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需要予測・AI

新商品・新店の最初の発注量はどう置くか。記録が無いあいだは、当てにいかず測り始める数を置く

新商品は似た商品の出数を借り、新店は客数の積算から品目の出数まで下ろして、幅で置きます。幅のどちら側を取るかは仕入先との条件で決め、最初の2週間は測るための期間と割り切ります。新しいメニューや2店目を考えている飲食店・小売店の経営者向けです。

この記事でわかること

  • 過去の記録が無い品目や店では、最初の量を「当てる」ことはできません。似た商品や客数の積算から幅を置き、最初の2週間で日ごとの出数・売り切れた時刻・捨てた数を残して、幅を狭めていきます。
  • 新商品の最初の量は、価格帯と売り場が近い既存の商品の出数を借り、置き換わる分と新しく増える分に分けて置きます。中小企業基盤整備機構は、新しく商品を仕入れるときは仕入を止める商品も検討するよう勧めています。
  • 新店の最初の量は、同機構の起業マニュアルにある「客単価×席数×回転率×営業日数」の積算から、品目ごとの注文の割合を掛けて出数に下ろします。客数は通行量と商圏の世帯数から置きます。
  • 記録が無い期間に余りの損を小さくするのは、仕入先との条件です。買取・委託・消化の仕入形態と返品の条件で、幅の上側で頼めるか下側で頼むべきかが決まります。
  • 開店直後の数字は、特典と物珍しさで上がっています。その期間に印を付けて平均から分け、記録が13回そろったところで曜日の平均に移ります。3ヶ月分たまれば、過去の並びから見込む道具に渡せます。

最初の量は「借りる・条件で狭める・測る」の3つで置く

新しいメニューを出すとき、2店目を開けるとき、手元に過去の記録はありません。この状態で最初の発注量を「当てよう」とすると、根拠の無い数を1つ決めて、外れたときに直す材料も残らない、という進み方になります。当社は、記録が無い期間の量を「測り始める数」として置きます。

やることは3つです。似た商品や似た条件の店の記録を借りて幅で置くこと。幅のどちら側で頼むかを、仕入先との条件で決めること。最初の2週間を測る期間と決めて、日ごとの出数と売り切れた時刻と捨てた数を残すことです。

この記事は、新商品と新店を分けて、借りる先と積算のしかたを書きます。記録が4週間たまったあとの進め方は、発注の見込みは何日分の記録があれば立つかの記事に続きます。

借りる

新商品は、価格帯と売り場が近い既存の商品の出数。新店は、席数・回転率・商圏の世帯数から積算した客数。どちらも幅で置きます。

条件で狭める

買取か委託か消化か、返品できるか、持ち越せる品目か。この条件が、幅の上側と下側のどちらで頼むかを決めます。

測る

最初の2週間は、日ごとの出数・売り切れた時刻・捨てた数の3つを残す期間です。13回の記録がそろえば、曜日の平均に移れます。

新商品の最初の量は、似た商品の出数を「置き換わる分」と「増える分」に分けて置く

新しいメニューの出数の多くは、いまある似た商品を頼んでいたお客さんの一部がそちらに移った分で、残りが新しく増える分です。だから最初の量は、似た商品の出数を借りて、置き換わる分と増える分に分けて置きます。借りる相手は、価格帯が近く、メニューや売り場で同じ位置に並び、日持ちの条件が同じ商品です。

中小企業基盤整備機構の起業マニュアルは、仕入商品の選定を、売上高の大きい商品、売れ足の早い商品、利益に貢献している商品という「過去の販売記録をベースとした基準」に、「顧客ニーズを先取りするものを加味して決定」するよう書いています。新商品はこの「先取り」の側にあり、記録がある似た商品の側から数を借りるしかありません。

同じマニュアルは、開店後に仕入商品を見直す材料としてPOSの販売データや顧客の声を挙げたうえで、「新しく商品を仕入れるときは、今までの売れ行きを見て、仕入を止める商品も検討しましょう」と書いています。置き換わる側の商品の量を減らさないと、棚と仕込みの合計が増えるだけです。新しい1品を足すなら、減らす1品を同時に決めます。

下側

似た商品の出数のうち、置き換わると見込む分だけ。新しく増える分が無かった場合の数です。

中央

置き換わる分に、新しく増える分を足した数。最初の2週間の記録と比べる基準になります。

上側

似た商品と同じだけ出る、と置いた数。話題になって初日に集中する場合の上限です。

新店の最初の量は、客数の積算から品目の出数まで下ろす

新店には、借りられる商品の記録がそもそもありません。代わりに店全体の客数を積算して、品目ごとの出数に下ろします。中小企業基盤整備機構の起業マニュアルは、飲食店や理美容店の売上の積算式を「客単価×席数×回転率×営業日数」とし、回転率を「10席ある店舗で100人のお客さんが来店したら10回転した」と説明しています。商品の幅が広い店なら「1日あたりの客数×客単価×年間営業日数」です。

客数は「希望的観測ではなく、客数であれば、店舗がある通りの通行量や商品の特性(日常的に購入する商品か、そうでないのか)を考慮したりする必要があります」と同じマニュアルは書いています。通行量は、物件を決める前に「時間帯や曜日を変えて何度も足を運び」数えるものです。開店前に曜日ごとの通行量を数えておくと、それが新店で最初に手に入る「曜日の差」の記録になります。

商圏の側からも客数を置けます。同じマニュアルは、日常的に買うものの商圏を都市部で徒歩5分から10分、地方で自動車15分ほどとし、世帯数を国勢調査で調べて競合店と売場面積の比で分ける例を載せています。世帯数10,000のうち3,000世帯が売場面積2倍の競合店と重なるなら、1対2で分けて自店の顧客世帯数を8,000と置く計算です。

1日の客数が置けたら、品目ごとに「何人に1人が頼むか」を掛けます。この割合にも記録は無いので、前に働いていた店や1店目の数字を借りて幅で置きます。席数30で1日2回転なら客数は60人で、4人に1人が頼む品目の出数は15です。回転率を1.5から2.5の幅で置けば、出数は11から19の幅になります。

客数の積算

席数×回転率、または通行量からの入店数。回転率は幅で置き、開店前に数えた曜日ごとの通行量を最初の曜日の差にします。

品目の注文の割合

何人に1人が頼むか。1店目や前職の店の数字を借り、借りた相手と客層が違う分だけ幅を広げます。

出数から発注量へ

出数に、届くまでの日数と仕入の単位を掛けて発注量にします。式は<a href="/articles/restaurant-order-quantity/">発注量を決める3つの数字の記事</a>と同じです。

DEMO

似た商品の出数や席数を動かすと、最初に置く数がどう変わるか

新商品なら、似た商品の1日の出数と、置き換わる割合・新しく増える割合を入れます。新店なら、席数と回転率の幅と、何人に1人が頼むかを入れます。仕入形態と返品の条件で幅のどちら側を取るかが変わり、仕入の単位で切り上げた発注数が出ます。

最初の発注量の置き方|新商品と新店で借りる先が変わる

新商品と新店を切り替えて、借りる数と幅の出方の違いを見る画面です。仕入形態を買取・返品不可から委託・消化に変えると、同じ幅でも頼む数が下側から上側に動きます。開店直後の特典の期間をふだんに混ぜたときの平均のずれも出します。

触って動かせます
計算の中身
新商品は「似た商品の出数×置き換わる割合」を下側、それに「似た商品の出数×増える割合」を足した数を中央、似た商品と同じ出数を上側にしています。新店は「席数×回転率÷何人に1人が頼むか」で、回転率の下限と上限がそのまま幅の下側と上側です。
使っている前提
仕入形態で取る側が変わる決め方(買取・返品不可は下側、返品可は中央、委託・消化は上側)は、この記事で説明した当社の置き方で、法令や統計の基準とは別のものです。開店週の上乗せの倍率と、似た商品の出数の初期値は、すべて架空の入力例です。
確かめてほしいところ
新商品で「置き換わる割合」を0%にしてみてください。下側が0になり、増える分だけで置くことになるので、幅が上下に広がります。次に仕入形態を「委託・消化」に変えると、同じ幅のまま頼む数が上側に動きます。新店では回転率の幅を狭めるほど発注数の上下が近づくので、開店前に通行量を数える意味がここで見えます。

※ 数値はすべて入力例です。似た商品の出数や回転率は、自店の記録と候補の物件の前で数えた通行量に置き換えてください。この画面は最初の数の当たりをつけるためのもので、開店後は2週間ごとに記録で直すことを前提にしています。

記録が無いあいだの余りの損は、仕入先との条件で小さくする

幅の上側と下側のどちらで頼むか。記録があれば余った損と足りない損を金額で比べられますが、その金額も記録が無いと出ません。代わりに使えるのが、仕入先と取り決める条件です。中小企業基盤整備機構の起業マニュアルは、仕入形態を買取仕入、委託仕入、消化仕入の3つに分け、買取仕入でも「返品が可能な場合があれば、返品の処理方法も事前に確認しましょう」と書いています。

委託仕入は商品を預かって売り、売れた分の手数料を受け取る形、消化仕入は顧客に売れた時点で発注する形で、「売れなければ在庫リスクは仕入先が抱えます」。新商品の最初の数で迷うなら、最初の数週間だけこの形で入れられないかを仕入先に聞くほうが、見込みを精密にするより早い場合があります。この形が取れる品目は幅の上側で置いてよく、買取で返品できない品目は下側で置いて、足りない日に買い足す先を決めておきます。

発注数量についても、同じマニュアルは「特に取引開始当初の発注数量を決める時は、バランス感覚が要求されます」と書き、大量仕入の利点と並べて「需要の変化による売れ残りリスクの増加」を挙げています。記録が無い期間に数量割引を取りにいくのは、この売れ残りの側を大きくする判断です。最初の2週間は小さい単位を優先し、記録がそろってから単位を大きくします。

買取・返品不可

幅の下側で置く。足りない日に買い足せる先を、開店前に決めておきます。日持ちしない品目はとくにこちらです。

買取・返品可

返品の期限と条件を確かめたうえで、中央で置く。返品できる期限が、測る期間の長さになります。

委託・消化

幅の上側で置ける。在庫の損は仕入先が持つので、最初の数週間だけこの形で入れられないかを先に聞きます。

開店直後の数字を「ふだん」に混ぜない。印を付けて、2週間で3つを測る

開店してから最初に取れる記録は、そのままでは使えません。中小企業基盤整備機構の集客販促のページは、開業のタイミングを「メディアの人からも、知人・友人、店舗を出すのであれば近隣の方たちからも注目をされやすい時」とし、チラシやホームページに「オープニングのキャンペーンやノベルティのプレゼントなどの特典情報」を付けて初回来店のハードルを下げるよう勧めています。開店直後の来客は、特典と物珍しさで上がっている数字です。

だから最初の記録には、特典の期間とチラシを配った日に印を付けます。特売や催しの日の記事で書いた「日の種類」の列と同じで、印の付いた日を除いた平均と含めた平均の両方を出せるようにするためです。同じページは集客の効果測定を「1週間や1ヶ月毎などに定期的に」数えるよう書いていて、この集計がふだんの客数が見え始める時期の目安になります。

測る期間は最初の2週間と決め、残すのは3つです。日ごとの出数、売り切れた時刻、捨てた数。出数だけでは、売り切れて出せなかった分が見えません。売り切れた時刻が早い日が続くなら幅の上側へ、捨てた数が続くなら下側へ、2週間ごとに動かします。同じ曜日が13回そろえば曜日の平均が出せるので、そこからは借りた数を捨てて自店の記録に切り替えます。

記録が3ヶ月分たまれば、過去の日付と数量の並びから先を見込む道具に渡せます。当社が開発中の需要予測AI「EvoQuest Iramepakari」は、日付と数量の2列のCSVを入れると28日先までの見込みを幅つきで出す作りで、3ヶ月分ほどの記録から試せます。最初の3ヶ月をこの記事のやり方でしのぎ、たまった記録をそのまま渡す順番です。

開店前の積算は0円。仕組みにする費用は、品目数とレジのつなぎ方で決まる

開店前にやるのは、似た商品の出数を書き出すこと、席数と回転率の幅と品目ごとの注文の割合を置くこと、仕入先ごとに仕入形態と返品の条件を確かめること、の3つです。Excel1枚と電話で済み、費用はかかりません。売場面積あたりの売上や業種ごとの原価率の目安は、起業マニュアルが参照先に挙げる日本政策金融公庫の「小企業の経営指標調査」で確かめられます。

開店後3ヶ月は、日ごとの出数・売り切れた時刻・捨てた数の3つを残す期間で、紙かExcelで足ります。3ヶ月分の記録がたまった時点で、CSVを1本お預かりして見込みに使える状態かを確かめるところまでは無料です。Iramepakariはリリース前で、データの確認と試験予測の相談を受け付けています。

見込みを毎日の発注表の画面にする費用は、品目の数、レジや仕入先の発注システムとつなぐかどうか、発注の締切まで画面に組み込むか、の3つで決まります。品目ごとの発注点を毎晩引き直す形は飲食店の発注表アプリの開発プランに、品目別の出数から前夜に仕込み数を確定する形は居酒屋の品目別出数の開発プランに書いています。どちらも初期値をこの記事のやり方で置き、記録がたまってから見込みに置き換える作りにできます。

開店前

費用0円。似た商品の出数、客数の積算、仕入先の条件をExcel1枚に並べます。

開店後3ヶ月

紙かExcelで3つの記録を残す期間。たまった時点のCSVの確認と試験予測は無料です。

画面にする

金額は品目数・レジとのつなぎ・発注表まで作るかで決まります。記録の有無は費用に影響しません。

まとめ

記録が無いときの最初の量は、測り始める数です。新商品は似た商品の出数を置き換わる分と増える分に分けて、新店は客数の積算に品目ごとの注文の割合を掛けて、幅で置きます。

幅のどちら側で頼むかは、仕入先との条件で決めます。委託・消化や返品可なら上側、買取で返品できないなら下側で置いて買い足す先を決めておきます。開店直後の数字には特典の期間の印を付け、ふだんの平均に混ぜません。

次にやることは1つです。新商品なら、価格帯と売り場が同じ既存の商品を1つ選んで、直近4週の出数を書き出すこと。新店なら、候補の物件の前で曜日を変えて通行量を数えること。それが最初の記録になります。

よくある質問

新しいメニューの最初の仕込み量は、何を基準に決めればいいですか?

価格帯とメニューの位置が同じ既存の品目の出数を借ります。新メニューに置き換わると見込む分を下側、新しく増える分を足した数を中央、既存の品目と同じだけ出る数を上側にして幅で置き、日持ちしない材料なら下側で仕込んで足りない日は売り切れの札で受けます。同時に、置き換わる側の品目の仕込みを減らします。

2店目の売上や客数の見込みは、どこで調べられますか?

中小企業基盤整備機構の起業マニュアルに、飲食店の「客単価×席数×回転率×営業日数」と、商圏の世帯数を国勢調査で調べて競合店と売場面積の比で分ける方法が載っています。売場面積あたりの売上や業種の原価率の目安は、同マニュアルが参照先に挙げる日本政策金融公庫の「小企業の経営指標調査」にあります。1店目があるなら、1店目の品目ごとの注文の割合がいちばん近い記録です。

開店直後によく売れています。発注をその数に合わせて増やしてよいですか?

特典の期間やチラシを配った直後の数字は、ふだんより上がっている前提で見ます。記録にその期間の印を付け、印の付いた日を除いた平均を別に出してください。売り切れた時刻が特典の期間を過ぎても早いままなら、幅の上側へ動かします。判断は2週間ごとで足ります。

記録が無い新店でも、需要予測は使えますか?

過去の日付と数量の並びから先を見込む道具なので、記録が無い時点では使えません。当社の需要予測AI「EvoQuest Iramepakari」も3ヶ月分ほどの記録から試す作りです。それまでは、この記事のように似た商品や客数の積算から幅で置き、日ごとの出数・売り切れた時刻・捨てた数を残す期間にしてください。3ヶ月たまったCSVの確認は無料です。

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この記事を書いた人

立石伊吹代表取締役 / DX・AIアドバイザー

北海道札幌市手稲区の会社です。北海道内は直接うかがい、道外はオンラインで対応しています。専門用語を使わず、相手の言葉で話すことを大事にしています。

新しいメニューや2店目の、最初の数を一緒に置くところから。

似た商品はあるが、どれを借りればいいか迷っている。2店目の席数は決まったが、品目ごとの量まで下ろせていない。開店して3週間たったが、特典の期間の数字と混ざってふだんが分からない。そんな状態で相談していただいて大丈夫です。手元にある1店目の記録か似た商品の出数を見せていただき、幅の置き方と、最初の2週間で何を残すかを一緒に決めるところから始めます。

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