EvoQuest
EvoQuest AI受診数予測AI 2026.08

SCENARIO ── KENSHIN ATTENDANCE CASE

予約は126名で確定している。
それでも、あすの枠は空く。

1日の受入がおよそ130名の健診機関を想定します。受診者の中心は、市内の会社から申し込まれる事業所健診。人数も名簿も先に確定しているのに、当日はそのとおりに来ません。急な業務、出張、体調不良。空いた枠は当日の朝には埋められず、その日の検査技師と医師の体制だけが予定どおり残ります。いっぽうで、個人の人間ドックには数ヶ月待ちのキャンセル待ちが並んでいます。事業所ごとの出席の傾向から連絡なしの欠席を幅で予測し、前日15時に繰り上げ案内の人数を確定する受診数予測AIを、EvoQuestはこう設計します。

想定領域
受診数予測AI / 健診機関の業務改善
担当範囲
要件整理・予測AI設計・画面設計・実装
想定対象
1日の受入100〜150名規模の健診機関・健診センター
想定期間
設計〜納品 約 3 ヶ月(秋の繁忙期に並行運用)

OVERVIEW

プロジェクト概要

健診とキャンセルで検索して出てくるのは、受診者向けのキャンセルポリシーの案内、健診予約システムの紹介、それに病院経営のコンサルティング会社が書く健診センターの収支改善のコラムです。コンサルの記事は「稼働の平準化と当日キャンセルの抑制が課題」と指摘するところまでは書いてくれますが、あすのキャンセルが何件になりそうかを予測して、前日に手を打つ道具の話はどこにもありません。多くの施設で、空いた枠は空いたまま、その日が終わっています。

事業所健診の予約は、確定しているようで確定していません。会社の担当者がまとめて申し込むので、受診者本人にとっては「会社に入れられた予定」になりやすい。健診機関は本人の連絡先を持っていないことが多く、日程の案内も欠席の連絡も会社の担当者を経由します。急な業務や出張の連絡は当日の朝に届くか、届かないまま受付時間が過ぎます。

この外れ方には、はっきりした特徴が2つあります。ひとつは、片側にしか外れないこと。申し込んだ人数より多く来ることはないので、欠席はつねに枠を空ける方向に働きます。もうひとつは、空いた枠を当日には埋められないこと。受診には問診票と検体キットの準備、胃の検査なら前夜21時からの絶食が要るからです。つまり、手を打てるのは前日まで。この設計のゴールは、前日15時の一回で、あす空く枠の数を確定し、埋め先への電話が済んでいることです。

CHALLENGE

課題

  • 01 名簿は確定しているのに、当日はそのとおりに来ない。事業所健診は会社の担当者がまとめて申し込むため、本人には「会社に入れられた予定」になりやすい。急な業務や出張の連絡は当日の朝に会社経由で届くか、届かないまま受付時間が過ぎる。
  • 02 空いた枠は、当日の朝には埋められない。受診には問診票と検体キットの準備があり、胃の検査には前夜21時からの絶食が要る。欠席が分かってから呼べる人はいない。検査技師と医師の体制は前日までに決まっているので、空いた枠の人件費だけが残る。
  • 03 欠席の記録が、受付名簿の斜線で終わっている。請求データに残るのは受診した人だけ。どの会社が、どの曜日に、どのくらい欠けるのかは、受付に長く立っている職員の記憶の中にしかなく、予約を受ける段階でその記憶が使われることもない。
  • 04 個人の人間ドックは数ヶ月待ちなのに、目の前の枠は毎日空く。キャンセル待ちの台帳は紙で、案内の電話は枠が空いたと分かった当日の朝にかけることになる。その時刻に都合のつく人はまずいない。数ヶ月待ちの列と空いた枠が、同じ施設の中でつながっていない。

APPROACH

アプローチ

設計の中心に置くのは、前日15時の一回の確定です。あすの空き枠の見込みを確定し、その数だけキャンセル待ちへ繰り上げ案内の電話をかけます。締切を15時に置くのは、繰り上げる相手も勤めている人だからです。あすの受診には、職場での休みの段取りと、胃の検査があるなら今夜21時からの絶食の案内が要ります。どちらも前日の日中でなければ間に合いません。案内の数を決めるのは予約課の主任で、仕組みが出すのは空きの見込みと候補の一覧、それに15時という期限です。

予測の前に、15時の時点で分かっている数を固めます。日程変更やキャンセルの連絡が入ったぶんは、確定した空きとして先に数えます。予測が受け持つのは連絡のないまま来ない人数だけです。その予測は事業所ごとに立てます。同じ20名の予約でも、事務の会社と交替勤務の工場と運送会社では欠席の出方が違い、月曜と連休明けには欠席が増えます。過去の予約台帳と請求データを突き合わせれば、この出席の実績は何年ぶんでも復元できます。

予測は範囲で出し、案内に使うのは下限だけです。あすの空きが8〜15枠と出たら、電話は8名まで。繰り上げで来てもらった人に「全員そろったので席がありません」とは言えません。その事態は金額の損より重いので、下限は過去の実績でまず下回らない水準に置き、万一それでも予測を超えて全員が来た朝は、受付時間の組み替えで吸収します。待ち時間が延びることはあっても、断ることはない。この順番を先に決めておきます。かわりに、上限側の空きは埋め残ります。埋め残りの数は翌日の受付の実績と突き合わせ、事業所別の記録へ戻して、範囲を毎月狭めていきます。

案内する相手にも順番を付けます。最初は、日程変更で一度流れて、検体キットを手元に持っている人。つぎにキャンセル待ちの登録順です。前日の案内で受けられるのは、当日の検査だけで完結するコースに限ります。便潜血の2日ぶんの採取が間に合わない人には、後日の提出として受け付けます。電話の結果は承諾・不通・辞退で残し、承諾率も記録します。承諾6割の実績なら、8枠に対して13名へ電話をかける。この倍率も、運用の中で直していく数字です。

効果は金額と日数で測ります。空いたまま終わった枠の数に健診の単価を掛けた逸失額と、繰り上げで埋めた枠の回収額。それに、キャンセル待ちに登録してから受診までの日数です。事業所別の欠席の記録は、翌年度の契約の相談にも使います。毎回欠ける会社を責めるためのものではありません。欠けた人にはあとで受け直しの手配が要るので、予備日の設定や名簿確定の前倒しは、会社側にも足りていない段取りです。数字を挟んで、その相談ができるようになります。

CONSULTATION

空いた枠のぶんだけ、検査の体制が余っています。

あすの欠席をゼロにはできませんが、前日に見込んで埋めにいくことはできます。
過去の出席率は、予約台帳と請求データの突き合わせで復元できます。
直近1年ぶんを一緒に数えるところから、ご相談ください。

SCREENS

主要画面

想定する画面のサンプル。前日15時に締める翌日見込みを中心に、予約課のパソコンで使う前提の構成です。事業所名・人数・金額はすべて想定例で、実在の会社・健診機関ではありません。

01. 前日15時、繰り上げ案内の人数を確定する

毎日15時に締める画面。事業所ごとに、予約数、連絡済みの欠席、連絡なしの欠席の予測が並び、あすの空き枠の見込みが幅で出ます。案内するのは確定した空きと予測の下限を足した数まで。確定すると、繰り上げ案内の電話リストがそのまま出ます。

翌日見込み
設計のポイント
空きの数字を見て終わる画面にしない。15時の締切で案内の人数を確定し、電話リストまで出す画面にする。
下限だけを使う
案内は予測の下限まで。下限は過去の実績でまず下回らない水準に置き、繰り上げた人の席を最優先で守る。
締切の根拠
繰り上げる相手も勤めている人。職場の休みの段取りと、胃の検査の絶食の案内は、前日の日中までしか間に合わない。

02. 受付の進みと、欠席の確定をひとつの画面で

予約課が毎日いちばん開く画面。時間帯ごとの受付の予定と実績、事業所別の到着状況が並びます。受付終了の時刻を過ぎたら欠席として確定し、会社の担当者への確認と理由の記録をここから残します。確定した欠席は、そのまま事業所別の傾向データになります。

当日受付
設計のポイント
欠席を斜線で終わらせず、確定の時刻と理由まで記録する。この記録が翌日以降の予測の材料になる。
理由の記録
急な業務・体調・連絡なしの3つから選ぶだけにする。受付の忙しい時間に、文章を書かせない。
検査の進みも並べる
採血や胃部X線の待ち人数を同じ画面に出し、繰り上げで増えた朝の受付時間の組み替えに使う。

03. 8枠ぶんに、13名へ電話する

キャンセル待ちの台帳です。優先は、日程変更で一度流れて検体キットを手元に持っている人から。承諾率の実績で、案内枠の何倍へ電話するかが決まります。結果は承諾・不通・辞退のボタンで残り、承諾が枠の数に達すると受付が自動で締まります。

繰り上げ案内
優先順の設計
キットを持っている人は、検体の準備も受ける気持ちも済んでいる。承諾率がいちばん高い層から案内する。
コースの制約
前日の案内で入れるのは、当日で完結する検査だけのコース。便潜血は後日提出として分けて受ける。
承諾率も記録する
電話の結果を残せば、枠の何倍にかけるかが実績で決まる。つながる時間帯は登録のときに聞いておく。

04. どの会社が、どの曜日に欠けるか

事業所ごとの出席率と欠席の偏りを見る画面です。勤務の形態、曜日や時期の偏り、予測が外れた日の記録が並び、翌日見込みの予測の根拠をここから確かめられます。外れた日に何があったかをひと言残し、翌回の予測へ反映します。

事業所別傾向
傾向は勤務形態で見る
欠席の出方を分けるのは業種より勤務の形。事務・交替勤務・運送・現場で、欠け方の型が違う。
外れの記録
予測を外れた日は、その日ごとに理由を残す。台風で長距離便が乱れた、といったひと言が翌回の材料になる。
責める台帳にしない
この記録の出口は翌年度の契約相談。予備日や名簿締切の提案は、会社側の受け直しの手間も減らす。

05. 空いた枠と、埋め戻した枠を金額で並べる

月に一度の画面。空いたまま終わった枠と繰り上げで埋めた枠が単価つきで並び、キャンセル待ちの待ち日数、予測が幅に収まった日数もここで確かめます。事業所別の欠席は、営業が翌年度の契約相談に持っていける形で出力できます。

月次レポート
金額で示す
空いた枠は数のままでは動かない。単価を掛けた逸失額と回収額で並べて、翌月の判断につなぐ。
幅の検証
実績が予測の幅に収まった日数を数え、外れた日は事業所別傾向の記録とセットで確かめる。
営業への接続
事業所別の欠席と再手配の実績を、契約更新の相談資料としてそのまま印刷できる形にする。

OUTCOME

変わったこと

仕組みが運用に乗ったあと、予約課と営業の仕事が3つの点で変わる想定です。

01

空く枠の数が、前日15時に確定する

Before当日の朝、受付名簿に斜線が増えていくのを見ているだけだった。空いた枠は、その日はもう埋まらない。
After前日に空きの見込みが幅で出て、下限のぶんは繰り上げの電話が済んでいる。想定例では月58枠、およそ70万円ぶんの埋め戻し。

全部は埋まりません。案内を下限で止める設計なので、埋め残しは必ず出ます。それでも、当日の朝に初めて空きを知る運用と比べれば、埋まる枠は着実に増えます。

02

欠席が、事業所ごとの記録として貯まる

Beforeどの会社がどの曜日に欠けやすいかは、受付に長く立っている職員の記憶の中にしかなかった。
After出席率と欠席の偏りが事業所別の台帳になり、予約を受ける段階の予測と、翌年度の契約の相談の両方に使われる。

欠けた本人には、あとで受け直しの手配が要ります。予備日や名簿締切の相談は、健診機関と会社の両方の手間を減らす提案になります。

03

数ヶ月先だったキャンセル待ちに、あすの枠を案内できる

Beforeキャンセル待ちの台帳は紙で、案内は枠が空いたと分かった当日の朝。都合のつく人はまずいなかった。
After前日の日中に電話が行くので、職場の段取りと絶食の準備が間に合う。想定例では、登録から受診までの平均が74日から31日に縮む。

承諾率は6割前後を想定しています。つながる時間帯を登録のときに聞いておくだけで、この率は目に見えて変わります。

PROCESS

3ヶ月の進め方

札幌市内・近郊なら施設へ伺い、道外はオンラインで進めます。事業所健診が集中する秋を並行運用にあてたいので、8月に始めて10月に納める3ヶ月を想定します。月の区切りで実際に触れるものをお渡しし、予約課で使ってみた感想を次の作業へ反映します。

1
MONTH 01 / 出席実績の復元 + 運用設計

予約台帳と請求データから、事業所別の出席率を起こす

過去2年ぶんの予約台帳と請求データを突き合わせ、事業所ごとの出席率と欠席の偏りを数字にします。あわせて、繰り上げ案内の運用を予約課と設計します。締切を15時に置けるか、電話で何をどの順に伝えるか、キャンセル待ちの登録時に何を聞いておくか。紙の台帳からの移行もこの月に済ませます。

  • 施設でのヒアリング(2〜3回)
  • 予約台帳と請求データの突合(過去2年)
  • 繰り上げ案内の運用設計と電話の文言
  • キャンセル待ち台帳の移行
2
MONTH 02 / 予測の実装 + 5画面の開発

事業所別の予測を組み、5画面を作る

勤務形態・曜日・時期から連絡なしの欠席を幅で出す予測を組み、翌日見込み・当日受付・繰り上げ案内・事業所別傾向・月次レポートの5画面を開発します。予測はいきなり電話にはつなげません。過去データでのさかのぼり検証で、幅が実績をどのくらい捉えるかを確かめてから次へ進みます。

  • 欠席予測の試作と幅の調整
  • 過去データでのさかのぼり検証
  • 5画面の開発
  • 当日受付の欠席確定フローの調整
3
MONTH 03 / 繁忙期の並行運用 + 納品

秋の繁忙期に、予測と実績を並べて確かめる

秋の繁忙期に、画面の予測とそれまでどおりの運用を並べて記録します。数週間ぶんの実績で幅と案内の倍率を直し、予約課が「これなら」となってから繰り上げの電話を始めます。月次レポートの初回を一緒に見て、営業向けの出力の形を確認してから納品します。

  • 予測と実績の並行記録
  • 繰り上げ案内の運用開始と承諾率の実測
  • 幅と案内倍率の調整
  • 月次レポートの初回レビュー + 納品

FAQ

よくある質問

  • Q1 前日の電話で、あすの健診に来られる人が本当にいますか?
    全員は来られません。だから承諾率を最初から設計に入れています。案内の対象は、数ヶ月待ちで登録しているキャンセル待ちと、日程変更で一度流れた人です。後者は検体キットを手元に持っていて、受ける準備も気持ちも済んでいます。承諾6割の想定で枠の1.6倍へ電話をかけ、実際の承諾率で倍率を直していきます。それでも埋まらない日は残ります。その日数も、月次レポートで数え続けます。
  • Q2 欠席を減らす方向、たとえば事前のお知らせが先ではないですか?
    併用します。ただ、事業所健診では受診者本人の連絡先を健診機関が持っていないことが多く、事前のお知らせは会社の担当者経由になります。担当者から先の伝わり方は会社ごとに差が出るので、減らす手を打っても欠席はゼロになりません。残る欠席を前日に見込んで枠を埋め直す仕組みには、事前のお知らせとは別の役割があります。両方をやって、月次の報告でそれぞれの効果を確かめるのがこの設計です。
  • Q3 予測が外れて全員来たら、繰り上げた人の席はどうなりますか?
    なくならないように、二段で守ります。まず案内は予測の下限までで、その下限は過去の実績でまず下回らない水準に置きます。それでも予測を超えて全員が来た朝は、受付時間の組み替えで吸収します。待ち時間が延びることはあっても、繰り上げで来てくれた人を断ることはありません。そういう朝があったら、その日を記録して下限の置き方を直します。埋め戻しの量より、約束を守るほうを先に置く設計です。
  • Q4 過去の欠席のデータなんて残していません。それでも作れますか?
    作れます。受診した人は、請求データに必ず残っています。予約側も、事業所ごとの申込人数は契約の控えや名簿で残っているはずです。この2つを突き合わせれば、過去の出席率は事業所別に復元できます。最初の月にやるのはこの復元で、幅のある予測が組めるだけの偏りが見つかるかを先に確かめます。偏りが見つからなければ、その時点で正直にお伝えして設計を見直します。

空いた枠のぶんだけ、検査の体制が余っています。

あすの欠席をゼロにはできませんが、前日に見込んで埋めにいくことはできます。
過去の出席率は、予約台帳と請求データの突き合わせで復元できます。
直近1年ぶんを一緒に数えるところから、ご相談ください。