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需要予測・AI

発注の見込みは何日分の記録があれば立つか。4週間・3ヶ月・1年で分かることの違い

曜日の差なら3ヶ月、季節の波なら1年です。3ヶ月あれば同じ曜日が13回ずつそろい、祝日や雨の日を除いても曜日ごとの平均が出ます。1年あると去年の同じ月と比べられ、年末年始や盆の山が1回分入ります。個人店から数店舗の飲食店・小売店の経営者向けです。

この記事でわかること

  • 要る長さは、決めたいことで違います。明日の発注に使う曜日の差は3ヶ月、来月の仕入計画に使う季節の波は1年、年末年始のような年に1回の山は2回分の記録がないと「今年もそうなるか」を確かめられません。
  • 4週間では同じ曜日が4回しかなく、祝日が1回混ざるだけで平均が大きく動きます。13回あれば1日の外れで動く幅は3分の1以下になります。
  • 記録の多くは帳簿にすでにあります。国税庁は法人に売上帳・仕入帳・棚卸表・注文書を7年間保存させていて、白色申告でも収入と経費の帳簿は7年です。日付と数量の並びは、納品書と棚卸表から掘り起こせます。
  • 気象庁は「平年」を30年の記録で決め、10年ごとに更新しています。店の見込みに30年は要りませんが、1回しか起きていないことを平年と呼ばない考え方は同じです。
  • 記録が3ヶ月に満たなくても始められます。曜日の平均に広めの幅を持たせ、持ち越せる品目から使い、季節の1周目は人が上書きして外れた理由を残します。

決めたいことで要る長さが違う。4週間・3ヶ月・1年の3つの区切り

「何日分あれば足りるか」に1つの数字で答えると外れます。明日の発注に使う曜日の差、来月の仕入計画に使う季節の波、年末年始や盆のような年に1回の山では、確かめるのに要る記録の長さが違うからです。

4週間あると、月曜から日曜までがそれぞれ4回ずつそろいます。曜日の差があるかどうかの当たりはつきますが、4回のうち1回が祝日や大雨だと、その曜日の平均はその1日に引きずられます。3ヶ月は約13週で、同じ曜日が13回ずつになります。祝日や臨時休業の日を除いても10回前後が残るので、曜日ごとの平均を明日の発注の目安にできる長さです。

1年あると、去年の同じ月と今月を比べられます。総務省統計局の解説は、飲食業の売上は12月や8月にクリスマス・忘年会・盆で毎年伸びるので、前月からの上下だけを比べても正確な分析はできないとし、季節の影響を除く方法として前年の同じ月との差や比を挙げています。この比べ方は、記録が1年を超えて初めて使えます。

4週間

各曜日4回。曜日の差の当たりがつく長さで、平均を発注に使うにはまだ揺れが大きい段階です。

3ヶ月

各曜日13回。祝日や雨の日を除いても曜日ごとの平均が出ます。明日の発注量の目安に使える最初の区切りです。

1年

各月1回、年末年始・大型連休・盆が1回ずつ。去年の同じ月と比べられ、来月の仕入計画に使えます。

3ヶ月で曜日の差が出る理由。祝日1回で平均がどれだけ動くか

曜日の平均は、同じ曜日の記録を足して回数で割った数です。回数が少ないほど、1日の外れがそのまま平均に乗ります。ふだん100個出る月曜に、祝日で160個出た日が1回混ざったとします。記録が4回なら平均は115個で、15%上に動きます。13回なら約105個で、動きは5%弱です。3ヶ月あれば、1日の外れで平均が動く幅は4週間のときの3分の1以下になります。

だから3ヶ月の記録は、祝日・臨時休業・大雨のような日に印を付けておくと役に立ちます。印の付いた日を除いた平均と、含めた平均の両方を出せるからです。4週間では除くと3回しか残らず、除かなければ祝日に引きずられます。13回なら除いても10回前後が残ります。

当社が開発中の需要予測AI「EvoQuest Iramepakari」が3ヶ月分ほどの記録から試せるとしているのも、この理屈です。日付と数量の2列のCSVを入れると、曜日のように記録そのものに表れる傾向を拾って、28日先までの見込みを幅つきで出します。3ヶ月の時点で出るのは曜日の差までで、季節の波はまだ入りません。

1年で去年の同じ月と比べられる。年に1回の山は、2回分ないと確かめられない

記録が1年を超えると、今月の数字を去年の同じ月と並べられます。12月が11月の1.3倍出る店で、11月の平均のまま12月の仕入を組めば足りません。前年の同じ月との比が手元にあれば、11月の実績にその比を掛けて12月の量を置けます。3ヶ月の記録には、この比がありません。

ただし1年の記録に、年末年始や盆の山は1回ずつしか入っていません。1回の記録は「去年はそうだった」までで、「今年もそうなる」かは確かめられていません。去年は近くで大きな催しがあった、雪が少なかった。1回分の記録には、そういう事情ごと入っています。2回目の年末が記録に入って、初めて2つを比べられます。

気象庁は、季節予報の「平年並」を1991年から2020年の30年間の観測値で決めています。30年の値を並べて、11番目から20番目までを平年並とし、それより低ければ「低い」、高ければ「高い」です。この基準は10年ごとに更新され、次は2031年に2001年から2030年の値に切り替わります。日別や月別の平年値も、同じ30年の平均です。店の見込みに30年は要りません。それでも、1回しか起きていないことを平年と呼ばず、何回分かの記録がそろってから基準にする考え方は、店の売上でも同じです。

3ヶ月の記録で分かること

曜日の差。明日から来週までの発注量の目安に使えます。季節の向きは、直近の数週間の上がり下がりから見るしかありません。

1年の記録で分かること

去年の同じ月との比。来月の仕入計画と、年に1回の山の大きさの目安。ただし山は1回分です。

2年の記録で分かること

年に1回の山が2回分入り、去年の事情と今年の事情を分けて見られます。ここから「毎年そうなる」と言えるようになります。

DEMO

記録の日数を動かすと、分かることがどう変わるか

記録を始めてからの日数と、週の定休日の数、祝日や臨時休業で使えない日の割合を入れると、曜日ごとに何回の記録がそろうか、去年の同じ月と比べられる月がいくつあるか、年に1回の山が何回分入っているかが出ます。祝日が1回混ざったときに平均がどれだけ動くかも、回数に応じて変わります。

記録の長さと分かること|曜日の回数・去年との比較・年に1回の山

日数を4週間・3ヶ月・1年・2年と動かして、曜日の差・季節の波・年に1回の山のそれぞれが「出せる」「目安まで」「まだ」のどれになるかを見る画面です。曜日ごとの回数と、祝日1回で平均が動く割合を表にしています。

触って動かせます
計算の中身
曜日ごとの回数は日数を7で割った数で、定休日の曜日は0回、使えない日の割合ぶんを引いています。「祝日1回で平均が動く割合」は、ふだん100の日に160の日が1回混ざったときの平均の動きで、60を回数で割った値です。
使っている前提
判定の区切り(曜日の差は12回以上で「出せる」、去年との比較は12ヶ月以上、年に1回の山は2回分以上)は、この記事で説明した考え方をそのまま数にしたもので、法令や統計の基準ではありません。
確かめてほしいところ
日数を28日と91日で切り替えてみてください。除いたあとに残る曜日の回数が4回から12回になり、祝日1回で動く割合が15%から5%に下がります。次に365日にすると、去年との比較が「向きだけ」から「比べられる」に変わり、年に1回の山は1回分のままです。730日にして初めて、山が2回分になります。

※ 日数はすべて入力例です。記録を始めた日付によって、年末年始のような山が何回入るかは前後します。この画面は「何日あれば何が分かるか」の当たりをつけるためのもので、実際の記録は品目ごとに祝日や臨時休業の印を付けて数えてください。

記録の多くは帳簿にある。売上帳・納品書・棚卸表は7年保存が決まっている

「記録を取っていない」という店でも、日付と数量の並びは帳簿の中に残っています。国税庁のタックスアンサーによると、法人は売上帳・仕入帳などの帳簿と、棚卸表・注文書・領収書などの書類を、確定申告書の提出期限の翌日から7年間保存しなければなりません。個人の白色申告でも、収入と経費を記載した法定帳簿は7年、それ以外の任意帳簿は5年です。日ごとの売上と、仕入の納品書と、月末の棚卸表は、法律で残されている記録です。

掘り起こす順番は3つです。まずレジの日ごとの売上と客数。日付と数量の2列がそのまま出ます。次に仕入先の納品書。日付と品目と数量が書いてあるので、品目ごとの「頼んだ数の並び」が過去にさかのぼって作れます。最後に棚卸表。月に1回の在庫数が分かるので、納品書の数と合わせると月ごとに使った量が出ます。棚卸から使った量を出す手順は、棚卸の数字を次の発注に使う記事に書きました。

中小企業基盤整備機構のQ&Aも、在庫管理の基本を「入出荷するたびに、どの製品が、いつ、何個動いたかを正確に記録」する入出荷台帳に置き、これまでの受注実績を参考に在庫期間を決めることを勧めています。飲食店や小売店に置き換えれば、納品書の束が入荷の台帳で、レジの記録が出荷の台帳です。新しく記録を始める前に、この2つを日付順に並べるだけで、3ヶ月分がその日のうちにそろう店は多いはずです。

レジの記録

日ごとの売上と客数。品目別の出数が出るかはレジの機種で決まります。出ない場合は、売上と客数だけでも曜日の差は見えます。

納品書

日付・品目・数量が書かれた入荷の台帳。7年分の保存が決まっているので、品目ごとの発注の並びが過去にさかのぼって作れます。

棚卸表

月に1回の在庫数。納品書の数と合わせると、月ごとに使った量が品目別に出ます。

記録が3ヶ月に満たないときの始め方。幅を広く、持ち越せる品目から

記録が4週間しかない店は、待つより始めたほうが早く3ヶ月に着きます。最初の1ヶ月は、曜日の平均を出しつつ、その平均に広めの幅を持たせます。4回の記録なら、いちばん多かった日といちばん少なかった日をそのまま幅の上と下に置くくらいで足ります。幅のどこで頼むかは、余った分を翌週に回せるかで決めます。乾物や冷凍品のように持ち越せる品目から使い始め、持ち越せない品目は記録が13回そろうまで人の判断を厚めに残します。

季節の1周目は、記録に無い山が必ず来ます。去年の12月の記録が無い店で12月を迎えるなら、11月の平均をそのまま使わず、店長が上書きします。上書きした量と、実際に出た量と、上書きした理由を1行ずつ残しておくと、それが翌年の12月の「去年の同じ月」になります。上書きの記録が無いと、翌年も同じ月に同じ迷い方をします。

気象庁は季節予報の確率を「同じ予報を100回発表したとき、そのうち約60回は実際にそうなる」という意味だと説明しています。店の見込みも同じです。13回の記録から出した曜日の平均は「同じ月曜が何回もあれば、だいたいこのあたり」という数で、次の月曜1回を言い当てる数ではありません。1回外れても平均を捨てず、外れた日に印を付けて回数を積みます。幅のどこで頼むかの決め方は、発注量を決める3つの数字の記事に書いています。

記録を掘り起こすのは0円。見込みを出す費用は、期間の長さでは決まらない

最初の1週間でやるのは、レジの日ごとの売上と客数を3ヶ月分書き出すこと、納品書を品目ごとに日付順に並べることの2つです。どちらも費用はかかりません。Excelに日付と数量の2列で入れておけば、曜日の平均と、祝日を除いた平均を自分で出せます。

見込みまで出したいなら、その2列のCSVを1本お預かりして、予測に使えるかを確かめるところから始めます。Iramepakariはリリース前で、データの確認と試験予測の相談は無料です。3ヶ月分あれば曜日の差を、1年分あれば季節の波まで見た結果をお返しします。半年分のように季節が一巡していない記録でも試作はできます。その場合は、確かめられた範囲と確かめきれていない範囲を分けてお伝えします。

見込みを毎日の発注表や仕込み表の画面にする場合、金額と期間を決めるのは記録の長さではありません。品目の数、データの出どころがレジか納品書か手入力か、見込みを出すだけか発注の締切まで画面に組み込むかの3つです。レジの客数から翌日の日配品の数を出す食料品店の形は日配品の発注表の開発プランに、予約も券売機も無い定食屋で朝に何食作るかを決める形は日替わりランチの食数予測の開発プランに書いています。

帳簿から掘り起こす

費用は0円。レジの売上・客数と納品書を日付順に並べ、Excelに日付と数量の2列で入れます。

CSVの確認と試験予測

無料。3ヶ月分なら曜日の差、1年分なら季節の波まで。季節が一巡していない記録は、確かめられた範囲を分けてお伝えします。

画面にする

金額は品目数・データの出どころ・画面に組み込む範囲で決まります。記録の長さは費用に影響しません。

まとめ

要る長さは決めたいことで違います。曜日の差は3ヶ月、去年の同じ月との比は1年、年に1回の山は2回分です。4週間では祝日1回で平均が15%動き、13回あれば5%弱に収まります。

記録の多くは帳簿にあります。売上帳・納品書・棚卸表は7年保存が決まっているので、日付と数量の2列は過去にさかのぼって作れます。記録が短くても、幅を広く持って持ち越せる品目から始め、季節の1周目は人が上書きして理由を残します。

次にやることは1つです。納品書の束から品目を1つ選び、直近3ヶ月の日付と数量をExcelの2列に写すこと。その品目の曜日ごとの平均が、最初の見込みになります。

よくある質問

売上データは何年分あれば需要予測ができますか?

明日の発注に使う曜日の差だけなら3ヶ月分で足ります。来月の仕入計画に使う季節の波は1年分、年末年始のような年に1回の山を「毎年そうなる」と言うには2年分です。当社の需要予測AI「EvoQuest Iramepakari」は3ヶ月分ほどから試せて、1年分あると季節の増減まで反映しやすくなります。

記録を取り始めたばかりで、1ヶ月分しかありません。待ったほうがいいですか?

待つより始めたほうが早く3ヶ月に着きます。同じ曜日が4回しかない段階では、いちばん多かった日と少なかった日を幅の上下に置き、持ち越せる品目から平均を使います。並行して、納品書と棚卸表から過去の分を掘り起こせば、その日のうちに3ヶ月分がそろうこともあります。

レジが古くて、品目別の売上が出ません。それでも見込みは立ちますか?

日ごとの売上と客数だけでも曜日の差は見えます。品目ごとの数は、仕入先の納品書に日付と数量が書いてあるので、頼んだ数の並びとして過去にさかのぼって作れます。納品書は法人で7年、白色申告の個人でも法定帳簿は7年の保存が決まっているので、手元に残っているはずです。

去年のデータはありますが、途中で店を改装して客数が変わりました。使えますか?

改装の前後を分けて見ます。曜日の差のような割合の傾向は改装をまたいでも残ることが多く、量の水準は改装後の記録で置き直します。改装日に印を付けておけば、前の記録を捨てずに済みます。どこまで使えるかは、CSVを見ながら確かめられた範囲を分けてお伝えします。

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この記事を書いた人

立石伊吹代表取締役 / DX・AIアドバイザー

北海道札幌市手稲区の会社です。北海道内は直接うかがい、道外はオンラインで対応しています。専門用語を使わず、相手の言葉で話すことを大事にしています。

手元の記録が何ヶ月分あるかを、一緒に数えるところから。

記録を取っていないと思っていたが、納品書と棚卸表なら残っている。レジの売上は出せるが、品目別は出ない。1年分はあるが、途中で客数が変わっている。そんな状態で相談していただいて大丈夫です。レジの書き出しか納品書の写しを1本お預かりして、3ヶ月分・1年分のどこまでがそろっていて、何が分かる長さかを分けるところから始めます。

記録の長さで何が分かるかを確認する (新しいタブで開きます)

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