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飲食の需要予測・AI

特養の食数は名簿からいくつ引いて決めるか。届で確定する数・形態ごとに数える手順・当日の欠食を残す方法

特養の食数は、在籍の人数から先に入院中の人と届の出ている外泊・受診を引き、残った「当日に決まる欠食」だけを幅で見込みます。数える単位は常食・軟菜・きざみ・ミキサーの形態です。施設内に厨房がある特養・老健の施設長、栄養士、厨房の責任者向けです。

この記事でわかること

  • 名簿の人数がそのまま食数にならないのは、入院中の人が名簿に残るからです。運営基準の省令は、入院後おおむね3か月以内に退院が見込まれる入所者を、退院後にまた受け入れられるよう施設に求めています。在籍から入院中を引き、届の出ている外泊・受診を引いた数が、前日に確定する食数です。
  • 残るのは、当日の体調で決まる欠食です。受診が長引く、熱が出る、起きてこない。この人数は届が出ないので前日には分かりませんが、過去の日付ごとの欠食数の並びがあれば幅で見込めます。
  • 数える単位は形態です。省令は入所者の心身の状況を考慮した食事を求めていて、形態は食事箋で人ごとに決まっています。ミキサー食が1食足りない朝に、常食の余りは使えません。合計はあとから足すだけの数字にします。
  • 締める時刻は、早番が仕込みを始める時刻からさかのぼって決めます。欠食届の「3日前まで」は施設の決まりで、省令に日数はありません。届の締切と厨房の締切を分けると、当日朝の変更は差し替えとして別に扱えます。
  • 当日の欠食は、人と理由と時刻をつけて残します。食費は1日あたりの金額で決まっているので、作りすぎた分の材料費は帳簿に損として表れにくい数字です。記録を月ごとに材料費に直すと、見込みを入れる効果を金額で測れます。

在籍の人数から、入院中と届の出ている外泊・受診を先に引く。見込むのは残りだけ

特養の食数がずれる最初の理由は、名簿の在籍数と、あすの朝に施設で食事をとる人数が別の数字だからです。入院中の人は名簿に残ります。指定介護老人福祉施設の運営基準(厚生省令)第19条は、入院後おおむね3か月以内に退院することが明らかに見込まれる入所者について、退院後に再び円滑に入所できるようにすることを施設に求めています。在籍58名の施設で3名が入院していれば、名簿は58のまま、食べる人は55です。

次に引くのは、家族から届の出ている外泊と、予定の決まっている受診です。この2つは前日の時点で確定しています。在籍58、入院3、届の外泊と受診が4なら、前日に確定する食数は51です。ここまでは見込みではなく、引き算です。名簿と届出簿があれば、誰が計算しても同じ数になります。

見込みが要るのは、この51のうち当日に欠ける人数だけです。受診の帰りが昼をまたぐ、夜のうちに熱が出る、朝によく眠っていて起こさない。こうした欠食は届が出ないので、前日には分かりません。ただし、欠けるのは体調の不安定な人や受診の多い人に偏りがちで、施設の全員が一斉に揺れる日はまず来ません。見込む対象を「51人全員」から「当日に欠ける数人」に絞るところが、この記事のいちばんの答えです。

合計を1つで締めない。常食・軟菜・きざみ・ミキサーの形態ごとに数える

食数を1つの合計で締めると、合計は合っているのに足りない朝が起きます。同じ省令の第14条は、栄養と入所者の心身の状況・好みを考慮した食事を適切な時間に提供することを施設に求め、第17条の2は入所者ごとの状態に応じた栄養管理を計画的に行うことを求めています。この「心身の状況に応じた」部分が、常食・軟菜・きざみ・ミキサーといった形態の違いになって食事箋に書かれています。

形態は互いに融通が利きません。ミキサー食が1食足りない朝に常食が2食余っていても、そのまま出すことはできません。常食を取り分けて刻み、ミキサーにかけ、とろみを付け直す工程が配膳の直前に割り込みます。逆にミキサー食が余っても、常食の人に出すものにはなりません。だから締める単位は形態にします。合計はあとから足すだけの数字です。

形態の分け方は施設ごとに決まっています。農林水産省は市販の介護食品を「かむことに問題がある方向け」「飲み込むことに問題がある方向け」の区分で整理していて、施設の厨房でもかむ段階と飲み込む段階で形態が分かれる点は同じです。前日の締め表は、朝・昼・おやつ・夕を縦、形態を横に取ったマス目にして、届で確定した数と、当日に欠けそうな数を別々の色で書きます。

確定の数

名簿から入院中と届の外泊・受診を引き、食事箋の形態で分けた数。前日の時点で動きません。

見込みの数

当日に欠けそうな人数を形態ごとに幅で書く数。「常食は0〜2、ミキサーは0〜1」のように置きます。

形態の変更

食事会議で形態が変わった人は、変更日から確定の欄を移します。ここが遅れると、確定の数そのものがずれます。

DEMO

在籍・入院・届の数と欠食の幅を動かすと、形態ごとに作る数と余りがどう変わるか

在籍の人数、入院中、届の出ている外泊・受診、形態の割合、過去の欠食の幅、幅のどちら側で作るかを動かすと、前日に確定する食数、形態ごとに作る数、当日の欠食が少なかった日と多かった日の余りと、余りを材料費に直した1か月ぶんの金額が変わります。

特養の昼食1食ぶんの締め表の試算|確定の数・見込みの幅・余りの材料費

架空の定員60名の施設の昼食で試す画面です。在籍・入院中・届の外泊と受診を入れると確定の食数が出ます。形態の割合と過去の欠食の幅を入れると、形態ごとの見込みと作る数が並び、当日の欠食が幅の下端・中央・上端だった場合の余りと材料費が変わります。

触って動かせます
計算の中身
確定の食数=在籍−入院中−届の外泊・受診。形態ごとの確定数=確定の食数×形態の割合。当日の欠食の見込み=過去の欠食の幅(最少〜最多)を形態の割合で配った数。作る数=確定数から見込みの欠食を引いた数で、幅の上側なら最少の欠食、下側なら最多の欠食を引きます。
使っている前提
昼食1食ぶんだけを扱い、朝・おやつ・夕は同じ計算の繰り返しです。1食あたりの材料費と形態の割合は架空の入力例で、自施設の数字に置き換えるものです。当日の欠食は下端・中央・上端の3通りだけを並べています。
確かめてほしいところ
合計の余りが小さくても、形態ごとに見ると足りない列が出ることを見てください。ミキサー食の欠食の幅は人数が少ないぶん荒くなり、上側で作ると余りが毎日出ます。

※ 施設・人数・形態の割合・欠食の幅・材料費はすべて架空の入力例です。実在の施設の数字ではありません。当日の欠食は3通りしか並べておらず、それ以外の外れ方は見ていません。

締める時刻は、早番が仕込みを始める時刻からさかのぼる。届の締切と厨房の締切は別

欠食届を「3日前まで」と決めている施設は多くありますが、この日数は施設の決まりです。省令が食事について定めているのは、心身の状況を考慮した食事を適切な時間に提供することと、栄養管理を計画的に行うことで、欠食の届を何日前までに出すかは書かれていません。だから締切は施設が厨房の都合から決めてよく、決めるときの起点は早番が火を入れる時刻です。

朝食の仕込みが5時台に始まる施設なら、朝食の食数は前日のうちに締めるしかありません。昼食と夕食も同じで、発注や下処理が前日に済む品目が多いなら、前日の夕方に締めるのが自然です。締めた数を厨房に渡す時刻を1つ決め、「15時に締めた数で仕込む」と全員が知っている状態にします。

当日の朝に分かる欠食は、締めた数の外側で起きます。ここは差し替えとして別に扱います。朝の申し送りで「受診に出る」「まだ寝ている」と分かった分を、口頭で厨房に伝えるのではなく、締め表の当日欄に人の名前で書き足します。前日の締めが形態ごとに幅を持っていれば、差し替えの多くは幅の中に収まり、作り足しや盛り直しは減ります。

当日の欠食を、人・理由・時刻つきで残す。それが翌月の見込みの材料になる

前日の見込みの幅を出す材料は、過去の欠食の記録です。ところが当日の欠食は申し送りの口頭で伝わり、記録に残らない施設が少なくありません。誰が、何時に、どの理由で欠けたかを1行ずつ残すと、翌月には「日ごとの欠食数の並び」ができます。過去の日付と数量の並びがあれば、先の日の数を幅で見込めます。当社が開発中の需要予測AI「EvoQuest Iramepakari」は、日付と数量の2列のCSVから28日先までの日ごとの見込みを幅つきで出す作りで、形態ごとに列を分けた欠食の記録がそのまま入ります。

記録の形は、すでにある帳票に寄せると続きます。指定介護老人福祉施設の運営基準は、提供した具体的なサービスの内容等を記録すること(第8条)と、その記録を完結の日から2年間保存すること(第37条)を求めています。欠食の記録を食事の提供記録の隣に置けば、保存の扱いも同じにできます。

食数を数える場面は、健康増進法にもあります。継続的に1回100食以上または1日250食以上を提供する施設は特定給食施設として都道府県への届出が要り、届出事項には「1日の予定給食数及び各食ごとの予定給食数」が含まれます(健康増進法第20条、同施行規則第5条・第6条)。さらに埼玉県は6月分、京都市は10月分の給食について、提供食数を含む栄養管理の報告書を年1回求めています。青森県のように1回50食以上の施設まで報告の対象にしている自治体もあります。月ごとの提供食数を数える仕組みはすでにあるので、そこに欠食の列を足すのがいちばんの近道です。検食簿の記事に書いた帳票と同じ場所に置けます。

残す項目

日付・食事の区分(朝・昼・おやつ・夕)・形態・欠けた人・理由(受診・発熱・傾眠・外出など)・分かった時刻。

誰が書くか

分かった人がその場で書きます。厨房が朝に聞いた内容を書き写す形にすると、時刻と理由が落ちます。

幅の出し方

直近4週の同じ曜日の欠食数を形態ごとに並べ、いちばん少ない日といちばん多い日を幅にします。記録が3ヶ月たまれば曜日の差も見えます。

作りすぎた損は帳簿に出にくい。食費は1日あたりの金額で決まっている

特養の食費は、1日あたりの金額で定められています。介護保険施設の食費の基準費用額は日額で示され、所得に応じた負担限度額も日額です(介護サービス情報公表システム「サービスにかかる利用料」)。1食ごとの金額は決まっていません。この仕組みだと、欠食が出ても施設の収入がその食数ぶん減るとは限らず、減るのは作ってしまった材料費と手間です。損益計算書には「食材費が少し高かった月」としてしか表れません。

だから、見込みを入れる効果は、当たった外れたではなく金額で測ります。盛らずに残した食数を形態ごとに数え、1食あたりの材料費を掛けます。足りなくて配膳直前に作り足した回数も数えます。この2つを毎月出せば、締めの幅をどちらに寄せるかを施設長が決められます。効果を測る前提になるのは、前の節の記録です。

費用と期間は、3つを決めると見積もれます。名簿と食事箋をどこから出すか(介護ソフトからCSVで出せるか、紙か)、形態の数、締める回数です。紙の締め表だけなら費用はかかりません。過去の欠食の記録をCSVにして見込みを出す段階は、Iramepakariのリリース前の今、手元のCSVが使える形かどうかの確認を無料で受けています。締め表・当日の差し替え・月ごとの材料費を1つの画面にする場合は、当社の特養の食数予測AIの開発プランで、定員40〜100名の施設を対象に設計から納品まで約2ヶ月を目安にしています。

まとめ

特養の食数は、在籍から入院中と届の出ている外泊・受診を引いた数を前日に確定し、当日に欠ける数だけを幅で見込みます。数える単位は形態で、合計はあとから足すだけです。

締める時刻は早番が仕込みを始める時刻からさかのぼって決め、届の締切とは分けます。当日の欠食は人・理由・時刻つきで残し、月ごとに材料費に直して効果を測ります。

次にやることは1つです。あすの朝から、欠食が分かるたびに、名前と形態と理由と時刻を締め表の当日欄に書いてください。4週ぶんたまれば、この記事の幅が自分の施設の数字で出せます。

よくある質問

欠食届は3日前までにしてもらっています。それでも当日ずれるのはなぜですか?

届で分かるのは入院と数日の外泊、予定の受診で、当日の体調は届になりません。締切を4日前・5日前に延ばしても、当日に決まる欠食の数は変わりません。届の締切はそのままにして、前日の締めを形態ごとに幅つきで置き、当日の朝に分かった分を差し替えとして名前で書き足す形に変えると、ずれの大半は幅の中に収まります。

定員60名の特養は、健康増進法の特定給食施設に当たりますか?

国の定義は継続的に1回100食以上または1日250食以上です。在籍58名に朝・昼・夕の3食なら1日174食で、この定義には当たりません。ただし京都市は1回50食以上を中規模給食施設として、青森県は1回50食以上の施設を報告の対象にしているように、自治体が独自に小さい施設まで届出や報告を求めている場合があります。管轄の保健所のページで確認してください。

介護ソフトに食事箋や食数の集計の機能があります。それで足りますか?

名簿・食事箋・届の管理と、確定の食数を出すところまでは介護ソフトの側で足ります。足りないのは、当日の欠食を人・理由・時刻つきで残す欄と、その記録から形態ごとの幅を出す部分です。介護ソフトから名簿と食事箋をCSVで出せるなら、欠食の記録は別の表で持ち、日付と数量の並びにして見込みを出す形が組めます。

需要予測のAIを入れれば、食数は自動で決まりますか?

決まりません。過去の欠食の並びから出せるのは、当日に欠けそうな人数を形態ごとに幅で示すところまでです。幅のどちら側で作るか、形態の変更をいつ反映するか、差し替えを受けるのを何時までにするかは、入所者と厨房を知っている人が決めます。当社の特養の食数予測AIの開発プランも、確定の数と見込みの幅を並べて、最終判断を栄養士と厨房に残す作りにしています。

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この記事を書いた人

水上貴洋取締役 / 飲食DXコンサルタント

北海道札幌市手稲区の会社です。北海道内は直接うかがい、道外はオンラインで対応しています。専門用語を使わず、相手の言葉で話すことを大事にしています。

名簿と届出簿と、朝の申し送りのメモを見せてもらうところから。

前日に締めた数が朝の申し送りで毎日変わる。ミキサー食を配膳直前に作り足すことが月に何度もある。捨てた材料費を数えたことがない。そのどれかに当てはまるなら、いまある名簿・食事箋・申し送りの記録が、形態ごとの日別の欠食の並びになるかを確かめるところから始められます。北海道内は訪問、道外はオンラインで対応します。

欠食の記録から見込みが出るか確認する (新しいタブで開きます)

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