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飲食の需要予測・AI

棚卸の数字を次の発注に使う。数えるだけで終わらせない方法

月末の棚卸で集めた数字は、原価率の計算に加えて、次の発注量を決めるときにも使えます。前回の在庫に仕入量を足し、今回の在庫を引くと、期間中の在庫減少量が分かります。廃棄や在庫移動も確認したうえで、1営業日あたりの平均使用量と在庫日数を求めます。個人店から数店舗の飲食店の経営者に向けて書きました。

この記事でわかること

  • 棚卸の数量と仕入記録から、使った量や在庫日数も計算できます。前回の在庫に期間中の仕入を足し、今回の在庫を引くと、その期間の在庫減少量が品目ごとに出ます。廃棄や在庫移動も含むため、調理に使った量とは分けて確認します。
  • 使った量を営業日数で割ると1日に使う量、今回の在庫をそれで割ると在庫日数です。次の納品までの営業日数と比べると、不足する可能性を確認できます。在庫日数が長い品目は、使用期限や今後の予約も確認して発注量を見直します。
  • 個人事業の棚卸表は、所得税法の規則で「数量・単価・金額」を品目ごとに書くと決まっています。発注の参考にするには、棚卸表に前回の在庫・期間中の仕入量・営業日数を加えると、在庫日数を計算できます。
  • 月1回の数字では次の発注に間に合わない品目があります。必要な品目について在庫と仕入・廃棄・移動を日別に記録すると、日々の使用量を調べる材料になります。

棚卸記録から、在庫の減少量・平均使用量・在庫日数を計算する

月末の棚卸で手に入る数字は、数えた瞬間の在庫のほかにもあります。前回の棚卸の数に、その間に仕入れた数を足し、今回数えた数を引くと、その期間に在庫が減った量を品目ごとに計算できます。この数字には、調理で使った量のほか、廃棄やまかない、在庫移動、記録漏れによる差も含まれます。発注の参考にするときは、これらを分けて確認します。

使った量を、その月の営業日数で割ると、1日に使う量になります。たとえば鶏もも肉を月に90kg使い、営業日が25日なら、1日に3.6kgです。今回数えた在庫が11kgなら、11÷3.6で在庫日数は約3日。同じペースで使うと仮定すれば、次の納品まで2営業日なら足り、4営業日なら不足する計算です。予約や曜日によって使用量が増える場合は、その分も考慮します。

この3つは、いま紙やExcelで作っている棚卸表に、前回の在庫・期間中の仕入量・営業日数の列を足すだけで出ます。仕入記録を集計すれば、月末の棚卸を原価率の計算と翌月の発注の見直しに使えます。発注量を決める3つの数字の記事で「届くまでに使う数」と呼んでいる数量を見積もる際にも、こうした使用量の記録が参考になります。

在庫の減少量

前回の在庫+期間中の仕入-今回の在庫。調理以外の減少も含むため、廃棄や店舗間の移動、記録漏れを確認します。

1営業日あたりの平均使用量

使った量÷その期間の営業日数。曜日の差はならされるので、月の平均として扱います。

在庫日数

今回の在庫÷1日に使う量。次の納品までの日数や、次の棚卸までの日数と比べる数字です。

税務のための棚卸表と、発注のための棚卸表は、同じ1枚でよい

個人事業の飲食店では、年末の在庫を確認して棚卸表を作成します。品目ごとに数量・単価・金額を記録し、棚卸表は青色申告では7年間、白色申告では5年間保存します。保存する書類と期間は、国税庁の記帳・帳簿保存の案内で確認できます。

単価の付け方にも決まりがあります。評価の方法を税務署に届け出ていなければ、法定の「最終仕入原価法」、つまり年末にいちばん近い日に仕入れたときの単価で評価します(所得税法施行令第102条)。仕入伝票の束から平均を計算する必要はなく、最後の納品書の単価を拾えば足ります。

棚卸の対象には、原材料のほか、未使用の消耗品なども含まれます。ただし、通常の年に比べて特に増えていない消耗品などは、棚卸を省略できる場合があります。対象と評価方法は、国税庁の決算・棚卸の説明資料で確認できます。発注に使う数量を記録するときは、税務上の扱いとは別に、在庫不足を防ぎたい品目も対象にします。

在庫日数を、発注量や確認頻度を見直す目安にする

在庫日数は、現在の在庫が平均で何営業日分あるかを示す目安です。次の納品までの日数と比べて不足の可能性を確認し、長く残る品目は使用期限や今後の予定も見て発注量を検討します。棚卸の間隔だけでは、適正な在庫量は決まりません。

中小企業基盤整備機構の仕入管理の解説では、在庫が一定水準に減ったら決まった量を頼む「定量発注法」と、決まった周期で必要な量を頼む「定期発注法」を紹介しています。どちらを使うかは、在庫日数だけでなく、納品条件や在庫を確認できる頻度も踏まえて決めます。

同じマニュアルは棚卸の目的として、帳簿と現品の照合、過剰な商品の把握、目減りの管理、管理方法の確認、期末決算への対応を挙げています。発注に使う棚卸は、このうち「過剰な商品の把握」を、品目ごとの日数という具体的な形に置き換える作業です。

在庫日数が長い品目

使用期限と今後の使用予定を確認します。在庫が多い場合は、発注の延期や数量の削減を検討します。

次の納品までは在庫が足りる品目

次の納品までは平均使用量で足りる計算です。次回以降の納品日、発注済みの数量、今後の使用予定を確認して追加の発注量を決めます。

次の納品までに不足する可能性がある品目

現時点で不足する可能性があります。納品予定を確認して対応し、今後は在庫の確認頻度や発注時期を見直します。

DEMO

棚卸の数字を入れると、在庫日数と期間ごとの不足量がどう出るか

前回の棚卸の数、期間中の仕入、今回の棚卸の数、営業日数を入れると、在庫減少量と1営業日あたりの平均使用量、在庫日数が出ます。次の納品までの日数と比べて足りるかどうか、対象期間ごとの不足量がいくつになるかを並べます。

在庫日数の試算|現在の在庫と期間ごとの不足量を確認する

1品目の在庫数と仕入量を入力し、期間中の在庫減少量、1営業日あたりの平均使用量、在庫が何日分あるかを確認できます。平均使用量が続く場合に次の納品まで在庫が足りるかを試算し、対象期間を変えた場合の不足量を表で比較します。

触って動かせます
計算の中身
在庫減少量は「前回の在庫+仕入-今回の在庫」、1日に使う量はそれを営業日数で割った数、在庫日数は今回の在庫を1日に使う量で割った数です。表は、平均使用量に対象の営業日数を掛け、今の在庫を引いた不足量です。発注済みの数量や納品までの時間は含めていないため、そのまま発注量にはできません。
使っている前提
数字はすべて入力例です。1日に使う量は月の平均なので、曜日の差は含みません。曜日ごとの違いを確認するには、日別の使用量を記録する必要があります。
確かめてほしいところ
今回の棚卸の数を増やしてみてください。在庫日数が次の納品までの営業日数以上になると、平均使用量では次の納品まで足りる判定に変わり、表の不足量が0に近づきます。

※ 判定は月の平均で見ています。週末に集中して出る品目は、平均では足りていても金曜の夜に切れることがあります。そのような品目は、日々の使用量と在庫数を記録して判断します。

帳簿と実際の在庫に差があれば、原因を確認する

レジの販売数やレシピから計算した在庫(帳簿の在庫)と、実際に数えた在庫には差が出ることがあります。差の中身は、仕込みのロス、まかない、廃棄、数え方のずれです。棚卸の目的の先頭に「帳簿と現品の照合」があるのは、この差を見つけるためです。

差が続く品目は、仕入記録、レシピの使用量、廃棄やまかない、店舗間の移動を確認します。在庫の減少量から見込みを作っている場合、すでに含まれるロスを上乗せすると二重に数えることになります。差をそのまま発注量に加えるのではなく、原因を確認して記録や使用量の見込みを直します。

農林水産省の推計では、2024年度の事業系食品ロスは237万トン、うち外食産業は70万トンです。食品ロスは、本来食べられるのに捨てられた食品を指します。棚卸の差には、食べられない部分や記録上のずれも含まれるため、差の全量を食品ロスとは扱えません。廃棄した量と理由を別に残し、仕込みや発注を見直す材料にします。

月1回の数字で間に合わない品目は、日々の数から先を見込む

月1回の確認の間に不足や余りが起きる品目は、閉店後など決まった時点で在庫を記録します。まずは不足や余りが起きやすい品目に絞り、記録にかかる時間を確認して対象を決めます。

在庫数だけでは、その日に使った量は分かりません。日ごとの仕入・廃棄・移動も確認して使用量を求めると、曜日による違いを調べられます。傾向を判断するには、休業日や特別な予約も含めて記録を確認します。たとえば金曜に月曜の1.5倍使う品目について、月の平均だけを基準に頼むと、金曜に不足し、月曜に余る可能性があります。この並びから先を見込む計算が、需要予測と呼ばれているものです。

当社が開発中の手軽に使える需要予測AIは、日付と数量の2列のCSVを入れて列を選ぶと、28日先までの見込みを幅つきで出します。見込みは1点ではなく幅で受け取り、余裕をどこまで持つかは、使用量の変動、納品予定、使用期限や保管場所を確認して店長が決めます。生ビールの樽のように単位が大きく、切らすと困る品目の考え方は居酒屋の樽の発注の開発プランに書いています。

Excelの棚卸表に3列足すところから。アプリ化や発注予測にかかる費用は何で決まるか

最初は、いまの棚卸表に「前回の在庫」「期間中の仕入量」「営業日数」の列を足し、使った量・1日に使う量・在庫日数を式で出すだけで足ります。手元のExcelを自分で調整すれば、新たなシステム開発費をかけずに試せます。翌月の棚卸で、在庫日数の長い品目の発注を1つ減らせたら、それがこの表の最初の効果です。

月末に在庫を数える作業の負担が大きいなら、棚の順に並んだスマホの画面で数えて、その晩に棚卸表と原価率まで出す形が向きます。当社の実地棚卸アプリの開発プランでは、個人店で要件整理から納品まで約2〜3ヶ月を目安にしています。金額は品目数と数える場所の数、レジや仕入のデータとつなぐかどうかで決まります。

見込みまで出したいなら、日々の数を残した品目のCSVファイルを1つお預かりして、予測に使えるかを確かめるところから始めます。当社の需要予測AIのリリース前の確認は無料で、費用がかかる場合は始める前に金額をお伝えします。来客数から品目の出数と発注までをひとつの画面にする形は、飲食店向けの開発プランにまとめています。

表に3列足す

手元のExcelで自分で表を調整するなら、新たなシステム開発費をかけずに試せます。月末の棚卸のたびに在庫日数を見て、頼む量を1品目ずつ直します。

数える画面を作る

個人店で約2〜3ヶ月。品目数・数える場所の数・つなぐデータの範囲で金額が決まります。

見込みを出す

CSV1本の確認から。日々の数を残した品目が対象で、確認は無料です。

まとめ

棚卸の数量と仕入記録から、使った量や在庫日数も計算できます。前回の在庫+仕入量−今回の在庫が、期間中の在庫減少量です。廃棄や移動も確認し、平均使用量と在庫日数を発注判断の目安にします。

在庫日数を次の納品までの営業日数と比べ、不足する可能性を確認します。在庫が多い品目は使用期限や今後の予定も見て判断し、帳簿と実在庫に差がある場合は原因を調べます。

次にやることは1つです。いまの棚卸表に「前回の在庫」「期間中の仕入量」「営業日数」の列を足し、今月の棚卸で在庫日数を出してみること。不足や余りが起きやすい品目から、日別の記録も始めます。

よくある質問

飲食店の棚卸では何を計算するのですか?

数量の確認では「前回の在庫+期間中の仕入-今回の在庫=在庫の減少量」が基本です。金額で計算すると売上原価を求められ、これを売上高で割ると原価率になります。数量の減少を営業日数で割れば平均使用量、現在の在庫を平均使用量で割れば在庫日数です。廃棄や店舗間の移動がある場合は、その数量も確認します。単価は、評価の方法を届け出ていなければ最後に仕入れたときの単価でよいと決まっているので、最新の納品書から拾えば足ります。

棚卸を早く数える方法はありますか?

数える順番を店の中を歩く順に固定し、品目ごとに数える単位(開封したボトルは0.1本刻み、袋は1か0.5など)を先に決めておくのが効果的です。単価と金額はあとで表が計算するので、その場では数だけを入れます。数える画面の作り方は実地棚卸アプリの開発プランにまとめています。

棚卸はExcelや無料のアプリで足りますか?

月1回の棚卸で回っているうちは、Excelの棚卸表に前回の在庫・期間中の仕入量・営業日数の列を足すだけで足ります。見直しを検討したいのは、複数人で数えた紙を打ち直す手間が出てきたときと、毎日数える品目の記録がたまってきて先の見込みまで出したくなったときです。入力や集計の負担、必要な機能を確認して、アプリ化や予測の導入を検討します。

週1回や毎日の在庫確認は、年末の棚卸の代わりになりますか?

日々の記録だけで年末の棚卸が不要になるわけではありません。個人事業では、12月31日現在の棚卸高を確定する必要があります。当日に数えられない場合は、できるだけ近い日に棚卸を行い、その日と12月31日の間の取引から年末の数量・金額を計算し、計算方法を残します。日々の記録と数える単位をそろえておくと、この確認にも役立ちます。

この記事を書いた人

水上貴洋取締役 / 飲食DXコンサルタント

北海道札幌市を拠点に、業務アプリやAIの開発を行っています。北海道内は直接うかがい、道外はオンラインで対応しています。専門用語を使わず、相手の言葉で話すことを大事にしています。

棚卸表を、次の発注にどう使うか相談できます

月末に数えて原価率は出しているが、翌月の発注は前と同じ量で頼んでいる。在庫日数を出してみたが、どの品目から直せばいいか迷っている。毎日数える品目の記録はあるが、見込みに使えるか分からない。そんな段階で相談していただいて大丈夫です。棚卸表かレジのCSVファイルを1つお預かりして、発注を直す材料になる部分を分けるところから始めます。

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