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飲食の需要予測・AI

棚卸の数字を次の発注に使う。数えるだけで終わらせない方法

「月末に数えて原価率を出して終わり」の棚卸には、次の発注を決める数字が眠っています。前回の在庫と仕入と今回の在庫から「使った量」が出て、営業日数で割れば「1日に使う量」、今の在庫を割れば「在庫日数」になります。個人店から数店舗の飲食店の経営者に向けて書きました。

この記事でわかること

  • 棚卸で出る数字は、期末在庫のほかに2つあります。前回の在庫に期間中の仕入を足し、今回の在庫を引くと、その期間に使った量が品目ごとに出ます。
  • 使った量を営業日数で割ると1日に使う量、今回の在庫をそれで割ると在庫日数です。在庫日数が納品の間隔より短い品目は切らす手前、棚卸の間隔より長い品目は頼みすぎです。
  • 個人事業の棚卸表は、所得税法の規則で「数量・単価・金額」を品目ごとに書くと決まっています。発注に使うには、その表に前回の在庫と営業日数の2列を足すだけで足ります。
  • 月1回の数字では次の発注に間に合わない品目があります。その品目だけ日々の数を残すと、日付と数量の並びになり、先の見込みを出す材料になります。

棚卸の数字から出るのは、期末在庫・使った量・在庫日数の3つ

月末の棚卸で手に入る数字は、数えた瞬間の在庫のほかにもあります。前回の棚卸の数に、その間に仕入れた数を足し、今回数えた数を引くと、その1ヶ月に実際に使った量が品目ごとに出ます。売上原価の計算そのものですが、金額にする前の「数」のまま見るのが、発注に使うときのコツです。

使った量を、その月の営業日数で割ると、1日に使う量になります。たとえば鶏もも肉を月に90kg使い、営業日が25日なら、1日に3.6kgです。今回数えた在庫が11kgなら、11÷3.6で在庫日数は約3日。次の納品が2日後なら足りますし、4日後なら途中で切れます。

この3つは、いま紙やExcelで作っている棚卸表に、前回の在庫と営業日数の列を足すだけで出ます。数える手間を増やさずに、月末の作業が「原価率を締める」から「来月の発注を直す」に変わります。発注量を決める3つの数字の記事で「届くまでに使う数」と呼んだ見込みの、いちばん手軽な出どころがここです。

使った量

前回の在庫+期間中の仕入-今回の在庫。売上原価の式と同じで、金額にする前の数のまま見ます。

1日に使う量

使った量÷その期間の営業日数。曜日の差はならされるので、月の平均として扱います。

在庫日数

今回の在庫÷1日に使う量。次の納品までの日数と、次の棚卸までの日数に比べる数字です。

税務のための棚卸表と、発注のための棚卸表は、同じ1枚でよい

個人事業の飲食店なら、棚卸表に何を書くかは所得税法施行規則で決まっています。青色申告者は毎年12月31日に棚卸資産の棚卸をして、棚卸表に「種類、品質、型等の異なるごとに、数量、単価及び金額」を書きます(第60条)。棚卸表は7年間の保存です(第63条)。青色申告でない場合も、決算に関して作成した棚卸表を5年間保存する定めがあります(第102条)。

単価の付け方にも決まりがあります。評価の方法を税務署に届け出ていなければ、法定の「最終仕入原価法」、つまり年末にいちばん近い日に仕入れたときの単価で評価します(所得税法施行令第102条)。仕入伝票の束から平均を計算する必要はなく、最後の納品書の単価を拾えば足ります。

棚卸資産の範囲には、商品や主要原材料だけでなく、補助原材料と「貯蔵中の消耗品」も入ります(同施行令第3条)。未開封の調味料や割り箸の箱も数える対象です。発注に使うときは、この税務の表を作り直さず、同じ品目の並びに「前回の在庫」「営業日数」の列を足して、使った量と在庫日数を横に出します。表は1枚のままで、目的が2つになります。

在庫日数で品目を3つに分けると、発注の直し方が決まる

在庫日数を出すと、品目は自然に3つに分かれます。次の棚卸までの日数より在庫日数が長い品目、納品の間隔と棚卸の間隔のあいだにある品目、納品の間隔より短い品目です。直し方はそれぞれ違います。

中小企業基盤整備機構の起業マニュアルは、発注のやり方を、在庫が決めた水準まで減ったら決まった量を頼む「定量発注法」と、決まった日に必要な量を頼む「定期発注法」の2つに分けています。在庫日数の長い品目は定期発注に寄せて頼む量を減らし、短い品目は「ここまで減ったら頼む」線を先に決めて切らさないようにする、という当てはめ方です。

同じマニュアルは棚卸の目的として、帳簿と現品の照合、過剰な商品の把握、目減りの管理、管理方法の確認、期末決算への対応を挙げています。発注に使う棚卸は、このうち「過剰な商品の把握」を、品目ごとの日数という具体的な形に置き換える作業です。

在庫日数が次の棚卸まで持つ品目

月1回の発注でも余っています。次の発注を1回飛ばすか頼む量を減らして、翌月の在庫日数がどう動いたかを見ます。

納品の間隔と棚卸の間隔のあいだの品目

週1回の決まった曜日に、1週間ぶんの使う量から今の在庫を引いて頼む形が合います。多くの乾物と冷凍品がここに入ります。

在庫日数が納品の間隔より短い品目

月1回の棚卸では次の発注に間に合いません。この品目だけを、日々の数を残す対象にします。

DEMO

棚卸の数字を入れると、在庫日数と次の発注の目安がどう出るか

前回の棚卸の数、期間中の仕入、今回の棚卸の数、営業日数を入れると、使った量と1日に使う量、在庫日数が出ます。次の納品までの日数と比べて足りるかどうか、発注の間隔ごとに頼む量の目安がいくつになるかを並べます。

在庫日数の試算|棚卸表の数字から次の発注を出す

品目1つぶんの棚卸の数字を入れる画面です。使った量・1日に使う量・在庫日数の3段の計算と、次の納品までに足りるかの判定、発注の間隔を1日から2週間まで変えたときの頼む量の目安を表で見られます。

触って動かせます
計算の中身
使った量は「前回の在庫+仕入-今回の在庫」、1日に使う量はそれを営業日数で割った数、在庫日数は今回の在庫を1日に使う量で割った数です。表は、1日に使う量に発注の間隔を掛けて今の在庫を引いています。
使っている前提
数字はすべて入力例です。1日に使う量は月の平均なので、曜日の差は含みません。曜日の差を見るには、日々の数の記録が要ります。
確かめてほしいところ
今回の棚卸の数を増やしてみてください。在庫日数が納品の間隔を超えたところで、判定が「次の納品まで足りる」に変わり、表の頼む量が0に近づきます。

※ 判定は月の平均で見ています。週末に集中して出る品目は、平均では足りていても金曜の夜に切れることがあります。その品目が、日々の数を残す対象です。

帳簿の在庫と数えた在庫の差は、次の発注の余裕を決める材料になる

レジの販売数やレシピから計算した在庫(帳簿の在庫)と、実際に数えた在庫は一致しません。差の中身は、仕込みのロス、まかない、廃棄、数え方のずれです。棚卸の目的の先頭に「帳簿と現品の照合」があるのは、この差を見つけるためです。

差を品目ごとに率で残しておくと、次の発注の余裕をどこに置くかが決まります。毎月同じ向きに差が出る品目は、使う量の見込みにその率を上乗せして頼みます。月ごとに差がばらつく品目は、数え方が人で揺れている可能性が高いので、余裕を増やす前に数える単位をそろえます。

農林水産省の推計では、2024年度の事業系の食品ロスは237万トンで、そのうち外食産業が70万トンです。店の中でこの数字に当たるのは、棚卸の差のうち廃棄で説明できる部分です。差の記録は、発注を直す材料であると同時に、捨てた量を金額で持てる数少ない機会でもあります。

月1回の数字で間に合わない品目は、日々の数から先を見込む

在庫日数が納品の間隔より短い品目は、月に1回の棚卸では次の発注に間に合いません。この品目に限って、閉店後に数を残します。冷蔵庫の一段ぶん、10〜20品目に収まることが多く、数分で終わる作業です。

日付と数量の並びが3ヶ月ほどたまると、曜日の差が見えてきます。たとえば金曜が月曜の1.5倍出る品目を月の平均で頼んでいれば、金曜は足りず、月曜は余ります。この並びから先を見込む計算が、需要予測と呼ばれているものです。

当社が開発中の需要予測AI「EvoQuest Iramepakari」は、日付と数量の2列のCSVを入れて列を選ぶと、28日先までの見込みを幅つきで出します。見込みは1点ではなく幅で受け取り、余裕をどこまで持つかは、前の見出しで残した差の記録を見て店長が決めます。生ビールの樽のように単位が大きく、切らすと困る品目の考え方は居酒屋の樽の発注の開発プランに書いています。

Excelの棚卸表に2列足すところから。アプリや見込みにする費用は何で決まるか

最初は、いまの棚卸表に「前回の在庫」「営業日数」の列を足し、使った量・1日に使う量・在庫日数を式で出すだけで足ります。費用はかかりません。翌月の棚卸で、在庫日数の長い品目の発注を1つ減らせたら、それがこの表の最初の効果です。

数える夜そのものがつらいなら、棚の順に並んだスマホの画面で数えて、その晩に棚卸表と原価率まで出す形が向きます。当社の実地棚卸アプリの開発プランでは、個人店で要件整理から納品まで約2〜3ヶ月を目安にしています。金額は品目数と数える場所の数、レジや仕入のデータとつなぐかどうかで決まります。

見込みまで出したいなら、日々の数を残した品目のCSVを1本お預かりして、予測に使えるかを確かめるところから始めます。Iramepakariのリリース前の確認は無料で、費用がかかる場合は始める前に金額をお伝えします。来客数から品目の出数と発注までをひとつの画面にする形は、飲食店向けの開発プランにまとめています。

表に2列足す

費用は0円。月末の棚卸のたびに在庫日数を見て、頼む量を1品目ずつ直します。

数える画面を作る

個人店で約2〜3ヶ月。品目数・数える場所の数・つなぐデータの範囲で金額が決まります。

見込みを出す

CSV1本の確認から。日々の数を残した品目が対象で、確認は無料です。

まとめ

棚卸で出る数字は、期末在庫のほかに2つあります。前回の在庫と仕入と今回の在庫から使った量が出て、営業日数で割れば1日に使う量、今の在庫を割れば在庫日数です。

在庫日数を納品の間隔と棚卸の間隔に比べると、頼みすぎている品目と、月1回の数字では間に合わない品目が分かれます。帳簿と数えた在庫の差は、余裕の置き方を決める材料です。

次にやることは1つです。いまの棚卸表に「前回の在庫」と「営業日数」の列を足し、今月の棚卸で在庫日数を出してみること。日数が納品の間隔より短い品目が、日々の数を残す候補です。

よくある質問

飲食店の棚卸では何を計算するのですか?

基本は「前回の在庫+期間中の仕入-今回の在庫=使った量」です。金額で出せば売上原価と原価率、数で出せば1日に使う量と在庫日数になります。単価は、評価の方法を届け出ていなければ最後に仕入れたときの単価でよいと決まっているので、最新の納品書から拾えば足ります。

棚卸を早く数える方法はありますか?

数える順番を店の中を歩く順に固定し、品目ごとに数える単位(開封したボトルは0.1本刻み、袋は1か0.5など)を先に決めておくのがいちばん効きます。単価と金額はあとで表が計算するので、その場では数だけを入れます。数える画面の作り方は実地棚卸アプリの開発プランにまとめています。

棚卸はExcelや無料のアプリで足りますか?

月1回の棚卸で回っているうちは、Excelの棚卸表に前回の在庫と営業日数の列を足すだけで足ります。つらくなるのは、複数人で数えた紙を打ち直す手間が出てきたときと、毎日数える品目の記録がたまってきて先の見込みまで出したくなったときです。そこからがアプリや予測の出番です。

週1回や毎日の数えは、年末の棚卸の代わりになりますか?

代わりにはなりません。青色申告なら12月31日の棚卸と棚卸表の作成は別に必要です。日々の数えは発注のためのもので、対象の品目も絞ります。ただし数える単位を先にそろえておけば、年末の棚卸もその延長で短く終わります。

この記事を書いた人

立石伊吹代表取締役 / DX・AIアドバイザー

北海道札幌市手稲区の会社です。北海道内は直接うかがい、道外はオンラインで対応しています。専門用語を使わず、相手の言葉で話すことを大事にしています。

今月の棚卸表で、在庫日数が出るかを一緒に見ます。

月末に数えて原価率は出しているが、翌月の発注は前と同じ量で頼んでいる。在庫日数を出してみたが、どの品目から直せばいいか迷っている。毎日数える品目の記録はあるが、見込みに使えるか分からない。そんな段階で相談していただいて大丈夫です。棚卸表かレジのCSVを1本お預かりして、発注を直す材料になる部分を分けるところから始めます。

棚卸表かCSVで在庫日数と見込みを確認する (新しいタブで開きます)

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