てるしかないからです。少なめで足りなかった分は、次の釜を早めに入れて受けます。

切り替える時刻は、印象で決めずに15分ごとの平均から決めます。客数の山の1つ手前の枠までが多め、山を越えた枠から少なめが出発点です。幅のどちら側を取るかの考え方は、発注は多めにするか少なめにするかの記事に、日持ちと追加調達の可否から整理してあります。

捨てた玉は見えるが、切らした時間は見えない。釜1回ごとに3つを残す

捨てた玉は番重ごと下げるため目に入り、月末の棚卸でも粉の使用量と売上の差から確認できます。一方、品切れしていた時間やその間に買えずに帰ったお客さんの数は販売記録に残りません。売れた玉数だけを基準にすると必要量を少なく見積もり、混み始めに品切れする日が続くことがあります。

残すのは釜1回につき3つです。入れた時刻と玉数、期限が来て捨てた玉数、切らしていた分数。昼の4時間で16行なので、紙で足ります。番重に上げた時刻を書いた札を差しておくと、捨てる玉数と提供までの経過時間が同時に残ります。

月に1回、捨てた玉数に1玉の原価を掛けた廃棄額と、切らした分数にその枠の平均客数と客単価を掛けた売り逃しの推計を並べます。農林水産省の推計では、2024年度の食品ロスは全国で461万トン、うち外食産業が70万トンです。店の茹ですぎは、釜ごとに数えないかぎり、この統計の中で自店の数字として見えることはありません。

廃棄額

捨てた玉数×1玉の原価。時間帯別に集計すると、どの枠で多めに寄りすぎたかが分かります。

売り逃しの推計

切らした分数×その枠の平均客数×客単価。全員が帰った場合の上限で、待ってくれた客の分は含みません。

提供までの平均経過時間

上げてから客に渡すまでの分数の平均。短くなるほど茹でたてに近く、廃棄が減るのと同じくらい大事な数字です。

紙の記録から始める。画面にする費用は、券売機の記録の形と番重の知らせ方で変わる

最初の1週間は、釜の時刻を測るだけです。2週目から釜ごとの3つの記録を紙で始め、並行して券売機の記録を15分ごとに集計します。ここまでに道具の費用はかかりません。1ヶ月たつと、同じ曜日の枠ごとの平均と幅、1人あたりの玉数、捨てた玉と切らした分数の傾向がそろいます。

J-Net21のそば・うどん店の開業ガイドは、フルタイムのスタッフ1名にほかをアルバイトで任せる運営の形を挙げています。釜前の判断がその1名に張り付いていると、昼のあいだレジにも天ぷら場にも回れません。仕組みにする価値は、玉数の基準を紙に出して、店長以外が釜前に立てる日を増やすところにあります。

釜前で見る画面にする場合、金額と期間は次の3つで変わります。券売機の販売記録が時刻つきで取り出せるか(古い券売機は記録が残らないことがあります)、15分刻みの見込みと次の釜の提案を釜前のタブレットに出すか紙のままか、番重ごとの経過時間を画面で知らせるか札で済ませるか。この形は当社のセルフうどん店の釜前画面(開発プラン)に、設計から納品まで約2ヶ月の想定で書いています。

紙で測る(1週目)

釜に入れた時刻・上げた時刻・番重に並べた時刻。費用はかかりません。

紙で記録し、Excelで集計する(2週目から)

釜ごとの3つの記録と券売機の記録の15分ごとの集計。枠ごとの平均と幅までは、並べ替えと合計で出ます。

画面を相談する

券売機の記録の形・釜前の端末・番重の知らせ方の3つで金額と期間が決まります。日ごとの見込みはCSVファイル1つの確認が無料です。

まとめ

次の釜の玉数は、茹で上がりから提供期限までの提供できる時間帯に注文されると見込む玉数から、番重に残る提供期限内の玉を引いた数です。1日の合計客数は釜前では使えず、15分ごとの客数が要ります。

見込みは少なめと多めの2つで持ち、混み始めは多め、落ち着く枠は少なめを取ります。釜1回ごとに、入れた玉数・捨てた玉数・切らした分数の3つを残すと、切らした損が初めて数字になります。

次にやることは1つです。あすの昼、釜に入れた時刻と上げた時刻、番重に並べた時刻を紙に書くこと。1週間で自店の「使える時間」が出て、そこから玉数の基準が作れます。

よくある質問

茹で時間や提供期限の目安の数字はありますか?

当社は他店の数字を目安として出していません。茹で上がりまでの時間は麺の太さ・加水・湯の量・釜の火力で変わり、上げてから何分で下げるかは店が決める品質の基準だからです。開発プランの想定例では茹で上がり12分・提供期限20分と置いていますが、これも架空の店の数字です。1週間、釜に入れた時刻と上げた時刻、番重に並べた時刻を紙に残せば、自店の数字が出ます。

券売機が古くて、販売の時刻が記録に残りません。

1週間だけ、15分ごとに食券の枚数を紙に正の字で残してください。券売機の横に時計と紙を置き、枠が変わるたびに線を引くだけです。同じ曜日が4回たまれば枠ごとの平均が出ます。長く続けるなら、時刻つきで記録が残る券売機かレジに替えるのが先で、画面を作るのはその後です。

手軽に使える需要予測AIは、15分刻みの釜前の見込みにも使えますか?

いまの形では、日付と数量の2列から日ごとの見込みを出すサービスなので、あすの粉とだしの仕込み量を決める日ごとの見込みに向いています。15分刻みの釜前の見込みは、券売機の記録を店ごとに集計して作る必要があり、開発プランの範囲で扱います。まず日ごとの見込みが自店のデータで出るかを、無料のデータ確認で見てから、釜前の画面を検討する順番をおすすめしています。

夜は注文ごとに茹でています。昼のセルフ営業だけに使えますか?

使えます。茹で置きの期限があるのは昼の営業だけなので、15分ごとの見込みと釜ごとの記録は昼の時間帯だけで組みます。夜の注文ごとの茹では、1日の客数の見込みから粉とだしの仕込み量を決めるほうに入り、そちらは日ごとの見込みで足ります。昼と夜で決め方が違うことを、先に分けておくのが大事です。

この記事を書いた人

水上貴洋取締役 / 飲食DXコンサルタント

北海道札幌市を拠点に、業務アプリやAIの開発を行っています。北海道内は直接うかがい、道外はオンラインで対応しています。専門用語を使わず、相手の言葉で話すことを大事にしています。

茹で置きの廃棄や麺切れを減らす方法を相談できます

混み始めに麺が足りない、ピーク後に茹で置きが余るなど、困っている時間帯をお聞かせください。券売機の記録と現在の茹で方を確認し、釜ごとの判断に使える情報を整理します。データの取り出し方が分からない段階でもご相談いただけます。

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