ふだんと違う日の上乗せの試算|倍率の出し方と、予約と信頼度で当日分がどう狭まるか
架空の店の1品目で試す画面です。年に1回の行事・繰り返す特売・初めての催しのどれかを選ぶと、材料と倍率の出し方が切り替わり、今年の曜日のふだんに掛けた見込みの幅、予約で固まった分を引いた当日分、前日と翌日の数が並びます。
需要予測・AI
特売や行事の日は、通常日の販売数に過去の似た日の売れ方と予約数を反映して発注量を決めます。同じ行事でも曜日や天気で売れ方が変わるため、前年の数量をそのまま使わず調整します。飲食店・小売店・惣菜店向けに手順を説明します。
チラシの特売の日、近くの公園で催しがある日、節分や土用のうしの日のように年に1回だけ来る行事の日。こうした日の数は、ふだんの曜日の平均をそのまま使っても、去年の当日の数をそのまま使っても外れます。同じ曜日のふだんの数にその日の条件に合う倍率を掛けて決めます。ふだん100個の土曜が去年の行事の日に180個売れたなら、倍率は1.8です。今年のその日が木曜でふだん90個なら、土台は162個になります。
上乗せの材料は日の種類で3つに分かれます。1つめは去年の同じ日がある「年に1回の行事」で、去年の記録が材料です。2つめは自店に何回もある「繰り返す特売・給料日後・連休」で、自店の記録から出した倍率が材料です。3つめは記録がない「初めての催し」で、条件が似た日の販売実績から数量の範囲を見積もり、予約数で調整します。どの種類かを先に決めると、見るべき記録が1つに絞れます。
ここで言う「ふだん」は、行事・特売・祝日を除いた直近の同じ曜日の平均です。除き方は小売店の来店数の記事で「特売・催事の日は別にする」と書きました。この記事では、通常の日と分けた行事や特売の日に用意する数をどう決めるかを説明します。
年に1回の行事の山は当日だけに立ちません。総務省統計局が家計調査から出した統計トピックスでは、うなぎのかば焼きへの1世帯あたりの支出は、平成14年の1年間で7月が23.3%を占め、7月の中では土用のうしの日にあたる7月20日が26.2%、その前日と翌日を足した3日間で38.8%でした。当日の前後にもふだんより高い日が続いています。去年の記録を見るときは、当日1日だけを見ずに、前日・当日・翌日の3日を並べます。
曜日のずれを倍率で消します。節分や土用のうしの日は、年によって日付や曜日が変わります。去年の当日が土曜で今年が木曜なら、去年の数には土曜の分が混ざっています。だから、去年の当日の数を去年のその曜日のふだんで割って倍率に直し、今年の当日の曜日のふだんに掛け直します。前日と翌日も同じ手順です。2年分の記録があると倍率の当たりが付きやすくなることは、記録の期間の記事に書きました。
倍率で出した上乗せの全部を見込みで持たなくて構いません。農林水産省は、恵方巻きをはじめとする季節食品について、平成31年から毎年、食品小売の団体を通じて「予約販売等の需要に見合った販売」を小売業者に呼びかけています。予約で固まった分は幅の外に出ます。予約の締切を仕込みや仕入れの締切の前に置けば、当日分だけを見込みで持てばよくなります。
去年の前日・当日・翌日の数をそれぞれの曜日のふだんで割ります。3つの倍率ができます。
今年の前日・当日・翌日の曜日のふだんに3つの倍率を掛けます。曜日による販売数の違いをこの計算で調整します。
予約・前売り・取り置きの数を見込みから引き、残りを当日分として幅で持ちます。
チラシの特売日、給料日の直後、3連休の中日。こうした日は自店の記録に月に何回もあります。レジの日別の売れ数か客数の表に「日の種類」という列を1つ足し、その日に「特売」「連休中日」「給料日後」「なし」のどれかを書きます。種類ごとに、その日の数をその曜日のふだんで割った倍率を平均すれば、上乗せの材料ができます。4回分たまってから使うと、1回の雨の日に引きずられません。
品目で材料を分けます。特売に出す品目そのものは、去年の同じ特売の売れ数が材料です。売価が同じなら倍率もだいたい同じです。特売に出さない品目は、特売の日に増える来店の分だけ上乗せするので、材料は来店の倍率です。同じ「特売」の列でも、掛ける相手が違います。
反動も同じ列で見えます。特売でまとめ買いされる品目は、翌日に下がります。列に「特売翌日」と書いておけば、翌日の倍率が0.8倍や0.9倍のように出てきて、翌日の発注を減らす材料になります。上乗せだけ見て翌日をふだんのまま頼むと、特売のたびに翌日の余りが積み上がります。
当社が開発中の手軽に使える需要予測AIは、日付と数量の2列のCSVから28日先までの見込みを幅つきで出す作りで、曜日や季節のようにデータそのものに表れる傾向は自動で反映します。天気・イベント・特売のような外側の情報は、本格導入のときに業務に合わせて組み込むかどうかを一緒に決めるので、「日の種類」の列を店の側で持っておくと、そのまま材料になります。
1日1語。特売・特売翌日・連休中日・給料日後・なし。迷う日は「なし」にして、あとで直します。
種類ごとに、その日の数÷その曜日のふだんを平均します。4回以上たまってから使います。
特売品は同じ特売での販売数、それ以外の品目は特売日に増えた来店数を参考に、それぞれ倍率を求めます。
近くで初めて開かれる催しや初めて扱う特売品のように記録がない日は、条件が近い日の販売実績を参考にします。同じくらいの規模の催しが前にあったなら、その日の販売数が通常の何倍だったかを参考にします。無ければ、幅の下側に「自店のいちばん忙しい曜日のふだん」、上側に「去年いちばん売れた日」を置きます。幅は広くなりますが、どこまで振れるかは見えます。
過去の実績を使うときは、開催する月の人出も考慮します。北海道庁の観光入込客数調査(令和7年度の資料編)では、全道の月別の入込客数は8月が2,229万人、12月が798万人で、月によって3倍近く違います。同じ冬でも2月は986万人で、12月と1月より多い月です。観光地に近い店なら、8月の初めての催しと12月の初めての催しに同じ倍率を置かず、その月の人出を土台にします。
幅を狭める手は予約です。前売り・予約・取り置きで固まった分は幅の外に出るので、当日分の幅だけが残ります。当日の朝に追加で作れる品目は、当日分を下側に寄せて追加で補います。外れた日は「初めての催し」と理由を1行残します。次に同じ催しが来たとき、その日は2つめの「繰り返す日」に移り、自店の倍率で決められます。
前に似た催しがあればその倍率。無ければ、いちばん忙しい曜日のふだんを下側、去年の最多日を上側に。
固まった分を先に引きます。当日の朝に追加できる品目は、当日分を下側に寄せます。
外れた理由を1行残します。2回目からは自店の記録で決められる日になります。
DEMO
その日の種類・今年と去年の曜日・去年の当日の数・予約で固まった数・週間天気予報の信頼度・幅のどちら側を取るかを動かすと、倍率・当日の見込みの幅・予約を引いた当日分・前後の日の数が変わります。
架空の店の1品目で試す画面です。年に1回の行事・繰り返す特売・初めての催しのどれかを選ぶと、材料と倍率の出し方が切り替わり、今年の曜日のふだんに掛けた見込みの幅、予約で固まった分を引いた当日分、前日と翌日の数が並びます。
※ 店・品目・ふだんの数・去年の数・倍率はすべて架空の入力例です。信頼度で広げる幅の大きさも架空で、気象庁の値は適中率と翌日に変わる割合だけです。
屋外の催しの日や天気で売れ数が動く品目は、上乗せの倍率に天気の振れが重なります。気象庁の週間天気予報は翌日から7日先までを毎日11時ごろと17時ごろに発表し、3日目以降の雨が降るかどうかの予報に、A・B・Cの3段階の信頼度を付けています。気象庁の検証では、信頼度Aの適中率は平均88%で翌日に予報が変わる割合は平均1%、Bは73%と6%、Cは58%と16%です(2014年12月までの5年間)。
信頼度は数を確定する時刻を決める材料です。催しの5日前に晴れの予報で信頼度Aなら、その時点で上乗せを確定して構いません。信頼度Cなら、締切まで待って翌日の予報を見直します。仕入れに3日かかる品目のように締切を動かせないものは、Cのときは下側で頼み、当日に追加できる品目で上側を補います。
8日以上先の催しには、日ごとの天気予報がありません。気象庁の2週間気温予報(毎日14時30分)は気温の傾向、1か月予報(毎週木曜14時30分)は期間の平均気温や降水量が「低い・平年並・高い」のどれに入るかを確率で示すもので、催し当日の天気は分かりません。1か月先の催しの数は、去年の同じ時期と平年の天気で置き、7日前から週間予報の信頼度で直します。
適中率 平均88%、翌日に変わる割合 平均1%。この時点で確定してよい段階です。
適中率 平均73%、翌日に変わる割合 平均6%。締切がまだ先なら、1日待つ価値があります。
適中率 平均58%、翌日に変わる割合 平均16%。締切まで待つか、締切が動かせない品目は下側で頼みます。
最初にやることは、日別の売れ数か客数の表に「日の種類」の列を1つ足すことです。紙でもExcelでも構いません。行事・特売・特売翌日・催し・連休中日・給料日後・なし、の7語ほどで足ります。年に1回の行事は、去年の前日・当日・翌日の数を帳簿から書き写しておきます。種類ごとに4回分たまれば倍率が出ます。ここまでは費用がかかりません。
次の段階は、レジから日別の売れ数をCSVで書き出して、ふだんの見込みを機械で出すことです。当社の需要予測AIは日付と数量の2列があれば動き、リリース前の今はデータ確認と試験予測を無料で受けています。ふだんの見込みが幅で出ていれば、そこに店の側で倍率を掛けるだけで、この記事の計算は全部できます。
行事の台帳・予約・倍率を1つの画面にまとめて、締切の時刻に用意する数が出る形にする場合は、当社の開発プランが目安になります。生花店の切り花の仕入れ表は盆と彼岸の7日ぶんをセリの前日17時に決める作り、和菓子店の催事の搬入数は催事の初日の夜に会期後半の発送を決める作りで、どちらも設計から納品まで約2ヶ月を想定しています。費用は、日の種類の数、予約をどう取るか(紙・電話・ネット)、レジから売れ数をどう取り出すか(手動のCSVか自動連携か)の3つを決めると見積もれます。
日の種類の列を1つ。前年の行事の前日・当日・翌日の販売数を書き写す。費用はかかりません。
レジの日別売れ数を書き出す。日付と数量の2列で試験予測ができます。倍率は店で掛けます。
行事の台帳・予約・倍率を1画面に。日の種類の数・予約の取り方・レジとのつなぎ方の3つで費用が決まります。
ふだんと違う日の数は、同じ曜日のふだんの数にその日の条件に合う倍率を掛けて決めます。年に1回の行事は前年の行事の前日・当日・翌日の販売数を倍率に直して今年の曜日に掛け直し、繰り返す特売や連休は記録の「日の種類」の列から倍率を出し、初めての催しは似た催しの実績から販売数の下限と上限を見込みます。
予約で固まった分は幅の外に出るので、当日分だけを見込みで持ちます。屋外の催しと天気で振れる品目は、週間天気予報の信頼度A・B・Cで数を確定する時刻を決めます。外れた日は理由を1行残し、次回は自店の記録で決められる日に移します。
次にやることは1つです。日別の売れ数の表に「日の種類」の列を足し、次に来る年に1回の行事について、去年の前日・当日・翌日の数を帳簿から書き写してください。3つの倍率が出れば、この記事の掛け算ができます。
自店に同じ催しの記録があれば、その日の来客をその曜日のふだんで割った倍率が出せるので、今年の曜日のふだんに掛けて見込めます。初めての催しは記録が無いので、似た催しの実績を参考に販売数を下限と上限で見込みます。どちらも幅で出て、予約や前売りで固まった分だけ幅が狭くなります。
記録の「日の種類」の列に「特売翌日」と書いておくと、翌日の数をその曜日のふだんで割った倍率が出ます。まとめ買いされる品目ほど下がりやすく、0.8倍や0.9倍のような値になります。特売の日の上乗せだけを見て翌日をふだんのまま頼むと、特売のたびに余りが出るので、翌日の倍率も上乗せと同じ場所に置いておきます。
初めての催しと同じ扱いになります。似た催しの実績を参考に、下側に自店のいちばん忙しい曜日のふだん、上側に開業からいちばん売れた日を置き、予約や取り置きで固まった分を先に引きます。外れても、その日の数と理由を残せば、来年は「去年の同じ日がある行事」として倍率で決められます。
使えます。予約は幅を狭める手の1つで、無ければ幅をそのまま持ち、締切を遅らせることで代わりにします。当日の朝に追加できる品目は当日分を下側に寄せ、締切が動かせない品目は損の大きさで上側か下側かを決めます。飲食店なら、当日追加できる品目とできない品目を分けるところから始めると、予約が無くても幅は狭まります。
節分や盆の発注量が毎年合わない、初めての催しで準備量に迷う。その状況からご相談ください。参考にできる過去の実績と予約情報を確認し、発注量を調整する方法を整理します。